桐花琴乃、RTA乙女ゲー攻略。
すみません。投稿予定日をミスしてました。
今日は私がリアルタイムアタックの日本大会に出場する日です。
【次はいよいよ乙女ゲーか】
【インコが出るって言ってたな】
【ごめん。こういうの初見なんだけど、これってどうやって競うの?】
【↑出場者全員が同時に同じタイトルのゲームをスタートして、最初にクリアしたやつが勝ちっていうシンプルなルールだよ。出場するのは2人1組で、1人が実際にゲームをプレイして攻略する人、もう1人は実際にゲームするわけじゃなくて、それを見て私達にわかりやすいように解説してくれる人です】
【↑へー、ありがとうございます!!】
【!member】
【鞘無インコ/森川楓、小雛ゆかり/雪白美洲、黛慎太郎/白銀あくあ、桐花琴乃/白銀カノン】
【インコの解説、森川かよw】
【ある意味、解説が本職すぎてガチ。これはインコも勝ちにきてるな】
【小雛ゆかりと美洲様だと!?】
【なんで小雛ゆかりは美洲様と出る事になったんだw】
【美洲様はえみり様の代打だって、えみり様、急遽、つわりが来たらしくて……】
【↑えみり様、お大事に】
【えみり様の代打が美洲様とかバグってるw】
【えみり様もなんでよりによってその人に代打を頼んだwww】
【ちょっと待って、黛君がプレイするの!? とあちゃんじゃなくて!?】
【もしかして、とあちゃんもつわりか!?】
【↑な、なんだって〜!】
【お赤飯炊かなきゃ!!】
【とあちゃんがあくあ様の子供を妊娠したと聞いて】
【お前らさあwww】
【いい加減にしろ!!】
【姐さんと嗜……カノンはガチだろw】
【ラーメン捗る:こーれ、絶対に姐さんとカノンが勝ちます】
捗るさんがコメント欄にいますね。
つわりと聞いていましたが、少しは良くなったのでしょうか?
あまり無理はしないでくださいね。
私は椅子に座ると司会者の合図を待つ。
『それではゲームをスタートしてください!!』
私はすぐに名前を入力する。
乙女ゲーでは名前をカノンさんとか天鳥社長に変えると難易度が著しく低下しますが、今回のイベントは通常モードのクリアが必須なので特殊個体名の使用は禁止されています。
普通ならここで、苗字を[あ]、名前を[あ]にするのがセオリーですが、それではあまりにも呆気がないので[あ]から最速で変換できる苗字と名前にしました。
『おっと、姐……桐花琴乃さんは、使用キャラの名前を相内愛にしたようですね。RTAといえどプレイヤーによって拘りがあるのが面白いところです』
名前を入力した後はキャラ設定だ。
性格によって選択肢やイベントが変わるので、キャラの性格を普通からドジっ子お姉さんに変更をする。
次に誕生日や好みの食べ物、趣味を選択していく。
ここで解説のカノンさんが私の代わりに解説してくれる。
「まず、キャラの性格なんですけど、定番はやっぱりドジっ子お姉さんか、清楚系お嬢様ですね。この時点であくあの好感度の内部レートがあがります。よく攻略サイトでは、肉食系お姉さんを推奨してるところがありますが、内部レートが爆盛りされる代わりに出てくる選択肢が少し渋いんですよね〜。誕生日も確実にイベントが発生するゲームの終わりに近い夏休み中が鉄板とされてるのですが、やっぱり年明けに設定してきましたね。好きな食べ物も肉系、趣味もトレーニングやランニングなどの汗をかく系など、あくあとの遭遇率が高くて好感度が盛れるイベントに設定してきましたね。これは、よく研究してます」
カノンさんがすごい早口で上手に解説してくれる。
あまり妊婦のカノンさんには無理をさせたくはないのですが、私のスピードについて来れる解説者はこの世界にカノンさんただ1人しかいません。カノンさんもそれがわかってて、自分からやりたいと言ってくれました。
キャラ設定が終わった後は容姿設定です。
容姿設定では秒速で胸囲をマックスにする。これでよしと。
胸は大きければ大きいほどいいですからね。
私はゲームをスタートする。
【こーれ、インコ勝てません】
【なんかもう圧が違うわ】
【これが本当のできる女です】
【ごめん。カノン様の解説がすごくためになる事を言ってるんだろうけど、早口すぎて頭の中に何も入ってこない】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【なんでキャラ設定の段階で小雛ゆかりと美洲様は喧嘩してるんだよw】
【↑あそこだけ違うゲームしてる】
【黛君とあくあ様の配信、すごくほっこりする】
ゲームがスタートした後は全力で会話をスキップしていく。
会話が終わった後はすぐにオプション画面を開いて、オートダッシュと会話の全スキップ、ムービー、ボイス、ミュージック無しの項目をクリックする。
これで余計な手間が省けます。
「ポイントとしてはムービーだけじゃなくて、ミュージックとボイスの選択も消した事ですね。これにより読み込みのロード時間がコンマ数秒早くなります。一つ一つのシーンでは微々たる差かもしれませんが、ゲームをクリアする頃にはトータルで1分近くは稼げるのでだいぶ大きいですね」
最初の1週間はプロローグのようなものなので、特に何かをやる事はありません。
あえて拘るとしたら、趣味のトレーニングには行かずにお金を貯める事くらいでしょうか。
『おっと、桐花琴乃選手が最速でプロローグを突破したぁ! 鞘無インコ選手がそれに食らいつく! そこから少し遅れて小雛ゆかり選手も最初のプロローグを突破! 黛君、がむばれぇ!』
プロローグ部分が終わり本格的なスタートを切ると、私はすぐにトレーニングルームに行く。
あくあさんと接触して、好感度ポイントを稼ぐためだ。
私は目的地となるベリル本社内トレーニングルームのある階に到着すると、その前に飲食コーナーに行ってバナナが切れている事を確認して補充イベントを発生させる。
このイベントは勤務時間中にしか発生しない上に、午後からは別のメインイベントがあるので、絶対に午前中に発生させなければいけません。
私は1番高いバナナを購入すると、その帰り道でランジェリーショップ内でトレーニングウェアを購入する。
「ここもポイントですね。トレーニングウェアといえば普通にスポーツショップに行くのですが、このトレーニングウェアはランジェリーショップでしか購入できないんですよ。しかし、これで所持金はほぼなくなりました」
バナナを補充した後は普通にトレーニングに行ってあくあさんとの遭遇イベントをこなす。
ここから先はミスが許されないシーンが続く。
「トレーニングメニューはどれを選ぶのか選択できるんだけど、あくあと同じルーティンでこなす事により好感度を1.2倍させる事ができます。ここで重要なのが初期ステータスのおっぱいの数値と、トレーニング用の衣装ですね。大きいと揺れるから、その分ポイントも盛れますし、さっき購入した下着に近いChijyo Kunkakunka、略してCKのトレーニングウェアならかなりポイントが盛れます。ただ、おっぱいのサイズが大きいと、一気にミニゲームの難易度が上がっちゃうんですよね」
私は次々とトレーニングメニューのミニゲームを一発クリアしていく。
これにより、あくあ君の好感度上限ポイントが1日の限界値に達する。
【あかん。最後のコンビが強すぎる】
【インコも頑張ってるけど、敵が強すぎる】
【こーれ、姐さんとカノン様だけ別ゲーやってます】
【あれ? 姐さんの無双が始まりました?】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【ネエサンモスゲエヨ】
【↑これ、何?】
【↑あくあ様と黛君の配信見ろ。あくあ様が永久に黛君を褒めててツボるw】
【黛君とあくあ様の配信やばいよな。乙女ゲーのあくあ様より更に判定が甘いもん】
【その一方で小雛ゆかり美洲様は仲良く喧嘩してるよ】
【小雛ゆかり「あんたの息子おかしいんじゃない!? なんでこれで好感度が上がらないのよ!!」美洲様「はあ!? さっきから君が変な選択肢ばっかり選んでるからだろ!? さっきのはもっと甘やかさなきゃ」小雛ゆかり「なんでよ! 普通はあそこで舌べろべろ出しながらバーカバーカって煽る場面でしょ!」美洲様「あくあ君にそんな事するのはお前だけだ!!」】
【↑草w】
【↑その一方で……マユシン君「ええっと、業務が終わったらすぐに帰宅だな」あくあ様「慎太郎、オマエスゲエヨ。そういう真面目なところ、俺的にポイント高いぞ」マユシン君「任せろよ、親友」あくあ「オマエスゲエヨ」→早く帰宅したために好感度上がらず】
【↑wwwww】
【黛君とあくあ様の配信、面白すぎるw】
【ラーメン捗る:黛君は乙女ゲーのあくあ様じゃなくて、リアルのあくあ様の好感度上げてるからいいんだよ】
【↑オマエテンサイカヨ】
【黛君だけリアルあくあ様の攻略RTA始めてて草w】
【↑もう好感度MAXで堕ちてるすらある】
【ちょっと待って、見たい配信が多すぎるw】
【4窓してるけど、小雛ゆかりの配信とインコの配信がうるさすぎる上に、あくあ様のオマエスゲエヨ連呼してるのとカノン様の念仏みたいな早口解説が重なってすげーカオスな事になってる】
くっ! ちらっとコメント欄を見てしまいました。
まさかこんなトラップがあるなんて想定外です。
あくあさん達の配信がすごくみたくなりましたが、グッと堪えてゲームに集中する。
「もうすでに今日加算できる分のあくあからの好感度は上限値を突破して、オーバーフローした数字はカットされてるように見えるのですが、ここがポイントですね。ほら、見てください。イベントが起きますよ」
私とあくあさんが一緒にトレーニングルームから外に出たところで、私が床に置かれていたバナナの皮で滑ってこける。
「はい、ここでイベント発生です。さっきバナナを購入した事で、野生の楓先輩が食べたバナナの皮がトレーニングルームの前に設置される事で、イベントから出てきたタイミングで発生するんですよね。そして、肌と肌が触れ合うイベントは好感度がすごく上がるのですが、トレーニング終わりの汗だくの状態で起こるとオーバーフローした好感度が更にオーバーフローする事でバグが発生します。あと、キャラ設定の段階でバナナの皮で転けやすい天然属性を選んでるのもポイントですね」
よし! 全てがうまく行きました。私は心の中でガッツポーズをする。
好感度が2回目のオーバーフローをした事で数字がバグって好感度MAXになります。
【普通に解説してるけど、そんなのしらねぇよ!】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【クリアできる姐さんもすげぇけど、解説できるオマエスゲエヨ】
【攻略サイトの管理人達もびっくりしてるよ】
【さすがだよ。攻略班もお手上げです。普通ならプロローグ明けの午前中は好感度が確定で上がるし、いつもよりパラメータが上がりやすいから、あくあ様との絡みがあるイベントを発生させるし、バナナなんか購入しに行かないもん】
こうなってからはもうトレーニングルームに行く必要はありません。
購入したトレーニングウェアや手に入ったアイテムを全て売却して焼肉を食べに行きます。
「小早川さんも言ってましたよね。肉は煙らせるだけと、ここで生焼けのお肉を食べる事でお腹を下します」
体調不良のステータスが付与された私は迷わず[出社する]を選択する。
もちろん出社した後は、疲労度が高いイベントを午前と午後も選んで、残業までします。
「あー、なるほどね」
カノンさんはうんうんと何度も頷く。
どうやらカノンさんも私の意図に気がついたようですね。
【あー、なるほどね←ごめん、何がなるほどなのかわからない】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【カノン様が凄すぎて捗る完全に壊れたラジオになってるw】
【↑あくあ様もそうなってるから大丈夫】
【一体、私たちは何を見せられているのか……】
【速報、インコ、いつものハードモードに慣れすぎてるせいで、通常版の難易度に戸惑って動揺した挙句、見えない野生の森川楓と見えない野良の小雛ゆかりと会話を始める】
【↑くっそー、そっちも気になる】
【乙女ゲー最速攻略のはずが、みんな様子がおかしな事になってて草】
【↑仕方ない。乙女ゲーだからな!】
【乙女ゲーとかいう謎ジャンルを生み出したこのゲームの闇は深い】
2日目、3日目も同じように無理を繰り返す事で主人公が仕事中に倒れる。
これで入院イベントが発生します。
「あくあと一緒に仕事をしてるタイミングで倒れるのがポイントですね。好感度がオーバーフローした事で、必ずお見舞いに来てくれます。これにより出社してなくてもお見舞いイベントで好感度を維持する事ができるんですよ」
入院時のポイントはただ一つ、早期退院をする事です。
早期退院をする事で、体調不良のデバフがついたままになりますが、これはRTAにとってはバフでしかありません。
私は体調不良のデバフを利用して何度も体調を崩しては、あくあさんの前で倒れて入院するを繰り返していく。
これにより日程の消化が爆速になります。
【私たちは一体、何を見せられてるのか】
【へ〜、これが乙女ゲーか】
【カノン様、ずっと頷いてるって事は、このやり方も知ってるって事なんだよな】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【もはやこの時点でぶっちぎりの一位である】
【おかしいって!!】
【開発者の口がずっと開いてる。流石にこのバグは想定外だったか……】
【リアルのあくあ様だって、もう黛君が選択肢選んだだけで、オマエスゲエヨ連呼してるもん。これもバグでしょw】
【↑確かにw】
【インコの配信、なんかバグってね?】
【↑自分のやってるハードモード思い出して、インコが泣いちゃったからみんなでヨシヨシしてるんだよ! オマエもこんなところで油売ってないで、森川みたいにインコに水やりしに行け!】
【小雛ゆかりと美洲様、どうした? さっきまで喧嘩してたのに、仲良く絶望してたぞ】
【↑小雛ゆかり「じゃあ、あんたが代わり選択肢選びなさいよ」美洲様「いいだろう。私に任せろ」で、美洲様撃沈、その後小雛ゆかりが煽ってまた喧嘩になるも、小雛ゆかりが選択を選んでもあくあ様の好感度が下落、気がついたら2人で仲良くゲームやってる←イマココ】
【↑感動した】
【っぱ、乙女ゲーなんだよ。乙女ゲーは小雛ゆかりと美洲様の喧嘩すらも止めてしまう】
【ごめん。今日の半泣きになりながら、みんなにヨシヨシされてゲームしてるインコがちょーかわいい】
12月の中旬までこれを繰り返した私は、早期退院を止めて普通に退院する。
これにより数ヶ月会社を休んでるにも関わらず、クリスマス、大晦日、正月、年明けの誕生日イベントの連続を普通にこなす事ができます。私はそこで更に好感度をオーバーフローさせる。
そしてこの4連続イベントに加えて引っ越しをする事で、再び疲労度をマックスにした状態で、小早川さんと一緒に煙らせただけの焼肉を食べにいく。
「完璧な乱数調整とステータス管理ですね。選択と行動の一つ一つに本当に無駄がない。このために相当準備してきたのがわかるプレーです。普通にプレイしてたら、年末年始はお金が足りなかったりとか、なくてスキップしないといけないイベントが出てくるんですが、ずっと入院してお金を貯める事で全てのイベントをこなせるんですよね。さらには引っ越しもできて完璧と。みなさん、所持金を見てくださいよ。92円しか残ってません。それで引越しまで完了させてしまいました」
再び入院した私は一度も出社する事なく、あくあさんのお見舞いイベントだけでエンディングへと向かっていきました。
【もうあんたが、いや、あんたらが優勝だよ】
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【誰も勝てねぇって】
【別に喧嘩売ってないけど、本物に喧嘩売ってすみませんでしたぁ!】
【明日から、攻略班って名乗るのやめまぁす】
【っぱ、検証班なんだよな】
【次元が違うし、役者としての物も違う。これが本物ですか】
【まだみんな年末年始のところでもたついてるぞw】
【こんなのみた事ねぇよ】
【8888888】
【本当にすごかった】
【RTAに相応しい攻略でした】
【これ、検証班の4人でRTAした方が良かったのでは?】
【姐さんに対抗できるのはカノン様だけだよ】
確かに、カノンさんならもしかしたらこれよりも速く攻略できてもおかしくありません。
私は隣に居たカノンさんをチラリと見る。
「カノンさん、解説、ありがとうございました。ちなみに、カノンさんならどうしてましたか?」
カノンさんは少しだけ考えるような素振りを見せる。
「私なら最初の選択で、清楚系お嬢様タイプかな。詳細はまだ誰もやってないので言えないけど、このタイプは深窓のお姫様タイプに進化できるので、それを利用して年明け前のクリスマスで早期エンディングルートに入ります。多分、これちょっと公式も想定してないバグなんだよね。だからそれも込みで、この場では言えないです」
えええええええええええええええええええええええ!?
そ、そんなルートがあったんですか!?
私も開拓してない謎のルートに驚愕する。
【ラーメン捗る:カノン、オマエスゲエヨ】
【オマエスゲエヨ】
【ッパ、オマエスゲエヨ】
【タシナミ、オマエスゲエヨ】
【ケンショウハンスゲエヨ】
【オマエラスゲエヨ】
【カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ。カノン、オマエスゲエヨ】
【やめろ、コメント欄がオマエスゲエヨでゲシュタルト崩壊起こしてるぞ!】
【これ、何w】
【検証班はやはり最強と】
【タシナミチャン、ダイショウリ】
【↑これは正しい使い方】
ふふっ、まさかまだ他にも最速クリアのやり方があるなんて、これは乙女ゲースキーとして、また研究が捗りそうです。
タシナミサン、ヤッパスゲエヨ。私は心の中でそう呟いた。
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