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幕間 鞘無インコ、配信外の奇跡。

なろうではできない話をやってるので今回と次回は幕間になります。

時系列的には去年の10月だったかな?

「うがあああああ!」


 鞘無インコ、それはもう一つの私の名前である。

 ホロスプレーと呼ばれる大手Vtuber事務所に所属する私は、今日もいつものようにインコとしてゲーム配信をしていた。


『GG』

『ナイファイ』

『インコ下手くそ』

『最後惜しかったねー』

『持ってる武器が悪い』

『最後グレ投げれば良かったのに』

『なんであそこで逃げて回復しなかったんですか?』

『次、がんばろー』


 私がプレイしているゲームは、EPEX Legend、通称えぺと呼ばれるゲームや。

 3人が1組となって計60人、20チームが同じフィールドの中に降り立って、最後の1チームになるまで競い合うバトルロイヤルゲームで、私が今度参加するCreamRAWでも今回はこのゲームが採用されている。

 今はそのCreamRAWカップの本番に向けて連日夜に練習試合をやってる最中で、今晩も同じチームのみんなと一緒に大会参加者の人たちと試合をする予定だ。

 集合時間よりかなり早く起きてしまった私は練習も兼ねて配信をしてるんやけど、今日は調子が悪いんかさっきから何やってもうまくいかへん。


「あ゛〜〜〜っ! こんなの、やってられるか!!」


 最後の最後でエイムがぶれてしまった私は、台をバンバンと叩いて悔しがる。


『インコ、落ち着けよ』

『今日はあまり調子良くないね……』

『そういう時もあるって、どんまい!』

『ランクは、新シーズンになったばかりだし厳しいだろうね。どんまい』

『野良じゃなくて、誰か他の配信者とやれば?』

『台パン頂きました』

『キレてるキレてるw』

『今日もカチキレしてるな』


 あー、もう調子も上がらへんし、一旦配信終了して切り替えようかな……。

 いや、やっぱり最後は勝って終わりたいし、このまま終わるんは、なんかいやや。


「ほんま頼む! 初動落ちはもうええねん!!」


 準備完了のボタンを押してから試合に入るまでの時間が長く感じる。


『もう関西弁出ててウケるw』

『これはキテますねー』

『拝んでて草w』


 マッチ完了の文字と共にゲームの画面が切り替わる。

 私のように野良、いわゆるソロでゲームをプレイする場合、一緒の試合を戦うことになる残りの2人は、自分と同じようにソロでプレイしている人が2人はいるか、2人でプレイしているデュオの人と組まされるかのどっちかや。

 もちろん組まされる相手はランダムやから、プレイスタイルが合う人もいれば合わない人もおる。

 中には暴言がひどい人もおったりするが、私はあまり気にせえへん。寧ろ言い返すタイプやし、動画のクリップ、切り抜き動画になるから来たとしても撮れ高としてお金に換算するだけや。ありがとさん!


「おっ!」


 マッチ完了の文字と共に、試合データを読み込むためのローディング画面に移行する。


『ざわ……ざわ……』

『次の被害者きます』

『一緒に組む人、インコちゃんをキャリーしてあげて』

『頑張れー』

『来いっ! 来いっ!』


 ロード画面のカウントダウンが0になると、再び画面が切り替わり自らがこの試合でチームを組むメンバーが表示される。私はその画面を見ると同時に握り拳を上に振り上げた。


「プレデターバッジ2人きたああああああ!」


 このゲームにはランク制度というものがあり、下からブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤ、マスター、プレデターとランクが分かれている。その中でもプレデターは最上級ランキングや。はっきり言って強い。


『マジかよwww』

『インコちゃん引きつよ』

『勝ったな』

『勝利を確信した、風呂いってくるわ』

『こーれ、間違いなくチャンピオン確定です』

『ん?』

『ちょっと待って!!』

『インコ! 名前! 名前!』

『名前見ろ名前!』


 名前……? もしかして有名プロゲーマーか、元プロゲーマーのストリーマーとでもマッチしたんか?

 それとも同じホロスプレーや、絡みのある他の事務所のVtuberさんとマッチしたのかもしれんな。

 私はコメントを見て、慌てて2人のプレイヤーの名前を確認する。


 46HOSHIMIZU

 TAMA_o


 は?

 シロ君とたまちゃんやて?


『シロ君きたああああああああああ!』

『たまちゃああああああああああん!』

『悲報、インコ、全ての運を大会前に使い切る』

『ちょっと待って、2人とも配信してるの!?』

『2人とも練習中?』

『これは勝つる』

『最初に言っておく、被せたらどうなるかわかってるよな?』


 えっ? えっ? 状況がうまく飲み込めないまま、キャラクターピック画面へと移行していく。

 なに、なんが起こってんのや?


『2人とも配信外』

『配信外なのに練習してるとか仲よすぎだろ……』

『うっ、動悸が……』

『配信外でゲームする理由ある? それともデートこれ?』

『なんで配信外なんだよおおおおおおおおお!』

『ワンチャン偽者の可能性あるけど、どうなんだろう?』

『インコありがとう。配信外の2人に遭遇できるなんて、インコのおかげだよ!!』

『シロ君、たまちゃん、デュオじゃなくてマユシン君も誘ってあげてよ!!』

『マユシン君「えっ、僕は……?」 ←』

『インコ、キャラピック!』

『インコ、2人に挨拶して何使うか聞かなきゃ!!』


 あっ、あっかーん! 私がボーっとしていたせいで、前の試合で使っていたブラックハウンドというキャラクターをそのまま選択してしまった。

 ま、まぁ、こいつ強いし、いても腐ることないからええか。続くたまちゃんはロボットキャラのジッパーファインダー、シロ君は重力を操るオバはんことニュートというキャラクターを選択する。


『白ニュート』

『白いニュートと白いジッパー、こーれ確定です』

『2人ともお揃いの白スキン!!』

『ちなみにマユシン君のディブも白くまスキンなんだよね』

『シロくんはともかく、マユシン君もたまちゃんもあくたんのこと好きすぎなんよ』

『うわあ、本物確定じゃん』

『インコ……お前死ぬんか?』

『男の子なのに、ちゃんと試合に向けて練習してるんだ……』


 再び画面が切り替わると、チャンピオンズ部隊として私たちの部隊がこの試合に参加する全チームにアナウンスされる。チャンピオンズ部隊とは、前の試合で最も好成績を納めているチームのことだ。矢印のマークが、シロ君を指していることから、きっと前の試合で勝利したんやろうな。さすがはプレデターや。


「よろしくお願いしまーす」

「よろしく……ん? もしかして、インコさん?」


 私がまごまごとしていたら、2人の方から先にボイスチャット、VCをつけて挨拶をされた。しかもたまちゃんは私の事に気がついたみたいだし……これ、後輩に挨拶させるちょっと生意気な先輩とかに見えてへんやろな?


『インコ、お前えらくなったな』

『ほーん、鞘無インコさんは、後輩に挨拶させるんですね』

『抜けます』

『インコちゃんさぁ』

『アイコちゃん先生といい、インコちゃんといい、先輩風吹かせてるな』

『インコいつも言ってるもんな、後輩は挨拶させるものって』

『へぇ〜』

『あああああああああ、声だけで孕む』

『シロくんの声が、お姉さんの赤ちゃん部屋の扉をコンコンって叩いてくるよー』

『オムツが見つかりそうにないから、垂れ流してもいいようにとりあえず椅子の下にバケツ置いた』


 あわわわわ、やばい、はよ挨拶せんと、怖い先輩やって思われるかも!

 私はVCをオンにするのと同時に、チャット欄を管理しているホロスプレーの社員の人に、卑猥な発言をする人はカットしておいてくださいと伝える。


「こ、ここここここんにちは、ホロスプレーの鞘無インコです。配信中ですけど、大丈夫ですか?」

「あっ、大丈夫ですよー」

「インコ先輩、よろしく」


 はわわわわ、2人ともすごく優しいやんか!

 って、ぼーっとしてたら私がジャンプマスターやんけ!!

 ジャンプマスターとは最初にマップのどこに降りるかチームを導く役割のことを言う。

 私は慌ててシロくんへとジャンプマスターを手渡した。


「ジャンマス任せてええ? 好きなところに降りてええから」

「じゃあここ降りましょうか」

「僕こっちに降りるから、シロはこっちで、インコ先輩はこっちお願いできますか?」

「わ、わかった、大丈夫、頑張る」


 やっば、マウスを持つ手がめちゃめちゃ汗ばんでる。

 しかもなんか脇汗かいてきたかもしれへん、

 2人に汗臭い女の子だって思われたくないし、スプレーでも吹いとこ! あらよっと。


『インコと違って手慣れた感じがある』

『これがマスターとプレデターの違いか』

『後輩にキャリーしてもらう先輩www』

『普通、女の子の方がリードしてキャリーしてあげなきゃいけないんじゃないですか?』

『インコだってキャリー、2人の回復アイテムの運搬くらいできるぞ!!』

『なんかさっきスプレーの音聞こえたけど、お前、画面越しに噴いても意味ないぞw』

『でも気持ちはわかる』


 くわぁ〜〜〜っ! こいつらうっせえええええええええ!

 せっかく三人で楽しくデートしてるのに、邪魔するなよお前ら!!

 私は自らのチャットに書き込む。


『うるせえ、黙れ、ボケ、カス!!』


 くっそー、もう酒でも飲んでないとやってられへん!

 私は近くにあったウォッカの瓶を開けるとそのままラッパ飲みでグイッといった。


『出た! 暴言クイーンwwwww』

『ホロスプレーの運営に言っておきますね』

『おい! 今、酒飲んだだろお前!!』

『また飲酒配信して会社に怒られるぞ!!』

『こーれ、後で泣きながら謝罪配信来ます』

『どんどんやれ、それでこそインコだ』

『インコ、頼むから配信中にアソコだけは弄るなよ!!』


 よっしゃ! ちょっと飲んだら落ち着いてきたで!

 私は自らの頬を叩いて気合を入れ直す。


「行くで!!」


 私は1番最後にゆっくりと降下すると、近くに落ちているアイテムを漁る。


「インコさん、シロ、準備できた?」

「こっちはもう大丈夫!」


 ちょっ、はっや! 2人ともなんでアイテム漁るんそんな早いんや!!

 私はもたもたしながらアイテムを漁る。

 あーーーーー、こういう時に限って武器が落ちてへんのはなんでや!!


「ちょ、ちょっと待ってください」

「OK! アイテムクラフトしてます」

「インコ先輩、ゆっくりでいいですよ」


 私は吟味もせずに、とりあえずそこら辺に落ちていた武器を拾う。

 そのせいで手持ちの武器がエルスターとか言うネタ武器の2丁拳銃になってしまった……。


『後輩の足を引っ張る先輩』

『インコさぁ……』

『インコ遅いって、あくしろ!!』

『テンパってゴミ武器二つも拾ったバカがいるぞwww』

『よりにもよってそれしか落ちてないというw』

『インコさぁ、お前舐めてんの?』

『こーれ、シロくんもたまちゃんも呆れてます』


 くっそー、そんなこと言っても仕方ないやろ、これしか落ちてへんのやから!!

 やっぱこれクソゲーやわ!!


「これ多分もうエリアの中心付近は渋滞してると思うんで、エリアに合わせて安地外ムーブしてる人たちを狩りながら移動しましょう」

「そうだねシロ、それがいいかも」

「了解」


 私たちはゆっくりと円の中心方向へと向かって移動する。


「みんな武器何? 僕は6スコのロングボゥとマフティス」

「アイアンサイトのウイングガンとピーキー」

「私はエルスターとエルスター……」


 シロくんは気を遣ってくれたのか、尖った組み合わせですねなんて言ってくれたけど、たまちゃんは笑いが堪えきれなかったのかクスクスと笑みが溢れた。うっわ〜、はっず、私、はっず、私は配信画面を前に顔を赤くした。


『インコちゃんさあ』

『おい、1人だけ遊んでる武器構成の奴がいるぞ!!』

『インコ先輩、真面目にやってもらっていいですか?』

『これが後輩の足を引っ張る先輩の姿です』

『シロくんに気を遣わせてまで飲むウォッカは美味いか?』

『たまちゃんの笑い方が可愛くて、バンに乗せてお持ち帰りしたくなる』

『たまちゃんのロングボゥ』

『あくあ様のお茄子と、たまちゃんのロングボゥ』


 うるせぇ!! 仕方ないやんか!!

 これしかなかったんやから!!


「あ、銃声音」

「ここやり合ってる」


 ちょ、ちょっと2人とも索敵はやない?

 待って〜や。お姉さんにも仕事させて〜な。


『索敵キャラ使ってるのに索敵できない無能先輩』

『インコちゃんさぁ(クソデカため息)』

『索敵キャラとは』

『インコが使ってるブラックハウンドは周囲を索敵できるキャラクターです』


 私があたふたとしていると、たまちゃんは取り出したロングボゥで遠距離から敵を仕留める。

 えっ? 敵さん米粒やん、そんなん普通できひんやろ。


「はい、1人」

「こっちも相手のチーム1人やった、グラビティボール投げる」

「わかったじゃあ僕も手裏剣投げる、ジップライン繋ぐから突撃しよう」

「OK」


 えっと、えっと、まず崖をよじ登ってと……。

 まっとれよ〜、2人ともインコ先輩がすぐ行くで〜!!


「こっち終わった」

「こっちも終わったよ」

「へっ?」


 崖を登り終えた私は武器のエルスターを取り出したが、目の前には2チーム分の棺桶が転がっていた。

 終わっとるやないかい!! なんやねん! 着いたら全部終わっとるとかおかしいやろ!!

 さっき、インコ先輩がすぐ行くで〜なんて言ってたのが恥ずかしくなるやんか……よかった、口にだしとったら絶対後で顔があかあなるやつやん……。


『イwンwコwww』

『インコがした事→崖よじよじしただけ』

『2人のかっこいいシーン、全く映ってない』

『インコちゃんさあ、せめて二人の勇姿くらいはちゃんと収めてくれよ!!』

『崖をよじ登っていたら全てが終わっていたでござる』

『シロ君もたまちゃんもつよすんぎ』

『悲報、インコ先輩いらない』


 私たちは棺桶を漁って装備を整えると、近くにあったジャンプタワーから最終エリアを予測して飛ぶ。

 もちろん最終エリアを読んだのはたまちゃんで、ジャンプタワーから飛ぼうと指示をしたのはシロくんだ。つまり私、ナニモシテナイ……。しゃーない、これはしゃーないやろ! だって2人が早すぎんねん。なんなん、漁るのも早いし動くのも早いし、もしかして2人ともあっちの方も早いんか? うん、それはそれで私の好みかもしれんな。

 そんな余計なことを考えていると、着地する場所が見つからなくてたまちゃんが焦る。


「どうしよう、降りるところない」


 はわわわわ、どこもかしこも敵だらけで降りる場所がない。

 せやかて、このまま適当に降りても狩られて玩具にされるだけやし、なんとか降りる場所見つけんと!!


「ここの建物の階段の下に入れるから一旦ここに降りよう。ちょっと一階の様子見てくる」


 ふぁ〜、こんな時でも冷静なシロ君頼りになりゅ……。

 三人で階段の下に滑り込むように着地すると、シロ君は手際よく下の階を確認しに行く。

 その間にたまちゃんは上の階の敵チームを牽制し、私は周囲を警戒した。

 ええで〜、ええで〜、ここまでは順調や!!


「中、誰もいないから、ここに入ろう。上と同居する形になるけど、なんとか頑張って凌ごう」

「僕がしんがりを務めるから、インコ先輩は先にお家の中に入って」


 うぎゃああああああ、あっぶな、ミリやん、HPゲージ、ミリしか残ってないやん!

 はぁ、はぁ……めっちゃやばかったけど、2人のおかげでなんとか無事に安全地帯を確保することができた。

 2人の足を引っ張らないためにも、最初に倒れるわけにはいかない。


『同……居……?』

『同居だと!?』

『ゲームの中だけでいい、2人と同居したい』

『これ上のチームわかってんのかな、わかってたらゲームどころじゃねぇぞ』

『私、明日からEPEX始めるわ』

『いいか? えぺをやれば2人と一緒にゲームというデートができて、同居ができるんだぞ』

『上のチームと同居なら、インコは2人と同部屋でご宿泊じゃん』

『ゲームの中とはいえ、成人女性が未成年の男の子2人を家の中に連れ込んでいいんですか?』

『お巡りさんここです』

『運営に通報しました』


 同居? 私が2人と……はっ!? だめだめ、ちゃんと試合に集中しろ私!!

 私は周囲をスキャンして索敵するとその情報を2人に伝える。


「こっち、敵2人おるで!!」

「あ、こっち撃てそう」

「OK! 僕は正面見てるから、インコさんはシロのカバーしてあげて」

「任せとき!!」


 ついに私のエルスターが火を噴く時が来た!!

 シュババババババ、無駄にけたたましい音と共に相手に向かって光の弾が飛んでいく。

 み、見えずれー。光のエフェクトが強すぎて相手が視認できなくなる。

 おまけに2−4倍スコープつけれてもリコイル、銃の制御ができなくてほとんど当たらなかった。


「やった」


 それでもシロ君が上手いおかげで、私のチョロ当てと合わさっていくつものチームを倒す。

 残るチームは3チーム、上に残ってる同居チームと遠く離れた1チームだけだ。


「これ先に上やりに行こう!」

「うん、僕とインコ先輩は後から行くから、シロ君は先にリフトで上に行って」

「りょーかい」


 シロ君のニュートは重力を操るアビリティで空中に浮かぶと、部屋の中にグレネードを放り込む。

 私たちはシロ君のグレネードに合わせて下の階からもグレネードを投げて、敵の逃げ場を無くす。

 1人が慌てて飛び出ようとしたが、外にいたシロ君の持っているピーキー2発で仕留められる。

 私とたまちゃんは、アーマーを削りながらも残った2人のキャラを倒した。


「漁夫くるよ。グラビティボールで足止めする」


 シロ君の使うニュートのグラビティボールとは、放り出した黒い球に周囲にいるキャラクターが引き寄せされてしまう極悪な必殺技だ。


「インコ先輩、僕がジップ繋ぐから2人でクロス取って挟撃しよう」

「ええで!」


 流石に相手もどうしようもなかったのか、2人は最後のチームもあっという間に屠ってしまった。


『やったああああああああああああああ!』

『流石プレデター2人ともうまい』

『結論、あくあ様はゲームの中でもかっこいい』

『GG!』

『今度こそナイファイ』

『インコ先輩キルポマックスだけど、456ダメージってふざけてるの?』

『後輩にキャリーされた勝利の味はうまいか?』

『シロ君ありがとう!!』

『サンキューたまちゃん!!』

『インコ先輩、そのまま2人をベリルからホロスプレーにお持ち帰りするんだ!!』

『はぁ……私もシロ君に弾撃たれたいな。できれば白いやつ』

『慌てて椅子の下にバケツ入れた私GG』


 運営、卑猥なやつは蹴ってええで。


「お疲れ様でした。またー」

「ありがとうございました。また一緒にやりましょう」

「う、うん、2人ともほんまありがとな!!」


 はぁ……疲れたわ。負けたり倒れて足を引っ張るようなことがなくてよかったわと胸を撫で下ろす。


「悪いけど、もう配信切るわ。本番までちょっとよこんなる。それじゃあみんなまた後でな!」


 私は配信を切ると、そのままベッドにうつ伏せで横たわった。


「あー、ほんま疲れた。でもシロ君も、たまちゃんも可愛いだけじゃなくてカッコよかったなぁ……えへへ、シロ君と同居……」


 くっ……集合時間まであと2時間もないのに、あいつらのせいで変なことを想像してシたくなっちゃった。でも今は我慢、そう我慢しなきゃ……はい、我慢できませんでした。

 終わった後は自分への嫌悪感でいっぱいになる。さっきまで楽しくゲームをしていたシロ君を、そういうことに使っちゃうなんて最低だとわかっていても止められなかった。

 冷静になった状態で、使い終わった後のグッズを洗ってる時ほど虚しい時はないが、人はとても愚かな生物なのでまたムラムラした時はそれも忘れて耽ってしまうのである。


「はぁ……」


 私は洗いおわったグッズを片付けると、再びパソコンの配信画面を起動する。


「さてと、スッキリしたし、今日もカスタムマッチやったるでえええ!」


 私は再び気合を入れ直すと、配信開始ボタンをクリックする。

 ちなみに練習試合はボロボロに負けたけど、その日はトークだけは絶好調だった。

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https://x.com/yuuritohoney

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