白銀あくあ、忘れ物。
「お嬢様夜ランチのお紅茶セット二つになります」
さっき俺とえみりを対応してくれたお姉さんがテーブルに料理を持ってきてくれた。
お姉さんは小雛先輩達のテーブルを背にすると、俺たちが注文したお嬢様夜ランチのオムライスの上に突き立てられたフラッグを引き抜くと目の前でパタパタと動かす。
ど、どうかしましたか?
「なるほど、そういう事ですか……。わかりました。ありがとうございます」
えみりはその意味が理解できたのか、こくんと頷く。
お姉さんはにっこりと笑顔で会釈をすると、テーブルを離れる。
「あくあ様、これも海軍で実際に使われている手旗信号です。ちなみに私がこれを理解できるのは姐さんが以下略」
あー、うん、なるほどね。
それはわかったけど、なんでレストランのお姉さんも普通に手旗信号が使えるのかな!?
「女たるもの幼少期に軍もののド派手な映画やアニメに一度くらいは憧れるもの。実際、高校や大学卒業を機に、独身を覚悟した人達が、せめて自国の男の子達を守れる存在になりたいと自衛隊に志願するパターンが一番多いそうです」
まじかよ……。俺はこの世界を、この国を甘くみていたいみたいだ。
「で、さっきの意味は?」
「ターゲットのいるテーブルの雰囲気は地獄……だそうです」
うん。ここから見てても地獄なんだから、そりゃ近くで見ても地獄だろうね。
それをわざわざ手旗信号で伝えた意味を聞くのは野暮だろうか。
しかしこの状況、どうしたものかな。何か良い打開策がないだろうかと俺は頭を悩ませる。
自分がする側だと簡単だが、人にアドバイスをするってこんなにも難しいんだなと気付かされた。
「あくあ様、まだ女子会は始まったばかり。慌てる時間じゃありません。せっかくですし、食事が温かいうちに私達もいただきましょう」
「あ、ああ。そうだな」
俺はお嬢様夜ランチこと、ただのお子様ランチを食べる。
エビフライにハンバーグにオムライスにスパゲッティにフライドポテト。まぁ、美味しくないわけがないよな。
「あくあ様、どうやら向こうも料理が運ばれてきたみたいです」
俺は小雛先輩達が座るテーブルへと視線を向ける。
おお! 誰が提案したのかは知らないけど、あっちのテーブルは取り分けてみんなで食べられるコースメニューを手配したみたいだ。
意外とこういうのが会話のきっかけになったりとか、打ち解けたりするきっかけになるんだよなー。
「え、えっと、私が取り分けますね」
くくりちゃん、いいぞ!! その調子だ。
自分でやった事がないのか、くくりちゃんは初めての経験に多少苦戦しながらも、大皿に大きく盛られたパスタを小皿に取り分ける。
「ごめん。私、パスタはいいわ」
なら、どうして注文した!? いや……そもそも小雛先輩は、なんでこの店にしたんだろう。
小雛先輩ってコース料理とか少量のなら食べるけど、基本は子供舌だから、ミートソーススパゲッティかナポリタン以外食ってるの見たことがない。
だからこういう女の子が好きそうなパスタがあるお店よりも、ラーメン竹子とかの方が好きだ。
「女子の好きそうな店ってどこって、カノンに聞いてきたらしいです」
「ああ、道理で……」
えみりの説明で俺は全てを納得した。
小雛先輩は自分の好みよりも、余計な気を回して若い子に合わせたお店に入ったって事か……。
そういうのがちゃんと裏目に出てるのがいかにもって感じがして、なんともいえない気持ちになる。
「野菜が入ってるのはちょっと……」
ラズ様……いや、我が妹、ラズリーよ。
好き嫌いがあるのは仕方ないけど、まさか野菜全てを食べないなんてことないよな?
というか、トマトとか野菜が食えないって、お前、外国で何を食って生きてきたんだ!?
「す、すすみません。自分チーズばっか食ってそうな牛乳だけど、チーズは苦手なんです……」
司先生!? ここのメニュー、半分くらいにチーズ入ってるけど、大丈夫!?
それとチーズばっか食ってそうな牛乳にとっても興味があるので、一瞬だけでいいからこっちに振り向いてくれませんか!? ほんのちょこっとだけでいいですから!!
「あ……はい」
くくりちゃんは取り分けた小皿を自分の前に置く。
あ、諦めるなくくりちゃん! 君ならやれるはずだ!! 挫けても立ち上がる。それがアイドルというものだ!! 俺は心の中でくくりちゃんを全力で応援する。
「じゃ、じゃあ、次はピザを取り分けますね」
いいぞ! くくりちゃん、がんばれ!!
俺は……いや、えみり、天我先輩、そして店員のお姉さんも含めた俺達4人が君の味方だ!!
「トリプルチーズか……。ごめん、胸焼けしてるから今日はパス」
だから昨日の夜は俺がお粥を作って、今日の朝ご飯がわりにヨーグルトとかバナナとかゼリー飲料とか小雛先輩でも一人で食べれるものを置いていったでしょ!
それなのに昼にSNS見たら、胃が調子良くなったからソース濃いめの焼きそばぁ!? ふざけんな!! そんなだからまた胃を傷めるんですよ!!
「私は肉至上主義なのだ!! 最近流行りの雑草ばっか食べてるBB弾みたいな奴らと一緒にするな!!」
ラズリーーーーーーー! お前はどうして自分から焚き火の中に突っ込んでいくんだあああ!
「どうも雑草ばっかり食べてる女とは私の事です」
えみり……流石に冗談だよな? もう草なんて食ってないよな?
俺が疑いの目を向けると、えみりはそっと視線を外した。
これはすぐにカノンと琴乃、楓の3人に報告しよう。どうしてそうなった。
「自称チー牛なのにチーズが苦手でごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
だからそのチーズ食ってそうなものをを俺に見せてくださいよ!!
仕方ない。とりあえず目の前にあるチーズ食ってそうなえみりのをガン見しよう。
これが雑草で育ったとか絶対に嘘だろ。確実に竹子のラーメン油で育ってる。俺にはわかるぞ!!
「あ、じゃあ、これも私が食べますね……」
くくりちゃんはそっと自分のテーブルの前にピザを置いた。
頑張ったよ。くくりちゃんは本当に頑張ったと思う。
俺達はくくりちゃんの健闘に心の中で拍手を送る。
「私、今日は大人しくサラダ食べるわ」
「それじゃあ私は山盛りポテトとから揚げセット!!」
「じゃあ、私はキッシュとパエリア食べます」
嘘だろ? こいつら、取り分け用のメニューを個別に食い出したぞ……。
そんな事ってある?
「「「「……」」」」
黙々と目の前の飯を食らう女子四人。
地獄みたいな空気感が俺達のテーブルにまで伝わってくる。
くくりちゃんは本当に良くやったよ。頑張った!
「あくあ様……さっきまであんなに美味しかったハンバーグの味がしません」
「俺もだよ。大好きなエビフライを食べても何も感じない……」
最初になんとかしようと行動した小雛先輩。
場を和まそうと冗談を言ったラズリー。
料理を取り分ける事で会話のきっかけにしようとしたくくりちゃん。
みんなは本当に頑張った。
……司先生。あとは司先生だけしかいないんです。
俺と小雛先輩が認めた天才脚本家の司圭なら、こんな絶望的な状況をひっくり返す事ができる脚本をかけますよね!? 俺とえみりは一縷の望みを司先生に託す。
「と、ところで、みんな、この前の槙島はどうだった? 私的には最高に底の浅さがわかる演出ができたなぁ……って、思うんだけど……」
司先生!! いいよ!!
みんなと言ってるけど、司先生の持ち出した話のネタは小雛先輩を狙い撃ちにするような質問だ。
さすがは天才脚本家。誰を乗らせればいいかわかってる!
小雛先輩がいつものように遠慮がなくなれば、少しは会話が回るようになるはずだ!!
「私、あいつ嫌い」
「私も」
「右に同じ」
ふぁ〜っ! 流れ弾を喰らった俺は悶絶しそうになる。
み、みんな、槙島の事は嫌いでも、俺の事は嫌いにならないで!!
「あら、気が合うわね」
「うんうん!」
「ええ、そうですね」
あ、あれ? もしかして俺が演じる槙島が嫌いって共通点で盛り上がっちゃいます?
シクシク、シクシク……口に含んだトマトスパゲッティから涙の味がした。
「ああいう講釈だけはご立派なのに、本当の矢面に立たせるのは他者で、ヤバくなると逃げるところとかが生理的に無理。同じシーンでも、あいつなら自分から行ってるわよ。まぁ、この私がイラッとしたくらいだから、あいつも少しは演技が上達したんじゃない」
「うんうん。あくあお兄様はあんなにカッコ悪くないもん!!」
「あくあ先輩なら、他人を傷つけるくらいなら、むしろ自分から傷を負いに行くタイプです」
あ、ありがとうみんな。
まさか小雛先輩からお褒めの言葉があるとは思いませんでした。素直に嬉しいです。
それとラズリー。俺の事をカッコいい兄だと思ってくれてありがとな。俺はお前の前じゃかっこいいお兄様でいられるように頑張るよ。
それにくくりちゃん、今まさに俺は傷ついてます。だから頭をいーこいーこして慰めて!! あっ……想像したら後輩女子に慰められるのも悪くないかも……。俺は年下に甘えるプレイも悪くないなと閃いた。
「あ、でも。司先生の演出はいいと思うわよ。槙島がああいうキャラだからこそ、無愛想に見える舜がふと見せる優しさとか、冷徹なイメージなのに意外と人間臭かったり人の心に寄り添うところがクローズアップされてるわけだし。ダークヒーロー系は視聴者に共感されてなんぼだから。その点、槙島はあいつの演技力もあっていい踏み台になってるわ」
「槙島のような敵がいるからドラマは面白いと思う。でも、あんなあくあお兄様は見たくないので、さっさと舜にコテンパンにして欲しい!!」
「好き嫌いは置いておくとして、元華族の私としては、司先生の書く槙島の考え方には考えさせられました。ドラマの根幹の部分もそうですが、実際の社会に当てはまる部分もあったりして、それに対して色々な視点、考え方があるのがわかって勉強になります」
小雛先輩はもちろんのこと、くくりちゃんは年下だと思えないほどしっかりしてるなと思った。
ただ、その二人に挟まれたラズリーの感想も純粋に可愛いなと思う。
「み、みんな、ありありがとう」
司先生の顔はここからは見る事ができないが、声のトーンからして少し嬉しそうだ。
「あくあ様……!」
「えみり……!」
俺はえみりと固く手を握り合って喜ぶ。
完全に話をする流れができた。
さすがは天才脚本家司圭先生だ!!
あとはもう打ち解けるだけだと思うと、さっきまで味のしなかったご飯がまた美味しく感じられる。
これ以上は無粋なので、食事をしたら帰ろうかな。
それまでの間、楽しい女子会トークでも後方で腕組みながら傍観させてもらいますか!
「「「「……」」」」
なんでそこで黙るんだよ!!
えっ? 今、完全に話が続く流れだったよね?
そこから他のドラマの話をするとか、俺の事を話すとか、最近のお仕事とか、色々な話題に繋げられるじゃないですか。それなのに、どうしてそこで止まっちゃうんですか!?
「これはアレですね」
「アレ?」
えみりは真剣な表情で手を組むと、テーブルの上に両肘をつく。
「この流れなら誰かがしゃべるかもしれない。テンションの上がった自分が口を開いた瞬間に、誰かと声が被った挙句、譲り合って静かになる。そういう経験を積んだボッチ特有の、周りに気を遣って自分は黙っておこう的な優しさが出ちゃいましたね」
あぁ……。俺はえみりの言葉を聞いて項垂れる。
そうなんだよな。あのテーブルにいるのは一名を除いてみんな優しい良い子達ばかりだ。
だからこそ、なんとかして、そうなんとかして会話を盛り上げてあげてあげたい。
「あくあ様、あくあ様!」
「ん?」
どうにかできないかと俺が頭を悩ませていると、えみりがあっちを見てとばかりに視線で合図を送る。
店員のお姉さんがどうかした?
小雛先輩達や他のお客さんに見えないように、店員のお姉さんは俺達二人に向けてハンドサインで合図を送る。
「私に任せてくださいと言ってますね」
救世主きたー!!
店員のお姉さんはこんな絶望的な状況にも関わらず、どうにか現状を打破しようと動き出す。
カッコ良すぎるだろ。俺が女性なら「抱いて!」と、言ったかもしれない。
「お客様、こちら、当店からのサービスになります」
店員のお姉さんはみんなの前にデザートのプリンアラモードを提供する。
共通の食べ物、それもデザートなら、女子として会話が盛り上がる事間違いなしだ!!
「あっ、美味しそう」
「私これ好き!」
「わ、わわ私も!」
「ありがとうございます」
四人は豪華なプリンアラモードを見て嬉しそうな顔をする。
これだよこれ! 俺達がみたかった女子会に少しだけ近づく。
「やはり女子会といえばデザート。あのお姉さん、よくわかってますね」
店員のお姉さん……間違いなく今日のMVPは貴女です。
小雛先輩達も、プリンアラモードの豪華な見た目と味の美味しさに、さっきまでの冷えた空気から一転して盛り上がる。
「そういえば、このプリンアラモードとさっき出たあくあの話で思い出したけど、トマリギのプリンアラモードも美味しいんだよね」
「た、たたた確かに! 私もお姉ちゃんに頼んで連れて行ってもらったけど美味しかったー」
「私もあくあ先輩が居た時によく食べてたな。あくあ先輩、1人で来たお客さんには、俺からのサービスだってこっそりサクランボもう一個載せてくれてたんだよね。思い出すなあ……」
そういえば、そんな事してたなと思い出す。
最初の頃、阿古さんみたいに疲れた顔の女性が一人で来る事が多かったから、オーナーに相談して、少しでもみんなが元気になれるようにって、オーナーと二人でそういうサービスをしようって決めた。
「わ、私……まだトマリギ行ったことない……」
みんなの会話に混ざれなかったラズリーはしょんぼりした顔を見せる。
それを見た小雛先輩がラズリーの頭をポンポンと叩いた。
「じゃあ、次はみんなでトマリギにプリンアラモードを食べに行きましょうか」
「本当?」
ラズリーの言葉に小雛先輩、司先生、くくりちゃんの3人が顔を見合わせる。
「もちろんよ」
「み、みんなで行こう」
「それじゃあ私が予約するね」
どうやら第二回の女子会の開催と開催地が決まったようだ。
初期の絶望的な状況を知っている俺は感動で涙を流しそうになる。
これだよこれ! 今、ようやく小雛先輩達のテーブルでは、俺の見たかった女子会が始まろうとしていた。
「ところで、あくあの話で思い出したけど、あいつこの前、阿古が作った料理で死にかけたんだよね」
「その話、詳しく聞きたいです!」
「わ、わわ私も……たいです」
小雛先輩の話にくくりちゃんと司先生が飛びつく。
ああ、そんなこともあったなと俺は遠い目になった。
「あくあ様、そんな事があったんですか?」
えみりが目をキラキラと輝かせる。
あまり思い出したくはないというよりも、なぜか大事な部分の記憶が飛んでるから、俺もよく覚えてるわけじゃないんだよなあ。
「実は阿古さんが俺のために料理を作ってくれたんだけど……」
俺はえみりにその時の事を思い出しながら話した。
どうやら向こうのテーブルも俺の話で盛り上がっているらしい。
うん、この様子なら大丈夫そうだな。
「お客様、こちらプリンアラモードになります」
店員のお姉さんは俺達のテーブルにもプリンアラモードを持ってきてくれた。
ありがとうお姉さん。お姉さんのおかげで助かったよと俺は感謝の言葉を伝える。
「お姉さん……白銀キングダムに興味はありませんか?」
「えっ?」
「この名刺に管理人であるカノンの連絡先が書いてあるから、よかったら連絡してください。ぐへへ……私から管理人に推薦しておきますね」
「は、はい!」
えみりが店員さんに紙切れみたいなものを渡してコソコソと会話する。
一体、何を話してるんだろう。
「お姉さんに、今度、友達を連れてきますって」
「ああ、なるほどね」
カノン達と来るのか。いいね。
その時は俺も仕返しでとあと慎太郎を女装させて女装会でも開くか。
俺がどれだけ女装で恥ずかしかったか、同じ気分を味わうといい。ははは!
ん? でも、とあって普段から女子の制服着たりしてるから意味ないのか……? まぁ、こまけー事はいっか!
「いやー、最終的にうまく行ってよかったですね」
「うんうん」
「そうね。一時期はどうなるかと思ったけど、なんとかなったわ」
「「うんうん! ……えっ!?」」
俺とえみりさんは目をパチクリとさせると、声がした方へと油の切れたロボットのようにギギギと首を傾ける。
「私達を観察してて、楽しかった?」
ぐぇっ! 笑顔の小雛先輩は俺とえみりが逃げられないように、すかさず首の後ろを掴む。
え、えっと、み、みなさんは……?
「ちなみに他の3人ならトイレ中よ」
あっ、本当だ。テーブルに誰もいない……。
「言っておくけど、私は別に怒ってないわよ。面倒かけたわねってお礼言いにきただけだから」
「えぇっ!? 小雛先輩がお礼!? 明日、日本が沈没しちゃうんじゃ……」
どうやら心の中で思っていた言葉が表に全部出ていたらしい。
小雛先輩が笑顔のまま圧を強める。
「あんたってさ、私の怒られる事にもしかして性的な興奮か何かを感じてるわけ?」
「い、いえ、そんな事は……ないと思います」
俺がすっと視線を外すと、小雛先輩は仕方ないなぁとため息をついて圧を緩める。
「まぁ、いいわ。そういうわけだから、あんたらには感謝してるわよ。ありがとね」
そう言って小雛先輩はみんなが戻ってくる前に自分のテーブルへと帰っていった。
ふぅ、なんとか助かったぜ。
「えみり……帰ろっか」
「はい、そうしましょう」
これ以上は本当に野暮だと思った俺とえみりは食後の紅茶を飲んでお店を出る。
お金はいつの間にか、小雛先輩が払ってくれていた。
どうやら戻ってきた3人と入れ替わってトイレに行く時に、俺達の会計も一緒に済ませていたみたいだ。
それに加えて店員のお姉さんが協力してた事も小雛先輩にはバレていたらしく「あんたが私に奢ろうだなんて100億万年早いのよ。大人しくこの私に奢られておきなさい」という有難い言伝までもらう。
「疲れた」
「同じく……」
俺とえみりは顔を見合わせるとニコッと笑い合う。
「こういう時は……」
「呑気なカノポンの顔でもみて癒されましょう!」
えみりと意気投合した俺は、二人でスキップしながら家に帰った。
家に帰って服を着替えた後、ソファーに座った俺はスマホにメッセージがきている事に気がつく。
もしかして小雛先輩からのお礼のメールかな? 俺も奢ってくれた事にお礼を言っとかなきゃと思った。
小雛先輩って、ああ見えて結構可愛いところがあるんだよな。そう思いながら俺は送られてきたメッセージを開いた。
【天我アキラ:隠された月、我、寂しさで震えけり……】
あっ……普通に天我先輩の事を忘れてた! 本当にごめん!!
俺は寂しさで一人震えてる天我先輩を迎えに行くために、慌てて夜の街へとバイクを走らせた。
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