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司圭、ベリルカフェ開店。

 はっきり言って私はクソほど忙しい。

 どれくらい忙しいかというと、ここ2日、いや、もう3日目だったか? まぁ、いい。とにかく寝る暇がない程に忙しいのだ。


「ぐわあああああああああああああああああああ!」


 私は長い髪をわしゃわしゃと掻き毟って一旦発狂すると、近くにあるミニ冷蔵庫からセイジョエナジーを取り出してがぶ飲みする。


「ぷはぁ! 生き返った!」


 ふひひひひひ、まだ舞える。私はまだ舞えるぞ!!

 飲み終わった缶はもちろん後ろに放り投げる。

 そうすれば後で姉か妹のどちらかが掃除してくれるからだ。


「あと残ってる仕事は……」


 一旦冷静になった私は、やらなきゃいけない仕事リストに目を通す。


 ・ベリルインワンダーランドの舞台脚本。

 ・BERYL全国ライブツアーin広島の演出。

 ・白銀あくあの新曲、歌詞提供。

 ・乙女ゲーの追加DLCパック、ヤンデレあくあモードの脚本。

 ・劇場版Nocturnal Darknessの槙島の台詞監修。

 ・小説版Nocturnal Darkness槙島sideの執筆。

 ・漫画版Nocturnal Darkness槙島sideの監修。


 ん? 良く見たら全部ベリル絡みじゃないか!!


「やってられるか!」


 私は背もたれに仰け反ると、机を蹴って椅子ごと後ろに飛び出る。

 その時に私が後ろに投げ捨てて作っていた缶の山がガラガラと音を立てて崩れていった。


「あははははは!」


 私は足を浮かせると、その場でぐるぐると椅子ごと回転する。

 あー! たーのーしーいーなー!!

 ずっとこれだけしていればいい仕事があればいいのに!!

 私が現実逃避を楽しんでいると、部屋の扉がガチャリと開いた。


「けいとお姉ちゃん、何か崩れた音したけど大丈夫?」

「ん?」


 扉の隙間から妹のういが少しだけ顔を覗かせる。

 どうやら心配して私の様子を見に来てくれたようだ。

 この春から女子大生になった妹のういは、陰ながら私の仕事をサポートしてくれている。

 歌合戦の当日に熱が出た時も、ういに私の代わりに審査員として出席してもらった。

 私は一旦冷静になると、くだらない遊びをやめてキリッとした顔を見せる。

 最愛の妹の前ではいつもかっこいいお姉ちゃんでいたいからな。


「けいとお姉ちゃん、疲れてるなら少しは休んだ方がいいよ。溜まってる仕事も本当はもうほとんど終わってるんだよね?」


 ふむ……。

 確かにういの言うとおり、さっき書かれた仕事リストは全部終わってる。

 終わった上で、もっと良くできないかと考え何度も書き直しているのが現状だ。

 例えばNocturnal Darkness1話の槙島のセリフなんて10回くらい書き直したし、ボイチャでキスカ先生やいつき大先生とかと話し合って、槙島のキャラを立たせるために1話の脚本から全部書き直した結果が1話の成功に繋がったのである。

 もしかしたらそんな事をしなくても十分に良かったのかもしれないが、私が作りたいのは全員がベストだと思える作品であって、誰かが何かを妥協するベターな作品じゃない。

 そして、より良い作品を作るために重要なのはパッションだ。パッションさえあればどうにかできる。あくあ君も雑誌のインタビューでパッションと筋肉があればどうにかなると言ってた。

 まさかパッションで国の名前まで変えるとは思わなかったけどな。はははは!


「そうだな。少し行き詰まってきたし休憩するか」

「うん、そうした方がいいよ。お風呂の準備してくるから、その間にお片付けされたくない原稿用紙をケースの中に片付けておいて」

「わかった」


 私は未完成の原稿用紙を箱の中に入れると、完成した原稿用紙を持ち運び用のケースの中に入れる。

 出版社からは先生、そろそろデジタルに移行してくださいなんて言われているが、あいつらは紙の原稿に文字を書く素晴らしさを何ら理解してない。

 だって紙の原稿用紙に書いてた方が、ちゃんとした仕事をしてる感が出るだろ!


「けいとお姉ちゃん、お風呂入ったよー」

「ああ、わかった。うい、いつもありがとな」


 そういえば3日ぶりの風呂か……。

 毎日筋トレだけはしてたから自分で言うのもなんだが臭いな。

 私は鏡に映った自分の姿を確認する。


「ん……なかなか悪くないな」


 自慢じゃないが私はスタイルが良い。

 元より身長も高く足も長いし、あくあ君に勧められて筋トレをしているおかげでちゃんと身体が引き締まってる。

 色々とでかいのは難点だが、腰回りと割れてる腹筋は良い感じだ。


「はぁ……久しぶりの風呂は最高だな」


 私は身体を洗った後にゆっくりとお風呂に浸かる。

 私はお風呂上がりにもう一度鏡の前でポーズを取ると、服を着替えてリビングへと向かう。


「けいとお姉ちゃん、薄着だとまた風邪ひいちゃうよ?」

「大丈夫大丈夫」


 ういは心配性だなあ。

 まぁ、そこが可愛いところであり、愛おしいところでもあるのだけど、少しは姉である私を信じて欲しい。


「そんな事を言って、歌合戦の時も熱出てたよね?」

「ぎくっ! い、いやぁ、あれは知恵熱だ。そう知恵熱、知恵熱」


 私は慌ててういから視線を逸らす。

 こ、こういう時は何か話題を逸らして誤魔化そう。

 私は近くにあったリモコンを手に取ると電源を入れた。


『森川楓の週刊ほげ〜にゅーーーす!』


 おっ、ちょうどパワーニュースの時間か。

 そういえばネットに書いていたけど、今日であくあ君も森川さんも1週間の停学と停職が解けるんだったな。


『はい、そういうわけでみなさんお久しぶりです。森川楓のパワーニュースのお時間になりました』

『ちょ、鬼塚アナ、突っ込んでください。せっかくボケた……いや、ホゲったのに!!』


 相変わらずだな。2人とも1週間のブランクを感じさせない。

 って、ベリルカフェ!? えっ? 今日がオープン日だったの!?

 私はテレビを両手で持って画面に食い入る。


『そういうわけで、私、森川はここベリルカフェより現地からお伝えしております。なお、チケットは抽選制なのですが、写真だけでも撮ろうと多くの人が集まってますね』

『みたいですねー。しかもベリルカフェではなんとオープニングイベントとして日替わりでベリルと契約しているタレントさんが出るみたいですが、森川アナも出るって情報は本当なのですか?』

『はい! 私も出ます!! せっかくなんで鬼塚アナも私と一緒にメイド服着ましょう!!』

『えっ? 普通に嫌なんだけど。そんな痛みしか伴わないようなデジタルタトゥー残したくない』


 いいないいないいな!

 急に仕事がしたくなくなった私は床に転がると手足をジタバタさせる。


「いーきーたーいー。私もいーきーたーいー!!」


 もうやだー。さっき偉そうに言ってたけど、ベリルカフェがオープンすると聞いてもう一文字も書きたくなくなった。私もお茶したいもん! ベリルのみんなに会って癒されたいもん!!

 あー、職権濫用とかでどうにかしてベリルカフェにいけないかなーなんて最低な事を考える。

 そのタイミングでリビングの扉がガチャリと開いた。


「ん? どうしたの?」


 佐倉家の長女でもあるゆかねぇは、私の姿を見て呆れた表情を見せる。


「ゆかなお姉ちゃん、おかえり」

「ゆかねぇ、おかえり」

「ん、ただいま」


 出版社に勤めるゆかねぇはさっきまでどこかに行っていたのか、手に持った荷物をテーブルの上に置いた。

 ゆかねぇは私の担当編集も務めてくれているから、できてる分の原稿をとりあえず関係各所に持っていってくれたんだろう。


「朝早くからお疲れ様」

「うん、それはいいんだけど、けいとはまたいつものアレかしら?」


 ゆかねぇの言葉にういは苦笑する。

 だって〜、も〜、働きたくないんだも〜ん。


「うん、けいとお姉ちゃん、さっきまですごい集中力で真剣に仕事してたんだけどね。ベリルカフェが今日オープンするんだって知って、急に駄々こね出しちゃって……」

「ふーん」


 ゆかねぇは私の方へと視線を向ける。

 いくらゆかねぇだからって、私はもう1文字も書かないぞ!!


「けいと、そんなにベリルカフェに行きたいなら今から行く?」

「へっ!?」


 ど、どういう事!?

 私はういと顔を見合わせて目をぱちくりさせる。

 ゆかねぇはない胸を大きく張ると、バッグの中から1枚のチケットを取り出した。


「ふふーん。実は私、今日の分のチケット持ってるんだよね。けいと、行きたい?」

「行きたい!」


 私が即答すると、ゆかねぇは八重歯を見せるようにニヤリと笑った。


「じゃあ、3人で行こっか。けいともお仕事頑張ってたし、息抜きも必要だろうと思って実はこっそり抽選に応募してたんだよね」

「やったーーーーーーーーー!」


 すぐに着替えなきゃ!

 私は自分の部屋に戻ると、クローゼットの中の衣装と睨めっこする。

 どうしよう!?

 バイクに乗るための革ジャンとかはあるけど、女子がカフェに行く用の可愛い服が1枚もない!!

 絶望した私はその場にへたり込む。おまけに髪だってボサボサだし、こんな姿じゃあくあ君に嫌われちゃう!!

 私はトボトボと部屋から出ると、リビングに居たゆかねぇに泣きつく。


「大丈夫、まだ時間があるから美容院行ってちゃんとした服を買うわよ!」

「ゆかねぇ!!」


 小雛ゆかりさんをリスペクトしているゆかねぇは、おっぱいもないし、背も小さいし、童顔だし、3人でお出かけすると小学生の妹に間違われたり、近所の悪ガキ小学生からちんちくりんなんて言われて揶揄われているけど、私とういにとっては頼れるお姉ちゃんだ。

 ゆかねぇはすぐにエステと美容院を予約すると、タクシーを手配する。

 さすがゆかねぇ! 手際がいい!


「まるで小雛ゆかりさんみたいだ!!」

「ふふーん。そうでしょそうでしょ!」


 ゆかねぇは小雛ゆかりさんみたいと言っとけば大抵なんでもしてくれる。

 間違ってもチョロいだなんて言っちゃダメだ。ゆかねぇはただ純粋なのである。

 私達はタクシーに乗ると予約した美容院へと向かう。


「こんにちは」

「ど、ど、どうも」


 普段こないようなところだから吃っちゃった。

 わ、笑われてないかな?


「わー、長くて綺麗な髪ですね」

「あ、あっ」

「今日はどうしますか?」

「な……その……で」

「長さはそのままでですね。わかります」

「あ、う……いに、お……せ」

「はい、わかりました。お任せですね」


 こ、この店員さんすごい……。

 どうして私の伝えたい言葉がわかったんだろう?


「ふふっ、実はお姉さんの友達に読唇術が得意な子が居てね。その子に教えてもらったの」


 へー。

 美容院ってこの会話が苦手だから敬遠してたけど、ここなら大丈夫かも。

 次からここにしようかな。


「どうですか?」


 お、おおおおおおお! すごい! ちゃんと女子大生っぽくなってる!!

 そういえば出席しなくていいから是非うちの大学にと言われて進学したはいいけど、周りの女子達がキラキラしてて1日しか大学に行ってないんだよな。

 美容院のお姉さんにせっかく今風のふんわりした感じにしてもらったし、久しぶりに大学に行ってみようかなという気分になる。って、私の通ってた大学ってなんだっけ?

 確か有名なところでカタカナの……そうだ。思い出したぞ。メアリーだ! 確かそんな名前の大学だった気がする。あれ? 違ったっけ? エミリーだったか? うーん。忘れた。今度、ゆかねぇに聞いてみよ。


「あ、ありありありがとうございしゅ」

「はい。こちらこそ、ベリルカフェ楽しんできてね」


 私を担当してくれた美容師の草津さんも私と同じあくあ君のファンだった。

 うん、やっぱり次からここの美容院にこよ。お姉さんとなら後10回くらい会えば来年くらいにはまともな会話ができる気がするし。


「あら、綺麗にしてもらったじゃない。ふふっ、よかったわね」

「ゆかねぇも!」


 なんか仕事ができる女の人みたいな髪だ!

 私が小雛ゆかりさんみたいだよと褒めたら嬉しそうな顔をする。


「ごめん。2人ともお待たせ」

「うい、可愛い!」

「あら、思い切って編み込みにしたのね。いいと思うわよ」


 うんうん、私なんかよりも全然女子大生っぽい!

 ふんわりした感じがして、そこもういらしくていいな。


「それじゃあ次は服とエステね!」


 私達はタクシーで移動すると立て続けに全ての用事を終わらせる。

 デパートで接客してくれたお姉さんも、エステをしてくれたお姉さんもすごく優しい人だった。


「到着したわね」


 おおおおおおおお、なんか今になって緊張してきた。一旦スクワットでもして落ち着くか? え? それは恥ずかしいから止めて欲しい? うん、わかったよ。

 それと私の姿、おかしくないよな? 大丈夫? 本当に? 私はショーウィンドウに映り込んだ自分の姿を確認する。

 藤の店員さんには上半身にふんわりさを出すためにパフスリーブのブラウスと、長い足を見せつけるようなミニのスカートと厚底のブーツを選んでもらった。

 私は良いと思うけど、私のこの感覚が正しいとは限らないからな。世間から司圭はズレてるって言われてるし……すごく不安だ。


「ベリルカフェのチケットをお持ちの方は、こちらが入り口になりまーす」

「写真を撮る方は周囲の人達の迷惑にならないようにお願いします」


 おおおおおおおおおおお!

 らぴすちゃんとすばるちゃんだ!!

 天使メイドさん可愛い!! 持って帰りたい!!


「テイクアウトやってますか?」

「「えっ?」」


 あっ、思わず本音が出てしまった。

 ごめんね。2人を怖がらせるつもりはなかったの。

 大丈夫、私は莉奈や紗雪のような事なんてしないから!!


「すみません。今日はテイクアウトはやってないんです」

「今日はご予約のお客様だけになっております。テイクアウトは6月から実施するので楽しみにしててくださいね」


 あぁっ! ミニスカ甘ロリ白メイド姿に天使の翼とか、ここが本当の冥土カフェですか……。

 3日寝てないのと、ベリルカフェに来て気分バチ上がりしたせいでドーパミンがドバドバ出てるのと、何時間か前に飲んだエナジードリンクが切れかけている事がごちゃ混ぜになって本当に天に召されそう。


「あっ、あう、しゃっ……」


 写真撮っていいですか? と言いたかったけど、テンパって何も言えなかった。

 それを見たゆかねぇが私の代わりに私が言おうとした事を2人に伝えてくれる。


「あのー、写真撮っても良いですか?」

「あっ、大丈夫ですよ」

「一緒に撮りましょう」


 やったー!

 私達は間にらぴすちゃんとすばるちゃんを挟んで写真を撮る。

 ふひ、ふひひひ! 私みたいなデカ・オンナーと違って2人とも可愛いな。


「「ありがとうございました」」

「あ、あ、ありがとうございます」

「こちらこそ」

「応援よろしくね」


 ふぁ〜。来てよかった。

 あくあ君に会うどころかカフェに入ってすらいないけどもう満足です。

 だらしのない顔をする私の隣で、ゆかねぇが持っていたチケットを2人に見せる。


「あっ、ご予約のお客様だったんですね。こちらにどうぞ」

「ご予約のお客様です。案内お願いしますね」


 2人が店内入り口に立っている男性に声をかける。

 って、あれは確か山田丸男君じゃないか!


「あっ、え、あ、ちょ、ちょっとまだお席の方がご準備できてないみたいので、こ、ここここちらでお待ちください!」


 私と同じくらい緊張してるな。そのおかげかだいぶ緊張が解けてきた。

 自分より緊張している人を見ると緊張がなくなるっていう話は本当だったんだな。

 ベストを着た山田君は私たちを入り口のそばにある待機場所へと案内してくれた。


「わっ」

「すごい……!」


 うおおおおおお! ショーケースの中に衣装とかマイクとか道具とか色々飾ってある!! って、アレは台本!? それもあくあ君の台本じゃないか! しかもこれ、最新の槙島のだよな。

 すごいな私の書いた槙島のセリフをちゃんと読み込んでる……。しかも自分なりの解釈の仕方とか、思ったこととか書き込んでるし、なるほど、だからああいう演技ができるのか。

 私が見た槙島は、私が想像して作り上げた槙島と全く一緒だった。そのためのアプローチの仕方が全部ここに書かれている。知りたい……知りたい知りたい知りたい! 私が書いた文章から、どうやってそれを落とし込んでいるかの過程を解き明かせば、もっともっと良いものが作れるような気がした。


「ゆかねぇ……」

「分かってるって。ここ撮影OKみたいだし写真撮っておくわ」


 ゆかねぇとういは山田君に確認して、写真を撮らせて貰う。

 え? この台本を持ってる手って、実際のあくあ君の手から型をとってるの!? 発想がすごいな……。そういうコアな人がこのカフェのプロデュースに関わってるって事か。


「さっきはすみません。今、孔雀と交代で入ったばかりで、最初のお客さんだったので緊張しちゃいました」

「いえいえ」

「ふふっ、頑張ってくださいね」

「がむばれ〜」


 すごいなー。頑張ってるなー。

 さっきまでもうお仕事なんてしたくないなって思ってたけど、山田君の頑張りを見て10%くらいやる気出てきた。

 その前のらぴすちゃん、すばるちゃんのサービスと合わせて仕事したい欲が2割くらいは回復したと思う。


「せ、せっかくなんで待ってる間に写真でも撮りますか? その、俺にできるトークなんてリンゴの見分け方くらいしかないんで……」

「じゃあ、お言葉に甘えて」


 個人的にはリンゴトークでも全然良かったけど、せっかくなので写真を撮ってもらった。


「お客様、お待たせしました」


 可愛い声に振り向けば、そこにはとてつもない美少女が立っていた。


「お席にご案内しますね」


 ふぁ〜っ、リアルカノンしゃま天使しゅぎぃ……。

 以前、インタビュー記事であくあ君がカノン様と一緒に居たら脳が溶けるってわけのわからない事を言ってたけど、今ならその理由もわかる。

 地上に舞い降りた天使、妖精のプリンセス、リアルエルフ、こんな美少女がこの世に存在して良いんですか? あ〜、こういう子がえっちな目に遭う作品書きたいな〜。あくあ君に強引に迫られる話とか。でも溺愛ドロドロで、だんだんとわからせられて絆さて、気がついたら共依存状態になってて、2人のだけの世界で朝から晩までイチャイチャしてるだけの話がいいな。


「って、あれ? うい先輩?」

「ふふ、お久しぶりです。カノンさん」


 あっ、そういえばういは乙女咲だからカノン様の先輩になるのか。

 ういはカノン様に私とゆかねぇの2人を紹介する。


「ういの姉の佐倉ゆかなです。よろしくお願いします」

「同じくういの姉の佐倉けいとだ。よろしく」


 山田君のおかげで緊張が解けた事で、今度はちゃんとした挨拶ができたぞ。

 ありがとう山田君。


「初めまして、白銀カノンです。あくあ共々、うい先輩には在学中に大変お世話になりました」


 挨拶を済ませると、カノン様が私たちを席へと案内する。

 ふーん、カノン様が着ているメイド服のデザインはちゃんと考えられているな。

 時期的に少しくらいはお腹が膨らんでるだろうけど、それがわからないふわふわしたデザインになってる。


「こちらがお席になります。すぐにメニューをお持ちしますので、どうぞそれまでごゆっくりしてください。うい先輩も楽しんでね」

「はい。カノンさん、案内ありがとね」


 なるほど、カノン様は妊婦だから案内だけやってるのか。それもこの時間帯だけって考えるとラッキーだったな。

 席に着くとすぐに見覚えのある人がメニューを持ってやってくる。


「はい、メニュー」


 小雛ゆかりさん!? どうしてここに!?

 私達3人が状況を理解できずにいると、小雛ゆかりさんが全ての事情を話してくれた。


「暇だから仕事してるあいつをひやかしに来たら、思ってた以上に忙しそうだったから手伝ってあげてるの。なんか文句ある?」


 あっ、はい。そういえば小雛ゆかりさんはそういう人でしたね。

 せっかく良い事をしてるはずなのに、最初の暇だから冷やかしに来たがどう考えても余計なんですよ。それがなかったら満点なのに……。

 小雛ゆかりさんはゆかねぇと視線が合うと、一気に顔を近づける。


「ん? あんた、どっかで見た事あるわね」


 すごいな。もしかしてゆかねぇの事を覚えてるの?


「あ、あ、あ、前にサインしてもらった佐倉ゆかなです」

「あー、そういえばそんな事あったわね。何? もう社会人になったの?」

「は……はい!」


 ゆかねぇは少しだけ小雛ゆかりさんから視線を逸らす。

 小雛ゆかりさんは勘が鋭いから、ここで自分が司圭の担当編集やってますと言えば私が本人だと気がつく可能性がある。

 別に小雛ゆかりさんにならバレてもと思ったけど、周りに他のお客さんも居るから流石に難しいか。司圭のファンの人達も、中身がこんな奴だったなんて知りたくないだろうしな。ははは……。


「ふーん。まぁ、いっか。ところであんた、今まで元気にしてた?」

「は、はい!」

「そう。それならいいのよ。ほら、さっさとメニュー選びなさい」


 なんか一瞬だけ私のことを見た気がするけど、気のせいですよね?

 今の一瞬で何かを察してたりとか、そんな事ないですよね!?

 私は何も気が付かなかったふりをして、メニューへと視線を落とす。



 ・ドリンクメニュー

 白銀あくあのコーヒーセット/喫茶トマリギコラボメニュー。

 ミルクディッパーのカフェオレセット。

 猫山とあのほろ苦カフェラテセット。

 モジャPの甘くねぇエスプレッソセット。

 黛慎太郎の淹れたてお抹茶セット。

 ノブさんの体の内側から綺麗になれる炭酸水セット。

 那月紗奈の搾りたてフレッシュオレンジジュースセット。

 山田丸男の荒搾りフレッシュリンゴジュースセット。

 黒蝶孔雀の濁り造りブドウジュースセット。

 赤海はじめの100%トマトジュースセット。


 ・軽食メニュー

 白銀あくあの俺の手打ちうどんセット。

 白銀あくあのお手製オムライスセット/喫茶トマリギコラボメニュー。

 森川楓のゴリラ盛りナスカレーセット/小盛りの方はホゲ盛りと注文してください。

 雪白えみりの特製ベリラーメンセット/ラーメン竹子コラボメニュー。

 白龍アイコのヘルシーサンドイッチセット/のうりんコラボメニュー。

 ラズ様の濃厚ソースハンバーグランチセット。

 kinetik STARのキラメキパスタランチセット。


 ・スイーツメニュー

 白銀カノンの極甘乙女苺パフェセット。

 天我アキラの自家製田舎おはぎセット。

 瓜生あんこの出来立てお団子セット。

 祈ヒスイのご当地あくあ巻きセット/あくまきの事です。

 巴せつなのひんやりアイスクリームセット。

 天宮ことりのぽわぽわパンケーキセット。

 ジョンの気まぐれケーキセット/ケーキはランダムになります。


 ・裏メニュー

 姐さんの徹夜明けエナジードリンクセット/セイジョエナジーコラボメニュー、原液濃度92%。

 藤林美園の緊急サプリメント/例のお薬を処方されている方で、お薬の持ち合わせがない方はこちらからご注文してください。

 天鳥阿古の社長専用アフタヌーンティーセット/こちらのみ食べきれない分をお持ち帰りできます。


 ・期間限定メニュー

 小雛ゆかり監修、大怪獣ゆかりゴンの大人様ランチセット/白銀あくあ考案メニュー。


 それぞれのセットメニューには寧々ねねねさんのデザインで森長様が製造した特製ビスケットが2枚つきます。個包装をしているので持ち帰り可。1枚は白銀あくあ確定。残り1枚は黛慎太郎、猫山とあ、天我アキラの中からランダムになります。デザインは来月から徐々に追加予定。



 おーっ! いっぱいメニューがある!!

 どれにしようかな? 悩むなあ!


「大人様ランチ3つにする? ねぇ、そうしなさいよ」

「はい、私はそれにします!」


 私は圧をかけてくる小雛ゆかりさんを無視してじっくりとメニューを選ぶ。


「あの……それじゃあ私は、白銀あくあのお手製オムライスセットと那月紗奈の搾りたてフレッシュオレンジジュースで」


 ういはいいところをついたな。

 私も本当はオムライスセットかおうどんセットが注文したかったけど、もっとがっつりしたものが食べたい!

 やはりここはハンバーグか。いや、待てよ。ラーメンを注文してその後にデザートを頼むのもアリな気がするぞ!


「それじゃあ私は雪白えみりの特製ベリラーメンセットで! あっ、それとついでに姐さんの特製エナジードリンクもお願いします」

「はいはい。それじゃあ、ごゆっくり」


 注文が終わると私達は周囲をキョロキョロする。

 へぇー、未公開の写真とかを壁紙にしてるんだ。すごいな。


「わっ!」


 ん? どうしたどうした?

 私も含めたお客さん達が声の上がった方へと視線を向ける。

 するとそのお客さんの目の前で、メイド姿のハー様がお抹茶を点ててくれていた。

 淹れたてって、そういう事だったのか!! うわー、いいなー。


「お待たせしました。こちらがご注文のメニューになります」


 あっ、どうやらういの注文したメニューが届いたみたいだ。

 って、くくり様!? くくり様がメイド姿で配膳してくれるの!?


「オムライスをご注文の方」

「あっ、はい」


 くくり様はういに向かってニコリと笑いかける。

 はわわわ、ツインテールがよく似合ってるし、黒とピンクの地雷系メイド姿が最高にたまらない。


「オムライスをご注文のお方には、より美味しくなる魔法をかけるサービスを実施しています。その……あくあ様じゃなくて私で申し訳ないんですけど、どうですか?」

「お願いします!」


 くくり様は胸元でハートマークを作ると、スカートとツインテールを左右に揺らしながら、上目遣いのキュルンとした目でオムライスに美味しくなる魔法をかける。


「美味しくなーれ、美味しくなーれ。私の事も好きになーれ。きゅん♡」


 あっ、はい。横で見てただけだけど、今のでもう好きになりました。今度、グッズの方を買わせてもらいます。

 明らかにキャラじゃないのに、違和感を感じさせないほどの完璧なパフォーマンスに同じプロとして感動した。


「雪白えみりの特製ベリラーメン注文のお客様ー!」

「あっ、はい」


 あっ、本物の雪白えみり様だ。

 せっかく可愛いメイド服を着てるのに、竹子のエプロンで少し台無しになってる気がするのは私の気のせいだろうか? よく見たらネームタグにバイトリーダー雪白えみりと書かれている。えっ? 普通にバイトなんですか?


「カフェメニューだからニンニクが入ってないけど、そこにある瓶から追加できます。でも……」


 えみり様は周囲をキョロキョロして他の店員さんが見ていないのを確認すると、私たちに聞こえるようにコソコソと話しかけてくる。


「今、あくあ様がスタンバイしてて、もしかしたら会えるかもしれないから、ニンニクは入れない方がいいですよ」

「あ、ありがとうございます」


 えみり様やさしー。もうファンになりました。

 あぁ、今日は来てよかったな。


「ハンバーグランチのお客様ー」


 あっ、先週配信でリスナーが頑張って作ってくれたゲームの家をミスして5分で炎上させたラズ様だ!!

 あの後、号泣しながら引退すると言ったラズ様を3時間かけてリスナーが説得した配信は面白かったなぁ。

 しかもその後、みんなでもう一度お家を作ろうとしたタイミングでサーバー落ちだなんて誰が予想しただろうか。それもラズ様の配信の魅力だ。それにちゃんとリスナーの手下達の名前を全部覚えてるところは純粋にすごいと思うんだよな。本人の配信によると、テストの点はものすごく悪いらしいけど……。


「えっと……私が頼んだのは大人様ランチなんだけど……」

「あ、あれ? ここじゃなかったの……?」


 ラズ様はしょんぼりした顔をする。

 ちょ、ちょ、ちょ、ラズ様にこういう仕事は絶対に無理だって!!

 スタッフだって配信見てればわかるでしょう! ラズ様が働くとか明日、地球に隕石が降ってくるぞ!!

 ママリスさんは一刻も早くラズ様を保護して助けてあげて!!


「何やってるのだ? ハンバーグランチならあっちのお客様だぞ?」

「あ、あ、ありがとう」


 おお、フィー様が助けてくれた。って、フィー様の方がラズ様より年下なんだよなあ……。

 私を含めたラズ様の下僕達と思わしきお客さん達が思わず頭を抱える。


「お子様……じゃなくて、大人様ランチなのじゃ。はい、どーぞ!」

「ありがとう」


 はー、元気いっぱいなフィー様最高。

 それにしても、ゆかねぇ……。お子様ランチ食べてると本当に小学生みたいだ。本人が傷つくから言わないけど、ういもそれに気がついたのか私と目が合う。お互いに黙っておこうな。

 って、よく見ると突き立ってる旗が今は亡き大饂飩共和国の国旗だ。あ、それは大事に持って帰るのね。

 私はお腹が空いてた事もあり、ベリラーメンをペロリと平らげると、原液濃度が92%のセイジョエナジーをがぶ飲みした。

 うひひひ、これがほぼ原液の濃さか。脳みそにガツンと来る刺激だ。


「けいとお姉ちゃん大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃないかも」


 うぷっ、一気に来すぎて今度は逆に気持ちが悪くなってきた。

 私はよろよろと立ち上がると、お手洗いのある方へと向かう。

 その途中でふらついてこけそうになった。それを誰かが後ろから支えてくれる。


「おっと、大丈夫?」

「あっ、はい。ありがとととととあくあ君!?」


 本物のあくあ君キター!

 ここでさっき飲んだセイジョエナジーが本格的に効いてきたのか、目がギンギンになる。


「体調が悪いなら、そこで少し休もっか」

「は、はひ」


 あくあ君は近くにあった小部屋に私を案内するとソファに座らせる。

 どうやらここは私のようにカフェで体調を崩した人が使える休憩室のようなところらしい。

 なるほど、私は仕事でだけど、予約ができた時点でワクワクしすぎて眠れずにここまで来てる人とかいそう。


「はい。お水。あ、無理して飲まなくていいからね」

「何から何までありがとうございます」


 生のあくあ君はテレビで見るよりも遥かにカッコよかった。

 そっか。CGなんて噂も一時期あったけど、ちゃんと現実に存在してるんだな。

 完全に目が覚めた私はあくあ君を観察するようにジッと見つめる。


「ベリルカフェはどう? 楽しんでくれてる?」

「はい! 生の台本とか色々あって楽しかったです!」


 私は思い切ってあくあ君に質問を投げかける。


「あくあ君はキャラを演じる時に、何か大事にしてる事はありますか?」

「大事にか……そうだな」


 あくあ君は少しだけ考えた素振りを見せるとニコッと笑う。


「そいつの人生かな。例えば俺の知り合いで家事が得意な奴が居るんだけど、そいつがどうして家事が得意かっていうと生まれた時から親がいなくて、親戚の家をたらい回しにさせられて、児童養護施設で育って、小さい子供の面倒見てたりとか、バイトしたりとか、とにかく自分で自立しなきゃいけなかったからなんだよな。台本じゃ、このキャラは料理が好きとか家事が得意って書いてるけど、そいつがどうして料理する事が好きになったんだろう。家事が得意になったんだろうって道筋を考えた方が、そのキャラを演じるにあたって深みが増すと思う。だからそこを大事にしてるかな」


 一緒だ。私がキャラが考える時もそうやって掘り下げていく。

 全てに何かちゃんと理由があって、その道筋がそれぞれのキャラクターに命を吹き込んでくれる。

 やっぱりあくあ君は私とアプローチの仕方が似てるんだと思ったら、すごく嬉しくなった。


「槙島圭吾ってどんな人だと思う?」

「一言で言うと軽薄かな……。なんだかんだと御託を並べるけど、スリルを味わいたいとか発言の数々には刹那的な快楽を求める傾向があるよね。そういう自分の欲望を満たしてくれる行為に素直に従うところが実は結構小物なんじゃないかなって思ってたり……って、ごめん。これはなし。流石に今、放送中のドラマで、これ以上は言えないかな。だから、今のは聞かなかった事にしてね」

「はい」


 やっぱり私と同じ解釈だ。

 キスカ先生から槙島について相談された時も、私は槙島ってものすごく強敵に見えるけど、実は行動原理が子供っぽかったりして、本当は小物なんじゃないかって話をした。なるほど……となるとあくあ君は、きっとその先にある答えにもきっと辿り着いてる。

 ははははは! やっぱり私達の作り上げた槙島を演じられるのは君だけだよ。


「ありがとうございます」

「ん? ああ、別に気にしないで」


 ふふっ、あくあ君はきっと介抱した事に対して感謝されたと思っているんだろうな。

 さてと、これ以上は迷惑をかけるわけにもいかないし、体調も大丈夫そうだしお暇しようか。

 そんな事を考えていたら外からドタドタという音が聞こえてくる。


「けいと、大丈夫?」


 あっ、ゆかねぇだ。それにういも。

 どうやら私が中々戻ってこない事で心配をかけたみたいだ。


「あっ、ミニ雛先輩だ! って、うい先輩、お久しぶりです」

「あくあ君、久しぶり。元気そうだね」


 ミニ雛先輩って何!?

 えっ? ゆかねぇって私の知らないところであくあ君と会った事があるの?

 マンションで偶然!? ずるいずるいずるい! 私なんて同じマンションに住んでても会った事なんてないのに!!


「姉がお世話になりました」

「気にしないでよ。うい先輩、今日は来てくれてありがとう」


 今日はもう帰る事にした私達はあくあ君の案内でレジに向かう。


「あっ、うい!」

「あっ、紗奈ちゃん」


 那月紗奈さん、そういえばういの同級生だったか。

 2人は偶然の再会を喜び合う。

 あくあ君が那月さんの代わりに気を利かせてレジに入ると、ゆかねぇがみんなの分を支払ってくれた。

 ゆかねぇ、ありがとね。って、何だこれ?


「ベリルガチャ?」


 私はレジ横にあったガチャが目に入る。

 え? 1人につき1回引けるの!? やったー!

 これは当てるしかないな。私はいっちにーいっちにーと準備を始める。


「ういも話に夢中になってるみたいだし、けいとが3回引いていいわよ」

「わかった!」


 私は勢いよくガチャを回す。

 何が入ってるかな? 私は最初のカプセルをパカっと開く。


「あっ、ねねちょさんデザインの大怪獣ゆかりゴンの缶バッジじゃん」


 私は小雛ゆかりさんが大好きなゆかねぇにガチャをプレゼントする。


「ありがと。けいと、最初から良いの引くじゃない!」


 よーし、次だ次! 私はもう一度勢いよくガチャを回すと、出てきたカプセルをパカっと開く。


「おー、あくあ君のミニアクスタだ」


 本当は私が欲しいが、これはういにあげよう。


「けいとお姉ちゃんいいの?」

「ああ、もちろんだ! 大事にしてやれよ」


 私は最後のガチャを回すと、出てきたカプセルをパカっと開く。


「ん? なんだこれ?」


 やたらと軽いなと思ったら、中に引換券と書かれた紙が入っていた。


「おめでとうございます! 白銀あくあデザインのパスケースと次回以降に使えるベリルカフェの優先手続きパスです!」


 なんか知らんけど当たったーーーーーー!

 私はゆかねぇとういの3人で手をとって喜び合う。


「ベリルカフェの優先手続きパスは月に1回だけ、他の人より早めに予約を入れる事ができます。例えば6月のご予約分は5月1日に一斉スタートしますが、その前日の4月末日に優先的に予約が入れられるようになります。ただし、ご予約は他のお客様と同じ月に1回までとなっておりますので、ご了承ください」


 これはあれだ。私が仕事を頑張ったご褒美に違いない。

 三日徹夜してから来た意味があった。

 私達は手渡されたパスケースに描かれた絵に視線を落とす。


「何これ?」

「こ、怖い……」


 ん? ういもゆかねぇも何を言ってるんだ?


「これはVtuberの方のシロ君と、あくあ君が飼ってるシロだな」

「は?」

「えっ?」


 おいおい、2人ともそんなにびっくりした顔をしてどうしたんだ?

 私はレジに居たあくあ君へと視線を向ける。


「ほらほら、わかる人にはわかるんですよ!」


 もー、みんなが変な反応するから、私が間違ってたのかと思ったじゃないか。ほら、正解だろ?


「ゆかなお姉ちゃん、もしかしてけいとお姉ちゃんって……」

「わかってるわよ。うい。私も妹があの白銀あくあさんと同じレベルだと知って絶望してるから。それともアレかしら、天才同士、何か惹かれ合う感性があるのかもしれない……この絵がそうだなんて絶対に認めたくないけど」


 ねーねー、2人ともさっきからどうしたの!?

 私だけ仲間はずれにしてコソコソするのは良くないよ!


「えっ? あくあのアレがわかる人っていたんだ」

「とあ、休憩終わったのか?」

「うん、今、帰ってきたとこ。あ、カノンさんならもうあがらせたからね」

「OK! ありがとな」


 あ、とあちゃんだ。しかも、とあちゃんの小悪魔メイド姿だって!? 考えた奴最高か!?

 私達はあくあ君からの提案もあって、最後にみんなで記念写真を撮る。

 で、できれば、妹の天使メイドすばるちゃんとも2人並んで……あ、ありがとうございます!!


「最高だった……」

「うんうん。そうだね、けいとお姉ちゃん。ゆかなお姉ちゃんもありがとう」

「けいと、よかったわね。ちゃんとチケット取ってた私に感謝しなさいよ」


 2人ともありがとう。本当にありがとう!!

 パスケースを受け取った私達はカフェの外に出ると、タクシーを拾う。

 あー……なんか夢から醒めたように一気に疲れが来た。

 あのセイジョエナジーは濃度が濃い分、ダウンタイムというかチルタイムが一気に来るな。

 眠くなった私はそのままタクシーで眠ってしまった。

 よーし、起きたらまた頑張るぞー!!

 私は幸せな夢の中で大きく拳を突き上げた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近、ネキーずの出番が多くてよき。
[一言] ダメな方にやべー奴やったか… しかしお姉ちゃんミニ雛呼ばわりてパイセン言うほど小さくないのか…?
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