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猫山とあ、僕の友達はセンスが悪い。

 僕達の仕事は基本的に祝日が多いけど、簡単な仕事、雑誌のインタビューとか撮影とかは平日、学校が終わった後にこなすことが多い。

 そういうわけで僕とあくあの2人は、とある雑誌で掲載されるジュエリー特集のためにコロールの日本本店に来ていた。


「あーっ、いいっすねー!!」


 カメラのお姉さんがシャッターを連続で切っていく。

 なんかやたらとローアングルが多い気がするけど僕の気のせいかな?

 ノブさんのアシスタントの人だから信頼はしてるけど、念の為にちょっとだけスカート押さえとこ……。


「もっ、もっとくっついてもらっていいですか?」

「OK!」


 隣にいたあくあとの距離がグッと近くなった。

 こうやって至近距離でみると、あくあは最初に出会った時より少し大人びた気がする。

 それに比べて僕はあんまり変わってない。身長だって伸びてないし、あえて変わったところをあげるなら、こういう仕事をするようになって肌や姿勢が綺麗になったとか、そういう変化くらいしか思いつかなかった。


「はぁはぁ、はぁはぁ、うっ!」


 カメラのお姉さんは一旦後ろにあるバックヤードに引っ込む。

 大丈夫かな? なんかジャラジャラガラガラとかいう音が聞こえてくるけど、何の音なんだろう?

 さっきも苦しそうにしてたし、病院に行った方よくない?

 僕たちが心配そうな顔をしていると、別のスタッフさんが出てきてデータを確認する。


「えーっと、必要な分は撮れてるんで、今日の仕事はこれで終わりです。お疲れ様でした!」

「「今日はお世話になりました。ありがとうございます!」」


 さてと……明日も学校あるし、帰ろうかな。ん……?


「あれ? あくあは帰らないの?」

「ああ」


 どうやらあくあは撮影の合間に、ショップのスタッフの人に撮影が終わった後に買い物をしていいかどうか聞いてたらしい。ふーん、それなら僕も一緒に見ようかな。


「でも、あくあがジュエリーなんて珍しいね」

「ちょっとな……。それに、ほら、いつも俺、カノン達には迷惑をかけてる気がするからさ、なんか買っとこうと思って」

「いいんじゃない? あくあの場合、阿古さんとかカノンさん達以外にも何か贈っといた方がいいと思うよ」

「うっ……や、やっぱりそう思うか?」


 僕はこくんと頷く。


「そうか……」


 あくあは困ったような顔をする。

 もー、仕方ないなあ!


「僕も選ぶの手伝ってあげるから、一緒に選ぼ」

「本当か!?」

「うん、その代わりなんか奢ってよね」

「もちろん! いやー、とあが手伝ってくれるなら助かるわ!」


 じゃないと、あくあ1人に選ばせたら贈られる女の子達が可哀想だもんね。


「というわけで、これをカノンに贈ろうと思うんだが、どうだ?」

「何これ? ボルトナット?」


 嘘でしょこんなのが20万もするの?

 そこのホームセンター行ったら似たようなのが400個で600円で売ってるよ。


「あのさ、カノンさんの華奢な指にこれは合わないでしょ」

「確かに」

「選ぶ時にさ、カノンさんが好きそうなデザインとか、いつも身につけてるものから考えなよ」

「なるほどなるほど、でもカノンって普段はあんまりアクセサリーつけないんだよなぁ……」


 そういえば自宅にお呼ばれした時もつけてなかった気がする。


「うーん、それなら時計とかは? うちの学校、時計はつけてきていいし、流石に宝石ゴテゴテとか高級すぎる時計はアウトだろうけど、シンプルな革のやつとかいいんじゃない? ほら、そこにペアウォッチとかあるよ。カノンさんならペアのとかすごく喜びそう」

「ちょっと選んでくる!!」


 僕としてはプレゼント自体はあくあにちゃんと選んで欲しい。

 きっとその方が贈られてる人達も嬉しいと思うから。

 でも、流石にさっきのボルトナットとかは可哀想だから、そういう変なものにだけはならないようにしてあげたい。


「これとか、文字盤もシンプルだしいいと思うんだけど……」

「うんうん。いいんじゃないかな」


 あくあが選んだペアウォッチは、ベルトの部分がメンズはネイビーでレディースは白の時計だ。

 時計の金属部分もシルバーだし、これならカノンさんも喜びそう。


「よし、じゃあ次は結だ」

「結さんならお仕事に使えそうなのがいいんじゃない?」

「確かに……そうなると、ベルトだな。確かベルトだけは支給品じゃなくて私物だって言ってたし」


 へー、そうなんだ。

 僕は事件の事もあって細胞採取が免除されてるけど、確かに前に会った担当官の人は結さんと服装が同じで、ベルトだけが違っていた気がする。


「こっちも白の革ベルトでシルバーにしておくか。これなんかシンプルで仕事でつけてても良さそう」

「うん、それがいいだろうね」


 確かにこのベルトなら、あの軍服みたいな制服も可愛くなるかもって思った。


「琴乃はイヤリングにしとこうかな。こう、髪を耳にかける仕草をする時に、ちらっと見えるのがいいんだよね」

「あー、わかるわかる。確かに、琴乃お姉ちゃんはイヤリングいつもつけてるよね」


 琴乃お姉ちゃんは4月からは取締役になるらしい。

 僕もなんかお祝いに何か準備しておかないとなって思った。


「じゃあこのアクアマリンのシンプルなやつにしておくわ」

「うんうん、アクアマリンは癒しの効果があると思うし、これから忙しくなる琴乃お姉ちゃんにはいいと思う」


 僕は店員のお姉さんに耳打ちして、こっそりとアクアマリンのブローチも一緒に用意してもらった。

 あくあが選んだ奴とお揃いだから、きっと喜んでくれるよね?


「アイはどうしようかなあ」

「白龍先生は普段あんまりアクセサリーつけてないよね。受賞パーティーとかでつけたりするのは見るけど……」

「よっしゃ、じゃあこのシンプルなシルバーとアクアマリンのブローチにするわ。結構イベントとか出てるし、これならパーティーに着ていくシンプルなドレスに合いそう」


 確かに白龍先生って普通にしてれば綺麗だから、シンプルな服装がよく似合うんだよね。

 だからアクセサリーもあくあが選んだ感じのが良いと思う。うんうん、月街さんからゆかりご飯Tシャツを買った話を聞かされた時は絶望してたけど、今のところはすごく順調だ。


「じゃあ、楓にはこのバナナの……」

「ストップ! 何、それ? バナナのアクセサリーなんてあったっけ? あ、あるんだ……」


 え? ここのショップの仕入れ担当に1人だけあくあが混ざってない?

 しかもこれ数万ってレベルじゃないじゃん。嘘でしょ……。


「何であくあはこれ選んだの」

「え? だって、ほら、楓ってよくイエローのワンピース着てたりとか黄色が好きだし、バナナ食ってそうなイメージが……」

「うん、バナナを食べてそうなイメージは一旦ゴミ箱に捨てようか。それは今いらないから」


 あくあがしょぼんとした表情をする。

 もー、仕方ないな。


「でも、黄色を選んだのはいいと思う。確かに言われて思い出してみたら、森川さんって黄色をよく身に付けてる気がする。あくあは本当によく見てるね」


 さっきまでの表情が嘘みたいに、あくあの顔がパーっと明るくなる。

 あくあってさ、本当、わかりやす過ぎるんだよね。

 なんか変なお姉さんに騙されてたりしない? 大きいからって、簡単についてったりしたらダメだよ。


「じゃあこのイエローゴールドとアクアマリンの指輪にしておくよ。ちゃんと正式に婚約指輪を贈るまでの予約にしておく」

「うんうん、それなら絶対に喜んでくれると思うよ」


 これでとりあえずお嫁さん達へのプレゼントは終わりかな?


「後、猫の面倒を見てくれてるえみりさんにも買っておかないとな」

「あー……雪白さんって綺麗だし、なんかこう、安物のアクセサリーじゃ浮きそうだから難しいよね」

「確かに、なぁ、どうしたらいいと思う? いっそ、くそほど高いの買うか」

「うーん、雪白さんは他の奥さん達と比べて1人だけ高いのもらっても喜ばない気がする。それに高いのもらったら逆に気にしちゃうでしょ。もっとこう気軽なのがいいと思う」

「わかった。それならこれなんかどうだ?」


 あーなるほどね、バイクのキーケースね。いいんじゃないかな?


「うん、実用的だし、これなら喜んでくれると思うよ」

「よっしゃ! じゃあお姉さん、これもよろしく」


 あくあはこうと決めたら早いので買い物も剣崎並のスピードで進んでいく。

 いつもお世話になってる藤の蘭子お婆ちゃんや森長のめぐみさんやメアリーお婆ちゃんにお揃いのタブレットケースを、モジャPに破けたお財布の新しい奴、ノブさんには好きそうな蝶ネクタイを購入したりする。


「慎太郎にこれ買って行ってやろうぜ」

「ちょっと、あくあってば……ふふっ、え? 慎太郎がこれ使うの?」


 あくあが慎太郎へのプレゼントに購入したのは、ゴテゴテにデコレーションされたメガネケースだ。

 完全にネタだけど、慎太郎なら笑って喜んでくれそうな気がする。ごめんね、慎太郎。反応が面白そうだから、慎太郎のはこれにします!


「それならさっきのボルトナットの指輪、天我先輩ならすごく喜びそうじゃない?」

「ある! それはある!」


 流石に20万のは贈られた天我先輩も微妙だろうから、それの20分の1くらいの価格の廉価版があったからそっちを購入する。ふふっ、安くなるとますますボルトナットにしか見えない。

 僕は改めて、あくあがこれをカノンさんに贈らなくて良かったと思った。

 それでもカノンさんは喜んでくれるだろうけど、僕とか小雛先輩なら数時間は口利いてあげないと思うよ? あっ、でも小雛先輩ってあくあとセンス一緒だから案外喜ぶのかも。それこそ、これなら暴漢がきても殴って倒せそうとかいいそうな気がした。


「阿古さんはやっぱりこれか」

「いやいや、流石にそれは引くでしょ!!」


 そんなショーケースに入った億単位のティアラもらってもどこにつけていくのさ!?

 阿古さんだって困るし、もうそれをあくあが手渡した時点で、お前、今日から俺だけのお姫様になれよってプロポーズしてるようなもんじゃん!!

 は〜〜〜っ、僕は心の中で大きなクソデカため息を吐く。

 家ではカノンさんが、学校では僕が、仕事では阿古さんが一番苦労してる気がする。そう考えたら、もうこのままこれでいいんじゃないって言ってあげた方がいいのかな?

 阿古さんはみんなに隠してるけど、あくあの事が好きなのは僕とノブさんとモジャさんにだけはバレバレだし、もう責任とってもらったらいいと思うよ。

 それこそティアラくれたんだからそういう事だよねって押せば、あくあなんてチョロチョロのチョロだからどうにかなると思う。僕が文化祭の時、詰め物を入れて迫った時でさえグラグラしてたくらいだから、阿古さんの本物なら一揉みどころか谷間の一つでも見せたらイチコロでしょ。


「むぅ……それならその隣にある社長室に飾る花瓶にしておくか。この前、楓がこけそうになったときにグーパンで破壊した花瓶の代わりになるだろうしな」

「あー、うん、それでいいんじゃないかな」


 この前、森川さんが会社の通路で正座して琴乃お姉ちゃんに不注意がすぎる怪我したらどうするのってお説教されていたのは、そういう事だったんだね。

 今更ながらにどうでも良い事を知ってしまった……。


「と、とととととあ、スッ、スバルちゃんにこれ買ってあげようかな?」

「却下!」


 あのさー、人の妹にそんな宝石のついた下着をプレゼントしようとしないでくれるかな?

 明らかに中学生が着用する下着じゃないでしょ! 戯けたあくあはらぴすちゃんにどうとか言ってたから、それもちゃんと却下しておいてあげる。


「こういうのはもっとこう……アラビア半島連邦の王族の人とか、ペゴニアさんとかじゃないと似合わないんじゃない?」

「こーれ、買います」


 え? ペゴニアさんに買うの? 嘘でしょ……。


「ついでにうちのメイド組とりのんさんにもお揃いのキーホルダー付きパスケースを買っておこう」


 うんうん、仕事で毎日使うもんだし、それはいいと思うよ。ペゴニアさんも同じので良かった気がするけどなあ。どうなんだろう。わかりやすいカノンさんと違って、ペゴニアさんの考えてる事はお子様の僕にはわかんないや。

 そのお子様な僕よりある意味でお子様のあくあは多分もっとわかってない気がするけど、そこまでは面倒見きれないので自分で頑張って欲しいと思う。


「ところでさっきの下着、ワンチャンアヤナに……」

「月街さんに殺されてもいいならどうぞ」


 ワンチャンどころかノーチャンスで普通にビンタされると思う。

 だって、ああいうのってある程度サイズがないと無理でしょ。だからどのみちスバルやらぴすちゃんじゃつけられない。


「母さんには簪か櫛にしよ。春に向けて桜とかいいんじゃない?」

「おー!」


 ちゃんとお母さんのプレゼントを一発で選べてるあくあに感動した。

 あっ、ちゃんともう1人のお母さんにも選んであげなきゃダメだよ?

 多分あの人、攻撃力は高めだけど防御力はあくあに似て紙装甲な気がするから、1人だけ貰えないとかってなると、多分すごく落ち込むと思うんだよね。


「じゃあ、美洲お母さんも母さんと同じ桜柄の髪飾りとかでいいかな?」

「うん! 女の子ならお揃いは絶対に喜ぶと思う!」


 あくあはその流れでしとりさんに桜色のタータンチェックのリボンカチューシャ、らぴすちゃんにブローチ付きのリボンタイを購入する。ん? そのブローチについてるピンク色の宝石って本物じゃ……うん、僕はなにも知らなかった事にした。


「おっ、この月のチョーカー可愛いじゃん! アヤナはこれにしよっと」


 いいのかなー。チョーカーを贈るのって確か、お前は俺のものだぞってわからせるためじゃなかったっけ?

 しかもそんな白い布地でシルバーでアクアマリンなんて、完全にあくあのものアピールじゃん。

 ま、どうせ責任を取るのはあくあだし、僕は関係ないからいいよね!!


「ついでにインコさんにもこのサングラス買っておこっと」

「何でサングラス?」


 僕は頭の上にクエッションマークを浮かべて首を傾ける。

 収録の時でもこういうのかけてるの見たことないけどな。


「乙女ゲーのしすぎで家に篭りっぱなしだから、外に出ると日差しで目が痛いんだって……」

「はは……それはサングラスがいいかもね」


 鞘無さんあのクソゲ……じゃなくって、あの乙女ゲームまだやってたんだ。が、がんばれ〜。


「なぁ、あと俺がこう感謝しとかないといけなさそうな人っているか?」

「とりあえず杉田先生とクラスメイト全員じゃない?」

「え? マジ? 俺、みんなにそんな迷惑かけてる? なんか買っとこ……」


 あくあは数がありそうなブレスレットをまとめて購入する。

 それもチョーカーと贈る意味がほぼ同じなんだよね。何よりも男の子が女の子にジュエリーを買ってあげる意味がわかってるのかなー、わかってなさそうだよねー、うん。

 もー、これがきっかけでクラス全員を貰う事になっても知らないよ? あー、でも、あくあならなんとなく喜びそうだし、まぁ、いっか。


「あ、このシンプルなアクアマリンのネックレスももらっていいですか?」

「それ、誰にあげるの?」

「ん? 揚羽さんにあげよっかなって。ほら、女の子なのにアクセサリーとかも全部手放しちゃったのとか可哀想だし、やっぱり一個くらいはないとダメでしょ」


 ふーーーん。ネットじゃ黒蝶さん失踪したって言ってたけど、あくあが囲ってたんだ。

 黒蝶さん大きいし、あくあが好きそうな感じだもんね。でも、それでネックレスって……それもチョーカーと意味が同じだからね? あっ、それとも愛人にしたいから贈りたいのかな? どうせあくあの事だから、そんな事はなんも考えてないんだろうけどね……。


「え? 同じの2つある? じゃあ、くくりちゃんにも買っておこうかな。来年高校生だし、こういうのも必要でしょ」


 君はこの国の王様にでもなりたいのかな?

 きっとくくり様ならもっとお高い国宝級のアクセサリーを沢山持ってるんだろうけど、僕はそこには一切突っ込まない。むしろ僕は全てを聴かなかった事にして笑顔でスルーする。


「えー、後は本郷監督に小早川さんに、阿部さんに……あっ、鬼塚さんにも買っとかなきゃ、楓がいつも迷惑かけてるから……それとみんなの家族にも迷惑をかけてる分と、総理にも一応なんか買っとくか」


 僕がちょくちょく軌道修正しながら、あくあはパパッとみんなへのプレゼントを選んでいく。

 信じられないかもしれないけど、100個以上買ってて1時間も経ってない。やっぱりあくあって、リアルでオーバークロック使えるでしょ? ほらほら、白状しなよー!


「とあ、今日もありがとな」

「いいって」


 ふぅ……疲れたけど、僕は僕で何かをやり切った謎の満足感がある。

 少なくともタヌキの置物のような謎センスのプレゼントだけは回避したつもりだ。


「というわけで……もしよかったら、これ」

「あくあ……」


 ふふっ、いつの間に僕のも買ってたの?

 僕はあくあに袋を開けていいかを聞いてから中身を取り出す。


「これは……リップクリーム?」

「そ、ほら、そこに化粧品売り場あるだろ?」

「あ、本当だ」

「さっき学校でリップクリーム切らしてたから、ちょうどいいだろうなって思ったんだよ。ほら、貸してみ」


 あくあはリップクリームの蓋を開けると、僕の唇に優しく塗ってくれた。


「あ……この香り」

「俺の香水と一緒の匂いがするだろ? 俺、この匂い好きなんだよな。だから、とあにもどうかなと思って」


 本当だ……。あくあの匂いがする。


「ありがと、あくあ」

「いえいえ、こちらこそ、とあにはいつもお世話になってるからな。そしてこれからも面倒をかけるという意味を込めて、このキャンドルも一緒に渡しておく」

「もー、それなら迷惑かけないように努力する方が先でしょ。仕方ないなー」


 こうなったらとことん面倒見てあげますか!

 僕はあくあと談笑しながら店を後にする。後ろでバタンバタンと人が倒れるような音が聞こえた気がしたけど空耳かな?


「ん? そういえば、あと1人、なんか一番文句言いそうな人にプレゼントを買うの忘れてるような……」

「どうした、とあ?」

「ううん、なんでもない」


 こ……まで名前が出たところで、僕は気がつかなった事にする。

 どうせ怒られるのはあくあだし、別にいいよね。


 っていうのは冗談で、これが僕へのプレゼントなら、こっそり買ってたあれがあの人のプレゼントなんだよね。

 ふふふ、僕はカノンさんと違ってちゃんとそういうのも見てるから、あくあが隠しててもわかっちゃうんだ。だから、恥ずかしがり屋さんのあくあのために気が付かなかったふりをしておいてあげる。

 僕は次の日、あの人があくあからのプレゼントを身につけている姿を見て、1人にんまりと笑った。

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[一言] 途中からどんどん投げ槍になってて草枯れる マジで頼むぞ世界の命運は君の双肩にかかっている
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