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黒蝶孔雀、アイドル白銀あくあ。

「はぁ……はぁ……」


 それはある日の夜だった。悪夢を見た俺は大量の汗を掻きながら目を覚ます。

 幼い自分が女性に何かをされている夢。その日から何度もその夢を見るようになって、眠る事が怖くなっていった。

 繰り返し夢を見るたびにそれは鮮明になっていき、この夢は現実に起こった事なのだと気がつく。

 子供の頃から女性に触れられる事に対して忌避感を覚えていた理由に気がつくと、途端に女というものが怖くなった。

 でも一体、誰が俺に対してそんな事をしたのだろう。

 俺にそんな事をした可能性があるとしたら黒蝶揚羽、黒蝶家のトップにして俺の保護者だ。

 色々と悪い事をしてきている黒蝶だ。そう考えるのが普通だろう。

 でも俺だって馬鹿じゃない。俺は揚羽にバレないように、何年もの歳月をかけて過去に起こった事件を探った。

 その過程で俺は真実に辿り着く。やはり犯人は揚羽じゃなかったのだと。

 俺だって揚羽と一緒に暮らして何年にもなる。毎日顔を合わせてたら、揚羽が悪人じゃない事には薄々気がついていた。

 そもそもそんなに悪いやつなら、今だって普通に同じ事をしてるだろう。でも、あいつは世間で言われているように男を家に連れ込んだりなんてしないし、外では見た目を着飾ったり、俺には惜しみなくお金を使ってくれているが、華族のトップと比べると揚羽の生活はすごく質素だ。

 一度だけ揚羽の部屋を見た事があるが、小さなお菓子の缶箱以外は特に何もない部屋だったのを覚えている。

 その缶箱の中に入っていたのも、若い時の自分と雪白のえる、えみり、羽生総理、皇キクリ、くくり、そして幼い時の俺と一緒に撮った写真だけだった。

 そんなものを後生大事にクローゼットの奥にしまっているような奴が悪人な訳がないだろう。


『えー、たった今、情報が入ったばかりの黒蝶一派のスキャンダルですが、現在、情報を整理中です。もうしばらくお待ちください』


 そのニュースは突然だった。

 合宿所で飯を食べてたら流れてきたニュース。思わずカレーを掬うスプーンを落としそうになったがなんとか平静を保つ。

 計画の詳細や今日決行する事については知らなかったが、揚羽が黒蝶家を断罪するために何かを計画している事については薄々気がついていた。


『こちら、黒蝶家の本家の前に来ています。現在は多くの報道陣によって取り囲まれてますが中の動きは一切分かりません』


 まず最初に考えたのは、他のオーディション参加者に迷惑をかけないようにしなければいけないという事だった。

 この2週間近く、彼女達のすごく頑張ってきた姿を近くで見ていた俺が、その努力や夢を踏み躙るような行為をしたくはない。

 俺が女性に対してそう思えるようになったも揚羽のおかげだ。

 揚羽がいなければ、俺はこの世界の全ての女性を等しく憎んでいたと思う。

 だからこそ自分から不幸になろうとしている揚羽に苛立った。何よりもそれを助けてあげる事ができない自分に腹が立った。

 なんでそうまでして揚羽は自分を犠牲にするのか。その大元の理由が俺にあると知って余計に自分の事が嫌いになった。自分が何もできないどころか、俺のせいで揚羽が不幸になる。俺は揚羽に自分が救う価値もない人間だとわからせるために、わざと嫌われようと距離を取ったが、それでも揚羽は止まらなかった。

 確固たる信念と覚悟。無力な俺にできるのは彼女が全てをやり遂げる瞬間を指を咥えて見ているだけだ。


『こちらは国会議事堂前です。総理や黒蝶議員と連絡が取れないようで現在、こちらも与野党ともに大きく混乱しているようです』


 俺はできるだけ早くカレーを胃の中に掻き込むと、食堂のおばちゃんにお礼を言って自分の部屋へと戻る。昨日までこの2人部屋には山田が居たが、あいつは秘密特訓とやらに行って今は居ない。そのせいもあって部屋の中がすごく広く感じた。

 騒がしくてだらしがなくて色々と世話のかかるやつだが、居なけりゃ居ないで心配になる。むしろしょっちゅう話しかけてくるあいつの煩さが恋しくなった。


「はやく帰ってこいよ……」


 それに今は、あいつとくだらない会話をして気を紛らわしたい気分だった。

 俺はタブレットを開くと、インターネットで黒蝶家の現状を確認する。

 ほとんどのニュース記事は黒蝶を断罪する記事だったが、藤新聞や国営放送など一部のメディアは中立的な立場から今明らかになっている事実だけを伝え、事の流れを静観しているように思えた。

 全てのメディアが黒蝶の事件を報じる中で、唯一独自路線を貫いているのは聖白新聞くらいだろう。

 今日も昨日と変わらず一面記事は白銀あくあの動静を伝えてる。黒蝶のコの字すら載ってない。むしろ記事の99%、いや、200%が白銀あくあだ。あまりにもあくあの文字が多すぎて記事の画面がゲシュタルト崩壊起こしそうになっているほどである。

 このアイドルにしてこの新聞ありというべきなのか、こんな時でも世間の事より白銀あくあというスタンスは逆にすごいなと思った。この新聞が日本で最も購読されている新聞らしいが、この国は本当に大丈夫なのだろうかと心配になる。

 いや、そんな事よりも揚羽の事だ。さっきのニュースを見る限り本家にはいないようだし、国会や党本部にも顔を出してないとなると少し心配になる。


「本当にその道しかなかったのかよ……!」


 黒蝶家当主、黒蝶揚羽が選んだ道は自己犠牲の道だ。

 自分を犠牲にする代わりに全ての悪を道連れにしようとしている。

 俺がこの計画に気がついたのはオーディション合宿に参加する数日前だった。

 だから合宿が終わった後に揚羽と話し合おうと思ってたのに、まさかこのタイミングで発表するなんて……。いや、人が良い揚羽ならきっと、俺の審査が終わった後に発表する予定だったんじゃないか。つまり、何かトラブルがあったんだと思う。


「黒蝶孔雀さん、そろそろ行くっすよ!」

「はい!」


 もうそんな時間か……。俺は揚羽の事が心配だったが、山田のためにも今はオーディションを優先する。

 それに何の力もない俺が足掻いたところで意味なんてない。

 総理や皇くくり、与党の藤堂紫苑や、雪白家の雪白えみりが動いたって揚羽は救えないだろう。

 彼女達が動いたところで揚羽を救うには、決定的な何かが足りない。それでも何もできない俺よりはマシだ。

 会場に行くまでの間、俺は車の中で自らの無力さに打ちひしがれる。


「自分、山田君のことを探してくるっす!」


 時間を過ぎても待ち合わせをしていた会場に山田は来なかった。

 甲斐さんが山田を探すために会場を飛び出してしばらく経つと、おじさんやニャンコ紳士から山田を探すために自分達も手伝うから、安心して待っていて欲しいと連絡が入る。元は掲示板でしか繋がりのなかった人達が、自分達のために動いてくれていると知って冷えていた心が少し暖かくなった。

 幼い時に何度か顔を合わせた黒蝶の子供達、男も女も反吐が出るような奴らばっかりだと記憶している。

 その中でも黛慎太郎だけはまともだったが、あいつはすぐに留学に行ってしまった。だからこそ、山田やおじさん、ニャンコ紳士と知り合って、そうじゃない男が他にもたくさんいるんだと知った。


「山田……早く、早く来いよ、馬鹿……!」


 俺の目の前でチームDのパフォーマンスが終わる。

 それでもあいつは、山田は来なかった。


『それでは続きましてチームEのパフォーマンスに……っと、すみません。その前に少し休憩を挟みたいと思います』


 会場に居たアナウンサーが気を利かせて休憩を入れてくれた。

 その間も舞台裏にいたスタッフさん達は忙しく走り回る。


「山田君、まだ見つからないの?」

「甲斐さんが探しに行ってます!!」

「確かチャーリー君のところに練習に行くって言ってたよね」

「チャーリー君からもう出たって……」

「どうしよう。このまま来なかったから……」


 スタッフさん達はお互いに顔を見合わせると、俺の方へと視線を向ける。

 俺は顔を上げると、スタッフさんに近づいて頭を下げた。


「すみません! あいつは絶対きます!! だからもう少し待ってくれませんか? あいつは馬鹿かもしれないけど、何も言わずに逃げ出したりとか放り出す奴じゃないんです!!」

「うん、それはわかってるよ。でも……」


 わがままを言っているのはわかる。でも、あいつは……山田は、すごく真剣だった。

 途中で投げ出したりなんてしない。だからきっと何か大きなトラブルがあったんだと思った。


「私たちからもお願いします!」

「山田君は絶対にきます!」

「少しでいいから待ってくれませんか?」

「我儘だって事はわかるんです。それでもここまで一緒にやってきた仲間だから!!」

「お願いします!!」

「どうか、少しだけ、後少しだけでいいから!」

「こんな最後なんてあんまりです。山田君、すごく頑張ってたのに!!」

「私達はチームは違うかもしれないけど、同じ合宿を過ごしてきた仲間なんです!!」

「どうかチームEにも2人揃ったパフォーマンスをさせてください!!」


 俺は他の参加者達が頭を下げる姿を見てびっくりする。

 オーディション審査に俺達が合格する事で自分達が不合格になるかもしれないのに、スタッフの人たちに必死に頼む彼女達の姿を見て心が震えた。


「待ちましょう」


 白銀あくあの声に全員が振り返った。


「責任は全部俺が取ります」


 俺達が合宿を始めてまだ2週間も経ってない。

 白銀あくあと直接会った回数だって両手で数えられるくらいだ。

 それなのに、どうしてそんな事が言える?

 なんでお前はそんなにも真っ直ぐなんだ?

 人を信じる事が怖くないのか?

 こいつは今まで見たどんな男とも違った。


「大丈夫。あいつは絶対に来る」


 白銀あくあは俺の肩をポンと叩いた。

 俺は声を振り絞り、はい、と小さく言葉を返す。


「でも、収録の時間が……」

「それなら気にするな。だって、ここに時間を稼ぐスペシャリストがいるだろ?」


 何があったのかはわからないが、ステージの方から大きな声が聞こえてくる。


「黒蝶孔雀。お前が最高のパフォーマンスをするために、俺が……いや、俺達がお前の抱えてる不安、今からそれを全部、吹き飛ばしてきてやるよ。だからお前はチームEとしてステージで最高のパフォーマンスをする事だけを考えろ。それが仲間に報いるって事だ」


 白銀あくあはそう言ってステージの方へと向かっていく。

 その大きな後ろ姿を見て、心の奥が熱くなった。


『あくあさんは俺の心に火をつけてくれるんだ』


 山田が俺に言った言葉を思い出す。

 白銀あくあの歌は、彼のライブは俺を昂らせた。

 俺だけじゃない。会場にいた全員が彼のライブに心を躍らせ、楽しそうにしている。

 ああ……俺も歌いたいな、踊りたいなと思った。今もどこかに居る揚羽に、1人じゃないんだと伝えたかった。


「あれが白銀あくあなんだよ」

「黛慎太郎……」


 隣に立った黛慎太郎はメガネをクイッとあげた。


「僕は自分の事があまり好きじゃなかった。母さんを悲しませて、それがわかってるのに何もできなくて……それが僕、黛慎太郎なんだよ。そして今だって僕は苦しんでるお前や黒蝶揚羽さんに対して何かをしてあげる事ができない自分を情けなく思ってる」


 俺と一緒だ……。黛慎太郎の気持ちが、その心が痛いほどわかった。

 今も山田に何か起こってるはずなのに、俺はあいつを助けに行く事もできない。

 揚羽が1人で苦しんでるってわかってていても、俺は1人じゃ何もできないんだ。


「それでもあいつは……あくあは、そんな僕の事を好きだと言ってくれたんだ。あくあは、僕よりも僕のいいところをたくさん知ってくれている。だから僕は、あくあのおかげで自分の事が少しは好きになれた」


 黛慎太郎は微かな笑みを見せる。


「僕はこれからもあいつに好きだって言ってもらえる自分でありたい。白銀あくあの隣に立つのに恥じない自分でありたい。だから、僕も行くよ。あいつの親友として、同じBERYLのメンバーとして、決してあくあを1人になんかさせたりしない。なぁ! みんな!!」


 黛慎太郎が振り返ると、後ろに天我アキラと猫山とあが立っていた。


「いつも女の子にデレデレしてるあくあが本気出してるんだから、僕も頑張らないとね」

「うむ。後輩がアイドルとしてやると宣言したんだ。それなら我らが全力でサポートするしかあるまい!」


 前に出た黛慎太郎に続いて2人も舞台袖からステージの方へと向かう。

 一体、どこに向かっているんだ。俺は3人が向かった先を見てびっくりする。


「揚……羽……?」


 どうして彼女がここにいるのか。俺はその意味を理解できなかった。

 もしかして俺のライブを見に……。くっ、それなのに俺は気づく事ができなかったなんて。


「黒蝶揚羽さん……。全ての男子を代表して、貴女にお礼を言わせて欲しい」


 白銀あくあの言葉に、俺はびっくりした。


「男性保護法、保守派である貴女がこの法律を大事にしてくれたからこそ、俺達男子はずっと守られてきた。だからそのお礼を言わせてほしい。今まで俺達を守ってくれてありがとう」


 この男は、白銀あくあは俺の想像なんかを遥かに超えていた。

 救おうとしている。俺だけじゃない、揚羽や、今、肩身の狭い思いをしている保守派の人間まで、今、この瞬間に全てを救おうとしているんだ。

 総理や皇くくり、藤堂紫苑や男性の雪白弾正や玖珂理人にだってできるわけがない。

 保守派と革新的な思考、女と男、黒蝶揚羽と対極にいた白銀あくあだからこそ彼女を救う事ができるんだ。

 この世でたった1人、黒蝶揚羽を唯一救う事のできる男。それがアイドル白銀あくあだった。


「許せない事だけど、貴女が守ってきたこの法律を盾にして悪さを働いた男子がいる。そのせいで悲しんでいる女の子達がいる事も知っている……。だけど、その罪と罰を貴女が背負う必要なんてないはずだ。その罪と罰は犯罪に手を染めた人達こそが背負い、償っていくべきだと俺は思う」

「で……でも、私は悪い黒蝶の当主で、その責任が……」

「確かに貴女は黒蝶家の直系で当主かもしれない。だからなんだ?」


 揚羽が今まで被っていた仮面が崩れ落ちていく。

 俺はそれを見て涙を溢した。

 白銀あくあは揚羽が求めていた言葉を投げかけ、彼女の心を掬い取るようにその全てを抱きしめる。


「例え世界の全てが貴女を否定しようとも俺が、白銀あくあがその全てを肯定する。だから、今度は俺が……いや、俺達が貴女を助ける番だ」


 黛慎太郎が白銀あくあに続くように揚羽に言葉を投げかける。

 すごいな。何が自分じゃ何もできないだ。

 ここで突っ立ってる事しかできない俺なんかより全然すごいじゃないか。

 俺も何かきっかけがあれば、お前のようになれるのだろうかと思った。


「たった一言でいい……いや、手を伸ばしてくれるだけでいい。俺達を信じてくれ。もし、貴女が手を伸ばしてくれるのなら、俺は親友のためにどんな事があっても貴女を守ってみせる。その不安ごと貴女を抱きしめて見せよう。黒蝶揚羽さん、だから俺に貴女を救わせてもらえないだろうか?」


 この世にこんなかっこいい男がいるのだろうか。

 なんとなく彼を好きになる女の子達の気持ちがわかった気がする。

 俺達が彼に対して抱く憧れの感情、きっとこの気持ちは男だろうが女だろうが関係ない。


「みんな! 俺が誰だか知っているか!?」

「知ってる!」


 俺は今、貴方の事を知ったよ。


「この国で貴方を知らない人なんて誰1人いない!!」


 山田はもっと早く貴方の凄さに気がついていた。


「貴方の前じゃ全ての女の子がお姫様!」


 男とか女とかじゃない。貴方はみんなにとっての理想のヒーローだ。


「みんなが貴方が来るのを待っていた!」


 俺が立ち止まっていても、貴方の方から俺のところへと来てくれた。


「貴方ならきっと私の大事な人を救ってくれると思ったから!」


 貴方はきっと揚羽の全てを救ってくれる。そう確信した。


「予定調和の未来なんか吹っ飛ばせ!」


 ああ……俺の心を覆い尽くしていた何かがどこかへと吹き飛んでいく。


「クソッたれた運命なんてぶっ潰せ!」


 真っ暗だった目の前に光が差した。


「常識知らずで完全無欠のアイドル!」


 だからこそ俺と揚羽は救われた。普通の男にこんな事はできない。アイドル白銀あくあだからこそできたんだ!!


「「「「「「「「「「白銀あくあだーーーーー!!」」」」」」」」」


 俺の心の声が全員のコールが重なった。


「改めて自己紹介します。黒蝶揚羽さん、俺の名前は白銀あくあ。他の誰でもない、貴女の事を大事に思っている人達のために、俺は1人で戦い続けてきた貴女を助けに来ました。だから、俺を貴女のヒーローにさせてくれませんか?」


 もう涙が止まらなかった。


「ありがとう。みんなもありがとう!」


 感謝しなければいけないのは俺の方だ。


『今もどこかで1人で戦っている人たちへ、恐怖に怯えている人たちへ、そして寂しくて涙を流している人達にこの曲を贈らせて欲しい』


 歌いたい。

 この気持ちをダンスに込めて、感謝の言葉を歌にして返したかった。

 俺が貴方に返せる事なんてきっとそれしかないから。

 だから、来てくれよ。頼むよ山田。


「待たせたな……孔雀!」

「っ!」


 振り返るとそこには山田が立っていた。


「く……来るのが遅いんだよ。馬鹿!」

「わ、わりぃ」


 近くで山田の顔をよく見ると、メイクで誤魔化していたが頬に殴られたような痕があった。

 きっと聞いたところで、お前はその殴られた理由を誤魔化すんだろうな。

 そうか。お前も何かを守るためにどこかで戦ったんだな。

 だったら俺が聞く事は、その傷跡の説明じゃない。


「山田……俺は今、めちゃくちゃ歌いたい。お前はどうだ?」

「ああ、俺も同じ気持ちだ! はは、ここにきて初めて意見があったな!」


 2人で並んでアイドル白銀あくあのステージを見る。

 救われた揚羽を見て笑顔が溢れた。

 ああ、こんなにも心が穏やかなのはいついつ以来だろう。

 心に刻まれたトラウマはきっと消える事はない。それは揚羽だって同じだろう。

 でも俺たちはこの痛みを抱えたまま生きていける。

 白銀あくあが、いやみんなが、それ以上の優しさと愛を以て俺達を包みこんでくれたからだ。


『さぁ! みんな、ここからが本番だ! 熱はまだ冷めてないよな? あとは頼んだぞ! チームE!! 山田丸男! そして、黒蝶孔雀!! お前達のライブが今日のラストナンバーだ! 最高にかっこいいパフォーマンスを俺達に見せてくれ。あとは任せたぞ!!』


 俺は隣の山田に視線を向ける。


「行くぞ。山田……いや、丸男!!」

「あ……ああ! 孔雀!!」


 俺と丸男はお互いの拳を合わせると、ステージの上に飛び出した。

 男子の俺達は女子のみんなが歌った課題曲とは違うイントロが流れる。

 同じ課題曲だとダンスの迫力や歌唱のハーモニーに差が出る事もあって、審査員の人達からはベリルが過去に歌った曲ならなんでもいいと言われた。


『君の代わりなんて、世界のどこを探したっていない。だから僕から離れないで』


 俺達が選択したのは、星水シロと白銀あくあのデュエット曲、Stay here。

 最初に歌う星水シロのパートは俺だ。少しでも丸男が体力を回復できるようにするためでもある。


『間違って、悔やんで、また間違った行動をする。そうして僕は君の時間を奪ってしまった。僕は君がどれだけ僕のことを考えてくれていたのかをわかっていなかったんだ』


 2人で歌うのに丁度いいから、それがこの曲を選んだ理由だった。

 でも、今は違う。俺の心が、感情が歌声になってメロディに乗る。


『僕はもう終わりだよ。君がそばにいてくれないなんて考えたくもない』


 いつだって揚羽が俺の側にいてくれた。

 揚羽が俺を守ってくれたから、俺は今、こうやってここに立っている。


『僕は君に何度も酷いことをした。だから変わらなきゃいけないって思ったんだ。君の代わりなんて、世界のどこを探したっていない。だから僕から離れないで。僕は君に取り返しのつかない事をしたかもしれない。だから謝らなきゃいけないって思った。だって、君の代わりなんて、世界のどこを探したっていない』


 それなのに俺は、揚羽が困ってる時や、不安に思ってる時に何もしてあげる事ができなかった。

 今更、そんな自分に何ができるんだろうって思う。

 それでも少しずつ自分に返せる事からして行こうと思った。

 立ち止まってるだけじゃもう嫌なんだよ。俺も前に進むと決めた。


『だから僕を待っていて!』


 俺は白銀あくあにはなれない。

 それでも俺は、貴女が誇れる息子になりたいと思った。

 だから待っていてほしい。その時は、揚羽の事を……笑顔でお母さんと呼ばせてほしい。

 俺はくるりとターンすると入れ替わるようにして丸男とハイタッチする。

 後は頼むと視線を送ると、任せろと言われた気がした。


『やっと君を捕まえることができた。この手で君に触ってもいいだろうか? 君のおかげで俺は愛に気付かされた』


 ここから先は白銀あくあのパートだ。

 歌声だって、ダンスだって、今の丸男じゃ白銀あくあには遠く及ばないかもしれない。

 それでも、白銀あくあには白銀あくあの、お前には山田丸男としての魅力があるはずだ!


『俺は君のことを信じることができなかったんだ。今までの関係を崩したくないから怖くて一歩を踏み出せなかった』


 行け、丸男! お前はもう白銀あくあの偽者なんかじゃない!!

 観客席にいる人達に、山田丸男を見せつけろ!!


『君は俺のせいで前を進むことをやめてしまった。1人取り残された君をみて俺はこのままじゃダメだって思ったんだ。だって君には俺が必要だろ? だからベイビー、俺のそばにいてくれ』


 チャールズ・ヘンダーソンとの秘密特訓のおかげだろうか。いや、それだけじゃない。

 丸男の中にあった自信の無さ、それが完全に消えていた。

 小さなミスがないわけじゃない。でもそんな事がどうでも良くなるくらい丸男はすごく楽しそうで、見ているこっちまで元気になった。

 サビに入る前、山田と視線がパチリと合う。ああ! わかった!!


『俺は君に何度も酷いことをした。だから変わらなきゃいけないって思った。君の代わりなんて、世界のどこを探したっていない。だから俺から離れないで。俺は君に取り返しのつかない事をしたかもしれない。だから謝らなきゃいけないって思った。だって、君の代わりなんて、世界のどこを探したっていない』


 丸男と俺、2人の歌声が重なる。

 ああ、なんて楽しいんだろう。

 俺と丸男は再び顔を見合わせるとお互いに頷いた。


『だからそこで待っていて、俺が君を迎えに行くから!!』


 俺達は舞台袖の手前まで出てきてた他のオーディションメンバーの手を掴んで、ステージの方に出るように促した。


『みんなまだ終わりたくないよな!』


 丸男が観客席を煽ると大歓声が返ってきた。


『お願いします。スタッフの皆さん!! せっかくだから最後に、全員で、今日まで一緒に頑張ってきたみんなと歌わせてください!!』


 俺と丸男が頭を下げると、それに合わせて観客席からも歌わせてあげてと声が飛ぶ。

 やっぱりこいつは凄いやつだ。観客席まで巻き込んで、自分のペースに持っていきやがった。

 そんな事、白銀あくあくらいしかできないぞ。


「いいぞー! 歌えー!!」


 白銀あくあの掛け声に戸惑ったスタッフさんが天鳥社長へと視線を向ける。


「いいんじゃない? 若い子に好きな事をさせるのは、大人の特権でしょ」

「あら、そういうあなたも私からすると十分若いわよ」

「ええ。だから何かあったらお願いしますね。藤蘭子会長」

「ふふっ、これは一本取られたわね。さすがは天鳥社長」


 2人のやり取りを聞いたみんなから笑みが溢れる。

 だが、一つだけ言わせてほしい。

 白銀あくあは大笑いしていたが、ベリルに何かあったら、その原因の99.9%は多分貴方にあると思う。

 隣に立っていた猫山とあと黛慎太郎がジト目になっているのを見て、2人も苦労しているんだなと思った。


『ありがとうございます! それじゃあ、みんなで歌おう!』


 2曲目に選択したのは、白銀あくあがカノン様と結婚した時にベリルの4人で歌った曲だ。

 1番を歌い終わったあたりで、審査員席から白銀あくあが飛び出てくる。 


「よっしゃ、こうなったら俺たちもいくぞ。ほら、みんなも」

「なんかそうなる気がしてたよ」

「あくあが大人しくしてるわけなんてないしな」

「よし、みんなで行くぞ!!」


 観客の手拍子もあって2番は更に盛り上がる。


『さぁ、最後は観客席のみんなも!』


 僅かに3分と少し。全員を巻き込んで最高の時間を過ごした。

 最後は全員で手を繋いで横一列に並ぶ。


「「「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」」」」


 本当に……本当に、楽しい時間だった。俺は隣に居た丸男と抱き合う。

 ありがとう。俺と一緒に歌ってくれて。その感謝の気持ちを言葉にして伝える。

 すると丸男は、俺の方こそ、一緒に歌ってくれてありがとうと感謝の言葉を返してくれた。

 周りのグループもありがとうとそれぞれに感謝の言葉を口にして抱き合ってる。

 自分がこんなにも晴れやかな気持ちになれるなんて思ってもいなかった。


『えーと……そ、それでは、只今より審査の時間に入りたいと思います。もう少しだけお待ちください』


 会場のアナウンスに合わせて舞台袖に引っ込む。

 俺は自然と揚羽のいるところへと向かう。


「孔雀君……」


 いざ、目の前に立つと何を言っていいのかわからなくなる。

 そんな時、丸男が俺の肩をポンと叩く。


「なんでもいいんだよ。思ってる事を言ってあげたらいいと思う」


 丸男はそれだけ言うと俺から離れて行った。

 ああ、そうだな。確かにその通りだと思った。


「今日……見にきてくれてありがとう。その……嬉しかった」


 俺は照れくさそうにそう言った。

 すると揚羽はポロポロと涙を溢す。

 ちょ、ちょっと待て、今、ハンカチなんて持ってないぞ。

 どうしたらいいんだと戸惑っていると、誰かが代わりにハンカチを差し出してくれた。


「あ、あり……がとう」


 揚羽にハンカチを差し出してくれたのは皇くくりだった。

 俺も揚羽もびっくりした顔をする。


「だから言ったでしょう。貴女に悪役は向いてないと」

「くくり様……」


 皇くくりはそう言うと、ゆっくりとステージの方へと向かう。


「本当の悪役っていうものがどういうものなのか教えてあげるわ。だからそこで見てなさい」


 何を言っているのかわからなかった。

 彼女は舞台袖から出るとステージの中央へと歩いていく。


「く、くくり様……?」

「えっ、ちょ、こんな予定あったっけ?」

「どういうこと?」

「まだなんか歌うのかな?」


 みんながどよめく。スタッフの人達は混乱した表情で周りを見る。

 相手は華族六家トップ、この国ではある意味で総理よりも立場は上だ。

 一般人がおいそれと何かを言える人ではない。

 それに今の皇くくりは、身に纏ってるオーラが違った。

 皇くくりは近くにいた森川楓に自分にカメラを向けるように促す。


「会場にいる皆さん。そしてこの映像を見ている全ての国民の皆様に、華族六家の総代にして皇家当主の私よりお伝えしたい事があります」


 皇くくりはそう言うと、カメラに向かって深く頭を下げた。

 まさかの事態にみんなが戸惑う。

 皇くくりがこんなにも深く頭を下げるところを見るのもこれが初めてだが、皇のトップがこういう形で頭を下げるなんて前代未聞だ。


「今回の事件に関して、私は一連の事件、その責任が黒蝶家やその当主、黒蝶揚羽だけのものとは思いません。これは私達、すべての華族が考えなければいけない問題だと考えます、全ての華族を代表して、私の方から被害者の皆様、そして大きな混乱を与えてしまった全ての国民に対して謝罪の言葉を述べさせてください。本当に、申し訳ございませんでした」


 皇くくりは再び頭を深く下げる。


「実際にそれぞれの事件などの被害者の人達にとっては、頭を下げるだけでは済まされないでしょう。今回の事件はすべての華族にとって一つの問題と捉え、被害者の方達には私達の方からできる限りの保障と償い、サポートの方をさせて頂きたいと思っています」


 皇くくりは3度頭を下げる。


「皇家当主として私は今回の事件を重く受け止めています。長年に渡りこのような不祥事が続いたという事は、このシステム自体に大きな問題を抱えているのでないかと思いました。2度とこのような悲劇を起こさないために、私は今ここに全ての華族特権の破棄と、華族制度自体の破棄を華族六家の総代として宣言します!」


 皇くくりの宣言に、会場が大きくどよめく。

 わかりやすくびっくりした顔をしていた揚羽は置いておいて、藤堂紫苑は表情を崩さずに拍手を送っていたが腹の中まではわからなかった。

 総理に至っては苦笑いでこいつやりやがったみたいな顔をしている。

 その隣で雪白のえるは爆笑して、雪白えみりはいつもの澄ました顔じゃなくて珍しくアホみたいな顔を見せる。ああいう顔もするんだなと少し驚く。

 玖珂理人や天草しきみも最初はびっくりした顔をしていたが、お互いに顔を見合わせると頷いて大きな拍手を送っていた。


「というわけで……明日からはただの皇くくりになっちゃいます! だからみんな、明日からはくくり様じゃなくって、親愛を込めて一般人のくくりちゃんって言ってね!」


 皇くくりはカメラに向かってウィンクしながらハートマークを作ると、最後は投げキッスでステージを後にした。

 みんながあっけに取られる。白銀あくあが舞台袖に戻ってきた皇くくりの元へと駆け寄った。


「くくりちゃん、本当にいいの?」

「はい! きっと、これで良かったんです。でも……これで明日から一般人になっちゃいました。あくあ先輩、何かあったらくくりの事、守ってくれますか?」

「もちろんだよ!!」


 みんながポカンと口を開けた。こんな皇くくりの姿を見て気がつかないアホなんて、彼女の目の前でデレデレした顔をしている白銀あくあしかいない。

 こっ、この女……自分が白銀あくあと何の障害もなく添い遂げるために、揚羽の計画を横取りして、揚羽と仲のいい雪白えみりの感情さえも利用し、総理や藤堂紫苑まで動かし、白銀あくあなら必ず揚羽を救ってくれると、その行動すらも予測して、自らの結婚の障害となりそうな華族の面倒なしがらみとか周りのなんとかみたいなのだけ全部排除しやがった……。なんて女だ……。


『え、えーっと……それでは、その、ですね。最終的な結果発表の方を、特別審査委員の白銀あくあさんの方からお願いできますでしょうか?』


 アナウンサーの表情を見て少し居た堪れなくなった。

 もう自分には胃が痛くて無理だと悟ったのか、持っていたマイクをなんとか森川楓に押し付けようとしたが、彼女は国営放送のアナウンサーだぞ……。他局の人間だ。諦めて君が最後まで頑張れ。

 白銀あくあは、そんな事にも気が付かずにニコニコと笑顔でステージの中央に出てきた。

 何で揚羽の事とか、肝心な事には気がつくのに、こんな誰にでもわかりやすい事には気がつかないんだろう。

 その頭の中と、こんな中でも一切動じないメンタルがどうなってるのか知りたい。

 俺達、オーディションメンバーは白銀あくあに手招きされて全員がステージの上に出た。


『最終審査の結果を発表したいと思います』


 全員が息を呑む。


『結論から言うと全員合格です』


 は? 全員? 俺達はびっくりして顔を見合わせる。


『そもそもの話、最終審査に選んだ時点で全員を合格にしようと思いました』


 白銀あくあは俺達に向かって、なぜ合宿をしたのか最後に最終審査をしたのかを説明する。


『つまり私達はこの審査を通じてそれぞれの覚悟と意思を最終確認したかったのです。現に鯖兎みやこさんのように合宿の途中で自らの道を選ばれた人がいるように。今、ここで歌い切って、色々と自分の心境に変化があった人もいるのではないでしょうか?』


 一瞬だけ白銀あくあと目があった気がした。

 どうやら俺があまりアイドル自体には興味がなかった事を見透かされていたみたいだな。

 それでも最後の最後に、俺はこの合宿と審査があったおかげで、色々と気がつく事ができた。


『みなさん今日は本当に長い間、ありがとうございました。そしてできれば、この子達がデビューした時に応援していただければ嬉しく思います。改めて、今日は本当にありがとうございました。そしてオーディションメンバーの皆さん。ほぼ2週間という短くない期間、最後までありがとうございました。そして、できればこの後もみんなと一緒に仕事を出来ることを楽しみにしています。個別面談はまた後日にやりたいと思うので、今日はゆっくりと休んでください。お疲れ様でした』


 会場全体が拍手に包まれる。

 何人かのメンバーは泣きながら抱き合って喜び合う。

 丸男がすぐに抱きついてきたが、恥ずかしかったので俺はそれを回避する。

 こうして短くない俺の、いや、俺達にとって一生の思い出となる冬休みが終わった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おまけ くくり様視点。


「ふぅ……」


 私は1人、近くに予約していたホテルに戻るとベッドに横になった。


「なんとか全部、うまくいって良かった……」


 揚羽お姉ちゃんの計画については聖あくあ教が掴んでくれてたけど、誰かが揚羽お姉ちゃんの予定を狂わせた。

 誰がやったかはおおよその見当はついてるけど、きっと我が国を情報戦でかき乱そうとした某国は知らぬ存ぜぬで通すのでしょうね。

 そんな事よりも、今はあの時のかっこ良かったあくあ様に酔いしれていたい。

 あくあ様は私の想像すらも軽く上回ってくれた。だからその後の私の計画もうまくいったんだと思う。


「ふふふ、えみりお姉ちゃんも揚羽お姉ちゃんもきっと喜んでくれるよね」


 これで2人も華族として周りの面倒な雑音に惑わされる事なく、あくあ様と自由に恋愛する事ができる。

 それに華族じゃなくなったら、昔みたいに私もえみりお姉ちゃんとか揚羽お姉ちゃんとか呼べるようになるし、気兼ねなくみんなで遊べるようになるよね? わーい! 楽しみだなぁ。

 お外だと誰が見てるかわからないから、今日もああいう感じになっちゃったけど、もう華族じゃないんだし、普通の中学生なんだから、みんなみたいに普通にしてもいいよね?

 あっ、そうだ。さっきのお礼も込めて、えみりお姉ちゃんにメール送っとこっと。

 今まではメールも監視されてたから、そっけない内容しか送れなかったんだよね。


 送信:皇くくり

 宛先:雪白えみり

 件名:今日の件について。

 本文:後日お礼をしたいから一緒に公園に行きましょう。


 う、うーーーん。もうちょっと砕けた言い方が良かったけど、長年の癖のせいかどうしてもそっけなくなってしまう。

 ま、まぁ、言いたい事は書けてるしこれでいいよね。私は送信のボタンをポチッと押す。

 すると直ぐにメールが返ってきた。


 送信:雪白えみり

 宛先:皇くくり

 件名:Re今日の件について。

 本文:公園!? い、犬の散歩ですか!? リードつけていきます、ワンっ!


 んん? 犬? お姉ちゃんが飼ってるのは猫じゃなかったけ。

 ふふっ、でも、メール送って秒で返ってくるんだから、きっとえみりお姉ちゃんも私とのデート楽しみにしてくれてるんだよね。

 楽しみだなぁ。2人きりで遊んだりするのなんてもう何年もやってないし。どうせなら次は揚羽お姉ちゃんやのえるさんも誘おうっと!

 私はワクワクした気持ちで眠りについた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「私達は仮面ライダーに顔向けできない生き方は出来ない」 憧れってのはこういうもんだと思う ところで捗る自称一般人化JCとの普段の関係についてくやしく
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