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皇くくり、スペシャリスト白銀あくあの本質。

 1月3日、オーディション合宿も残すところ後1日。

 1月5日には、ついにオーディション本番を迎える。

 今日は休憩時間にみんなで集まって、あくあ様が出演するテレビを全員でみる事になった。


【スペシャリスト 白銀あくあの本質】


 著名人やスポーツ選手などに密着してその本質に迫る国営放送の番組だ。

 過去には森川楓アナウンサー、ベリルを代表して桐花琴乃マネージャーに密着した番組が放送され、かなりの視聴率を稼いだと聞いている。聖あくあ教の情報筋によると、あくあ様に続いてカノンさん、天鳥社長あたりにもオファーを出していると聞く。

 ちなみにオーディション前に私のところにもオファーが来たけど、オーディションの勝負をフェアにするために突っぱねたわ。

 私はお母様と一緒。欲しいものは全て自分で掴み取る。なんでも好きなもの、望むものが与えられるからこそ、私は、いいえ、皇は六家のトップとして自らの価値を証明するために自らの力を誇示し続けなければならない。

 そのためには普段から、相手はどれだけ歳が離れた人だろうと舐められないようにしなければいけないと教えられた。


『ねぇ? 例のマッチポンプ……じゃなかった、マッチングアプリ? とかいうソフトの開発はどうなってるの?』

『え、あ、う、実はそのー、開発の方がですね。えーと、遅れてまして、ゴニョゴニョ……すんませんでしたぁ!!』


 この国の総理が私の前で秒速土下座をするのを見て微妙な気持ちになる。

 別に煽ってるわけじゃないけど、そうやって普通に頭を下げられる貴女の事を尊敬するわ。

 昔、私が間違った事をしてごめんなさいと言おうとしたら、黒蝶の前党首達からは、皇の者が頭を下げてはいけませんと止められた事がある。それ以来、私は誰かに対して頭を下げた事がない。

 それなのにこの総理や友達のためなら頭を下げられるえみりお姉ちゃん、この世界で私以上になんでもできて自由が許されてるあくあ様が、自らの理想とする世界を目指して頭を下げてる姿を見るとかっこいいなと思う。

 今日はそんなあくあ様の事をもっと深く知る事ができるとあって、私は目の前の画面に集中する。


【白銀あくあの朝は早い】


 ランニングで汗を流すあくあ様の姿にキュンとする。

 引き締まった体と精悍な顔つきは、やはり日々の弛まぬ努力のおかげなんですね。

 ああ、なんてストイックなのでしょう。素敵!


【我々は問いかけた。アイドル白銀あくあにとってトレーニングとは何かと……】


 椅子に深く腰掛けたあくあ様の姿が映し出される。

 スーツにサングラス!? あれ? このサングラス、つい最近、誰かがかけていたのと同じもののような気がします。


『もう1人の自分と向き合う事……じゃないですかね?』


 汗を流し苦しい表情で筋力トレーニングに励むあくあ様の姿が映し出された。

 でも、そんな苦しい時なのに、あくあ様はいつだって笑顔を見せてくれます。

 苦しい時にこそ笑顔を絶やさないという、アイドルに必要な事を教えられた気がしました。素敵!

 決して隣にいた桐花マネージャーの大きなものが、激しく上下に揺れていたからじゃないと自分に言い聞かせる。


【白銀あくあにとって食事とは?】


 あら、美味しそうな和食ですね。

 ペゴニアさんも料理がうまいけど、あくあ様の料理の腕前も中々のものだと聞きます。素敵! 


『意外……ですか? 実はもっと節制した食事をしていると思ったでしょ?』


 再びスーツにサングラス姿のあくあ様が映し出される。

 すごくらしくない感じしかしないのですが、これは番組の指示ですか?


『白銀あくあに取っての食事は感謝なんです。野菜を育ててくれた農家の皆さん、家畜を育ててくれた畜産家の皆さん、お魚をとってくれた漁師の皆さんへの感謝、そしてそれらを育てた大自然への感謝。料理はそれらを美味しく頂く事への儀式みたいなものなんですよ。旬の物、食べたい物を美味しく食べる。それこそが感謝の体現なのです。もちろん私のように体型をキープするためにはある程度の節制は必要ですよ。でも食事はやっぱり楽しまないとね。それが白銀あくあの流儀です』


 さすがはあくあ様、常に感謝の心を忘れていません。素敵!

 あくあ様って結構食いしん坊さんなんだとか、あ、可愛いなとか思っていた自分が愚かに見えます。

 それに食事でストレスを溜めないというのも重要な要素だと思いますわ。

 だって、あくあ様には長く生きて欲しいもの。


【アイドルとしての原動力】


 聖あくあ教のナンバー8、神狩りのんさんが運転する車に乗ったあくあ様は、移動の最中に会社へと送られてきたファンレターを読んでおられました。


『送られてきたファンレターは、俺にとっては大事な宝物です。これはさっきの食事にもかかっているのですが、人間、生きるためには栄養が必要なんですよ。その栄養を摂取するために必要な行動が食事なんです。アイドルにとってのパワーの源はファンの熱なんですね。そしてその熱を摂取するためにファンレターがあるんです』


 なるほど……あくあ様が添付されていた写真の方ばかりをチラチラ見ていたように見えたのは、きっと私の気のせいですね。

 だってすごくキラキラした純粋な目でファンレターを見ていましたもの。

 ああ、ファンの事をちゃんと考えてくれるなんて、あくあ様はやっぱり素敵!


【白銀あくあの宝物】


 学校で黛慎太郎さんや猫山とあさん、会社で天我アキラ先輩とふざけ合う姿が画面に映し出されました。

 年相応なあくあ様の無邪気なお姿を見ていると、何やら変な気持ちになりそうです。ああ! きっとこれが母性というものなのですね。なるほど、母になるって感情が少し理解できた気がしました。


『俺にとっても、アイドル白銀あくあにとっても、3人と出会えた事はとても大きな事だと思います。同じ夢を見てくれる友人がいて、志を共にしてくれる仲間達がいる。そして俺たちをサポートしてくれる頼りになる大人の人達には感謝しかありません。そう、白銀あくあの人生そのものが感謝なんです。それこそ今まさに、俺はお姉さん……鬼塚アナにも感謝していますよ』

『えっ? 私?』


 インタビュー役を務めていた鬼塚アナウンサーの驚いた顔がカメラに映し出される。

 あくあ様がシャツを着た鬼塚アナウンサーの胸の膨らみをガン見してた気がするけど、きっと私の目の錯覚でしょう。今日はいっぱいダンスの練習をしたから疲れているのだと思います。


『だからこそ、この環境に甘えすぎちゃいけない。俺はベリルで孤立してるんです。あえてね』


 後ろの方から、またあくあがカッコつけて何かやってるというとあさんの声が聞こえてきた。


『あくあ〜、天我先輩がみんなでお好み焼きとかもんじゃ食べたいって〜!』

『おー、わかったー!』


 あくあ様は再びカメラの方へと振り向くと、少し恥ずかしそうに咳払いした。


『俺はベリルで孤立してるんです。あえてね』


 どこが孤立しているのか全くわかりませんけど、あくあ様のキメ顔がかっこいいから素敵!

 後ろの方から、とあさんのあくあがみんなから孤立してる時は、女の子にデレデレしてる時だけだよという声が聞こえてきた。

 あくあ様のためにも、国営放送に後でそこはちゃんとカットしてあげなさいよって苦情のメール入れとかなきゃ。


『あと、天我先輩のサングラスで遊んじゃだめだよ』

『あ、うん』


 ああ、どこかで見た事があると思ったら、昨日の小ネタモノマネ王で黛さんが着用していた天我先輩のサングラスと一緒なんだ。

 その後は真剣な表情で打ち合わせをしたり、みんなと合わせの練習をしたり、個人レッスンをしたり、新しい振り付けを一瀬先生と一緒になって考えるあくあ様の真面目な姿が映し出される。素敵!


「ここにきて急に真面目になった」

「アイドルやってる時はちゃんとかっこいい」

「でもカッコよくない時のあくあPが好き……」

「アイドルのファンとしてはかっこいいあくあ様の姿が見たいけど、あくあ様のファンとしてはかっこよくないあくあ様が見たい。つまりどっちの姿も見れて嬉しい!」


 皆さん、ヒソヒソ話をするのは結構ですが、ちゃんと聞こえないように話してくださいね。

 後、らぴすさんはあくあ様の妹君なのですから、もう少しこうしゃんとしてください。なんというか、うちの兄様がいつもすみませんみたいな顔しないでくださいませ!


【スターの休息】


 家に帰ってきたあくあ様をカノンさんが出迎える。

 おかえりの熱い抱擁に、周りからは驚きの悲鳴が聞こえてきた。

 わ、私、まだ中学生なのに、見てもいいのでしょうか?

 あまりの刺激の強さに横になる女性スタッフさんもいました。


『何事においても休息は重要です。どんな人間でもずっと走り続ける事はできませんから。だから立ち止まってもいいんです。後ろに戻ったっていいんですよ。立ち止まったらそれは次へのダッシュのための休憩で、後ろに戻ったらそれは次に走り出す時のための助走なんです。だから息抜きの時間は大事にしないとね』


 ここでインタビュワーの鬼塚アナが思い切って、あくあ様に休日の趣味がないかと聞きました。


『ありますよ。実は最近ハマってる事がありましてね、こちらにどうぞ』


 あくあ様の案内で別のお部屋へと向かいます。

 メイドとして忍び込んでいる風見りんさん、くの一から報告のあった通りの間取りのようですね。

 私も将来、あくあ様の嫁になる身、来るその時のために、未来の我が家の間取りを覚えておくのは当然の事だと言えます。


『どうぞ』


 案内された部屋の中には、たくさんのキャンパスとそこに描かれた何かがありました。


『実は最近、絵を描く事にハマっているんです』


 え? 絵? そこに描かれているのが何なのか私には理解しかねますが、著名な芸術家達が前衛的だと評していたことからきっと素晴らしい絵なのでしょう。うんうん、きっとそうに違いありませんわ。素敵!

 そんな私にも唯一わかるのは、描かれていた字くらいだ。

 あくあ様の字は達筆だけど、サインとかの時によくわからない珍妙なマークみたいなものを入れられるとわからなくなります。夏コミの時もそれでみんなが混乱しました。

 えっと……画狂少年マジ……卍? 白銀あくあではなくて?


『この画狂少年マジ卍は、アイドルではなく画家としての俺の名義です』


 あくあ様はカメラに向かって、いつか自分の描いた絵で個展を開きたいと言ってました。

 なんでもマリア先生……聖あくあ教のナンバー7のように、絵で誰かの心を温かくしたいと思ったそうです。

 その時の熱とキラキラした目を見て胸がキュンとする。

 何をするにもいつだって本気のあくあ様はやっぱり素敵です!


【アイドル、白銀あくあとは?】


 ライブの舞台袖が映像に映し出される。

 これはこの前のクリマスイベントの時ですね。

 さっきとは一転して本気のあくあ様のお顔が胸に刺さります。


「くっ、アイドルをやってる時がカッコ良すぎて、絵が変でも許しちゃう」

「むしろかっこいいあくあ様を見てると、あの奇怪な絵も本当はすごいんじゃって思っちゃう」


 実際、あの絵は世界で評価されてるとかなんとか……。

 一部の美術大学では、あくあ様の絵を解読するための動きもあると聞いています。


『そもそもアイドルって何なんでしょうね。逆に聞きたいです。鬼塚さん、アイドルって何ですか?』

『えっ? あ……確かに、そう言われるとなんだろうって思います。私たちを楽しませてくれるというか、元気づけてくれるというか、そういう存在に近いんじゃないかな?』

『ありがとうございます! 俺はね。思うんですよ。アイドルって人によって、ファンの人達が求める事がそれぞれに違うんじゃないかなって、だから全部が正解だし、答えは一つじゃないって思うんですよね』


 あくあ様の真剣な横顔が映し出される。素敵!

 一呼吸置いたあくあ様はカメラに向かって優しく微笑む。


『自分の理想とするアイドル像、そしてアイドル白銀あくあとは何なのか、俺の人生はまだそれを探す旅の途中だと思ってます』


 きゃー! かっこいい! 素敵!!

 その後はライブの映像や舞台袖で忙しくするあくあ様の映像が流れる。

 ほんの少し前にここで同じものを見ていた時の現場に漂う空気を思い出して、背筋にピリッとしたものが感じられました。


【最後に、あなたにとってスペシャリストとは?】


 スーツ姿のあくあ様が映し出されました。

 サングラスがないところを見ると、どうやら天我先輩に返したようです。


『……アクア、シロガネって言いたいところだけど、俺は俺の理想とする俺にはまだ程遠いんですよね。だけど目標とする人ならいます』


 これが役者としてなら小雛ゆかりさんなのだろうけど、アイドル白銀として目標にする人がいるなんて初耳です。

 思わずそこにいた全員が顔を見合わせました。一瀬先生や甲斐さんも驚いていたから、きっと誰も知らなかったんだと思います。


『明星リリィ。多分、誰も知らないと思いますよ。俺も探しましたから』


 誰? 私は近くにいた聖あくあ教の信徒に視線で合図を送る。

 十二司教の1人、ハイパフォーマンスサーバーであればすぐにわかるはずです。

 あくあ様の憧れの人物、なんとしてもこの私が皇の全力を持って見つけてみましょう。

 最悪の場合は法務大臣を呼び出して戸籍謄本のデータベースにアクセスしてでも……いや、アイドル用の偽名だと見つからない可能性もあるのか。それだと少し難しいかもしれませんね。


『探しましたから? えっ? それってもしかして動画か何かでは見たけど、どこにいるのか見つからなかったっていう……?』

『ま、そんなもんです』


 あ……これは嘘をついている時の顔だ。

 あくあ様の演技力もあって誰も気がついてないけど、幼い時から鍛えられてる私は嘘を見抜く目がある。

 だから私は揚羽お姉ちゃんや、えみりお姉ちゃんがすごく良い人だって知ってます。


『あくあー、天我先輩が、広島風と関西風の両方食べたいって〜!』

『わかったってば! 今、収録中なんだけど……』


 あくあ様は再びカメラに視線を向けると、いつも通りの優しい顔を見せてくれた。


『というわけで、もう待ちきれない人がいるみたいなんで、ここまででいいですか?』

『はい! 今回はありがとうございました!!』

『こちらこそありがとうございました! 放送される日を楽しみにしてます!』


 あくあ様は席から立つととあさんの声が聞こえてきた方へと歩いて行った。


『あっ、やべ、白いスーツだとソースが跳ねたら大変だ。とあー、今からダッシュで着替えるから、天我先輩にもう少し待ってって言っておいてくれー』

『そもそもあくあが白スーツ着てたのなんて結婚式以来だよ。そんな服、普段は着てないのに、今日はどうしちゃったのさ……』

『いや、格好つけようと思って……後、ジョンから貰ったけどこういう時にしか着る機会がないんだよ』


 映像はそこで終わった。

 なんか最後が締まらない感じだったけど、その後に流れたED曲をピアノで弾くあくあ様の映像がカッコよかったのでやっぱり素敵!


「はー、なんか緊張してきた。明日で合宿も終わって、明後日にはオーディション本番なんだよね?」


 天宮ことりさんが机に突っ伏す。緊張した様子はあるけど大丈夫そうだ。


「せやで。受かった子達は翌日には、そのままベリルのアイドルとして餅つき大会と初詣に参加やろ」


 七瀬二乃さんは普段通りだ。緊張した様子はない。


「みんな明日の合宿が終わった後はどうするんだ? 私はメアリーだから近いけど、直前まで練習したいからここに残ろうと思う」


 桐原カレンさんは平静を装っているが、だいぶ緊張をしているように見える。

 フォローが必要かなと思ったけど、キャプテンのことりさんが気がついてそうなので任せておいていいだろう。


「近場の人は一時帰宅できるって聞いてるけど、うちは帰らへんよ。実家大阪やし、千葉の寮に帰るのも面倒だし、東京に樋町……知り合いのねーちゃんが今、きてるらしいけど、他人が寝れるような場所じゃないらしいしな。それに、ギリまで練習したいし」

「私は家が秋田だから、とてもじゃないけど帰れないよ。それに私もギリギリまで練習してたいし……でも、今年で卒業だから、ベリルに合格したら上京するんだー! ね。くくりちゃんはやっぱり家に帰るの?」


 私はジュースをストローで飲むと、一呼吸置いてから口を開く。


「ここまできたら、最後まで残るわよ。それに……みんなが残るなら私1人だけ帰れるわけないじゃない」

「そっかー」


 ことりさんはニコニコした顔で私に向かって微笑みかける。

 私はそれを無視するように再びストローでジュースを飲む。


「なんか、ここにきて私、くくりちゃんの事がわかるようになってきたなー」


 私はさらにプイッと顔を背けるとジュースをチューチューした。もう中身は空だけど、溶けた氷の水を飲んでるの。なんか文句あるって雰囲気を出しておく。


「悪いけど、話したいなら3人だけでどうぞ。私はもう行くから」


 そういって私は席を立つと、とある人のところに向かう。

 はっきり言ってアイドルオーディションなんて余裕だと思ってたけど、この私を以ってしてもまだ足りない。

 個人としての総合力、ダンスや歌唱力などを見ると、チームBのキャプテンことりさん、チームCの巴せつなさん、星川澪さん……それにあくあ様の妹のらぴすさんと、チームDの猫山スバルさんの5人が私と同じくらいだと思う。

 だからここら辺が相手なら、本番でも勝てない事はない。ことりさんは同じチームの仲間だけど、合否は個人なので仲間であり競い合うライバルでもある。だから彼女にも勝たないといけない。

 問題はそれよりも上だ。チームAの那月紗奈さんの事をずっと観察していたけど、隙が一つもない。完全無欠のアイドルと言っても過言ではないだろう。

 例えるなら素人の中にいきなり月街アヤナさんクラスが来たのだ。いや、流石にそれはと思うかもしれないけど、同じオーディションに参加している人達ならこの気持ちがわかるはずです。それくらい彼女はダンスでも歌唱力でも圧倒的でした。


 でも、本当にやばいのは彼女じゃない。


 チームCのキャプテンでセンター、祈ヒスイさん。歌唱力とかダンスのレベル以前に、彼女をみていると、たまにあくあ様と姿が重なって見える時があります。その姿は偽物の白銀あくあ、山田丸男さんの比ではありません。

 最初は私の気のせいかと思ったけど、他の人達やスタッフさん、それに一瀬先生や、モジャ先生、天鳥社長、桐花マネージャーらの反応を見て、自分だけじゃない事に気がつきました。

 つまり私達は女性アイドルのトップに君臨する月街アヤナさんクラスの那月紗奈さんと、あのアクアシロガネこと、アイドル白銀あくあの完全コピー、いや、もう1人の白銀あくあこと祈ヒスイさんと比べられ、競わないといけません。

 審査の基準点があの2人になるなら、残り2日で勝てない事はもうみんなわかってる。これがあくあ様なら、残り2日でどうにかしちゃうんだろうけど、私達はあくあ様とは違う。だから、どこか一つでも彼女に勝たないといけない。

 そのために私ができる事は一つだ。


「失礼します」


 私は私のために……あと、ほんの少しだけ苦楽を共にしたチームのために、振付師の一瀬水澄先生のいる部屋を訪ねた。

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[良い点] 悲報、ククリ様ぽんこつだった。 (今さら
[一言] 前世の師匠はアキオさんだかだから違うよな 未登場?
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