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星水シロ、冬休みの宿題ちゃんとやった?

「ちょっと、あくぽんたん! まだ話は終わってないでしょ!!」

「先輩ストップ! なんで家に帰ったらもう来てるんですか!? ちょ、俺、今から配信あるんですよ」


 小ネタモノマネ王を獲得して家に帰ったら、何故か玄関先で小雛先輩が仁王立ちしていた。

 この人……本当にめちゃくちゃ暇なんだな。

 どうやら、流石にあれくらいの事なら来ないだろうと思っていた俺の認識が間違っていたようだ。

 俺は助けを求めるように愛する妻、カノンへと視線を向ける。


「ツーン」


 なるほど、どうやらこちらもご立腹なようだ。

 まぁ、カノンはチョロ可愛いから、後でにゃんにゃんしたらどうにかなるとして、問題はこの暇を持て余した大女優である。


「ほら、これ、先輩のおかげでもらえたようなもんですから。ね。これあげるからもう許して……」


 俺は先輩に守田さんから貰ったトロフィーを手渡す。


「いらないわよ! それより、あんた次は私とでなさいよね!!」

「えー……」

「ちょっと! なんでそこで嫌そうな顔をするのよ! もっと喜びなさいよー!!」

「わかりました。出ます! 出ますから、ね? もう配信が始まっちゃいますから」

「最初からそう素直に言っておけばいいのよ。ほら、そろそろ配信なんでしょ。カノンさんの機嫌なら私が取っといてあげるから。ほら、行ってきなさいよ」


 小雛先輩〜! 今日、初めて小雛先輩が来てくれてありがたいと思いました。

 俺は感謝の気持ちを込めて小雛先輩に抱きつく。


「ちょっと! 私の体に頭を擦り付けるな!」

「あ、すみません。思った以上にあったんで、つい……」

「もう! 何考えてんのよ、このおバカ!!」


 俺は小雛先輩に正月空気のせいではっちゃけすぎた事を謝る。

 でも恥ずかしがる先輩の顔は貴重なのでありがたくいただきました。


「ふーーーん、小雛先輩、私より小さいけどあくあの好きな部分は私よりおっきいもんね」


 カノンさーーーん!?

 あっ、これはダメだ。目からハイライトが消えてらっしゃる。


「ほ、ほら、こっちはどうにかしておいてあげるから。大丈夫。カノンさんはあんたに似て結構単純だから、どうにかなるでしょ」

「わ、わかりました。先輩、あとは頼みます!」


 俺は小雛先輩に全てを丸投げすると、配信部屋へと逃げ込んだ。

 こうなったら後で1000回くらいは愛の言葉を囁いて許してもらうしかない。だからそれまでの間、よろしく頼みますよ! 小雛先輩!!

 俺はPCの電源をつけると配信用のソフトを起動させる。

 とあが用意してくれたチャット部屋に行くともうみんなが集まってた。


「ごめん。遅れちゃった」

「ううん、みんな、今来たところだし、時間内だから大丈夫だよー」


 よかった。

 配信は実際の現場と違って少し緩いのが良い所でもある。

 企業とかの公式Vtuberとか案件のお仕事や大型イベントならまだしも、個人的な催しとかコラボならイベントの開始時間が遅れる事も珍しくない。今回はなんとか開始時間までに間に合ったけど、そういう緩い空気感もプライベートの集まりっぽい感じがあっていいところだとされている。


「それじゃあ。全員揃ったしはじめようか。みなさんどうもこんばんは。本日の司会を務めさせていただく大海たまです!」


 今日、俺が星水シロとして参加するのは、Vtuber対抗、冬の宿題王決定戦という企画だ。

 この企画を考えたのはベリルじゃなくて、たまちゃんこととあが考えた個人的な配信活動の一環である。


「えー、学生の皆さんや、学生だった皆さんならご存知の通り。冬といえば冬休み。冬休みといえば宿題ですね。そういうわけで、今日はVtuber対抗! 冬の宿題王決定戦をやりたいと思います!!」


 パチパチパチ、みんなで手を叩いて拍手する。


「本日、この企画に参加してくれたみんなには既に冬休みの宿題の方を配布していて、前日までに全てのお題を提出してもらっています。それじゃあ、まず最初に今日のイベントに参加してくれたみんなの事を紹介するね! まずは、僕の親友、星水シロ!」

「シロだよ! お姉ちゃん達、冬休みだからってサボってないよね? 宿題をちゃんとやらない子にはお仕置きだよ!」


 全国の先生達のためにも、ちゃんと宿題をやるように促しておく。

 みんなだってお仕置きは嫌でしょ。


【お、お仕置きの内容を詳しく!!】

【あー、お仕置き、あー!】

【お仕置きされたいから宿題やったけど、やってない事にします!!】

【まだ宿題やってないけど、お仕置きされたいので宿題やりません!!】

【もう一回学生に戻って宿題サボるのでお仕置きしてください!!】

【先生にお仕置きはないんですか!?】

【私、学校の先生だけど、シロくんなら宿題やってきてなくても許します】

【むしろお姉ちゃん先生は、宿題を忘れたシロくんにお仕置きしたいな!】


 あれー? なんか思ってた反応と違う。みんな、ちゃんと宿題はやろうよ。ね。

 後、最後のお姉ちゃん先生は個人的にどういうお仕置きをするのか知りたいので、後でDM送ってくれたりとかしないかな!? あ……でもDMはスタッフさんが全部チェックしちゃうんだよね……。


「そして僕のもう1人の親友! 豆打アン君です!」

「どうも。餡子大好き豆打アンです……」

「あれれ? アン君、テンション低くない?」

「さ、さっき、帰ってきたばっかりだから……」


 大海たまと星水シロの親友、豆打アンの中身は何を隠そう黛慎太郎だ!

 ベリルエンターテイメントお笑い部門じゃなかった、Vtuber部門に所属する3人目のVtuberである。

 ダウナー系のショタっこで、目の下にクマがある吸血鬼という設定だ。


【アン君、顔おねむじゃん!】

【お姉さんのお布団空いてます!】

【ああ、もういつもなら寝てる時間だから】

【どこかの誰かが巻き込んだりするから】

【お姉さんと一緒に夜更かししよ?】


 慎太郎の配信画面を確認すると、アンの頭が左右にぐらぐらしてた。

 大丈夫か!? 眠たくなったらあとは俺がどうにかしておくから、遠慮せずに寝ててもいいからなと裏でメッセージを送る。


「そしてここからはゲストの紹介だよ! お嬢様なら頭がいいでしょ! って事で、十二月晦日(ひづめ)サヤカ先輩に来てもらいました!」

「おーっほっほ! 十二月晦日サヤカですわ!! 皆様ごめん遊ばせ!! 今日はたまちゃんに誘われて、皆様を蹂躙しに来ましたの! ふふふ、お嬢様というものを理解(わか)らせて差し上げますわ!」


 お嬢様キャラのサヤカ先輩は、俺が優勝したCreamRAWカップで敵チームのメンバーだった1人だ。

 うーん、この声、つい最近もどこかで聞いた気がするんだよなあ。俺の気のせいか?


【はいはい、最初だけ最初だけ】

【そう言って、また、サヤカお嬢様が理解らせられるんですよね?】

【こーれ、今がピークです】

【高笑いも今だけ、最後いつも小声になっちゃうんだよな】

【今日もお嬢様の敗北を見に来ました!】


 サヤカ先輩、めちゃくちゃリスナーに煽られてるじゃん……。


「回答者、最後の4人目はこの人! ホロスプレーの大先輩、鞘無インコさんです!!」

「よっしゃー! みんな見とるかー! 今日は、やったるでー!!」


 インコ先輩は今、1番勢いのあるVtuberだ。

 いつも配信ランキングではトップにいるし、乙女ゲーム配信ですごく頑張っていると聞いている。


【インコ、乙女ゲームから逃げるな】

【ウンコさん、乙女ゲームまだ?】

【なんで乙女ゲームやってないんですか?】

【もちろん終わった後に朝まで乙女ゲームするんだよね?】

【もうインコ以外、乙女ゲーム攻略を諦めてる件について】


 ウンコじゃなくてインコでしょ!

 女の子にうんこなんて言っちゃダメだよ!


「そして今回の宿題を作ってくれた人を紹介するよ! ベリルエンターテイメントVtuber部門より、今日がデビューです!! 忍足みつ先生です!!」

「ふはーっはっは、我が生徒たちよ! 講義の時間である!!」


 みつ先生の中身はもちろん天我先輩だ。

 先輩のキャラクターみつ君は、ギザ歯のショタっ子で大人サイズのブカブカ白衣と眼鏡をかけてるのが特徴だ。あと何故か悪魔の翼とツノ、尻尾がついてるけど、これはコスプレという設定である。


【みつ先生、マイクの音大きすぎ。ちょっと下げて】

【やったー! 4人目来た!!】

【4人揃ってシロたまアンみつ……】

【なんか甘いもの食べたくなった】

【白玉餡蜜が全員ショタなのは阿古社長の趣味ですか?(この発言は管理者天鳥社長によって不適切だと判断されたために削除されました)】


 最後の人、コメント削除されてるけど大丈夫?

 今日は特別に削除のラインを緩くしてるらしいけど、それでも削除されたって事は、この人はよっぽどの事を呟いたんだろう。それこそ触れちゃいけない何かに……。


「はい。そういうわけで今日はこの6人でやって行こうと思います! それじゃあ最初の宿題はこれだー!!」


 たまちゃんは後ろにあるモニターを指差す。


[国語のドリル]


 パチパチパチ! みんなで手を叩いて拍手する。

 国語のドリルなんて本当にいつぶりだろう。


「えー、それでは最初の問題を見てみましょう!」


 たまちゃんの後ろにあるモニターに問題が表示される。


[餅は〜。〜の部分に入る言葉は何!?]


 あー、そういえばそういう問題があったっけ。

 これ11月あたりに琴乃から問題をもらって、提出したのも12月なんだよね。


【これは簡単でしょ】

【みんな間違えないでしょ】

【インコ舐めるな】

【うんこのインコ頭舐めるな】

【ウチのうんこがすみません。先に謝っときます】


 サヤカ先輩以上にインコ先輩が煽られてた。

 いやいや、この問題は簡単でしょ。流石にこれを間違う人なんていないと思う。


「はい。これの答えは皆さんご存知の通り、餅は餅屋です! 簡単ですよね?」


 俺はうんうんと頷く。


「でもね。1人だけ間違えちゃった人がいるんです」


 たまちゃんの後ろにあるモニターに直筆の答えが映る。


[餅はあべ川]


 あー、これは普通に自分の好きなお餅の種類を答えちゃってますね。

 誰、これ? 慎太郎、まさかお前……。


「えー、解答者はインコ先輩です!」

「なんでや! 餅はあべ川やろ!! それともあれか!? やっぱり磯辺か!?」


 インコ先輩か……。すまん慎太郎。俺とした事が一瞬だけお前の事を疑っちまったぜ……。


【やっぱりインコはインコだった】

【※この中で1番最年長です】

【インコ、お前、Vtuberでほんと良かったな!!】

【知ってるか? これが乙女ゲーム攻略組の唯一の生存者なんだぜ】

【やっぱりインコに攻略を託すのは不安だ。嗜み〜早くやってくれ〜〜〜!】


 たまちゃんがコホンと咳をたてる。


「えー、さすがというべきかなんというべきか、こういったことわざ問題に関しては、シロ君とアン君、それにサヤカ先輩はほとんど間違えませんでした。みんなストリーマーなんだからさ、もうちょっとウケを考えて答えてよう! その一方で流石はインコ先輩です! ウケ狙いのためにいっぱい頑張ってくれました。それではインコ先輩の解答を一気に見ていきましょう!!」


 たまちゃんの後ろにあるモニターに、インコ先輩の解答一覧が表示される。


[遠くの親戚より近くのベリル]

[一年の計は乙女ゲームにあり]

[2階から森川楓]

[森川楓に手を噛まれる]

[泣きっ面に小雛ゆかり]

[触らぬ小雛ゆかりに祟りなし]

[鬼に小雛ゆかり]


 2階から森川楓!? 鬼に小雛ゆかり!? 俺は画面を見て口をポカーンとあける。

 う、うーん、でも触らぬ小雛ゆかりに祟りなしは正解にしてあげたいな。個人的に!!


【ごめんたまちゃん。これネタじゃなくてガチなんだ】

【さすがインコやで!】

【やっぱ頭のレート帯がうんこじゃねぇか!!】

【インコ先輩、後輩5人の口が全員ポカーンになってます】

【2階から森川楓って何www?】

【説明しよう! 2階から森川楓とは、乙女ゲームで2階にいたはずの森川楓が、選択肢によっては何故か窓ガラスを割って上から落ちてくる強制クソイベントの事です】

【2階から森川楓は草すぎるwwwww】

【乙女ゲームをプレーした人達は、泣きっ面に小雛ゆかりと触らぬ小雛ゆかりに祟りなしの2つに全員が頷いてそうwwwww】

【鬼に小雛ゆかりとかもう最強すぎだろ。せめて小雛ゆかりに金棒にして……。】

【なんで鬼が小雛ゆかり持ってんだよ。よく考えろ! 小雛ゆかりが鬼を振り回している方が自然だろ!!】

【1年の計は乙女ゲームにあり。年末年始も乙女ゲームやってる先輩は違いますね】

【遠くの親戚より近くのベリル。まさにその通りなんだよね。by黒蝶一派】


 インコ先輩の画面を確認すると、なぜかインコ先輩の口もポカーンと開いていた。


「えっ!? これ、間違ってるんか!?」

「うん」


 たまちゃんは困った顔で、正解の一覧を表示する。

 それを見たインコ先輩は、混乱した表情で頭の上にクエッションマークをたくさん浮かべた。


「えっと、国語のドリルは特にこれといってなかったんだけど、一個だけ、これは晒しておかないとなと思った答えがあって……まずは問題を見てください」


 たまちゃんは後ろにあるモニターを指差す。


[頭隠して○隠さず]


 ほうほう。そういや、こんな問題もあったなー。


「えー、ちなみにシロ君の解答はこれでした」


 ん? 俺なんか間違ってたっけ?


[頭隠して胸隠さず]


 えっ!? これって正解じゃないの!?


【これは仕方ないね】

【仕方ない仕方ない】

【中の人が出てきてるよ!! ちゃんと隠して!】

【なるほどなるほど、隠れないほど大きなのが好きなんですね】

【草w】

【ゆかりご飯:ばか】

【乙女の嗜み:ふーん】

【月とスッポン:へー】

【ラーメン捗る:ぽろんいります?】

【ソムリエール:そんなにないけど私のでよければ!(この発言は管理人TOOOKAに不適切だと判断されために削除されました)】


 心なしか画面の向こうにいるジト目のたまちゃんの奥から、ジト目のとあが透けて見えた気がした。


「それじゃあ次の課題に行きます。国語のドリルにちなんで、次の課題は読書感想文です!! 読書感想文といっても実際に小説を読んで読書感想文を書くわけではありません。お題としてこちらが選んだ映像のシーンで、その時のキャラクター本人の気持ちを皆さんに考えてもらいました!!」


 たまちゃんの後ろにあるモニターにお題の映像が映し出される。

 マスク・ド・ドライバー、ヘブンズソード第8話より、神代と剣崎がファストフード店でバイトするシーンが映し出された。


『剣崎、俺のエレガントなポテートゥの返しと、完璧にマリアージュされた塩捌きを見よ!!』


 無駄にかっこいいポージングでハッシュドポテトを作る神代が映し出される。


『神代……残念だが、ハッシュドポテトの提供は朝だけだ。あと、その無駄になったハッシュドポテトの代金はお前のバイト代から引いておくように後で店長に言っておく。悪く思うなよ』

『なっ、なんだと!?』


 映像はここでストップする。


「はい。それではこの時の神代の心情を答えた皆さんの回答がこちらです。」


 四分割された画面に俺達の解答が映し出される。


[星水シロ:本番で返しが失敗しなくてよかった]

[豆打アン:何も考えてない]

[十二月晦日サヤカ:ハッシュドポテトが朝しか提供しないなんて誰が決めたんだ? 我はそんな常識にとらわれたりはしない!!]

[鞘無インコ:ポテトうまそうやな……あかん、お腹空いてきた]


 おっ、答えがバラけたな。それにしても慎太郎……お前、その答えはダメだろ……。


【アン君が結構辛辣で笑ったwww】

【何も考えてない。あると思います】

【何も考えてないはある意味真理でしょ】

【ゆかりご飯:アン君、君の隣にいるシロとかいう奴もきっと何も考えてないわよ!】

【シロ君の答えは神代じゃなくて中の人でしょ!】

【サヤカお嬢様、良い線いってるぞ!!】

【どうしたんだ? 今日のお嬢様が珍しくまともなんだが、何か変なもん食った!?】

【インコさぁ。それ、お前の感想だろ!】

【すみませんすみません。ウチのインコが問題の意味すら分かってなくてすみません】

【お嬢様以外、誰もまともに答えてなくて草w】

【ちょっと〜、みんな、みつ先生が悲しそうな顔してるよ! もっと真面目に考えてあげて!!】


 モニターにしょんぼりとしたみつ先生の顔が映し出される。

 初登場の時はテンションは、どこに行ったんですか?


「それでは先生、答えをどうぞ!」

「ただでさえ前のバイト代が0円なのに、今回のバイト代も0円になるのかという絶望」


 神代、そんなに失敗してた設定だったのか……。今、初めて知ったよ。

 ていうか、問題が難しいよ! こんなのわかるわけないってぇ!!


「というわけで正解者は0人です。それでは次のシーンをどうぞ」


 映像がさっきストップされたシーンに戻ると、一時停止が解除されてその次のシーンが映し出される。


『好きなものを食え。神代の奢りだから気にするな』

『剣崎……くっ、気にするな。好きなものを食え!』

『冗談だ神代。もちろん俺が出す。だってお前、失敗しすぎて今日のバイト代なしだぞ』

『剣崎……!』


 映像が再びストップする。

 あれ? このシーンは問題にあったかな?


「はい。そういうわけで、みんなはさっきの答えを聞いた上で、今からリアルタイムでこの時の神代の心情について答えていただきたいと思います! 制限時間は3分、それでは、どうぞ!!」


 うーん。ここは素直に感謝の気持ちでいいんじゃないかな。

 俺はサラサラと解答を記入してOKのボタンを押す。


「時間だよ〜! それじゃあ、みんなの解答を一斉に見ていきたいと思います!!」


 たまちゃんの合図でモニターに俺たちの解答が映し出された。


[星水シロ:剣崎、ありがとうな]

[豆打アン:何も考えてないパート2]

[十二月晦日サヤカ:剣崎、お前……。見つめ合う剣崎と神代、剣崎のさりげない優しさに触れた神代は……はわわわ。これ以上はいけませんわいけませんわ!]

[鞘無インコ:こっちはまだ晩御飯食ってへんのにさっきから飯テロすな!!]


 慎太郎!? 頼むから少しは先輩の気持ちを考えてやって!

 流石になんも考えてないはない……よな?


【みんないい加減すぎるwww】

【先生、泣きそうになってるじゃん! みんなもっと先生の気持ちも考えてあげて!】

【あーいけません。お嬢様それはまずいです】

【ちょっと待って。急に動悸が……】

【お前ら正月に倒れるのはやめろよ!】

【インコ、飯食え!!】

【スタッフさん、インコにちゃんと餌付けしてあげて!!】


 画面が切り替わると隅っこで体育座りをしているみつ先生の姿が映し出された。

 ほらー、みんなが真面目に考えないから拗ねちゃったじゃん!!


「えっと……先生、正解の方をもらってもいいかな?」

「あ、うん。でも、みんなどうでもいいみたいだし」

「そんな事ないよ! ねぇ、みんな!!」


 俺は何度も首を縦にブンブンと振った。

 すると単純なみつ先生はみるみるうちに復活していく。

 ふぅ、先輩が単純で助かったぜ。


「実は3日前からミスが多くて働いた分だけ天引きされてて1円もバイト代が出てないんだ。なんならついでに俺の飯を奢ってくれ。と、思っていたと聞いているぞ!」


 いや、わかるわけないし! そんな裏設定があったなんて初めて知ったよ!!


【神代マジかよwwwww】

【知られざるヘブンズソードの裏側】

【なるほどね。あの回、やたらと神代が壁にもたれかかってたのはカッコつけてるんじゃなくて、空腹だったって事か】

【空腹説ウケるwww】

【という事はやたらと遠くを見るような目をしていたのは、空腹で意識が朦朧としてたって事!?】

【なんか色々と謎が解けてて草w】

【アン君の顔が混乱してて草www】

【そりゃアン君も混乱するよ!】

【シロ君! 可愛いお顔がホゲ川さんみたいになってるよ! 気をつけて!】

【お嬢様何ともいえない顔になってて草w】

【インコ! 涎垂れてるぞ!!】

【ラーメン捗る:くっそー、バイトの休憩時間終わった。ここまでか!】


 読書感想文の企画が終わると、次は社会の問題だ。

 普通、次は算数のドリルじゃないのかって思ったけど、そういう細かいところに突っ込んじゃいけない。


「それじゃあ、最初の問題、いっくよー!」


 モニターに選択された問題が映し出される。


[世界3大美人を答えなさい]


 はっきり言って、この問題は楽勝だったね。

 え? コレ、間違う人っているの?


「それではみんなの答えを見ていくね」


 モニターに俺たちの解答が映し出される。


[星水シロ:白銀カノン、雪白えみり、白銀らぴす(10年後)]

[豆打アン:クレオパトラ、小野小町、ミスコンの時のあくあ]

[十二月晦日サヤカ:白銀カノンさん、雪白えみりさん、あくあお姉様]

[鞘無インコ:雪白美洲様、白銀カノンさん、あくあお姉様]


 ちょ、あくあお姉様って何!?


【コレは仕方ない。あくあお姉様は最強だもん】

【シロ君は仕方ないとして、お嬢様やインコも普通にカノン様選んでるのウケる】

【やっぱりカノン様って美人なんだって理解らせられる私達】

【雪白えみりさんってさっきのモノマネ王出てた人じゃん】

【あの人、ガチの美人さんだったもんなー】

【えみりさん、ぶっちゃけ若い時の美洲様より美人だった】

【カノン様とえみりさんは私が見た中でもダントツの美人だと思う。でもいちばんはやっぱりあくあお姉様!!】

【あんな美人が本気で森川楓のモノマネするんだもん。笑わないのが無理だよ】

【待って、この解答ってだいぶ前だよね。って事は、シロ君とサヤカさんって以前からえみりお姉様を見た事あるの!?】

【あ……シロ君はラーメン竹子に行ってるから知ってるはず】

【雪白えみりさん、これは嫁、確定でしょ。誰のとは言わないけど】

【乙女の嗜み:何がとは言わないけど全部許します】

【嗜みwwwww】

【嗜み単純www】

【ソムリエール:国営放送のスーパーアナウンサー森川楓ちゃんは!?】

【アン君が真面目に答えてて草と思ったら、最後の最後でwwwww】


 本当じゃん! よく見たら慎太郎の最後の答えが俺になってる!?

 え? 最後の1人が出てこなかったから、俺が見た中でいちばんの美人を書いたって!?

 へへっ、よせよ。照れるだろ。


「えっと、正解はインコさんです。本当はクレオパトラ、楊貴妃、小野小町が正解なんだけど、時代にそぐわないという事で教科書を選定する文部科学省がアンケートをしたところ、この3人がトップになりました。つまり、来年の教科書はコレに変わるので受験生のみんなは注意しようね! 多分、来年にはサヤカさんの解答になってそうな気がするから、こっちも正解でいいと思うけどな」


 え? 待って? それってこの問題が出たら、俺は自分の名前を書かなきゃいけないの!?

 はっず、自分で自分の名前書くのはっず。って思ったけど、カノンも自分で自分の名前書かなきゃいけないのか。うん……。


「それでは次の問題です」


 モニターに新しい問題が表示される。


[今度辞書に掲載される事が決まった国営放送のアナウンサー、森川楓さんが発した現代最高の名言とはなんでしょう?]


 コレわからなかったんだよなー。

 楓が言った名言ってなんなんだろう。結構、番組とか見てるはずなんだけどな。


「コレは簡単でしたね。なんかシロ君だけは分かってなかったみたいだけど……」


 えっ!? みんなこの問題わかったの!?


「みつ先生、答えの方をいいですか?」

「うむ! この国には白銀あくあがいる、だ!」

「正解です!」


 え? 何それ!? ランウェイショーの時にそんな事を言ってたの!?


【これはイージー】

【日本国民が全員知ってる名言】

【後の迷アナウンサー、森川楓の誕生である】

【ぶっちゃけこの時の森川はまだマシだった】

【森川がおかしくなったのはスターズに行ったあたりから、あの辺からだんだんやばさが露呈してきた】

【ソムリエール:やっぱり森川さんはすごいな!!】

【こいつ恥ずかしくないのかなwww→ソムリエール】

【乙女の嗜み:なんか恥ずかしくなってきた】

【嗜み、気持ちわかるぞ】


 あれー? みんな知ってたの!?

 俺だけ? っていうか、これが名言って大丈夫!?

 他にもっとこう、なんかあるんじゃないの? 知らんけど……。


「それじゃあどんどんやっていくよー!」


 その後もしばらくいろいろな宿題の提出が続く。


「えっと、最後の課題は絵日記の絵です。今からみんなに描いてもらった絵を公開しようと思うんだけど、えー、まずはシロ君を除くみなさんの絵を見てください。ちなみにお題は今年の思い出です!」


 おー、みんな、上手く描いてる!!

 慎太郎が描いたのはこれ、初めて配信した時にみんなでゲーム内BBQした時の絵だな。わかるよ! 楽しかったもんな!!

 サヤカ先輩が描いたのは、伝説となったゾンビゲームの配信回かー。わかりますわかります。

 そしてインコ先輩は何これ? え? 今の配信部屋!?

 寝袋とか敷いてるけど、ちゃんとしたところで寝た方がいいよ!


「みんな、すごく上手に描いてくれました。ただ……ホロスプレーのスタッフさん! せめてベッドでインコ先輩を寝かせてあげてください!! お正月も大晦日も家に帰ってないのに、流石に可哀想だよ!!」


 え? インコ先輩って年末年始一回も家に帰ってないの?

 すごいな。きっと自分の配信とかにもストイックなんだろう。同じ配信者として尊敬しちゃうな。

 でも、スタッフさんはせめて家に帰らせてあげてよ。俺ですら年始はちゃんと家でみんなと過ごせたのに……。


「あ……ホロスプレーのスタッフさんによると、ベッドは手配中だそうです」

「やったでえええええええええ! これで硬い床ともおさらばや!!」


 よかったよかった。


「はい、それでは最後にシロ君の絵を2枚公開するんだけど、ここから先はシロ君の代わりに先生が解答者に入ってください」

「うむ! 任せておけ!!」

「それじゃあ画面の前のリスナーのみんなも一緒になって答えを考えてね!!」


 俺の描いた絵が画面にデカデカと表示された。

 うんうん、自分でも上手く描けたなと思う。


【画伯キター!】

【ナニコレ?】

【月とスッポン:ごめん、なんもわかんない】

【ゆかりご飯:わかった! 牙があるから猫でしょ!】

【牙マジじゃん】

【ゆかりご飯さんすげー!】

【乙女の嗜み:尻尾があるけど太いから猫じゃなくて犬じゃない?】

【うおおおおおおおお!】

【小雛ゆかりX乙女の嗜みコンビならワンチャンこれ正解にたどり着けるんじゃね?】

【最強の2人が揃っちゃったか】

【この2人がいるなら勝てるぞ!!】


 えっ? みんなコレがわからないの?

 すごくわかりやすいと思うんだけどな。


「わかったぞ! コレはラクダだ!! 背中にぼこぼこのようなものが見える!!」

「みつ先生ぶー!」

「なぬっ!?」

「わかりましたわ! 口から何か出ているように見えますし。コレは、唾を吐くアルパカですわ!!」

「はい、サヤカ先輩もぶー!」

「残念ですわ……」

「ここは一旦、動物とかいう固定観念を捨てるんや!! わかった。暴れる野生の森川楓や!」

「んっんー。惜しい! 流石ですインコ先輩!!」

「なんやて!?」

「わかったぞ。これは地団駄を踏む小雛ゆかりさんだ!」

「あー! さすがアン君! もうコレはほとんど正解でもいいよね。それじゃあ、改めて聞くけど、シロ君、これは何?」

「街を踏み潰し火を噴く大怪獣小雛ゆかり先輩……じゃなくて、大怪獣ゆかりゴンです!! 前にゲーム配信した時に怪獣を作るゲームで作った大怪獣ゆかりゴン。みんなも覚えてるかなー?」


 自分で言うのもなんだけど、コレは傑作だ。

 この怒った顔でがおーっとしてる顔なんて最高にそっくりでしょ


【ゆかりご飯:よし。表にでろ! 全面戦争だ!!】

【ゆかりご飯さんこっわw】

【アン君すごーい!】

【アン君はシロ君の事がわかってるんだね!】

【うっ、動悸が……】

【誰だよ。小雛ゆかりと乙女の嗜みがいれば最強だって言った奴www】

【小雛ゆかりも嗜みもポンコツだったな】

【あの2人をもってしても難しかったか。アン君は本当によくわかったよ】

【言われてみたら何となく小雛ゆかりに見えるの草w】

【意外とそっくりじゃん。こんな感じだよwww】

【コレから小雛ゆかりさんの事をみてもコレが頭の中で浮かんできそうで草wwww】

【月とスッポンさんから12ヶ月分のサブスクが贈られました!】

【月とスッポンさん逃げて】

【それ後で怒られる奴w】


 心なしか外で小雛先輩がギャーギャー言ってる声が聞こえる。

 こんな事もあろうかと配信部屋の入り口をペゴえもんに守らせててよかった。


「はい。それじゃあ次で最後の問題にしたいと思います。どうぞ!!」


 画面が切り替わると2枚目の絵が表示される。

 はー、もうこれは簡単すぎでしょ。サービス問題すぎてごめんねみんな。


【史上最大の難問キター!】

【コレ世界七大問題か何かですか?】

【明らかに難易度が上がってて草w】

【えっ? マジでヒントが何もないじゃん】

【ゆかりご飯:こんなのわかるわけないでしょバカ!!】

【ゆかりご飯さんガチギレしてて草www】

【乙女の嗜み:ごめん。もう何もわからない】

【絵がぐちゃぐちゃしすぎなんだよね】

【多分、伝えたい情報がいっぱいあって、そのせいで絵が整理し切れてないんだと思う】


 えっ!?

 わかりやすくするためにいっぱい描いたのが余計に仇になってたって事!?

 そんな……結構時間かけて描いたのになぁ……。俺は画面の前でしょんぼりした顔を見せる。


「コレはコスモだ! コスモが俺を呼んでいる!!」

「みつ先生、ハズレー」

「いや、普通にわからん」

「アン君、諦めないで! 君が諦めたらもう誰もわからないよ!」

「ごめんあそばせ。わたくしも見当が付きませんわ……」

「うん。普通に考えてわかるわけないよね」

「わかった。大阪の街や! ごちゃごちゃしてるところがそれっぽいやん!!」

「うん。インコ先輩ありがとう。やっぱりみんなもわからないよね……。シロ君、解答を聞いてもいいかな?」

「えっと、コレはわかりやすいと思うんだけど、シロの友人あくあのためにスターズで歌ってくれた時のかっこいいたまちゃんです!!」


 後で映像を見たけど、あの時のたまちゃんには痺れたし感動した。

 コレがあくあとしてならカノンとの結婚をチョイスするけど、星水シロとしてならいちばんかっこいいたまちゃんを選んであげたかった。

 たまちゃんもこのチョイスには感動しているんじゃないかな?


「シロ君。3ヶ月くらい口聞かなくてもいいよね?」

「え? なんで!?」


 俺は意味がわからずに困惑する。


【乙女の嗜み:たまちゃんは怒っていいよ】

【あ、うん。選んだ題材のチョイスはいいと思うんだ】

【ごめん。化け物かと思った……】

【たまちゃんの気持ちもわかるけど、シロ君だって悪気があったわけじゃないから許してあげて!】

【もうこうなったら絵描き配信を続けよう。そして画力向上を目指すんだ!!】

【たまちゃん。心なしか嬉しそうな顔してるし、さっきのは冗談だと思う】


 俺がオロオロしていると、たまちゃんが小さく舌を出す。


「ふふっ。嘘だよ〜。僕との思い出を選んでくれてありがとうね。でも、シロ君は本気で絵を描く練習した方がいいと思う。今度はみんなで絵描き伝言ゲームしよ」

「わ、わかった!」


 そういえば前にマリア先生に俺の描いた絵を見せた時、これは芸術です。あまりにも難解すぎて常人では理解できないかもしれませんと言われた事があったな。

 くっ、すまないみんな、どうやら俺の絵は人類には早すぎたようだ。

 よーし、こうなったら沢山絵を描いてみんなに理解してもらえるように頑張るぞー。


「それじゃあ、今日の配信はこれにて終わりです! みんな、ありがとねー!」

「ありがとう!」

「感謝しますわ!」

「ほな。またなー!」

「みんな、ありがとう!!」


 こうしてたまちゃんの企画、冬の宿題王決定戦を無事に終える事ができた。

 俺は配信を閉じると自分の部屋から出る。


「ようやく出てきたわね。このあくぽんたん!」


 あっ、やべ。大怪獣ゆかりゴンの存在を思い出した俺は、そっと配信部屋の扉をまた閉じた。

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[一言] >俺の絵は人類には早すぎた マジホンマにな(真顔
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