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白銀あくあ、みんなもっと素直になれよ。

 後日、俺達はカノンを交えた4人で、改めて今後について話をする事になった。


「とりあえず結婚についてだけど……深雪さん、ううん、結さんはあくあと結婚する方向で話を進めてもいいのよね?」

「はい。できれば妻の立場で、より近い位置であくあ様の事をお支えしたいと思っています」


 結はキリリとしたいつも通りのクールな表情で受け答えをする。

 カノンと話し合う前にも2人で少し話したけど、結はストレートに俺と結婚したいと言ってくれた。

 俺としてはもう宣言をする前から結婚まで行く覚悟は決まってたし、責任もちゃんと取ろうと思っている。だから結が結婚したいといえば結婚するし、そうじゃないのなら最大限その希望を叶えるつもりだった。


「仕事の方は今後も続けていく方向で考えています。あくあ様の事を考えてもその方がいいと思いました」

「ありがとう。私の方としても、あくあの周りの人たちとも顔合わせしている結さんが今後も仕事を続けてくれるのなら、とても助かります」


 カノンはいつものように優しく微笑むと結と固く握手を結んだ。

 あれ……? なんか今日の嫁、凄くちゃんとしてない?

 いつものポンコツカノンちゃんはどこに行っちゃったのかな?

 ま、どっちにしろ可愛いからいっか!


「姐さんも、結婚する方向で話を進めてもいいのよね?」

「はい。私もあくあさんの事を側で支えたいと思っています」


 琴乃との事前の話し合いは、あっさりと終わった結との話し合いと違って、ものすごく時間がかかった。


『ご、ごめんなさい!!』


 話し合いの最初に、勢いに任せて迫ってしまったと琴乃に謝罪された。

 いやあ、でも結局それに応じたのは俺だしな……。それに謝らないといけないのはむしろ俺の方だ。


『ごめん、琴乃……俺は琴乃にどうしても謝らないといけない事がある』


 俺は総理直伝のスライディング土下座で琴乃に謝罪した。

 ありがとう総理、隣でミルクティーを飲んでいたとあからは醒めた目で見られたけど、森川さんと2人で練習した甲斐があったよ! なんとなくだけど、俺の人生にとって多分土下座するのは1度や2度じゃ足りない気がするんだよね。


『あくあさん!? そ、そんな謝られる事なんて何一つ……』

『いや、琴乃聞いてくれ……。俺は本当に最低な奴なんだよ。琴乃から迫られた時、チャンスだって思った。琴乃の事を他の誰のものにもしたくなかったし、欲に溺れたっていうか、結婚したら自分のものになるって……本当に最低な理由でごめん!』


 特にベリル入社後になってからは琴乃が傍にいる事が増えた。

 それもあって意識する機会が増えたんだと思う。

 女の人は30超えると色気が出てくるって聞いた事あるけど、本当だって思った。


『あくあさんのもの……欲……あ、あの、あくあさんにとって、本当って魅力的なんでしょうか?』

『うん……』


 結の体もそうだけど、この世界には魅力的な体の女性が多くて本当に困る。

 そんな人達に、毎日毎日、無防備アピールされる俺の気持ちになってくれ。

 カノンは気軽に応じればいいっていうけど、そんな事になったら理性じゃ抑えられなくなって、もう毎日が爛れた生活になって、それ以外は何もしなくなる生活になると思う。でもそれじゃあだめだ。

 俺にはアイドルとしての夢がある。そのためにもある程度の自制が必要だと思った。


『あくあさん……最低の理由だなんてとんでもない。わ、私にとっては最高のプロポーズです』


 琴乃はこんな理由でも喜んでくれた。


「姐さんも、仕事は続けるんだよね?」

「はい。その……妊娠したとしても、極力休まないようにギリギリまで働いて早期復帰を目指そうと思ってます」


 俺個人としてはゆっくりして欲しいけど、アイドル白銀あくあとしては純粋に助かる。

 ベリルエンターテイメントにおいて、統括マネージャー桐花琴乃はそれほどまでに重要な人なのだ。

 ちなみに琴乃がお休みの間は、しとりお姉ちゃんが俺のマネージャーになって、スライドした阿古さんがとあに付く予定になっている。


「カノンさん、その……ごめんなさい! わ、私、そのお薬……飲んでなくて」

「姐さん、それは大丈夫だってもう何度も言ってるでしょ。正妻の方が先に子供を作らなきゃいけないとか、そんな古い慣習なんか気にする必要なんてないんだから。むしろ姐さんの年齢を考えたら、私の事なんて気にしないでいいから、ね」


 うん……改めて考えると、すごいよな。

 ついつい前の世界の価値観で考えちゃう時があるけど、これだけ落差があると頭が混乱するというか、何が正しくて間違っているのか、そのラインがわからなくなる時がある。


「そ……その代わり、ちゃんと私の事も……」

「あ、あぁ」


 カノンさんや。年頃の女の子がそういうアピールはやばいっす……。

 お腹を大きくしたカノン想像したら、男としてくるものがあった。


「結さんは子供、どうする……?」

「国家機密局の職員としては子供を作るべきなんだと思います。でも……私、個人としては子供を作るのがすごく怖くて、あくあ様とも相談して、当面の間はお薬を飲んで仕事として行いたいと思います」


 結……言い方……。


「子供を作るのが怖い?」

「はい、私は……あまり母や祖母とはいい関係を築けませんでした。だからこそ自分が子育てをする事に対して、すごく不安があります」


 2人で話し合った時、結は自らが母親になる自信と覚悟がまだないと言っていた。最近は少しずつお母さんと話をするようになったみたいで、お母さんとは少しずつ良い方向に向かっていると聞く。

 だから心を整理して、落ち着けて、その上で一歩を踏み出す覚悟ができるまでもうしばらく待ってほしいと言われた。俺としても結の考えを尊重したい。


「そっか……わかったわ。ところで結さん、結婚式は本当にいいの……?」

「はい、結婚式を大々的にすると公表しないといけませんし、私個人としては、担当官の仕事を続けるのであれば、結婚した事も内密にと考えております。ですから今後も、外では旧姓になる深雪の方で呼んでください」


 事前にした俺との話し合いでも結の意志は固かった。

 結の意志はできる限り尊重するつもりだと言ったが、俺にだってどうしても一つだけ譲れない事がある。

 俺は手を上げて発言の許可を嫁に求めた。


「結との結婚式なんだけど……大々的なのじゃなくって、身内だけでできないかなと思ってるんだけど、どう?」

「あ〜、確かにそれなら良いんじゃない? 本当に近い身内だけとか、なんなら2人だけでっていうのはアリかも」


 さすがは嫁、俺が言いたい事がちゃんとわかってるな。良いぞ、もっと結を後押ししてくれ!

 事前に話し合った時にも結は頑なに結婚式を挙げたがらなかったけど、その理由は建前な気がするんだよね。

 だから俺は結の本当の気持ちを知りたかった。


「で……でも……」

「結さん、何か気になる事があったら言った方がいいわよ。あくあって、こういうところは頑固だから、ちゃんと言わないと解決しないし、納得だってしてくれないと思うわ」


 うんうん、さすがはカノンさんだ。俺の事が俺以上にわかってるね。

 いやぁ、こんな出来た人が奥さんだと旦那さんは嬉しいだろうね。

 きっと世界一の幸せ者なんだろうなぁ! はい! 俺の事です!!

 自分でも浮かれてるなって思うけど、今日みたいに自分の心の中で、カノンが自分の嫁だって事を再確認して、よくニヤニヤしてる。

 バレたら気持ち悪いって言われそうだから、黙っとこ……。


「結婚式は……結構大変だと聞きました。事前の準備もあるし、本番だって小規模でやったとしても丸一日近く拘束されますよね? その……極力、私が自分でやってあくあ様の手間を省いたとしても、式当日など、ただでさえ忙しいあくあ様の貴重なお時間を、私なんかのために無駄に消費させるのは申し訳ないです」

「結……」


 俺は結の手にそっと自分の手を重ねる。

 そして不安げな結の顔をジッと見つめた。


「俺の事をちゃんと考えてくれてありがとう。でも、結のために使う時間で無駄な時間なんて少しもないから。むしろもっと俺の時間を使ってよ。俺も結の時間を使うからさ。そしたらそれが2人の時間になる。それが夫婦になるって事だと思うんだよね。だから次からは私なんかって言っちゃだめだよ」

「は、はい……」


 結は顔を赤くして小さく頷いてくれた。

 うんうん、わかってくれたようで何よりだよ。

 俺は笑顔で結の頭を撫でる。


「ずっる……」

「あくあさんずるいです」


 ええ!? 俺の何がずるいっていうのさ!?


「なんかもう全部がずーるーいー。今度、逆に私の方からやってみようかな? なんかそうしないとわかってくれない気がする」

「わかります。最後に笑顔で頭を撫でるところは間違いなく確信犯でしょう。あくあさんにああされたら、どんな女性であろうと有無を言わずに受け入れるしかありません」

「お嬢様方、そういう時は我々の武器である肉体言語でわからせた方がよろしいかと」


 嫁のずーるーいー頂きました。ありがとうございますありがとうございます!

 って、ペゴニアさんだめですよ。肉体言語で分からせられるのは、個人的にはやぶさかではないんですが、まだ話し合いは残ってますから、一旦落ち着きましょう。ね? ね? 話せばわかります。


「それで、姐さんは結局、結婚式はどうする事になったの?」

「ご存知の通り、私の両親は既に他界しています。だから最初は会社の人たちも含めて少数でのお祝いか、あくあさんが何かスキャンダルを起こした時のために、私との結婚式や結婚発表をスケープゴートに使うためにとっておくのも悪くないなと思ったんですが……」


 琴乃は俺の方をチラリと見ると、頬をピンク色に染める。

 あー、いいですね。普段はクールなのに、俺にだけ赤くなってくれるなんて最高です。


「……本音を言ってもよろしいのでしょうか?」

「琴乃、俺は琴乃がしたい結婚式がしたいな。琴乃がやりたい事、琴乃が楽しい気持ちになる事、琴乃が嬉しくなったり、喜んだりするのが俺にとっての幸せでもあるんだよ。だからほら、琴乃が本当にしたい事を言って」


 琴乃はさらに顔を赤くすると、口先を尖らせた。

 なにそれ可愛い!!


「……もう、やっぱり、あくあさんはずるいです」


 いやいやいや……どちらかというと琴乃のさっきのリアクションの方が遥かにずるいでしょ!?

 普段は頼り甲斐のあるキリッとしたクールでアンニュイなお姉さんがですよ、顔を赤くして口先を尖らせるなんて反則にも程があります。VAR介入の余地すらないでしょ。白銀あくあ審判はカノンへの忖度が金もらってるレベルのクソ審判だし、試合中にどんどんストライクゾーンが広くなるクソ審判だけど、ああいう可愛いシーンだけは絶対に1mmも見逃さないからね。

 もしこの場に他の男子諸君がいたら、全員にさっきの琴乃はあざと可愛いよなって、アンケートをとりたいくらいだ。


「私は……5人だけで結婚式がしたいです。あくあさんと私……それとカノンさん、楓さん、えみりさんの5人だけで、もしそれが許されるのなら、私にとって1番の幸せな結婚はそれだと思うんです。あ……もちろん、あくあさんのご家族の方がいても大丈夫ですから」

「うん、じゃあそれをしようか」


 即答だったね。

 ちなみに俺の家族は呼ばなくても大丈夫かな。家族には状況によっては呼ばないかもって話もしてるしね。


「本当にいいんですか?」

「もちろん、どこでどういう結婚式をするのか今から楽しみだね、琴乃」


 俺は琴乃の腰に手を回して抱き寄せると、軽めにイチャイチャする。

 目の前にジトーっとした目をした嫁がいるけど、それは見なかった事にした。

 だって、さっき見せた琴乃のリアクションが可愛かったんだもん。

 だから、ね、お願い、一旦ちょっと愛でさせて。

 大丈夫、その分、今晩はカノンの事をいっぱい愛でるからそれで許してよ!


「わ……私も結婚式……してみたいです」

「うん、結さん、私もそれがいいと思うわ」


 結は俺の顔をじっと見つめる。

 かわいいなぁ。結にそうやって見つめられると、俺すごくドキドキするんだよね。

 真っ直ぐに俺の事だけ見てるっていうか、この子、本当に俺の事が好きなんだなって嬉しくなっちゃう。


「2人きりで……できればお母さんも入れて3人でしたいです」

「いいよ。それじゃあまた今度、2人でお義母さんにその事を話に行こうか」

「は、はい……!」


 結の顔がぱあっと明るくなる。

 表情の変化は乏しいかもしれないけど、このほんの少しの差異に気がつくと凄く可愛い事に気付かされるんだよね。

 俺は結も抱き寄せて3人でイチャイチャする。そんな俺達を遠くから悲しげな表情で見つめる女性がいた。そう、嫁である。

 カノン……指を咥えてないで、ほら、俺の膝の上に乗るんだ! ちゃんと1番大事な正面は空けてるだろ? ペゴニアさんの厚かましさを見習ってよ。ペゴニアさんなんて、いつの間にやら嫁を出し抜いて俺の背中をちゃんとキープしてるんだもん。

 そうそう、私、私、自分を指ささなくても、もうこの場で余ってるのはカノンさんしかいませんよ。

 ほら、琴乃さんにも手招きされてるじゃない。ほら、ほら、早くおいで。

 よし、それじゃあこのまま4人でしっぽりと……なんてスケベな事を考えてたら、唐突に電話がかかってくる。

 こんな空気の読めないタイミングでかけてくるなんて、一体誰だろう思ったら小雛先輩だった。

 小雛先輩ならでなくてもいいかと思ったけど、なんか嫌な予感がしたから俺は一旦みんなから離れて電話に出る。


「もしもし、先輩? どうかしましたか?」

「……えっと、この前、アヤナちゃんと一緒に仕事したんだけどさ。その帰りに襲われそうになって……それは何とか助けてくれた人がいたからよかったんだけど、なんかちょっとアヤナちゃんの様子が変なんだよね。だからさ……申し訳ないけど、気にかけてやってくれない? 私が知っている限り、あんたに頼むのが1番いい気がしたんだよね。その、ごめん、忙しいのにこんな事頼んじゃって」


 襲われた……? 小雛先輩とアヤナが……?


「小雛先輩は大丈夫なんですか?」

「あ……私は別に大丈夫だけど……」


 俺は軽く深呼吸して自分の感情を制御する。


「無理してないですよね?」

「無理なんてしてないわよ。そんな事よりも……」

「いや、そんな事じゃないでしょ!」


 俺は思わず声を荒げてしまった。最低だ、本当は優しくしなきゃいけないのに、自分の事を考えてなさすぎる小雛先輩の事が赦せなかったからである。

 なんかよくわかんないけど、他の女性達とは違うベクトルで、この人には自分の事を大事にしてほしいと思った。


「俺にとってはアヤナも心配だけど、それと同じくらい小雛先輩の事だって心配なんです。だから絶対に無理だけはしないでください。俺みたいなガキじゃ頼りないかもしれないけど、辛い時は辛いってちゃんと言ってほしいです。なんなら今から抱きしめに行っていいですか?」

「ばか……でも、ありがとう……もう! 私に何を言わせてんのよ、本当にバカ! おバカ!! そういうのはアヤナちゃんに言いなさいって!!」


 声の感じを聞いているといつも通り……いや、素直にお礼を言ったり、さっきもごめんって言ってたし、普段の小雛先輩からすると明らかにおかしいな。どこか頭を強く打ったりしてる可能性がある。


「先輩……さっきからありがとうとかごめんとか、大丈夫ですか? 一応MRIとか……」

「お馬鹿! もう! 私だってたまにはお礼を言ったり謝ったりくらいするわよ!!」


 えぇっ!? 衝撃の事実に俺は目を丸くする。


「いや、聞いた事ないっす。やっぱりどっか強く頭を打ったんじゃ……病院行きましょう。今から俺が迎えに行きますから、ほら、大丈夫、病院は怖いところじゃないですから、俺がちゃんと付き添いますって」

「私は歯医者を怖がる小さい子供か!! もう、さっきのアレ、返しなさいよ!」

「さっきのって?」

「い、いや、そうじゃなくって……もう! 女の子のそういうのは聞き返しちゃダメなの!!」

「女の……子?」

「ちょっと!! 今の言葉、絶対に疑問符ついてたでしょ! 本気でどつくわよ!!」


 うん、いつも通りの小雛先輩って感じがする。

 話をする限りは大丈夫そうだけど、声だけじゃわからないこともあるしな。

 俺は適当な上着を羽織ると、リビングに戻って一旦携帯から耳を離す。


「ごめん、みんな。ちょっと俺、急用ができたから出かけてくるわ」

「うん、わかった。気をつけてね」

「どうかお気をつけて」

「何かあったらすぐに連絡ください」

「旦那様、あとは私達の方で楽しく女子会を致しますので、お気になさらず……ふふふっ」


 幸いにも大事な部分の話し合いは終わったし、3人には申し訳ない気がするけど、今はこっちのケアを最優先にする事にした。

 あとペゴニアさんはなんか変な事を企んでるでしょ。そういうのは駄目だからね、めっ!!


「先輩、とりあえずアヤナの事も気になるし、今からその話も兼ねて先輩の家行きます。あと阿古さんにもちゃんと言いましたか?」

「言えるわけないじゃない……」

「はいはい、俺の方から言っておきますね」

「え? あ……だ」

「駄目もクソもへったくれもありません。親友同士なのにこういう時に言ってくれないと、絶対に後で相手は悲しみますよ?」

「わ、わかった……。じゃ、じゃあ、自分から言う」

「後でちゃんと言ったかどうか阿古さんも確認しますからね」

「もう! そんな事しなくたって、ちゃんと言うわよ!」


 やっぱり、すぐに行くって選択したのは間違いじゃなかったな。

 会話を進めていて気がついたが、明らかにいつもの小雛先輩より弱気だ。

 たとえ傷つけられたりとかそういう実害的な被害がなかったとしても、襲われたって事が心に及ぼす影響は大きい。

 こんな時は1人じゃなくって、きっと誰かが傍に居た方がいいと思う。

 そう考えると小雛先輩が甘えられそうなのって、阿古さんくらいしか居ないんだよな。小雛先輩だってそれはわかってると思うけど、俺に電話をかけてくるあたりね……。甘え下手にも程があるよ。

 小雛先輩が相手だと大変だろうけど、こういう時に誰か傍で受け止めてあげられる人がいると俺も嬉しいんだけどなあ。そう思うくらいには、小雛先輩の事を気にかけているし、俺にとっても大事な人だ。

 絶対に調子に乗っちゃうし、何よりも俺が恥ずかしいから本人にはそんな事は言わないけどね。

 なんか……他の女の子相手ならそういう事を普通に言えるんだけど、先輩が相手だと恥ずかしくなって絶対に言えない。きっと先輩がすぐに俺を揶揄ってくるからだ。うん、きっとそうに違いない。


「とにかく、今から行きますから、おとなしくしててくださいよ」

「……ありがとう」


 本日2度目のありがとう……だと……?

 こりゃ、やべーな。相当な重症だ。急がないと!!

 俺は愛車に跨ると、小雛先輩の家に向かって走り出した。

ヘブンズソード関連のお話をfantia、fanboxにて掲載しております。

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