白銀あくあ、かわいい嫁が嫌いな旦那なんていない。
乗せられるところまで載せてみました。
多分これがなろうでできる限界。
イベントの翌日、朝起きた時に嫁パイが目の前にあった時は驚いたが、俺は眠った振りをしてほんの少しだけ嫁パイを堪能させてもらった。
後から聞いた話によると、どうやら俺は最後に力尽きて配信を閉じる前に眠りこけてしまったらしい。
それに気がついたカノンが配信を閉じてくれたおかげで助かったが、これがもし、寝言で女の子の胸大好き、ぐへへ、なんて言った日には炎上どころじゃ済まされないだろう。下手したら強制的に引退なんて事もあったかもしれない。
普通に考えて、ファンのみんなもそんな事を言うアイドルは嫌だろうしな。
こういう事がないように、次からはちゃんと体力配分も計算して仕事をこなしていく必要があるなと思った。
普段から鍛えてるからと言って、過信しすぎて無理してはダメだという事だろう。
今回のイベントは俺個人として、とても多くの反省点が出た。3人やスタッフのみんなが頑張ってくれたから事なきを得たが、最悪の場合はどうなっていたかわからない。
そう考えると、トラウマの事も2度目はないと思うが1度は病院に行っておいた方が安心かもしれないな。
カノンにもこれ以上心配かけたくないし……。
俺はメアリーお婆ちゃんに甘えるカノンへと視線を向ける。
「お婆ちゃん……」
「あらあら、カノンってば、あっちに居た時よりも甘えん坊さんになっちゃって。ふふっ、よかったわね。貴女、ちゃんと甘える事ができるようになって、私は嬉しいわ」
抱き合うメアリーお婆ちゃんとカノンを見て、俺はほろりと涙を流す。
長かったメアリーお婆ちゃんの旅行も今日が最終日だ。
まぁ、2度と会えないってわけじゃないんだけど、メアリーお婆ちゃんの立場を考えたら、そうそう気軽に会えるわけではないと思う。
「あくあ様、カノンが甘えられるようになったのは貴方のおかげかしら。ありがとうね」
メアリーお婆ちゃんはカノンとほんの少しだけ離れると俺の方へと歩み寄る。
「手の掛かる子だし、ちょっと面倒くさいところもあるけど、よろしくね」
「はは……でも、そこがカノンの可愛いところですから。任せておいてください」
俺がそう答えると、メアリーお婆ちゃんは優しく微笑み、カノンはちょっとだけ頬を膨らませてムーって顔をした。
ほらほら、そういうところが面倒臭いってお婆ちゃんに言われてる部分で、俺に可愛いって言われてる部分なんだよ。カノンの反応が可愛すぎて、俺はそっとカノンの頭を優しく撫でた。
「あらあら、カノンは愛されてるのね。頼れる人がいて羨ましいわ」
「お婆ちゃんも頼ってくれていいんですよ。だって、俺は貴女の騎士ですからね。何かあったらスターズまで飛んでいきますよ」
俺はメアリーお婆ちゃんの前で片膝をつくと、彼女の手を取ってもう片方の手を自らの胸の上に置く。
これは、はなあたで夕迅がヒロインの女の子がピンチの時に駆けつけたシーンの再現だ。
メアリーお婆ちゃんは夕迅のファンだって言ってたから、喜んでくれるといいけど……。
「あら……まぁ……やっぱり、あくあ様はとっても素敵ね。本物の夕迅様みたいだったわ」
「ありがとうございます。気がついてくれなかったらどうしようかと思ってました」
俺は立ち上がるとメアリーお婆ちゃんにハグした。
「どうか無事に帰宅できる事を祈っています。寒くなってきたし、風邪には気をつけてねお婆ちゃん」
「はい。本当にありがとうね。あくあ様のおかげで、こんなにも長い時間孫娘と一緒にいられてとっても幸せだったわ」
俺はゆっくりとメアリーお婆ちゃんから体を離す。
メアリーお婆ちゃんは体の向きを変えると、ペゴニアさんの方へと顔を向ける。
「ペゴニアも……全ては貴女にかかっています。色々と頼むわよ」
「はい! このペゴニアに全てをお任せください」
珍しくペゴニアさんが真剣な顔をしている。
うーん、この人が真剣な表情をしてる時って、大抵碌でもない事を考えてる時なんだよなぁ。
まぁ、流石にメアリーお婆ちゃんが変な企みとか考えたりしないだろうし、ペゴニアさんもカノンと違ってメアリーお婆ちゃんからの言葉だから真剣に聞いてるだけかもしれない。いや、それでいいのかとも思うけど、カノンが楽しそうだからいいのか。
それくらい今のカノンは、ペゴニアさんと時折、姉妹のようなやりとりをしている時がある。
最初はカノンを女王家から降嫁させてしまう事を心苦しく思っていたが、ただの女の子になってからのカノンの姿を見るとこれで良かったのかもしれないと思った。
「それじゃあ、みんな、またね!」
「お婆ちゃん、またね!」
「おばあぢゃん……グスっ」
俺は手に持ったティッシュで、隣にいたカノンの鼻をかんであげる。
全く、かわいいなぁ、もう。
そういうわけで、俺たちは今日から元の3人生活に戻った。
うん、つまりはそういう事である。
「それでは旦那様、お嬢様、おやすみなさい」
お風呂上がりにネグリジェを着たペゴニアさんは就寝の挨拶をすると、自分に与えられたメイド室へと向かう。
メイド室は基本的にキッチンの直ぐそばに配置されているので、このメゾネットタイプの物件においては主寝室からは最も遠いところにある。つまりは、ちょっとやそっとの音が聞こえないところにあるのだ。
「ふぅ……」
俺は軽く息を吐く。
ここまで俺はずっと我慢してきたた。そう我慢したのである。
メアリーお婆ちゃんと同居を始めてから2週間余り、もちろんカノンとは、そういう事を1度たりともしていない。
おまけに仕事や学校行事で忙しく、俺は深雪さんが家に来た日から今日まで平穏に過ごしてきた
俺だって健全な男子高校生の1人である。はっきり言って好きな人ともっとイチャイチャしたい。
もうこれ以上なんて我慢できるわけもないし待つなんて不可能だ。
それにメアリーお婆ちゃんのいなくなった寂しさをカノンが感じないためにも、やっぱり俺の愛で満たしてあげる必要があると思う。うん、そう、もう色々とね、満たしてあげたい。
「カノン……」
カノンは俺のカッコつけた声を聞いて、その小さな体をビクンと反応させる。
余計な小細工はいらない。俺は一呼吸おくと、余裕がある素振りを見せるようにゆったりとソファに体重をかけるようにもたれかかった。
「シャワー……浴びてこいよ」
言ったー! 言ったぞ俺!!
これなら鈍いカノンも俺が伝えたい事が理解できるはずだ。
見たかカノン。俺はもう初めてじゃない。あの頃の余裕のない俺と一緒してもらっちゃあ困るぜ!
これが君で初めてを捨てたニューあくあ君だ!!
「う、うん……でも、その……ね」
手を組んで指先をモジモジさせるカノンは恥ずかしそうな顔で俺の事をジッと見つめる。
ふっ、緊張しているのかい? 大丈夫、このマスターあくあ君に、安心して全てを委ねなさい。
俺はカノンに対して余裕たっぷりの笑みを返す。
「あの、私、さっき、お風呂入ったばかりなんだけど……」
あばばばばばば! そ……そうだった。
良く見ると今日のカノンは、今から寝るのに髪はツインテールにしてるし、寝巻きだってお揃いのアニマルパジャマじゃない。甘々のピンクのリボンやフリルがたくさんあしらわれたかわいい服を着てる。
おぉ……神よ! 俺は思わず両膝をついて我が国の八百万の神様に拝みそうになった。可愛いカノンが可愛い衣装を着ている。それらが生み出すハーモニーは、五つ星レストランで提供されている完璧にマリアージュされたフルコースのような完成度を誇っていた。
「もしかして……お風呂入ったけど、私、臭いのかな? それとも衣装とか髪型が好みじゃなかったとか……」
「すみませんでした!! 自分、ついこの前までガキだったんで、緊張して余裕見せようとして失敗してしまいました!! カノンに余裕あるって見せようとしてカッコつけてました!!」
俺は泣きそうな顔になったカノンを見て秒で土下座した。
やっぱこの前まで未経験だった奴が、一回させてもらったくらいで調子に乗るべきじゃなかったわ。
ここは素直に謝っておくべきだろう。カノンを悲しませるくらいなら、こんな変なプライドはいらない。
「そ……そっか、あくあも、まだ緊張してくれてるんだ」
ん? 心なしかカノンがすごく嬉しそうだ。
あれ? 女の子って余裕たっぷりな男の子の方がいいんじゃないの?
俺は首を傾けると、カノンは少し申し訳なさそうに笑顔を見せた。
「えっとね……。こんな事、ワガママだって、贅沢だって思うけど、その……普通にされるより、緊張してくれてる方が嬉しいかな。私、まだ、あくあの事、ちゃんとドキドキさせられてるんだって自信になるから」
俺は秒でカノンを抱きしめた。どうしよう……嫁が可愛すぎる……!
ミスコンの真決勝戦、優勝したのは何故か俺だったけど、俺の中ではずっとカノンが1番です。
「お、俺もカノンとは、いつだって初めての時のようにドキドキしてたい。今だって初めての時と同じくらい、ううん、もしかしたらそれ以上にドキドキしてるかも」
「そっか、私も、あの日の夜と同じくらい緊張してるよ」
俺は少しだけカノンから体を離すと、お互いに見つめ合う。
「部屋……いこっか」
「うん」
カノンは俺にぎゅっと抱きつく。俺はそんなカノンの背中にそっと手を回して、2人寄り添って寝室へと向かった。
翌日、すれ違ったペゴニアさんがニヤニヤとした顔で近づいてくる。
「昨夜はお楽しみでしたね!」
ペゴニアさん!? まさか監視カメラとかついてないよな?
後で帰ったら部屋の中チェックしておこ……。俺はそんな事を考えながら自分の家を後にした。
fantia、fanboxにてカットしたミスコンの話を投稿してます。
真決勝戦も今月中に投稿できたらいいなぁ。
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