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白銀あくあ、初めての声優。

 宇宙創生紀0092、新人類が宇宙での生活を始めてから92年の月日が流れた。

 なおも減少を続ける男性の人口、地上ではそんな男性たちを奪い合うために、未だに激しい戦争が続いている。


「さぁ、こっちにおいで坊や」


 数人の少年たちを侍らせる女性は下卑た笑みを浮かべる。

 地上にある多くの国で男性は一部の権力者たちだけに享受され、そこに住まう大多数の女性たちは男性と触れ合うこともなく一生を終えることは珍しく無くなっていた。

 その一方で宇宙に住まう人々は、男性をみんなの共通財産として扱ったり、自由恋愛で結婚した男性の自由を保障することで目まぐるしい発展を遂げる事になる。

 停滞した地球と発展していく宇宙。地球に住まう強欲な権力者たちが、宇宙にいる男性たちに目をつけるのは当然のことと言えるだろう。

 地球と宇宙の間で戦争はもういつ始まっても、それこそ明日始まってもおかしくない状況だったが、宇宙に住まう人たちはどこかで自分には関係ない話だと思っていた。でも平和だった宇宙にも静かに、そして確実に軍靴の足音が迫っている。


「ん? おかしいわね?」

「どうしたの?」


 大きなモニターを監視する軍服を着た2人の女性。

 そのうちの1人がカメラの視点を変え、異変を感じた場所をモニター越しに目視で再確認する。


「大丈夫、きっとデブリか何かね」

「OK、まぁ、誰かが攻めてくるにしろ、こんなデブリだらけのところに突っ込んでくるバカはいないでしょ」


 異常なしという報告を記載し、2人は通常業務へと戻る。

 もし、その時に、彼女たちが現地に部隊を派遣していれば……いや、例えそうだったとしても、これから起こる出来事は止められなかっただろう。なぜなら、既に事態はそこまで悪化し、もう喉元まで蝕んでいたのだから。


「こちら、ゼハル・イブラヒム……只今よりミッションを開始する」

「了解した。病気の妹を助けたければ、その身を神に捧げるのだ、ゼハル」


 とある砂漠に住まう民、その族長の末裔とされているゼハルは20歳の青年だ。

 そのゼハルが操縦する真紅のラインが引かれた漆黒の戦闘機が、軽やかな動きで隕石群を駆け抜けていく。





「おめでとうございますバートリー閣下」

「閣下、このような特別な場所にご招待して頂いたこと感謝いたします」


 多くの女性たちに囲まれた美しい私は、周囲に作り笑顔を振りまく。

 私の名前はカトリーヌ・バートリー。欧州連合の実質的なトップを務める大統領である。

 政治家としてはかなり若い部類にいる私だが、生まれた時から何をやっても優秀で、何よりもその有能さに見合うだけの野心に満ち溢れていました。それ故に私の性格は苛烈で、目的のためであれば肉親でさえも犠牲にし踏み台にしてきた事で、自国に多くの反発を生んでしまったことは認めざるをえません。しかし、それすらも黙らせる勢いで私は才覚を発揮し、今の立場にまで上り詰めて来ました。


「久しぶりだなカトリーヌ。いや、今は閣下とお呼びした方がいいのかな?」

「あら、こんなところにいたの、イングリッド。それと、やめてよ。どうせこんな所、他のやつなんて来やしないんだから少しは楽にさせなさいよ」


 この私に対して気さくに話しかけてきた女の名前はイングリッド・ロバーツ、連邦共和国の外交官で、将来の共和国大統領と目されている人物の1人だ。

 イングリッドは古くからの顔馴染みである。私と同じくらい優秀なのに、私と違って慎重すぎる性格と常識に囚われた思考が気に食わないけど、かと言って彼女とソリが合わないわけではない。それに何よりもイングリッドとの会話は、さっきのおべっかしか使ってこない無能な招待客との無為な会話より遥かに有益だ。

 私たちはお互いに持っていたグラスを傾けると、目の前に広がる星空へと視線を向ける。

 地球を周回する大きな建造物。スターズライン計画の第一歩となる超巨大宇宙ステーション。今日はその中で行われたお披露目式の真っ最中で、私は計画発案者の国の代表として、イングリッドは連邦共和国の代表団の1人としてその式典に参加している。


「今日も月は綺麗ね」

「あんなにも地表がデコボコしてるのに?」


 ロマンのかけらもないイングリッドの返しに、思わず笑みが溢れる。

 そうだ。そういえばこの女はそういう奴だったと改めて認識する。


「だからこそよ。あの凹凸が光を乱反射するからこそ、地球から見た月はあんなにも輝いて見えるのよ」

「そう……まるで、かりそめの美しさね」

「あら? その仮初の美しさを保つのが私たち政治家の役割じゃないの?」

「……そうね。あなたのいう通りだわ。でも私はかりそめで終わらせるつもりはないから」

「そ……」


 他愛もない会話、そんなひと時をけたたましいアラームの音が邪魔をする。


「何かあったみたいね」

「ええ……」


 私は冷静に、インカムで警備主任に状況を確認する。


「何があったの?」

「所属不明の戦闘機が、デブリ地帯を抜けてこちらへと向かってきているようです」

「アラームが鳴っているという事は、警戒ラインを超えてきたわけよね? どうして気が付かなかったのかしら?」

「申し訳ありません。デブリを誤検知したものとばかり……」

「言い訳はいいわ。さっさと対処なさい」


 私は近くにあった操作板を使って目の前にある窓を、問題のあった場所にある定点カメラの映像に切り替える。


「あれは……見たことのない戦闘機ね。どこの国のかしら?」


 イングリッドは立ち上がると、モニター越しに戦闘機を観察する。

 一見するとイングリッドは何も知らない素振りを見せているが、もしかしたら連邦共和国が関与しているのかもしれないので油断はできない。私は彼女の事にも注視しつつ、モニターの映像の方へと視線を向ける。





「悪いがここは通らせてもらう」


 トリガーを握った俺は、目の前に散開する迎撃用のオートドローンを撃墜していく。

 俺に与えられた任務は式典を妨害する事だ。そのために、超巨大宇宙ステーション【STARS ZERO】に対して、決定的なダメージを与える必要がある。


「あと少し……!」


 敵の迎撃部隊が完全に展開する前にけりをつける。

 俺がモニターの下に取り付けられたボタンを押すと、乗っていた戦闘機が変形して二足歩行の人型ロボットの形状へと変化していく。


『な……なんだアレは!?』


 ジャミングを無効化させ盗聴した迎撃部隊の音声が聞こえてくる。

 彼女たちが驚くのも無理はない。なぜならこの世界には。戦闘機から人型ロボットへと可変する機体などいまだに存在していないからだ。


『は、早い!?』


 流れるような動作で敵の攻撃を回避しつつ、手に持っていたビームセイバーで敵を無力化させていく。

 極力コクピットへの直撃を避けるように……相手を戦えなくするだけでいいのだと自分に言い聞かせる。


『こいつ……!』

『うわあああああああ!』

『ぐわあああああ!』

『脱出する!』


 これだけ減らせば十分だろう。

 俺は手に持っていたビームセイバーを巨大宇宙ステーションに向かって投げつける。

 ビームセイバーは巨大宇宙ステーションの壁面に激突すると、ドリルのように自らを超振動させながらその壁面を火花を散らしながら掘削していく。


「目的は果たした。帰投す……何っ!?」


 宇宙を駆ける一筋の光、どこからともなく放たれた一筋のビームが、俺の放ったビームセイバーの持ち手部分を焼き切る。ビームセイバーを振動させているのは持ち手部分なので、肝心要の部分を破壊させられるとビームを纏ってないただの剥き出しになった刀身が防護壁に突き刺さっているだけだ。

 これでは決定的なダメージを与えられない。つまりは任務失敗ということになる。


「くっ」


 同じ方向から放たれる2発目の攻撃。俺はすんでのところで攻撃を回避する。

 その方向に絞ってカメラをズーム拡大させると、モスグリーンの機体がこちらに向かってスコープ付きの大きなライフル銃を構えていた。


「何っ!? こいつ以外にも同じZの文字を持つものが存在してるのだというのか」


 刹那、俺の危機察知能力が働いたのか、頭で考えるより先に機体を翻す。

 完全に死角から放たれたビームによる攻撃、続け様に向かってくるミサイルを戦闘機へと変形しつつ回避する。


「3体目だと!?」


 大海原のように澄んだ深いブルーの大きなゴツゴツとした機体、それに加えて肩に刻まれた13の星のマーク……欧州連合所属の機体か?


『武装を解除して投降することをお勧めいたします』


 男……いや、正確には男の子か? 機体に見合わぬ幼げな少年の声に思わず反応しそうになった。

 俺は再び変形するとビームセイバーを使って青のZに攻撃を仕掛ける。

 しかし相手の持っていた全身を包み込むほどの大きな盾の前に攻撃が塞がれてしまう。


「くそっ、厄介な!! ……チィ!!」


 欧州連合の機体と対峙しつつ、もう1体のZからの攻撃を回避する。

 俺のこの機体も最新鋭機だが、この2体もデータにないことから間違いなく最新鋭機だ。自分の機体と同格である2体のZを相手にするのは明らかに分が悪すぎる。

 さてどうしたものかと考えていると、予期していなかった場所から爆発音が聞こえてきた。


『何!?』


 巨大宇宙ステーションの防御壁の一つが何者かの攻撃によって吹き飛ばされる。

 降り注ぐ焼夷弾、燃え盛る防御壁の上に照らされた赤を基調とした新たなZ。

 各所に使われた黄金色のパーツが暗闇の中で鈍く煌めく。その姿はまるで不死鳥、フェニックスのようだった。


『お前達はまた身勝手に侵略を続けるのか。それならば俺が、その凶行をここで止めるのみ!!』


 赤金のZはチャンネルを開放して、全方向へと語りかける。

 先程のパイロットと同じく幼さを感じる声だが、その声はとても強気で芯のあるハスキーボイスだった。


「これで4体目……」


 まるで誰かの描いたシナリオに沿っているかのように、運命に引き寄せられた者達が集まってきているようだ。


『新たなZ……くっ!』


 チャンスだと思った俺は、対峙する青のZへの攻撃を強める。

 入り乱れる4体のZ、それぞれの目的は不明だが、俺の目の前にいるこいつだけは間違いなく、組織の障害になるだろう。それがわかっているからこそ、ここで撃墜すべきだと考えた。

 徐々に激しくなっていく戦闘。エネルギーの残量を見ると、もう3分の2を切っている。

 戦いが終わった後の事を考えたら、あまりここでの戦闘を伸ばすわけにはいかない。

 焦る俺は攻撃を強める。しかし相手の強度が高く、俺の激しい連続攻撃すらも耐え抜く。

 4体が4体、それぞれに決定打がないままに時間だけが過ぎる。永遠に続くのではないかと思われたその戦いの均衡を崩したのは、宇宙に瞬いた純白の光だった。


『えっ……?』


 目が眩むほどの白に、俺たちは戦う事を止めてしまった。





「レオン……レオン……」


 誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。

 目を覚さなきゃいけない。そう思った俺はうっすらと瞼を開く。


「もう、レオンったら、こんなところで寝て! もしかして、またサボったんじゃないでしょうね? 教授に怒られちゃうわよ」


 雲一つない美しい空とエメラルドグリーンの海、そして真っ白な砂浜。

 ああ……またか、これが夢だとわかっていても、この一時だけ俺は笑顔になれる。


「レオンはさ。私と違って優秀なんだから……そう、だからね。向こうに行っても、頑張ってほしいな」


 真っ白なワンピースと大きなリボンのついた麦わら帽子、いつも笑顔だった彼女は、思ったように研究が進まなくて最近は俯くことが多かった。ずるい俺は、そんな彼女の弱った心につけ込む。


「きゃっ……レ、レオン?」


 後ろから抱きしめた時の彼女の温もりは、今もこの腕の中に残り続けている。


「ニーナ、結婚しよう。俺は、君を残していきたくない」


 俺の一言に、後ろから見た彼女の頬は真っ赤に染まっていた。


「わ、私なんかでいいの? レオンはモテるし女の子だって選び放題なのに、ただの幼馴染の私なんかじゃなくても、向こうできっと……もっと素敵な女の子とだって出会えると思うよ」

「そんなのどうだっていい。俺はニーナが欲しい……ニーナと一緒になりたいんだ」


 この時は幸せの絶頂だった。ゆっくりと頷いてくれた彼女を振り向かせると、俺と彼女の影が重なっていく。

 俺の気持ちに応えてくれたニーナとは、その夜のうちに結ばれた。


「それじゃあ、一旦向こうで手続きした後に戻ってくるから。その後にこっちで結婚式を挙げよう」

「う、うん、気をつけてね」


 俺の名前はクルス・レオン、地元から少し離れた大学に通う19歳だ。この国では比較的男性は自由に過ごせるが、20歳になれば強制的に誰かと結婚させられてしまう。男性でありながら特定の分野において優秀だった俺は、強制的な結婚を避けるために男性が自由に暮らせる宇宙を目指した。

 それと同じ頃、地上の戦争は激化の道を辿っていく、この国は中立を謳っているが、それだってもう怪しくなっている。だったら地上の戦争とは関係ない宇宙なら、きっとニーナと穏やかに過ごせることができるはずだ。

 はっきり言って俺はあまり勉強が好きじゃない。でも、ニーナと添い遂げられるならと頑張れた。

 そんな俺の頑張りを友達や家族も応援してくれたのである。この恩は必ず宇宙で成功して返したい。そして、いつの日かこの国に危機が迫ったときは、みんなの逃げる場所を作ってあげたいと思った。


「ニー……ナ?」


 でもそんな希望と幸福に満ち溢れた未来は一瞬で崩れ去っていく。

 俺がいない少しの間に一方的に仕掛けられた戦争。きっかけは仕掛けた側の国の食糧難。それも戦争のせいで食糧が足りなくなったからという自分勝手でひどい理由だった。


「残念ながら、彼女の意識がいつ戻るかはわからないわ」


 奇跡的に祖国から脱出できたニーナ。

 でも逃げる時に負った頭部への怪我が元で、彼女がベッドの上から目を覚ますことは無くなってしまった。

 どうにかして彼女の目を覚まさせたい。俺は藁をもすがる気持ちで動いた。


「彼女を助けたくはないか?」


 健康的だったニーナが日々痩せ細っていく姿を見て、俺もまた憔悴しきっていた。

 そんな時に声をかけてきた怪しい連中。

 俺に手を差し伸べてきたその手は、神か悪魔か……いや、そんなことはどうでもいい。


「ニーナが助かるのなら、俺はなんだってする」

「いいだろう。それじゃあ、私たちと一緒に大掃除をしようか。地べたを這いずる幼虫どもが羽化して雑音を撒き散らす前に、ね」


 ああ、そうだ……ゴミは処分しないといけない。

 愚かにも自分勝手な理由で戦火を拡大させ、俺から俺の1番大事な人を奪おうとする悪魔から、神に代わって裁きを下さなければいけない。


『そうだ、我々は神の代行者なのだ』


 俺は目の前にある2本の操縦桿をゆっくりと握りしめる。


「クルス・レオン……出撃する」


 俺の操縦する機体を包み込んでいた物が宇宙へとパージされていく。

 溢れるほどのエネルギーが純白の機体を覆い尽くし、プラチナの如き輝きを宇宙へと瞬かせる。

 その光はもはや宇宙に煌めく星々より明るく、月よりも輝いていた。





 声の出演


 クルス・レオン……白銀あくあ


 ゼハル・イブラヒム……天我アキラ

 ミハエル・ハーミット……猫山とあ

 ジョン・トルーマン……黛慎太郎

 タン・リューレン……赤海はじめ


 カトリーヌ・バートリー……西条栞

 イングリッド・ロバーツ……水森ミモリ


 レイゼン・ニーナ……鞘無インコ



 目の前に設置された大きなテレビにEDテロップが流れる。

 俺たちは今日、みんなで1月から放送が開始される宇宙の騎士ザンダム(仮)の収録現場にお邪魔していた。

 今日は既に完成した1話の映像を確認して、こんな感じですよっていう予定だったのに、天我先輩が我儘でやってみたいなんていうから、さぁ大変。

 その結果どうなったかというと、何故か他の声優さんも巻き込んで一気に1話を収録してしまう事態に陥ってしまった。

 ほんとみんなごめん……。

 でも現場は最初から熱がこもっていて、スタッフの人たちが収録したものをすぐに映像に当てはめてくれたので、さっきまでみんなでそれを鑑賞していた。


「つ、続きはまだか!?」

「落ち着いてください先輩、もう夜ですよ! 今日はもうみんな疲れてるから帰りましょう!!」


 なんとか俺と慎太郎、とあの3人で天我先輩を諌める。


「ほえ〜、ええ感じやん! それにしても初めての声優これでよかったんやろか?」

「インコ先輩……」


 俺が演じる主人公、クルス・レオン。その婚約者ニーナの声優を務めるのはVtuber星水シロとしての先輩であり、CRカップにも参戦したあのVtuber鞘無インコさんである。

 まさかこんな形で中の人に会うとは思っても見なかった。


「えへへ、まさかシロくん……やなかった、あくあ君とこういう形で共演するとは思わんかったで、これから暫くの間、よろしゅーな!」


 インコ先輩は中の人もインコ先輩だった。イメージを崩さないのはすごいというか、インコ先輩をモチーフにキャラクターデザインをしたのだろうかと思うくらいである。でも、本人に聞いたらオーディションだって言ってたし、そんなこともあるのかぁと思った。

 ちなみに俺の婚約者役であるニーナとはかけらも似てない。でも、それを違和感なく演じるあたり彼女の凄みを感じてしまった。これはきっと本放送でテロップを見たみんなは驚くだろうな。


「あ……あの!」


 この現場に来て驚いたことがある。

 俺たちと同じザンダムのパイロット役、赤金の機体を操るタン・リューレン役を務める赤海はじめ君だ。

 赤海はじめ君は中学生で、俺たちの2つ後輩に当たる。

 彼はどこかの事務所に所属しているわけではないが、この作品が声優を募集しているという事を知って、自分から直接音声付きのメールを送って応募したそうだ。

 その行動力たるや良し! これからもこうやって意欲のある男性が増えていけば、もっと世の中にいい作品が生まれていくはずだと思う。俺の本業はあくまでもアイドルだけど、自らの役目として他の分野も盛り上げていく必要を感じている。だから、声優だって役者だってこれからも全力で演じていくつもりだ。


「白銀先輩! お、おおおおお俺の演技、どうでした!?」

「うん、初めてにしては、よかったと思うぞ。でも次からは、もうちょっと語気をはっきりさせたほうがリューレンっぽいかもな」


 俺がそういうと赤海君は、綺麗な角度で頭を下げた。


「あざっす! 後で監督に言ってもう一回、撮り直してきます!!」


 うん、この元気な感じ。今までになかった感じでなんだかちょっと嬉しい。


「うん、それはいいけど、今日は遅いから明日な。だから今日は帰ろう」

「ハイ!」


 よーし、良い返事だ!

 思わず頭を撫でそうになったがやめておく。

 中学生男子はそういう事をされたら嫌がるだろうしな。


「あっ、あくあ君またねー」

「はい、ミモリン先輩も気をつけて」


 ミモリン先輩は前にMステで一緒になった歌手の先輩である。

 元々は声優をやっていただけあって、今日の現場でもやっぱり上手だった。


「お疲れ様」

「あ、はい。また次の収録でもよろしくお願いします」


 スッと俺の隣を通っていた人は、若手声優トップの1人とされている西条栞先輩だ。

 声の感じとは裏腹で物静かな感じの人である。


「それじゃあみんな気をつけて帰ってください。今日はありがとうございました」

「あっ、こちらこそ本当に色々とご迷惑かけてすみませんでした」


 ついてきてくれた桐花さんと一緒になって、スタッフさんにペコペコとお辞儀して俺たちは現場を後にする。

 新しい現場と新しい仲間に刺激を受けて、俺はまた一段と仕事にやる気を出した。

らぴすの日常回を公開してます。


https://fantia.jp/yuuritohoney

https://www.fanbox.cc/@yuuritohoney


Twitterアカウント、作品に関すること呟いたり投票したりしてます。


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