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天鳥阿古、スターズよ、これが私のベリルエンターテイメントだ!

 あくあ君を見送った後、私は後悔した。

 これは、1人の社長としてよりも、あくあ君のマネージャーとして一緒に行きたかったという思いの方が強かったからだろうと思う。


「社長……失格ね」


 私は教会前の大通りのすぐ近くでポツリと呟いた。

 この結末がどうなるか見届けようとここまできたが、何かがあった場合、私はみんなを連れてスターズから脱出しないといけない。社長としてみんなを守るために、天我くん、黛くん、とあちゃんだけでも先に帰国させるべきなのかもしれないけど、3人からはまだスターズにいさせてほしいとお願いされた。

 念の為にここまで案内してくれたクレアさんたちを通じて、もしもの時はすぐに帰国できるように準備しておいてくださいとは言ってるから、もしもの時は無理矢理にでも3人を連れて帰国するつもりである。

 それが残された私の役目だ。


「あくあ君……」


 私の見つめている視線の先に、ゆっくりと一台の車が通り過ぎていく。

 中に乗っていたのはカノン王女殿下だ。まさかあくあ君がカノン王女殿下と付き合ってるなんて、想像もしてなかったことだけど……なるほどね、あんなにも綺麗な子なら納得するしかないか。同性の私が遠目から見ても綺麗だし、2人とも同い年だ。まるで白龍先生の紡ぐ作品のように、こんなにもぴったりな相手はいないだろう。

 最初から、あくあ君とどうこうなれるなんて思ってもいなかったし、社長になった時点でそういう思いは封印したつもりだけど、それでも心にチクリともしなかったかといえば嘘になる。でも、あくあ君が王女殿下の幸せを願っているように、私もあくあ君には幸せになってほしい。だからこれで間違ってないはずだと自分に言い聞かせる。

 複雑な心境の中、私が感傷的な気持ちに浸っていると、何やら大通りの方が騒がしくなった。


「え……?」


 看板を持った人たちの大群が大通りの方へと向かっていく。この結婚は不当だ、私たちの王女殿下は、真に望んだ人と結婚させるべきなどの看板が見受けられる。結婚に反対する人たちによるデモ隊だろうか。シスター服を着ている人が何人か列に紛れている。もしかしたらスターズ正教の社会派と呼ばれる人たちが、市民を扇動しているのかもしれない。

 対峙する警備隊とデモ隊、今にも一触即発の雰囲気の中、最初はお互いに意見を主張し合うだけだった。しかし、大きな怒声と共に、一部の警備隊とデモ隊が衝突して揉み合うように喧嘩し始める。きっかけなんて、そんなものだ。一気に危険な匂いがし始める。王女殿下の乗った車を守るように囲んだ警備隊が、結婚式場に向けての道を開けるために、デモ隊に協力する一般市民に対しても直接的な行動に出ようとした。


「ここは危険そうね」


 私はゆっくりとそこから離れる。すると裏通りに入ったところで、目の前からとあちゃんが走ってきた。


「とあちゃん?」

「阿古さん、よかった無事で」


 どうやらとあちゃんは私のことを心配して、探しにきてくれていたようだ。

 普通の男の子なら我先にと逃げてもおかしくないのに……これもきっと、あくあ君の影響なのかな。

 仕事に疲れ、日々を無為に生きるだけだった私の人生を、あくあ君は救ってくれた。そして彼が救ってきたのは私だけじゃない。目の前にいるとあちゃんもまた、あくあ君に救われた1人と言っても過言ではない。

 私はそんな彼に何かを返せるのではないか、そしてアイドル白銀あくあの行く先を見てみたいと思ってベリルエンターテイメントを立ち上げた。それなのに、今の私はただ指を咥えてみてるだけしかできない。胸の奥が苦しくなって、そんな自分の現状を歯痒く思った。


「ありがとう、とあちゃん。でもここは危険だから逃げましょう」


 場合によっては、このまま現場から離脱、せめて彼らだけでも急いでスターズから帰国させなきゃいけない。

 私はベリルの社長として、まずはとあちゃんたちの命を最優勢にするための行動を取ろうとした。

 それなのにとあちゃんは、現場から離れようとする私の手を掴んで引き止める。


「阿古さん……僕、あの人たちを止めたい」

「えっ?」


 とあちゃんの言葉には私はびっくりする。


「こんなこと、きっとあくあは望んでない」


 私はとあちゃんの言葉に心の中で頷いた。

 あくあ君は、みんなを頼むと私に言ったけど、きっと私のことだって巻き込みたくなかったんだと思う。


「阿古さん……僕ね、あくあが戻ってきた時に、ちゃんと笑って欲しいんだ。だから、僕がどうにかしないと。他の誰でもない。僕がそうしたいんだ。だから協力してくれる?」


 いつもとは少し違う、男らしいとあちゃんの顔に胸が熱くなる。私だってまだ何かできるんじゃないか、あくあ君のことを助けられるんじゃないかと思った。


「わ、わかったわ。でも、どうやって?」


 とあちゃんはビルに取り付けられた大きなディスプレイを指差す。


「あそこにあるディスプレイ、あれに僕の映像を映すんだ。いくらスターズと言っても、男の僕が何か発言すれば、一瞬くらいは気を引きつけられるはず。こっちにほんの少しでも視線を向けてくれるなら、あとは僕がどうにかする」

「わ、わかったわ」


 あのディスプレイは本来、トラッシュパンクスの映像を映すために取り付けられたものだ。

 だったらステージに取り付けられた機械から、あそこのディスプレイを操作できるはず。

 とあちゃんと私は顔を見合わせると、トラッシュパンクスがプレイする予定だったステージへと駆け出した。

 幸いにも警備隊はデモ隊の方に集中してて、ステージのそばの警備は緩い。とあちゃんと私は誰にも止められることなくステージの上まで来ることができた。


「だ、だめ、映らない」


 とあちゃんがパソコンを操作するけど、うまくディスプレイと接続できない。

 ステージ上にある、DJブースの前で2人で四苦八苦していると、少し離れた位置にいた警備員が私たちのことに気がつく。


『おい! お前たち、ステージの上で何をやってる!!』

『不審な奴らだ。捕まえろ!!』


 私はとあちゃんを守ろうと前に出たが、向かってきた警備隊の人たちは乱入してきたシスター服を着た女性たちによって簡単に制圧されてしまった。


「ヘッ、せっかく男がカッコつけようとしてる時に、女が野暮なことしてんじゃねぇよ! 女は大人しくビスケットでも頬張ってりゃいいんだよ」

「全くですわぁ、貴方もお茄子様を食べてビタミンHを摂取しましょう」

「ウヒッ、うひひひひひひ! 匂いが、匂いが近づいてるよぉ。スゥーはぁ〜、スゥーはぁ〜」


 なんか若干やばそうな雰囲気がするけど、とりあえず助けてくれたっぽいので大丈夫かな?

 シスター服を着てることから、私は現地の保守派か社会派の人だろうと判断した。

 とあちゃんと私が見なかったことにして、パソコンへと視線を戻すと、ディスプレイの表示が乱れる。


「イェーイ! 呼ばれて飛び出てみんな大好き、あくあ様とベリルエンターテイメントを縁の下から支えるハイパフォーマンスサーバーちゃんとは、何を隠そう私のことだよ! 我……参上! なんちゃって〜」


 PCのスピーカーから聞こえてきたハイテンションな声に、とあちゃんと私はお互いに顔を見合わせる。

 ハイパフォーマンスサーバー、藤の会長さんの紹介でベリルに入社した鯖兎こよみさんが、24時間サーバーの管理が自動的にできるようにとAIを導入したと聞いていたけど、まさかそのAIの言葉をスターズで、しかもこのタイミングで初めて聞くことになるなんて思ってもいなかったことだ。頭が混乱しそうになる。


「その声……みゃーこちゃん?」

「ふふん、さすがはとあちゃん、よく気がついたね」


 パソコンの画面を見つめるとあちゃんの顔が、懐疑的な表情になる。


「でも、みゃーこちゃんは僕の事、とあちゃんなんて呼ばないんだけど?」

「ドキィッ! うんうん、とあちゃん、いや、とあ君! 細かいことは気にしちゃダメよ!!」


 あ、誤魔化した。AIが誤魔化したりするなんて……え? 本当にAIだよね?


「ま、まぁ、それは一旦置いといて! テレビとの接続は、このハイパフォーマンスサーバーちゃんにドーンと任せてよ!! ほほほい、ほほほい! あらよーっと!」


 パソコンの画面に接続が完了しましたという文字が出る。

 お、おお! すごい。本当に、接続できた! でも……パソコンに設置されたカメラが不具合を起こしているのか、ディスプレイに映像が映らない。


「どうやらカメラ機能が完全に死んでるみたいね」

「……それでも言葉だけでなんとか」


 とあちゃんは声だけでも届けようと近くに置いてあったマイクを手に取る。


「待って、とあちゃん! とあちゃんにはさ、まだもう一つのとあちゃんがいるじゃない?」


 ハイパフォーマンスサーバーの言葉に、とあちゃんはマイクを持ったまま固まる。

 もう一つのとあちゃん、その意味に気がついたとあちゃんと私は顔を見合わせた。


「「たまちゃん!」」

「セーかい!! とあちゃんが思うようにやってくれれば、あとはこっちで無理やり映像は合わせるから安心してよ!」

「わかった! ありがとう、みゃーこちゃんの偽者さん」

「うっ……偽者だなんて酷い。半分は本物なのに! って、今はそれどころじゃないよね。とあちゃん準備はいい?」


 とあちゃんはマイクを両手で持って強く頷く。


「それじゃあ、いっくよーーーーー! ポチポチッとな!」


 ビルの大きなディスプレイに、大海たまちゃんの姿が映し出される。


「ありがとう……みんな、あとは僕に任せて」


 マイクに入らないような小さな声、その時のとあちゃんの横顔は間違いなく男の子の……ううん、1人の男性の顔だった。大きく息を吸い込んだとあちゃんは、マイクに向かって今までに聞いたことがないほどの大きな声でシャウトする。


「僕の! 歌を! きけええええええええええええええ!」


 とあちゃんは、おそらく普通に話しかけただけじゃ、呼びかけただけでは止まらないと判断したのだろう。

 僕の歌を聞け? 何を言っているんだと、みんなの動きがほんの一瞬だけ止まる。

 そして誰か1人がディスプレイに映った大海たまの姿に気がつくと、その視線につられてみんなの視線がディスプレイへと向かう。


「君は1人じゃない」


 とあちゃんが選択したのは新曲だった。

 マスク・ド・ドライバー、ヘブンズソードで、とあちゃんが演じる加賀美夏希が初めて変身する回、その時だけに放送される特別編成のED、たったその一回のために作られた曲。


「君も僕も貴女も私も、みんな誰かがこの世界で繋がってる」


 この曲は、とあちゃんの曲の中では最も男らしいというか、とあちゃんの優しさをそのままに、男性の声色で歌うという新たな取り組みのもとに作られた曲だ。そしてこの曲は、とあちゃんの曲なのに作曲したのは天我君である。黛くんが歌詞を書き、あくあ君がコーラスとラップを担当するバンド編成の楽曲だ。

 難しくて何度も失敗してたと、桐花さんからも報告があったけど、とあちゃんはこの曲を歌うのに相当練習したし、かなり苦労したと聞いている。


「真っ暗な部屋の中、1人になると、辛い記憶がフラッシュバックした。でもそんな僕を、君は外の世界へと連れ出してくれた」


 大きなディスプレイを中心に、小さなディスプレイや、大通りにあるお店のショーウィンドウに展示された小さなテレビにまでたまちゃんの映像が広がっていく。

 パソコンのディスプレイに視線を向けると、ニコニコマークのハイパフォーマンスサーバーが私に向かってウィンクした。えっ? 貴女、本当にAIだよね? 中の人とかいませんよね?


「1人じゃない、それに気がついた時、僕の世界は色づいた。だから今度は僕の番、僕がみんなに1人じゃないって教えてあげる」


 取っ組み合いの喧嘩をしていた人たちでさえも、大きく口を開けてディスプレイに映った大海たまへと視線を向ける。さっきまでの喧騒が嘘のように、みんなが争う事を止めて、大きなディスプレイや、近くのディスプレイへと釘付けになった。


「1人じゃ無理だけど、2人なら、4人なら……ううん、もっと多くの人なら何かできるよね?」


 とあちゃんと目が合った瞬間、涙が出そうになる。

 みんな、みんな成長しているんだと、あくあ君だけじゃないんだと……貴女が、私がいたから、ここまで来れたと、自分がしてきたことに意味があったのだと言われているような気がした。


「僕は君の隣を笑顔で歩いてる。だから君も僕の隣を笑顔で歩いて欲しい」


 最初はあくあ君だけが特別な存在なのだと思っていた。

 でもそうじゃない。夏コミのベリルステージ、あくあ君とのデュエットでとあちゃんは悔しい思いをした。100%の白銀あくあの歌唱力についていけなかった事は別に恥じることじゃない。モジャさんも言ってたけど、あくあ君の歌唱力は間違いなくトップクラスの中のトップクラスだ。

 普通ならそこで諦めたっておかしくないほどの力の差、でも、とあちゃんは諦めたくなかったんだよね? 前に桐花さんと話をしていたのを偶然にも聞いてしまった事がある。


『あくあは凄いよ。だから……だからこそ、あくあを1人にしちゃいけないんだ。僕には歌しかないから、せめて歌だけはあくあの隣で堂々と並び立てるくらいになりたい。ちっぽけなプライドかもしれないけど、これだけは譲れないって思ってる』


 その覚悟の結果がこれだ。この前のMステに出演した時も2人でデュエットを歌って、最後まであくあ君と歌い切ったとあちゃん。でも、あれから一月も経ってないのに、今のとあちゃんの歌唱力は、あの頃よりも更にレベルアップをしていた。


「君は1人なんかじゃない! 僕がいる、みんながいる! さぁ、僕たちと一緒に行こう! みんなが笑い合えるそんな世界に!!」


 とあちゃんは、本来はあくあ君が歌うべきラップの部分まで完璧に歌い切る。

 毎日、毎日、とあちゃんが諦めずに本気で練習していたことが報われて良かったと思った。


「とあちゃん……」


 感動で胸がいっぱいになる。でもそれと同じくらい誇らしかった。

 争っていた人たちも顔を見合わせて、掴みかかっていた手を離す。とあちゃんは、たった一曲で、歌で争いを止めてしまった。しかし、とあちゃんは……ううん、ベリルエンターテイメントは、そこで止まらない。


『なんだあれは!?』


 一台のバイクが大通りに向かって突っ込んでくる。

 バイクを運転しているのは、マスク・ド・ドライバー、ポイズンチャリスこと天我君だ。

 やたら大きな楽器ケースを持って飛行機に乗ってると思ってたけど、まさかドライバースーツを入れてたなんて思ってもいなかった。

 良く見るとバイクの後部座席には、黛君が乗っている。


『みんな! 2人に道を開けてあげて!!』


 とあちゃんがスターズの言葉でみんなに語りかける。

 その言葉に反応したのか、ほんの一瞬だけ、警備隊とデモ隊の間に隙ができた。

 天我君はその細い筋を縫うようにバイクを走らせる。すごいテクニックにみんながあっけにとられた表情で見守っていた。でも式場から出てきたシスター服の人たちが、慌てて式場の入り口を塞ぐ。

 流石にこれ以上は進めない、誰もがそう思っていた。でも私と顔を見合わせたとあちゃんだけは確信していたと思う。私たちはバイクを走らせる天我君に向けて声をあげる。


「天我先輩いけーーーーーー!」

「天我君いっけーーーーーー!」


 天我君は少し軌道をずらすと、教会の前に設置されていた板が斜めに刺さったようなモニュメントへと突っ込む。

 フルスロットルで駆け抜けていくバイクが、綺麗な放物線を描いて教会の前を塞ぐシスターたちを飛び越えていく。それを見たとあちゃんと私は両手を取り合って、その場でやったーと喜びあった。


『きゃあああああああああああ!』

『何、何、今の!?』

『何が起こってるのか全くわからないけど、これだけは言える。すごすぎでしょ』

『えっ? ちょっと待って、これ映画か何かの撮影?』

『あれ、中身、男の子だよね?』

『なんかネットの掲示板でも書かれてたけど、やっぱりさっき歌ってた子も男の子らしいよ……』

『オゥ……衝撃的すぎて言葉にならない』

『一体、スターズで何が起こっているというのです?』


 さっきまでの争いが嘘のように、みんなが私たちのことを、ベリルのみんなのことについて話している。

 そうだよ、これがベリルエンターテイメントだ。誰もが無理だと諦めていたことを無茶をしてでも無理やりこじ開けて、不可能だと思ってた事を可能にする。そして最後はみんなが嬉しさで泣いて笑い合う。

 幸せな空間、その中心にはいつだってあくあ君が居た。

 だからきっと、あくあ君なら全てをうまく解決して必ず戻ってくる。今回の計画、私は最初から失敗した時のことばかりを考えていた。でもそうじゃない。私が、天鳥阿古が白銀あくあを信じなくて誰が信じるんだ。

 だったら私がする事はひとつしかない。


「とあちゃん、次の曲いける?」

「阿古さん……ようやくいつもの阿古さんらしくなってきたね」


 とあちゃんは私の不敵な笑みに苦笑する。


「せっかくだからやりましょうよ。大海たまのワンマンライブ、喧嘩したりする暇なんてないくらい最高のステージを見せましょう!!」

「うん、任せておいてよ。だから阿古さんは特等席から見ていてよ。貴女の作ったベリルエンターテイメントは最強で最高だって、今から僕が証明してあげる!」


 とあちゃんの言葉に合わせるように、会場に設置されたいくつものスピーカーから次の曲のイントロが流れる。

 もしかして私たちの会話を聞いて、ハイパフォーマンスサーバーに搭載したAIが勝手に曲をかけたのだろうか?

 ちょっとそれすごすぎない?


「この曲は……」


 とあちゃんは何か思うことがあったのか、パソコンのモニターへと視線を落とす。


「曲のセットリストは俺に任せろ。猫山、オメェさんは歌うことだけに集中すればいい」


 PCの中から聞こえてきたのは、ハイパフォーマンスサーバーの声じゃなくて、小林さんことモジャさんの声だった。パソコンのディスプレイの片隅に現れたボックスの中に、モジャさんの顔が映る。


「とあちゃん、頑張るのよぉ。映像の方は私が操作するから安心しててねぇ」


 そんなモジャさんを押し退けて、ノブさん顔のドアップが映された。2人とも遠く離れた私たちの国から、サポートしてくれている。手を振るノブさんの映像が途切れると、再びハイパフォーマンスサーバーのニコニコマークがディスプレイに映し出された。


「そういうわけだから、とあちゃんは前だけ見てればいいよ。バックは私たちにまっかせなさーい!!」


 とあちゃんは、マイクの電源を一瞬切ると、小さな声でありがとうと呟く。そして再び、マイクのスイッチを入れると、力強い面持ちで目の前を向いた。


「大海たま、二曲目行きます!」


 とあちゃんの言葉に、お客さんたちから大歓声が沸き起こる。

 さぁ、その耳垢の溜まった穴を穿ってしっかりと聴きなさい。

 これが私の、私たちのベリルエンターテイメントよ!!

本編では少ししか絡んでいませんが、鞘無インコ視点でのシロとたまとの絡みになります。

月2回以上はこういう小話やりたいですね。


https://fantia.jp/yuuritohoney

https://www.fanbox.cc/@yuuritohoney


Twitterでお知らせとか、たまに投票とかやってます。


https://mobile.twitter.com/yuuritohoney

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