とにかく街へ。
まぁ、状況からに慣れやすいと自負している私。状況確認が大切だって知ってる。よし。今は夕方だ。と言うことは漫画では、夜に魔獣が出没しやすくなるというのは、定番だ。ってえ?やばくないすか?しんじゃうじゃん。何も持ってないよ?何かないの?例えば隣には....うん。枝ですね。そういえば、枝で街の方向が分かるかもしれない。
「こてん。」
....よし。街はまっすぐね!いくわよー!また死にたくないもの。いざ出陣!!
途中で、なんか私何馬鹿なことをしてるんだろ、なんて思ったけど出来ることもないので、真っ直ぐ歩いた。前世では、持久走最下位の私にしては、全然疲れていない。そのまま一時間ほど、日が暮れるまでに着くよう、スピードを上げて歩いた結果、驚いたことに街があった。門がしっかり整備されていて、門番もいる。これなら、魔獣に殺される心配はないね。いやあ、ほんと良かった。ていうか、こんな方法で街を見つけられるなんて、今日は死んだり、運がいいのかわからない。今まで考えないようにしてたけど、家族や、親友ともっと、もっと話したかった。そんなことを考えてしまい、孤独感に襲われた。
「おい!お前さん!!危ないぞ!」
考えに没頭していたせいか、驚いた。反射で後ろを見たら、騎士団の人だろうか?漫画の騎士に、とても似ている?
「....騎士団のお方ですか?」
「ん?ああ。そうだよ、なんでわかったんだ。....まぁいい。お前さんそれどころじゃ、なさそうな顔してるしな。」
鋭いなー。でもこの人にはデリカシーというものを、しらないのだろうか。今私は、悲しみの思いに浸っていたのに。でもいい。騎士団というなら都合がいい。お金もないし。これに賭けるしかない。
「あの。私を騎士団に入れてくれませんか!?そのためには何でもします!」
「...お前さん名前は?」
前世の私の名前は、あおいだった。異世界漫画では、あおいではおかしいという、オチがよくあった。あおいと言われると前世を思い出してしまう。あおいとなると、「い」を取ればいいだろうか。よし。あおでいいか。
「私の名前は、アオ、です!」
「よし!アオ!お前さん騎士団の入団試験を受けろ。そのために、俺がアオを鍛える。」
入団試験か。今世の私に出来るからからないけど、憧れていた騎士。生きる術もない。これに賭けると決めたからには、絶対受かって見せる。
「お願いします!」