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白呪記  作者: 楽都
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プロローグ

 

 アナタが寂しさに震えている時、私はそっと寄り添うよ。


 アナタが泣いてる時、私が背中を擦ってあげる。


 アナタが苦しくて身動き取れない時、私がイバラの道を切り拓く。


 約束するね。



 だから、もしこの約束を私が忘れてたら、アナタが思い出させてほしいんだ。


 

 



「理緒、起きなさいっ!」

 ベシッッ

「ムギャッ」

「今日はイマイチねぇ・・・」


 頭に乱暴でありながら、華麗なる母の一発で打ち振られる手に不満げに目を覚ます。

 シュッシュッと、手を素振りする音が無常に聴こえる。嗚呼、今日も母の百合奈は私の頭のはたき具合を見て、自分のコンディションを確かめていらっしゃる。


「おはよう」 

「おはようございマウス」


 上半身を布団から起こし、ペコリとお辞儀する。意外と礼儀に煩い人なので勿論母限定。以前寝ぼけてお母さんに「オッハー」と略したら軽く頭をはたかれたから。脳細胞が減って馬鹿になったらどうするんだろうね。懐かしき思ひ出に、くるんと寝癖がついた頭を自分で撫でた。 


 栗毛色の髪をした見た目20代の母は、見てくれは可憐なのに中身は魔王様。逆らった日には明日の朝日は拝めぬ。自らの口にチャックをし、文句も嫌味も飲み込むのだ。

 母が部屋を出るのを確認すると、パジャマから学校指定の白のブラウスにスカートと色を揃えた紺色のベストをクローゼットから手に取り着替える。赤色のリボンを襟元で括り付け、階段を降りるとテーブルに父、母、兄、弟が勢揃いしていた。


「おはよぅぅ」

「おはよう。早く座ってご飯食べなさい」

「おい理緒、お前髪に寝癖がついてるぞ。そのまま学校行くのか。斬新なスタイルだな。新しい流行を築くのか」

「何言ってんだよ。陽兄、理緒は髪がドレッドだろうがパンチだろうが可愛いだろ? けどそれで男を誘うんじゃねーぞ。お前の事を狙う狼がいつ美味しく・・・アダダダッ、御免なさいスミマセンお父様。理緒が可愛いいのでつい」

「当たり前だ、僕の娘だからね」

「太一は一言多過ぎる」 

 

 陽兄はポソリと呟く。

 

「・・・」


 上から私、たまに腹黒の父親恒星で、ずれた長兄陽介、無言で席を立つ父に問答無用と耳を引っ張られて、その痛さに顔を歪めている勘違い二男太一。


 大黒柱の父は容姿端麗、才色兼備を備えたマイナス要素は一切無しのパーフェクト人間。パリッとしたシャツにダークグレーのスーツが大人の色気を醸し出す。艶やかな黒髪と爽やかさで、マダムキラーと我が家では囁いている。


 元・モデルの麗しい母、百合奈は昔と変わらぬ美貌で人々を(特に近所のおじさん達を)魅了中。家族を持つようになり、一時はモデルを休業したがたまに頼まれ仕事に赴く。


 長男陽介は父に似て艶やかな黒髪に知性を備えた黒い双眸。体格の良さも相まって非常に目立つ。高校の時に剣道を嗜んでからか、スポーツ関連でのスカウトがあちこちから来て、結局地元の大学に特体生で首席入学。

 

 二男太一は母似で黒髪に少し茶色が混じってて柔らかな雰囲気を纏っている。女の子受けする甘いマスクと、高い身長を生かして現在売れっ子モデル中。


 それに比べて兄妹で末っ子の、唯一女である私の身長は158センチの平凡で髪は父似で黒色。顔も頭の中身もこれまた平凡。親から受け継ぎ、皆に自慢出来るのは肩にかかる艶の良い黒髪だけ・・・髪だけは皆に褒められるんだよなぁ。コレしか無いってか??


 フッ、自分で言ってて虚しくなってきた。 

 こいつらに付き合ってると(特に二人の兄貴!)シスコンじゃないかって位ウザいからね。会話の続きをシャットアウトして、太一兄の横に移動して自分の指定席に腰掛ける。

 ・・・ドレッドやパンチパーマが似合うわけ無いでしょっ!!っていう意味合いを含めて太一兄の太ももを抓ってやった。


 イタダキマスと手を合わせ、おかずを頬張る。

 先に食べていた兄二人は朝食を済まし、まだご飯を食べている私の頭をぐりぐり撫で洗面所へ。

 お父さんは私の頬についてるご飯粒を取ってくれて、冷蔵庫から冷やしたプリンをニコニコしながら私に差し出してくれたんだ。お父さん、グッジョブ!!


 お約束のさくらんぼを飾り、プリンの周りには大好きな生クリームを添えてくれてある。ちなみにこれ父お手製のプリン。んまっvvお父さんはお菓子作るのが好きなんだって。

 たまにコンテストに出て優勝する程の腕の持ち主。お母さんの料理も美味しいけど、お父さんは更に上を行く・・・よくこんな顔良し、器量良しと結婚出来たもんだ。何かお父さんの弱みでも握ってるんじゃ?

 疑いの眼差しを母に向けると母曰く、「私の魅力は全てを凌ぐのよ」と、耳元で小さく囁かれた。母よ、私の心を読みましたか・・・?!








「「「「行ってきまーす!!」」」」


 玄関で手を振る母にそう言い、学校指定の革のカバンを持ち玄関を出てそれぞれ歩き出す。

 今の時期だと夏の終わりを迎える位に差し掛かってるんだろうか。猛暑といえるピークを無事に終え、ようやく葉っぱが黄色に色づいたきた。紅葉狩りに栗拾い、それに食欲の秋到来だ!とすぐに気分が浮上する。


 特に食に関しては積極的に行きたい。

 サンマ♪サンマ♪サンマが美味いと頭の中でリズムを取る。サンマは秋が旬だから、安くて一番美味しいのだ。サンマさんには悪いが私の胃袋の中で成仏して欲しい。南無南無・・・


「ねえ陽兄、今週の日曜日に水族館連れてって。イルカ見たい」

 

 サンマ→魚と連想して水族館と行き着いた。因みにイルカを食する為見つめた事は断じて一度も無い。あんなキュート過ぎる哺乳類を食べるなんて私の良心が疼くってもんだ。


「ああ、良いぞ。一緒に行こう」


 女の人が一瞬でうっとりする様な、父譲りの微笑みを浮かべ返事を返してくれる。普段無表情の陽兄が微笑む事はまずない。私に見せてくれる笑顔は妹であるが故の特権だ。


「ずりーぞ!陽兄ィ、先月も理緒と二人で遊びに行っただろっ」

「太一はテストで赤点取って追試だったろ?」

「ぐっ!それは・・・・でも俺も行きた「理緒、パパがマンボウのヌイグルミを買ってあげよう」

「あ、ありがとう、お父さん(お父さん、まともだと思ってたけど、結構腹黒じゃ・・・?)」 

 

 太一兄の言葉を容赦無く遮り、さり気無くを装い参戦。柔らかな表情で言われた。お父さんのコノ笑顔があれば、道端の女の人はイチコロでしょうな。

 冷や汗をかきつつも、話し合いの結果は結局、家族皆で出かける事にした。

 


(お父さんも陽兄も太一兄も、私の事を大事にしくてくれる・・・)




その気持ちが嬉しくて、優しい父と陽兄の大きな手を照れながら力強く繋いだ。



ジャンル:異世界ほのぼのファンタジー


主:大泉 理緒

母:百合奈 父:恒星 長兄:陽介 二男:太一



初投稿の小説です。大幅修正なんか随時ありかもです。温かい目で見てくれると嬉しいです。<楽都>

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