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いつか。

作者: 柚野 はな





あの時、

その細い足首に似合う小さな右足を、電車に乗せてから振り返った君は

僕の好きな香りをふわりと漂わせた。



「じゃあ 行ってくるね。」



本当に嬉しそうな顔をしながら

いつもみたいににこっと笑って

僕に、


手を振った。


「おー、行ってこい。」


発車ベルが鳴って、君が一歩下がる。


一瞬見えた君の不安そうな顔を僕は知っている。


「どうした、がんばってこいよ。」


君の返事を聞けずに閉まった扉の向こうで


君は眉尻を下げて、困ったように少し笑ったのが見えた。









9月も半ば。もう時間のままに過ごしていたらあっという間に大学2年の夏休みを無駄に終わらせてしまうような日頃だった。

突然の君からの着信に慌ててスマホの画面に表示された指示に従って指をスライドする。



「どうした?」


「やほ、ごめんね、突然。」


「んや、別に。暇してたし、暇すぎてコンビニでも行こうかと思ってたレベル。」


「なにそれ」


君は電話の向こうでおかしそうに笑った。


「まあじゃあ ちょうどよかったかな?買い物

付き合ってくれない??」


「えぇー、、、」


正直 買い物に付き合うのは気が向かない。

特に女の子は。

聞いてくるくせに あーだこーだ言えば勝手に不機嫌になるからだ。

正直が過ぎて、断り文句も思いつかずに露骨に嫌だということを主張してしまったが、


「ちょっとー、いつも付き合ってくれるじゃん」


「だぁってそりゃ、、そうだけどさ、、」



そりゃあ、大切で大好きな人からの誘いを断るわけもない。

と、内心で思いながらそう言い出せない自分の言葉尻はとても小さな声になった。


「はい決ってーい!じゃあ13時30分に待ち合わせね。」


どこの駅のどの場所で待ち合わせなのかも、

僕の家からそこまでどれくらいかかるのかも、

それから、

僕の返事も分かりきったように

君はそれだけ言って電話を切った。



「ったく、ほんとにさー」



とか何とか言いながら、そそくさと準備を始めて、近所のコンビニスタイルから、わざわざ無難に白いシャツと、これから来る季節に合わせて新調したモスグリーンのパンツに着替え直す。


わざわざコンタクトを入れることも髪を整えることも少し面倒くさくて、外行き用に作ったべっ甲フレームの丸眼鏡と紺色のニット帽を後ろ目に被って色々と誤魔化すことにした。


5分もかからない身支度だったが、与えられたタイムリミットの中でそこそこの完成度にしたことを褒めてもらいたい、とか思ったりする。


いつもの場所から腕時計をとって、右手首に巻きつける。

右利きのくせに右手首につけるのは最初こそ不慣れだったが、

どうしてか僕の左側を歩きたがる君が、

いわゆるおしゃれ時計のバックルについた少し出っ張った金具に引っかかって、うっすらとその白い腕に赤い線を浮かばせたのを見てから右側に付けるようになった。



きっと君は、気づいてないけど。



「いらん気遣いだって笑うのかって。」



そんな独り言は

大学生 一人暮らしの部屋の玄関に響くだけだった。





「おはよ」


午後を過ぎての挨拶では無いが、今日初めて

会った人に おはようと言うのもそこそこ世の中では まかり通っていると思う。


「はい、こんにちわー」


まあそれでも目の前のこの人は、わざと声色高く こんにちわと返して来る。



「髪、今日結んだんだね。お団子、かわいい」


「ほんとっ!?」


柔らかい雰囲気のある白いワンピースには、黄色いミモザの花が散りばめられていて

レンガ色の薄いカーディガンと高い位置で作られた人工的な後れ毛たっぷりのゆるいお団子は、君の明るくて落ち着いている雰囲気によく似合っていた。



「うん、かわいい。ふつーに。」


「えへへー、ありがとう。今日ね、リボン巻いてみたのっ!」


本当に嬉しそうに笑いながら、くるっと後ろを向いてお団子に結ばれた茶色いリボンを見せて来る。


「あ、ほんとだー! え、すげぇ!」


「すごいってリボン結びするだけですけどね」


「すごいすごい。俺ノールックで後ろにリボン結びとか出来ない。」



これはもちろん本心で、女の子の器用さにはすごいなといつも思っている。



「いい感じじゃん。」



また改めてそう伝えると、彼女は少し間をあけた後に、「ありがと。」と小さく笑った。

君の声は、賑やかな場所では少し小さく感じるけど、少し低くて、それでも澄んでいる音が女の子らしくて好きだなと思う。



「なに買うの?」


「それをあなたに決めてもらうの。」


「えっ」


「、、んー、プレゼント、、?」



戸惑った僕は、視線をわざとらしく僕から逸らした君の、躊躇った返答にひどく合点がいって、そういえば誕生日が近かったことを思い出した。



「なーるほどね〜」



いたずらっぽく君に視線を送ると、

君はそうされるのが分かっていたみたいに、わざと僕を見ないようにして、

なにも言わない僕に「うるさいなぁ」と不貞腐れた。



「なんも言ってないじゃん」



そうして笑えば、君は照れた顔をして先を歩いた。僕はそんな君の小さな背中を追いかけていった。





しばらく歩いて、君が連れてきたのは小洒落た雑貨店だった。

落ち着いた木の雰囲気に統一された店内は、温もりがあって柔らかい色を感じる。

輸入雑貨の取り扱いもあり、目新しいものがたくさんあった。

勝手なイメージだけど、

美大生みたいな個性とか創造とかそういう類に敏感なおしゃれ学生が好みそうだと思ったのが初めの印象で、僕みたいなその辺のどこにでもいるような学生には少し、おしゃれ過ぎる気もした。


よく見渡せば、文具から洋服、ちょっとしたインテリア家具まで充実したラインナップだ。


「んー、何がいいかな?」


そんな充実っぷりに頭を悩ませていたのは、隣に立つ女の子で、それと同じことを僕も考えていた。



「そうなー、ちょっと見て回ろうかな。」



せっかくなら、これが1番いいと思うものを探してみようと思うことにして、しばらく店内を練り歩くことにした。



「あ、高過ぎるのはダメね。」



背中から聞こえた君の忠告には、



「はいはーい」



と、適当に返事をした。





プレゼントを物色している間に、これでもかとおしゃれに並べられた商品を見ていくと、

「あれ、これ好きかも」とか「これは似合う気がする」といったようなものがたくさん出てきて、君がこの店を選んだことにどことなく納得がいって、

それからこの店を探し当てるまでに君が歩いた時間を想像しては、胸が苦しくなった。




「これとかどうかな??」


結局君は、候補を5つくらい見立てて、それらを腕いっぱいに抱えながら、そして時折 抱えきれなかったのか、その物の場所へ案内しながら1つずつ見せてくれた。


「あ、いいじゃん。」



「ねぇ、さっきっからそれしか言われないっ!」



君は肩を落として、気に入らないというように口を尖らせた。



「え、だって、いいんだもん。」



だから僕も、同じように口を尖らせた。



「もー!ちゃんと選んでよー!」


「選んでるって!てかもうなんでも嬉しいもんなの、こういうのは!気持ちだよ、気持ち!」



「わーかってるよ!だけどっ、、」



そう少し大きな声で言って、

そんな君の声に僕は驚いたけど、

急に口を閉じた君が愛おしくなる。



「、、だけど?」



君は僕から目を逸らして、その閉じた口を開かない。



「だけど、なに?」



そんな君に意地悪をしたくなって、

できる限り優しく問いかけても、

その続きは聞きたいようで、聞きたくない。



「、、いいっ。」



これは、君がほんの少しだけ怒ったときの不貞腐れ方。


後ろを向いて、僕から離れて歩いていく。

わざと何でもなかった振りをして、

本当は何も考えれてないくせに、陳列する商品をそれっぽく見るのが君の奇妙な癖だ。


「怒った?」


「んーん、怒ってないよ?」


君は、こういう時聞き分けのいい子のフリをする。



怒ってるならそう言えばいい。

不貞腐れるならもっと分かりやすく不貞腐れればいい。

そう思うのに、

君はわざと怒ってないフリをして、不貞腐れてないアピールをする。



正直、かわいくない。



だけど、



かわいい。



「ごめんごめん。 俺が悪かった。」


「怒ってないってば!」



君がやっとこっちを向く。

機嫌が戻るのは、とても早い。



「ところでなんだけど、俺はこれがいいと思うかな。」



少しふざけた声色で、だけどこれは本心で、

君が選んだ5つの中から1つを選ぶ。

イタリアのハンドメイド作家さんが皮素材で作ったという煙草のケースだった。


焦げ茶色の少し重たい皮の印象が、品のある深い緑の糸で縫い合わされることでかわいらしくなり、使い古されることで生まれる味が楽しみになるシンプルなデザインだ。

緑や濃紺といったカラフルな糸ボタンが隅にあしらわれているのが、日本産のセンスではないところだと思った。



それから、何よりも、




これは一番、彼らしい。




彼は、種に交わらずに彼の世界があるのに、人当たりが良くて茶目っ気がある。

加えておしゃれな彼には、よく似合ってると思った。


同じ大学の学科で、同じバイト先なこともあって彼とは仲が良かった。

それから、君と彼を繋げたのは紛れもなく僕自身だったね。




僕は、煙草は嫌いだ。



「あ!やっぱりそれかー! 私もそれかね、こっちには絞ってた!」



君のその笑顔は、たまらない。

本当に楽しそうに笑って、

目の前でプレゼントを喜んでもらえたみたいに、幸せそうだ。



「その帽子もいいけどね。似合うと思うし。でも何か、あいつにファッション系プレゼントするのって勇気いる、俺はね。」


「あー、分かる。だから迷ってた。自分のあれがありそうで手出しできないよね。」


「それそれ」



君は知らないだろけど、


君の好きな人は、いつも君はおしゃれだって話すよ。

それから、小物がかわいいって言う。


君によく似合ってる、と。


きっと今日の君なら、

リボンを髪飾りに選ぶ所が気に入られる気がする。



「じゃー、こっちにしよっと。」



「うん、そうしな。俺もそれが1番いいと思う。」



君が、包装を頼んでリボンの色を店員に相談していた。そのまま小話に発展したのか、ラッピングを待つ間もニコニコしながら話をしていた。


「恋人ですか?」


と聞こえた店員からの質問には、

首を少し横に振って、

下を見ながら少し笑って答えた。



「いえ、まだ、好きな人です。」



その言い回しは、少し心が痛んだ気がした。





「今更だけど、今日眼鏡だね。」



君の右手には、小さくて落ち着いた色合いの紙袋が下がった帰り道。



「あーうん、ちょっと、サボった。」


「ははっ、サボられた。」



軽く笑う君は、何も気になってない様子だった。


「お前が急すぎなんだよ。前もって言えよ。」


「急に思い立っちゃったんだもん。勇気が無くなる前に買っちゃおうって。買っちゃえばなんだかんだ渡せるかなって。」



それ、意外と渡せないパターンあるぞ、



とは言わないでおく。



「タイミングとか勢いってあるもんな。」


「しかも、急でも来てくれるんだもん。」


「だからって毎回こういうときだけ呼ぶなっつの。」


「ごめんごめん」



君にとって僕は「いい距離感」であることが何よりの救いだと言う。

そんなのは都合のいいことだ。



「悪いって思ってないだろ。」



でもその都合の良さに甘えてるのは、自分も同じなんだと思う。



「あはは。

まあでも、手抜きっていうけど、わたし眼鏡のがすきだよ。似合ってる。」



君のことなんて、大嫌いだ。



「かっこいいよ。」



「ありがと。」



「ていうか、普通にかっこいいのになんで彼女いないのかね。」



誰のために かっこいい自分でいるのか、

君は一生、わからなくていい。



「ほんとな。俺が教えてほしい。」



「かっこいいよねって話してる子いっぱいいるのにね。」



君は短くふふっと笑う。



それ、君はどうなのかな。


とか、



思っていい?



こんなこと言っても


でもやっぱりさ、



「、、ねぇ、喜んでくれるかな。」



そんな不安そうな顔で、それでもちょっと微笑むような顔をする、



そんな君がやっぱり、好きだ。



「喜ぶよ。だいじょぶ。」



そう言えば

君は、ふっと息を吐いて笑って、

ありがとうと目を見てくる。



恋をしている君はかわいい。


だからもうこれはどうしようもない。



「いつ渡すの?」


「今から!」


「はっ!?」


僕を見た君はおかしそうに笑う。


「まだ先じゃん!誕生日!」


「うん。でも今日なら渡せそうだから。」



君は、衝動的なところがあって、ここぞという時の勇気は本当に男前だよな。



「、、そっか。がんばれ。」



君のそんな顔にはなんか、ため息が出た。



「その方がいいかもな。あとで後悔するよりは。」



これは本音だ。



「うん、ちょっと、頑張ってくる。」


「連絡してるの?」


「うん、さっき連絡取れたの。」


「そっか、ちゃんと時間 間に合う?」


「間に合う、ありがと。」


「じゃあ 駅まで一緒に行くよ。」


「過保護だね。」



だって君は多分、今日ちゃんと頑張るんだろう?



「1人で行くと引き返したくなるでしょ?」



僕と違って見た目に似合わず男前な君はきっと、大丈夫だけど。



「、、そうかも。」



隣を歩く君との距離は、

友達にしては近くて、恋人にしては手が触れそうで触れないくらい。


歩けば時々、肩がぶつかって、


指先が触れたりする。


けれどそこには


「ごめんね」も


少し距離を取ることも存在しない。


そのままの距離で変わらずに、何か言葉を交わすわけでもなく、隣を歩き続ける。



君と僕は、そういう距離だ。



これを失くすと分かってて、


臆病な僕は、これを失くしたくなくて、


踏み出せなかった。




そんな僕は今日、君の背中を押す。



「付き合ってくれて、ありがとね。」


「いーえー。」




最高に、もうこれ以上ないくらい


苦しくなる。





改札を抜けて、ホームまで一緒に降りること

を伝えた。



「ここでいいのに。」


「どーせ暇だから、電車乗るまでな。」


あわよくば、君を引き止めようとか


一瞬考えたりする。



「そっからは、1人で頑張るんだぞ。」



でもそれは、ほんの一瞬に過ぎなかった。



君の想いが伝わることが、皮肉にも僕はすごく嬉しいと思ってしまうから。




「そんな子供じゃないんだけど。」



違うよ、そういう意味じゃない。



「分かってるよ。でも、言っておきたいんだよね。」



恋をして、


彼のために頑張る君が、


こんなにも愛おしかったから。



「ありがとね。」



「おう。」



いつか、



きっとその「いつか」はもう来ないけど、



いつか、君が苦しくなったら

いつか、君が悲しみに暮れることになったら



届けばいいと思うんだ。



いつか君が、幸せでたまらなくなったら



そんな君を見て



いつか、


自分が心から笑えればいい。




「今度、また3人で遊ぼうよ。」



唐突に君はそんなことを言う。



「なに突然」



「なんとなく。」



大丈夫だよ、

どうなっても君と僕のこの距離感は無くさない。



まあ

それはちょっと時間が必要かもだけど



「うん、じゃあ またいつかね。」



そんないつかの日は、

手を繋ぐ2人と僕で笑えてたらいい。



電車が着いて、

君は開いた扉に合わせて端に寄る。


発車ベルに合わせて乗り込んで振り返った君は、不安そうな顔をしていた。



「どうした、がんばってこいよ」



僕が言えるのはこれだけだ。



今日の君は 誰よりも1番 かわいい。



どうか君が、

楽しそうに

それからまた突然に、

今日2回目の電話をかけてきますように。









結局あの日、君から電話が来ることはなく、


夏休みが明けて、間も無く迎えた彼の誕生日の翌日に君に呼び出された。

約束通り落ち合ったのは、駅前の有名チェーン店の喫茶店だった。



「あれ、また眼鏡なの?」



君のせいで、僕はあれから眼鏡生活だった。

仲のよかった高校の同級生にその話をしたら「馬鹿だなお前」と笑われた。



構うものか。

こんなに好きになれる人に出会えた。

それだけでもう何でもいい。



「うん。それで?話って何?」



先を急いだのは、結局 それだけじゃ何でもよくないのだと、言っているようなものだった。

君がゆっくりと口を開く。開いた口からしばらく何の音も奏でないのがじれったかった。



「、、あの日、渡せなかった。」



「、、、は?」



しばらくして聞こえた音は、あまりにも無気力で、小さな声だった。



「それで、昨日渡したの。」



「うん、」



君の目は、あまりにも涙で溢れてきていて、流しまいとするにはまつ毛が足りないように見えた。



「それでね、、」


「うん、」


「既にもらってたプレゼントがあって、『それ誰がくれたの?』って聞いたら『彼女』って。」



その返答は、僕も予想外で多分それは顔に出て、君は僕の反応を見てはまた口を開こうとした。

実際に彼女の口から言葉が出る前に何度かその口を開けたり閉じたりしたのは、きっと君が必死に涙を堪えていたせいだ。



「、、夏休み中にっ、、って、」



「、、うん」



「だけどねっ、、だけど、」



君は机の隅に置いた手をぎゅっと握った。

他の何でもない彼が好きだったという感情だけを乗せた綺麗な涙が、まつ毛の上に粒を作っていた。




「もういいよ。」




僕は 君のそんな小さな手をぎゅっと握った。


その手は震えそうで、震えないように硬く握られていた。



「それで、渡したんだろ。そんでお前ちゃんと頑張れたんだろ?」



君が何度も強く頷いて、

君はその目から涙を何度もこぼして、




ああもう。




「ばかだなぁ、、」



君のさらさらとした頭を撫でる。


何度も。何度も。


僕が知っている限りのやさしい気持ちを君にあげるように。



「ほんとにばか、お前。 本当かっこいいよ。」



首を強く横に振る君は、きっと僕より苦しい。



「あの日、ちゃんとがんばればよかった。」って きっと君はそう思ってる。


その気持ちは痛いほど知ってる。

でもな、



「ちゃんと伝えられたお前は、本当にすごいよ。」



君の涙を僕の空いた左手が拭う。

周りから送られる好奇の視線はどうでもいい。

俺が泣かせたのかと、思いたきゃ思ってくれ。

この子に泣かれる彼に、俺は何度だってなりたかったんだ。



「止まんないよな。」



僕の指を追いかけるように涙はまた溢れた。



「泣け泣け。たくさん泣けー。」



そしたら僕が、何度でも拭うよ。



「、、、ばかはそっちよ。」



お前は本当にばかだ。

俺が何のためにここにいるか考えたことあんのかって。



「なにー?聞こえない。」



君はささっと甘えればいいんだ。


僕は、


こんな時に頼られるのが自分だって知ってるんだから。




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