ひまわりが離れない
俺は一目惚れをしたことがない…。
現在高校一年生の俺には、彼女がいたことがない。
恋愛をしたいと思ったこともなければ、青春をしたいと思うこともない。
そのため、初恋のエピソードなんてものは、存在すらしない。
俺の人生に春なんて来ないはずだった。
あの人と出会うまでは…
ピピピピピピーーー!
携帯のアラームが小さな部屋に鳴り響く…徐々に身体に力が入るようになり、慣れた手つきで携帯のアラームを止める。
今日は高校の入学式初日遅刻は許されない。
ベットから起き上がり身支度を始めるが、寝起きのせいか力が入らない。
ぐだぐだしながらも身支度を済ませて、ワンサイズ上のまだ着慣れない制服で家を後にする。
家から学校までは、バスで30分ってところだ。
近いんだか遠いいんだか微妙なラインだ。
バスを待っていると、悠太が後ろからニヤニヤしながら近づきおどかしてきた。
悠太とは、近所の幼馴染の友達で、あいにく小中高と同じ学校に通っている。
「わぁ!びっくりした?」
「うん、まぁまぁびっくりしたよ」
「なーんだ。つまんねぇーお前っていつもテーション低いよな」
「これが普通だからしょうがないだろ」
見ての通り悠太はめんどくさい。
小中高と絡んできたがこいつと話すと体力が無駄に削られていく。
俺の数少ない友達だから大切にはするが。