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相も変わらずどストライク

作者: 生川気軽


私は見ている。猛烈に見ている。


高田くんを。




久々の再会は予想通り同窓会で、そして予想通り高田くんはだいぶかっこよかった。


高校時代のにきびは消え髪色はアッシュなんぞ入っている。好みどストライクだった顔立ちは健在。


友人にどこが良いの?と訊かれる度に、全て、特に将来性と答える私は女子高生でありながら脳内がプラス5歳ほどぶっ飛んでいた。


だってめちゃめちゃ好みだったんだもの!



高校3年間高田くんを見ていた。見続けていた。


はにかむ顔が素敵。眼鏡姿も素敵。普段はインドア系な癖にクラスの球技大会ではちゃっかり活躍してたりする。素敵。


恋愛どころじゃなかった。鑑賞、フェチの域だった。



そして現在。


かねてより予測していた将来性はどんぴしゃだった。

どストライクの男子からどどどストライクの男性へと成長した高田くんを、見ている。


猛烈に見ている。



斜め向かいのテーブルにいる彼はきっとにこやかに、けれど内心ややだるい位でこの時間を過ごしているんだろう。

そんな予測が立てられる程度の振る舞いをするところも、好みだ。


旧友たちとの会話と目の端にいる高田くんを肴にお酒を飲む。


なんて楽しい時間なんだろう。



「そういえば高田くんいるけど話さなくていいの?」


いいの。

高校時代からそうだったじゃないと私は笑う。


友人にはあんたのそれは相変わらずねえと呆れられたけど、むしろ話さないから良いのだ。


高田くんは高田くん単体で私の好みどストライクとして完成されている。

自分という人間がわざわざ介入する必要はない。

遠くから眺めているのが幸せで別に話したいわけでは

「俺は話したいんだけど」


…飲みすぎた。



「ちょっとこの子もらってくね」


困り顔ではにかむ高田くんはやっぱり私の好みだった。




店の外のベンチへと引っ張られる。


ぐらつく頭をおさえつつ座るとあら不思議、ずっと遠くから見続けていた高田くんの顔がすぐ近くにあった。

「最短記録更新だ…」


思ったことが口に出やすい。酔いって怖い。


「なんの?」


「高田くんとの距離です…」


「なんで敬語」


ふふと笑いながら更に記録更新する高田くん。そんな高等技術、高校の頃は持ってなかっただろうに。

「やっぱり将来性がすごかった」


「でしょう?それなりに頑張ってきたからね。大人になれるように。


もっとどストライクになれるように。」



耳元に落とされた最後の一行が、私の脳内をぐるぐると駆け巡る。どストライク……?


「ナンノコトデショウカ」


本人に言ったこと無かったのに。ただ遠くから見てただけなのに。


「こっちだって見てたんだから大体わかる」



どストライクの人が、どストライクの表情で私を見ていた。



「俺のこと好きだよね?」


「好キデス」


「高校時代より更に好みなんでしょ?」


「ハイ」


嬉しそうに微笑む、その目尻も好みだ。



「なら俺には幸せになってほしいよね」


「マア比較的」


「じゃあさ、」


最短記録が。距離が。ゼロになった




「俺と付き合え…よ……………何これ照れる」


高田くんの耳ってこんなに赤くなるんだ。


ああ、この人頑張ってたんだなあ、なんて、遠くからじゃ分からなかった人間味まで知って。



「自分という人間が介入した上での更なる高田くんの可能性に気付いた」


「なにそれわけわかんな、」


い、を言い終わる前のどストライクの唇に、キスを落とした。

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