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 さて、ここまでついて来てくれている読者のために、ぼくは勇者について語ろうと思う。

 まず、勇者というモノについて。

 魔術師の研究によると、どうやらぼく達が生きているこの世界のすぐ側に、別の世界がたくさんあるらしい。多くはぼく達が生きているこの世界のような、魔法が使えて神やら女神やら魔王やらが跳梁跋扈している世界。けれど、一つだけ変な発展の仕方をした世界がある。 その世界からぼくらは、人間をちょっと数人か失敬して利用する。これが勇者召喚だ(失敬する手順は召喚魔導師に聞くこと)。

 その世界には、魔法が使えない代わりにカガクというシステムで世界を理解していて、人々はいんたーねっととか言う光る石版を使った活動に興じている。驚くべきことに、いんたーねっとを利用している活動の中には、ぼくらのいるような世界につながっているものもあるらしい。とある世界の勇者は活動(ゲーム)している途中に召喚されたらしく、『うわぁゲーム世界にトリップしちゃった!』と言って序盤からモチベーションが恐ろしく高かったという。いんたーねっとについてはぼくの配下も調査中だからちょっと報告を待ってほしい。

 構成員はヒト族のみ。でも、女性のおっぱいの大きさとか肌のきめ細かさ、筋力の強さなど身体的特長は平均的に言うとこっちの方が勝っているとか。まぁ、こっちのヒト族はどっかでエルフとか神族とか、ドワーフ、獣人とかの血が紛れていることもあるらしいからね。

 身体的特徴としては、多くが黒髪黒目、黄色っぽい肌を持つこと。あと、 力仕事に慣れている者は少ない。それに偶然そこに居合わせた者をヒトさらい的に連れて来ているっぽいから、召喚してすぐはこの世界で生きる覚悟を持ち合わせず、ちょっと、いや結構めんどくさい。でも、それを補って余りある利点が勇者召喚にはある。

 成長するまでに手なずけることができれば、大きな利益を自国にもたらすことが確定しているのだ。

 例えば、武人系の勇者はちょっとおだてればさくっと魔王とかドラゴンを倒してくる。魔法使い系の勇者はなんかよく知らんけど、『魔力のナガレが悪すぎる』とか言ってより強力な魔術理論を立ててきたり、魔法をぶっ放してくる。レアな生産者系勇者は、もといた世界の知識を利用しているのか、よりたくさん作物が採れる畑を作ったりしてくるし、そもそも勇者は色んな適性を持つ者が多いのだ。魔法使い兼生産者系とかが最近多いらしい。さらに最近はハーレム系勇者とやらがいて、同僚も味方も敵もみんなまとめて恋に落とすことで問題解決するそうな......怖いような、羨ましいような。

 そんな『勇者』には、ある一つの共通点がある。

 勇者達はすべからく、運がいいのだ。

 魔術師の一部はいまだに勇者達に運気が味方する理由を研究しているが、世界の多くはもう理解することをあきらめた。せめてそのおこぼれに預かろうと、召喚した勇者を彼らの流儀に合わせてもてなしている。

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