第七話 随分なご挨拶
俺の入隊がなし崩し的に決まった日から数日後...
親と離れる時が来た
「大、もう何も言わないけど、これだけは言わせて、死なないで」
泣くと思ってたお袋は涙を見せる素振りなんて一切見せずに俺に言葉を掛けてくれてる
「お前が決めた事なら、俺から言える事は一つだけだ
悔いのないように生きなさい」
凄いキメて言ってるけど、親父さんずっとヤダヤダ言ってたじゃん、何皆の前で良い父親ぶってるの?
「それじゃ...気を付けてな」
そろそろ時間だからと俺が輸送車に向かおうとした時だった
「本当に大が戦わないといけないの?」
お袋がボソッと呟いた言葉が俺にハッキリ聞こえた
「十分辛い目にあってきたのに、これからまた辛い目にあわなくちゃいけないなんて...なんで大なの、違う誰かじゃ駄目なの?」
お袋....
「お袋、大丈夫、俺は大丈夫
だからさ、その、親父もだけど、ありがとう」
それだけ言って輸送車に向かって走った。
他にも言いたい事いっぱいあったけど、今は言えねえよ...
輸送車に着いた俺を待ってたのは、高嶺さんともう1人、金髪の大きい女だった、あれ?顔とか結構タイプかも
すると俺に気付いた高嶺さんが近寄ってきた
「どうだ、親御さんとちゃんと挨拶出来たか?」
「はい、色々配慮して貰ってありがとうございます」
「あれー何か予想と違って好青年じゃんよー、経歴詐称か?なんだなんだ猫被りかー?」
....何かすっげえ失礼な事言ってる気がするんだけど、何この大女、前言撤回、全然タイプじゃない
「あんたは何ですか?急に失礼だろ」
「大くんまあまあ、今のは蓮華が悪い、謝れ」
「レンゲ?これはまた凄い名前してますねー」
高嶺さんが、あっこら!と俺を諌めようとしたが相手が違うだろうが、向こうのレンゲ女だろうが、
人がセンチメンタルな時に失礼な事言いやがって
「隊長大丈夫ですってー、こんなガキ相手にキレる程私子供じゃないんで、それに可哀想じゃないですか、頭も悪い上に耳も悪いだなんて...」
このアマ...ぶっ殺す
「いい?お姉さんが優しく教えてアゲル、私の名前は
カ ス ミ レ ン カ って言うの、宜しくね坊や」
「高嶺さん、この部隊って味方をぶっ殺しても大丈夫なんですか?」
どこかでブツっという音が聞こえた気がする
「お前らいい加減にしろ!」
高嶺さんがキレた....
「蓮華、佐藤が死んでショックなのは分かるが、大くんに当たるな、大人気ないみっともないぞ
大くん、君も君だ、確かに蓮華が最初に失礼をしたが挑発に簡単に乗るんじゃない、君も言ったようにこれからは味方なんだ、間違っても今の発言はしちゃならない、気をつけろ」
レンゲがフンッと鼻を鳴らして車輌に乗り込んで行った
「あいつはああ見えて仲間思いなんだ、佐藤が死んで奴なりにショックを受けてる、許してやって欲しい」
「大丈夫です、俺も言い過ぎた所がありますんで」
あの人も仲間を失ってるんだよな...てか、俺が佐藤さんのAWを着けてる訳だし、良い気持ちはしないか...
「よし、早く車に乗れ、行くぞ」
「はい」
「ああ、ちゃんと蓮華に謝っておけよ」
「....うっす...」
そうして俺は輸送車輌に乗り込んだ
車に乗ったら、中にはさっきのレンゲの他にも3人乗っていた
「お、こいつが噂の新入りか!」
1番手前にいた茶髪の男が笑顔で語りかけてきた
「...よろしく」
その隣にいた黒髪の男が伏し目がちに挨拶をくれた
「やっほー!宜しくね!」
今度は茶髪の対面に座ってた赤い髪の小さい女の子が挨拶をしてきた
「....ふん」
そしてその隣にレンゲ女
俺は奥に行き、黒髪の隣に座った
「どうも、よろしくお願いします、矢口です」
頭を下げながら自己紹介をした。
「俺は辰巳 昴よろしくな!」
茶髪の人は辰巳さんっと...
「僕は...鏑木 隼斗」
黒髪さんが、鏑木さん...
「アタシ大塚 愛維よぉろっしくねー!!」
このお元気さんが大塚さんっと
「....」
「ほら、レンちゃんも挨拶しなよー」
うげ、また嫌味でも言うんじゃねえのあのレンゲ
「もうしてるから大丈夫」
「そうなんだね!分かった!」
あれ、何も言わないのか?
んまあ、それよりも....大塚さんっていくつなんだ?
なんやかんやあったが、車が動き始め、目的地に向かって動き始めた。
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ふう...これから俺の新しい人生が始まんのか...
どうなんのかな、まあ、どうでも良いか。
やるだけやるか。
しゃあない。