第六話
俺が中庭を探し当てた時にはもう戦闘は終わっていた。
数人のAWが立っていて、6体の地下虫と見られる死体が転がっていた。
「.......これは.....はっ!...親父ぃ!!お袋ぉ!!」
正直、今は親父達以外どうでも良い、良く見える視界で親父達を探すが一向に見付からない...
どうしたんだ?....まさか奴らに...
「....まさか、大くんなのか?」
俺はビクッとしながら後ろを振り返った
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「そうか....状況は理解した、まあその場合仕方が無いとは言えるが....
すまないが決まりがあって君を俺らが一時的に保護監察させて貰うことになる。」
今は落ち着いて話してるけど、こうなるまでこっぴどく怒られてた。
親は幸い救助が間に合い助かったが、その親父達にも泣かれて怒られた。
仕方が無かったんだ、許してくれみんな。
といっても無駄と悟るのにそう時間は掛からなかった。
「さて、大くん、君はまがいなりにもAWを装着してしまった訳だが、これからどうなるか分かるかな?」
「いや、分かんないです、死刑とかですか?」
「まあ、逃げ出したらその処置も考えなくてはならないから、そうしない事を願うよ」
高嶺さんは笑顔で言っているが、目がすげえマジなんですけど、ちょ、正直怖いです
「まあ死にたがり君だからそれも罰になるか分からないけどね」
目が元に戻った...良かった...
「だけど、君の身は預からせて貰うよ、AWの件も詳しく話さなくてはね」
「預かるって、何処に?」
「俺の部隊か上の連中の所だ、だが、どちらかに連行する前にこれだけは聞いておきたい」
あ、また目がマジになった
「君はアルバトロンと戦う気はあるかな?」
俺の目をジッと見つめて高嶺さんは、俺の骨にまで響くような低い声で聞いてきた
「......それってどういう意味ですか?」
「そのままの意味さ、幹部級を相手にして君は異常な戦果を挙げた、初めての殺し合いで、初めてのAWで、精神状態も変わらずこうして話している、これはね異常事態なんだ、本来AWは訓練された隊員が装着して初めて戦える兵器になるんだ、ブースターを初めとした装着者補助システム、AWの純粋な運動性能、それを君は訓練無しに装着し、補助システムを理解し、敵を撃破した、これはもう常識を越えている」
高嶺さんはさっきの響く声で俺に一つ一つ状況を説明したが、体が勝手に動いたって言っても理解してくれないんだよな...どうしたものか...
本当にそうなんだから仕方ないじゃん..
「本来ならAWは許可のない者の装着及び運用は極刑に処すると通達があったのだが....
正直に言おう、俺は君の才能が欲しい
上は何とかなる、これでもある程度の権限は貰えているんだ....どうだろうか、君が戦う気があるのなら悪いようにはしない」
俺が...必要?
「それに従わなかったら、俺は殺されるんですか?」
「まあ、アルバトロンの幹部級を倒せる程の戦闘センスの持ち主を放置には出来ないな」
「それって、俺の選択肢はもう決まってるようなもんじゃないですか」
だけど、この力があれば地下虫は確かに倒せる...
あいつらを、殺せる
殺せる....
「大くん、出来れば時間をあげたいが、そうもいかないんだ、上から君の引渡し要求が出ていてね
君が縦に首を振ってくれないと、俺は君を上に連行しなくちゃならない」
それって脅迫みたいじゃん....
ああ、なんかもうどうでいいや
どうせ捨ててた命だし
くれてやるよ、あいつらを、虫を駆除する為にな
「高嶺さん」
「なんだ?」
「分かりました、高嶺さんについて行きます」
「.......ありがとう。」
こうして俺はイレギュラーまみれで自衛隊に入隊す
る事になった。
物語は加速する、俺が今置かれている状況、全てが変わる、平和だと感じていた世界は全然平和じゃなかった、そりゃそうだろう戦争は終わってなかったんだから。
俺は目を背けていただけだ、世界から、現実から。
殺す、虫共を.....
そして奴を見付ける
4年前に東京を襲ったアルバトロンの大幹部
美優の仇
絶対に見付けて嬲り殺す
待ってろ、カブトムシ野郎。