第三話中学生で停学処分
「それで、あの、地下む...アルバトロンは..」
1番気になった点だった、あの地下虫が生きているのかどうか
「すんでのところで逃げられてしまった...すまない」
また頭を垂れた、頭を下げるのが仕事なんだろうなぁ大変だな、としか俺は思わなかったけど、申し訳なさは伝わった。
「所で、えっと...大くんと呼んでも?」
「別に良いですよ」
本当は可愛い女の子に呼ばれたいけどな、例えば...美優...とか...結花ちゃん....
あぁやべ、自分で地雷踏んだ...
「大くん、非常に聞にくいんだが、過去に1度PTSD検査を受けいるね?もしかして、第1次アルバ侵攻も巻き込まれたのかな?」
すっげえ普通に聞いてんじゃねえか....美優...
「....」
「すまない、本来であればこういうのは覚醒が確認されてから数日経った後に行うのが正しいのだが、事態が事態でね、大くんには辛い思いをさせてしまっている」
「....」
「...実は勝手に調べさせて貰ってはいるんだ、親御さんには許可を貰っていたがやはりプライバシーだ、君の口から話して貰うべきだと俺が判断した。」
「...それじゃ美優が死んだのも知ってるんだよな」
自分でも情けない位の掠れ声だったがこれで精一杯だ、正直今は誰とも関わりたくない
「ああ、君の恋人だった田崎美優さんだね、隊員が駆けつけた際は既に意識は無く、病院に搬送され一時は奇跡的に意識を取り戻したが、その後は...
それと、君のこれまでの経歴だ、あまりコチラは褒められたものでは無いけどな」
空気を和まそうとしたのか、少し笑顔を覗かせた、ああこの人は良い人なんだな、髭剃った方が良いと思うよ
「中学時代は毎日喧嘩して、中学生で停学処分まで受けている、流石に笑ってしまったよ最近の子でもここまでやるのだとね」
「そりゃどうも」
「そして武道を習っていたね、柔道を、公式な記録では無いが君は自分の講師から1本を取ったそうだね、それも5段の、これはとても真似が出来ることじゃない、白帯が5段を投げ飛ばすなんてな
このまま続ければオリンピックも目指せたそうじゃないか」
「もうオリンピックも無いけどな、世界陸上も、ワールドカップもスーパーボウルもWBCもね」
「ああ、そうだな、だから俺は早くあの頃を取り戻したいと思っている」
「は?」
「AWが開発され実戦配備された今、白兵戦での遅れは相当カバーする事が可能だ」
「そのAWとやらはそんなに強力な兵器なんだ」
「ああ、全員の熟練度さえ上がればね、戦況を一変させられる」
「あの」
突然だった
「それがあれば、守れるんですか?」
自分でも気持ちが抑えきれなくなってきた
「奴らを...虫共を殺せるんですか」
何でだろう、俺ってまだ感情があったのか
「俺...」
くそ....なんで
「おれ..」
ああ....むり...
「おれ...はぁっ!...うぇっぐ...誰も...うぅ...何も守れなかった...お゛れ゛が強い゛って.....過信...うぅ..しすぎてた...」
もう駄目だ、全部出てきちまった、無力感も、絶望も。
「大丈夫だ、もう大丈夫。
俺らが君達を守るよ、だから安心して欲しい。」
暖かい言葉だった、そしてこの人なら信用できるかもって思っちまった。
だけど、駄目だ、地下虫に対する恐怖心が消えねえ...
今回だって何にも出来なかった...俺は戦争が終わるまで...生きている間ずっとこの恐怖と一緒に生きていかなきゃ行けないんだよな...
そう考えただけで...
「高嶺1等陸尉!緊急事態です、アルバトロンがこの施設に侵攻して来ました!」
扉を乱暴に開けた自衛官が必死の形相で状況を伝えて来た
「数は」
「確認したのは、幹部級1体、その小隊と見られる編成で下級兵士が6体です」
「了解だ、各員に通報させろ、そして施設内の非戦闘員を各シェルターへ案内誘導し、AW装着者は迎撃にあたれ」
「かしこまりました!」
あいつらが来たのか....
どうしてここに...
だけど、高嶺さんは余裕を持って指示を飛ばし、自身も現場に赴こうとしていた
「大くん、サクッと倒してくるからこの部屋から出ちゃダメだよ、一応この部屋はシェルターも兼ねているからね」
俺に向き直りそういった
「それで現場はどこだ?」
「カフェラウンジ付近の中庭です」
俺は戦慄を覚えた
高嶺 勇気
陸上自衛隊1等陸尉
対アルバトロン特殊部隊
AbsoluteWeapon隊長
36歳
髭面イケメン、若くして対アルバトロン特殊部隊の隊長を務める。
戦闘能力もさるところながら、指揮能力も高い。