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黒星  作者: 伊田 朋量
序章
2/20

第二話聞きなれた声だ

何でだろう、勝手に動いた。

自分でも驚いてる。

いや、正確には意識して攻撃したけど、確かに俺はあいつに、地下虫にしっぺ返しを食らわせた。


「おい地上人、いい加減にしろよ、何が熱くなっただ、ただのマグレ当たりで調子こくなよ」


そいつは明らかに怒りの形相で俺を睨む、そして


「分かった、そんなに死にたきゃ殺してやる特別サービスだ、有難く受け取れ」


自身の顔に手を当てこう叫んだ


「変身ッ!!」


その瞬間、やつの体が発光して体が蜘蛛を模しているような怪物に変化した


そう、これが奴ら地下虫共の戦法[変身]だ、俺は過去に変身した虫を見た事あった.....4年前に。。



その驚異的な力は、元から高い身体能力を誇っているアルバトロンとか言う地下虫共が、更に戦闘力を高めて、超常的な力を発現させる。

それは個体によって様々な特性が確認されているそうだ。


そして、奴らは総じて虫の様な怪物になる。

んで今回が蜘蛛みたいな奴だろ?

ほら、地下虫じゃん。


「恐怖で何も考えられなくなったか、そうだよ、最初からそうしておけば良かったんだよ、気持ち良く殺して貰った方がお前も気持ち良いだろう」


「怖い、か、うん、怖い、マジ、助けて下さい。」


「ふざけやがって....」


すると蜘蛛の地下虫が口から糸を吐き出して俺の体に巻き付けてきた....何んだこれ蜘蛛の糸ってもっと柔らかいじゃん、超硬いんだけど.あ...やべ..意識が...


「じっくり苦しんで死ね」


無...理..流石に..さっきみ...みたいに...出来ね...


あれ...遠くか..らエン..ジン?


「......」


薄れゆく意識の中で見たのは、黒い戦士が飛んで来たという場面だった。


______________


やりたい事は無い、俺が守りたかった者、将来は奴らに蹂躙された。

あいつ....美優(みゆ)が殺されてもう4年が経った、あの日、奴らが宣戦布告してきた時、奴らは一斉に各国に攻撃を仕掛けてきた。


その際に奴らが攻めたのは、中国の北京、ロシアのモスクワ、アメリカのワシントン。

そして日本は東京。


主な人類の主要都市が襲われたが、奴らの攻撃は経った1時間で終わった。


奴らにしてみたら顔見せだったらしい、自分達の力を誇示する為の行いだったのだ。


その為に美優は...あいつは...

いや、美優だけじゃない、世界で数千万人規模で死者が確認された。


世界が悲しみに包まれたが、悲しんでいる余裕は無かった。

奴らは宣戦布告した数日後、EUを最初の標的にしたらしく、EU各国に戦争を吹っ掛けた。


だが、奴らの戦争はミサイルでドンパチではなく、自らの体で戦い、その機動力を持って瞬く間に侵略を進める事だった。


だが、世界各国も黙って見ていた訳では無かった、国連は話し合いが不可能と早期に判断し、今迄の体制をガラッと変え、国連軍として新たに生まれ変わり、宣戦布告から1ヶ月後の2013年12月24日、アルバトロンとの全面戦争を始めた。



奴らの力、[変身]は人に恐怖を植え付けた。

神出鬼没の悪魔、いつの間にか世間はそう呼ぶようになった。


奴らは何故、今になって攻めて来たのか。

連日ニュースは意味があるのかどうか分からない論争を繰り広げている。


俺には興味ない。


そう、世界がどうなろうが、俺は知ったこっちゃない。


だって、奴らが全部奪っていくのだから。


なら、最初から何も求めずに生きていけば良い。


そう決めた。


いつしか、俺はただ飯を食って排泄物を出して寝るだけの機械になった。


生きてるだけ、自分の胸に空いた穴がどうしても埋まらなかった。


仕事しても、女の子を抱いても、ギャンブルしても、酒飲んでも、タバコ吸っても。


何も感じない。


つまらない。


早く死にたい。


死にたい。


殺してくれ。


殺して....


[おね..い....私..の...ぃき...て...]


また、か...


あぁ俺は...どうすりゃ...


______________

_________________

____________

_________

______


「...い....大!!」


聞きなれた声だ、あれ?誰の声だ?


「大!良かった...生きてて良かった...」


目が光に慣れてきて声の正体が分かった

親だ、両親だった。


「パパ、大が目を覚ましたよ」


「大!!!」


「うるさい...病院ではお静かに...」


「親御さんに向かってそれは無いんじゃないのか?」


あれ、聞きなれない声だ、だれだ?

確認しようと目を向けると、ビックリする程ワイルドなイケメンが居た。


あれか、最近の医者はそんな髭面でも良いのか、いや、そもそもどうして医者が軍服みたいの着てんの?


「ほら、大、ちゃんとお礼を言いなさい

あんたの命助けてくれた恩人何だから!」


「そうだぞ!しっかりとお礼を言いなさい!」


「....なんで来たんだ?」


「「え?」」


2人とも素っ頓狂な顔と声で反応していたが、俺は気にせずに軍服のお兄さんに話しかけた


「俺はあのまま死んでも良かったんだ

あんたが余計なこと...ブッ!」


途中で親父に殴られた、そりゃそうだろう


「お前は何て事を!命を助けて貰ったんだぞ!

お前はお礼も言えんのか!!あ...」


親父がフラついて軍服の方へ倒れそうになったが、軍服がそれを抑えた、お袋の方へ目を移すと泣いていた。


親のこういう姿は何度も見てきた。

飽きもせずに何度も怒るし泣く、俺も悪いと思ってるし、何度も謝りたいと思ってるけど、言葉が出てこない。


「大丈夫ですよ、お父さん、少し気が動転しているのでしょう、誰でもあのような現場に遭遇してしまっては仕方ありません」


憎たらしい笑顔だな、絵になる、こんちくしょう。


「お父さんお母さんも疲れたでしょう、ここにはカフェラウンジもあるので、そこでコーヒーでも飲んで落ち着いたらどうでしょうか?」


「え、えぇそうさせて貰います、今回は本当にどうもありがとうございました。」


2人揃って頭を下げて、病室から出ていった。


.....どうやら今回も俺は死ねなかったらしい。



「さて...と、大丈夫かい?」


「はい、お陰様で大きな怪我も無いみたいですし、ここもあの世じゃないようなので大丈夫です」


「アハハ、何か嫌われてるかな?」


「いや、感謝はしてますよ、一応」


事実感謝はしてるし、あの時は生き延びたいと思ってた。


「すまない、俺がもっと早く着いていれば皆さんを助けられたかも知れない...」


すると軍服は頭を下げて謝った


「違います、あなたは多分皆の件で俺がヤケを起こしたと思ってるけど、違うんです。

それよりも、今回は、その、ありがとうございます。」


「...どういたしまして...とも言えないけど...」


申し訳無さそうに頭を垂れている


「その...所で...あなたは?」


「ああ、すまない、俺は陸上自衛隊所属の高嶺(たかみね) 勇気(ゆうき)だよろしく」






この高嶺さんとの出会いで、俺の空洞に新しい風が吹くことになるとは、思わなかった。


....相当めんどくさい予感はあった。

両親


矢口騒子(やぐちそうこ)

大の母、51歳

涙もろいが、芯はしっかりとある人。

健康なのが自慢、美優の件は知った上で大を励ましたり母として何か出来る事がないか模索している。

依然として大を救えない事に無力感に苛まれていく


矢口武方(やぐちたけまさ)

大の父、68歳

厳格な父であるが、凄い親バカ、である。

高血圧で糖尿病もち、何故生きているのか不思議なくらい病気が重い。

だが、家族の前主に大の前では強気に振る舞う。

昔は、筋肉マッチョで無茶苦茶モテてたらしい。

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