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「ぬあああぁああ!!」
「っわ、なんですか。」
わぁ、ちょっと私こんな大っきい声出たんだ。
ていうか、私の目の前の人イッケメーンじゃないですか。
ていうか、私とこの人初対面?ハジメマシテ?
「ぬあああぁああ!!」
私は声と同時に布団を頭まで被る。
「黙れください」
わぁ、イケメンさん怒ってる。
でもでも、起きて初対面の奴いたら発狂して毛布被ると思うんです!
当たり前だと思うんです!
「ココハドコ、アナタハダレ」
白目剥きながら、言葉を彼にぶつける。
わぁ、イケメンさんキレそう。
申し訳ない、本当に申し訳ない。
「ここは、貴方が僕を見て倒れた部室の30分後です。
そして、僕は入部希望の、新名奏です。」
私は、急いでフードを深くかぶり言葉を探す。
「わ、わ、私は、この漫研の部長の南桜音です…初対面が苦手です…漫研へようこそ……」
ぬあああぁ、間が…間が持たないいいぃぃ……
何この子!無言で考え込んで!ああああ!!
「すみません」
「ぬああ?」
何この子?突然謝って。
「僕、漫研志望っていうと間違いかなって」
「え?何で?」
思わず本音が漏れる。何で何で?もしかして、体験入部?それならかなり恥ずかしいよ?でもでも入部希望って言ってたし。
「僕、内申と成績トップ狙ってるんですけど部活とか面倒くさいし。でも部活でうまくやってる感出したほうが成績的にいいでしょ?先生達の評価も得たいし。
いい感じの部活探してたんで、部員一人の方が言いくるめ易いでしょ?だから…」
嘘でしょ?マジで?
ないわ、ないないだわ。
「……ありえない」
「?」
「成績、成績ってガリ勉メガネか!!!」
「!?」
「そういうの許さない性格なの、でも部員ゼロはツライ」
「ガリ勉メガネ君、賭けをしないかい?」
わあキョドッてる。ゴメンね、私変なとこうるさいから
「どんな?」
おお!ヤル気かね?
「単純。次の中間で成績が高かったほうが勝ち。見た限り君2年でしょ?私もだから」
「……いいんですか?勝っちゃいますよ?」
「私が勝ったら、部活を真剣にしてもらう」
「………僕が勝ったら?」
向こうの息を呑む声がする。
「部活をやらなくても優秀ですって先生に伝える」
「勝負受けます」
「よし来た!」
勝たないとヤバイ
夏コミまでにあの子を引き入れないと!