表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねがいごと  作者: 流星
9/83

第九話

 アスランとマイカは、幼い頃からリリアの事だけを考えて生きてきた。


 小さい頃はリリアとリリアの兄も含め、よく四人で遊んでいた。

 リリアの兄が亡くなると、リリアはアスランとマイカにべったりになった。


 アスランが勉強をしている時は、リリアはアスランの隣に座って本を読んだり絵を描いて、アスランの勉強が終わるのを待った。


 リリアはいつも途中で飽きて眠ってしまうので、その度アスランは、


「仕方がないな」


と、小さく笑って勉強を中断し、リリアを抱き上げて、リリアの部屋のベッドまで連れて行った。



 マイカが掃除をしている時は、リリアが見よう見まねでマイカを手伝った。


「お嬢様、危ないから手伝いなどしなくて良いですよ」


 いくらマイカが言っても、リリアは、


「一緒にやりたい」


と、箒やハタキを使う。


 結局最後はリリアが何かを壊して、マイカの仕事が増えてしまうのだが、マイカはそんなリリアが愛しかった。


 アスランとマイカが二人でいる時は、大抵リリアの話になる。


 マイカは、そのひとときが楽しかった。

 しかし、リリアの事を笑顔で話すアスランを見ていると、何故か胸が締め付けられた。

 たとえ幼い頃から仲が良かったとしても、相手は次期王になる者で、自分はそれに仕える者だ。

 身分が違うことぐらい充分心得ている。


 アスランの口から、


「将来リリアと結婚をし、リリアと共にこの国を守っていく」


という言葉を改めて聞いた時、思わずマイカの目から涙がこぼれた。


「どうした?」


「何でもありません……」


 二人はそれ以上何も言わなかった。


 何かを口にしても何も変わらないことぐらい、お互い分かっていたからだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ