第23話 旅立ち (修正)
2015年7月7日修正しました。
第23話 旅立ち
「あーん、ティファちゃんさみしいよー」
そう言ってタニアはティファリーゼに抱きついた。
ティファリーゼが犯罪奴隷としてマリオンの『従僕』に落ち着いてから三か月弱。ティファリーゼはすっかり神殿の女性たちのアイドルになっていた。
お風呂で磨いてみたらこの子はとてつもなくきれいな子だった。もちろん磨いたのは面白がったタニア達見習いたちの群れだ。
獣人族の血を引いている事が判明した彼女だが耳が人間並に小さく、尻尾も小さいために服を着せると人間族と見分けがつかない。それでいて妙に愛玩動物っぽい可愛らしさと、やたら整った人形もかくやという整った容姿をしている。
サラサラの金髪はきれいで、おまけにずん胴ペチャパイおなかポッコリの幼児体型。
若い女性見習いたちに熱狂的な指示を持って受け入れられた。
可愛い女の子というよりは完全にちっちゃい子扱いである。
それがけなげに仕事をこなしているのだから人気が出ない方がおかしい。
本人はまもなく成人と言うことで、そういう扱いはやはり納得がいかないようだが、それがまた小さい子が背伸びをしているようで、女性神官達の琴線に触れるらしい。
きゃー(愛)てなもんである。
「タニア。僕は?」
ティファリーゼに抱きついて好き放題、ほっぺスリスリでじゃれるタニアにマリオンはそう声をかけた。
「うーん、もういらないかな?」
「ひ、ひどい」
タニア顎に指をあててちょっと考えるふりをして、つれないセリフを吐き出した。
だがそう言いながら左手は自分の腹部をさすっている。
そこにはマリオンの子供がいるのだ。
つまり種付けが成功したからもういらないという意味だ。
(ギャグだよね?)
マリオンは内心冷や汗を流したりしている。
だがこれはやはり別れが寂しいゆえの欺瞞だろう。
彼女の妊娠が分かった時マリオンは思い切って一緒に来ないかと聞いてみた。
そして見事に断られた。
まだマリオンにはトゥドラのような自分のコミュニティーを持てるほどの力はないということだ。
それに子供を産み育てていくうえでトゥドラの奥さん達が構成するコミュニティーにいる以上に安全なことはないだろう。
この世界の人が根源的に生き、そして子孫を残すことを第一に考えているのなら現状でマリオンを選ぶはずはなかった。
それでも嬉しそうで悲しそうだったタニアの様子は、マリオンにとって安らぎではある。
次に、ここに残った方がいいのか? とも悩むことになったマリオンだったが、その尻を蹴っ飛ばしたのもタニアだった。
女に子供ができたくらいで初志が揺らぐような男はいらないのだそうだ。
まことに女性はたくましい。とマリオンは本気で感動したりする。
そしてこの世界は男には厳しいのだ。
『もし私がほしいのならもっといっぱい実力をつけて甲斐性をつけて迎えに来てよ』
おどけたように言う彼女のその言葉は多分本心だろうとマリオンは思う。
そんなやり取りの後マリオンとティファリーゼはみんなの見送りを受けて、たくさんの贈り物を貰って町を出た。
トゥドラが手を取り『成長した君に会えるのを楽しみにしています』と言ってくれた。その後ろでフィネたちが深々と頭を下げた。
大神殿司は一枚のメダルを渡してくれて、『このメダルを見せればどこの神殿でも便宜を図ってくれるから』とそういった。
これは神殿に対して多大な功績のあった人に対して発行されるもので、VIPカードのようなものらしい。
おまけとして『中権使』という身分が付いてくる。
これは教会が発行する『身分』で、平民よりも少し上位の衛士や騎士と同じ『士族』身分に相当する。
教会内部で言えば見習いを脱した人間はこの身分になる。
それで何か権力が付いてくる訳ではないが、持っていれば各地の教会で正規の神法士や徳道士と同じ扱いが受けられるし、衛士や騎士に対しても対等に立ち回れる。
大変貴重なものだ。
騎士団長ヒルメスからは結界石というクリスタルの石板を渡された。
仲良くなった人、一人一人と握手を交わし〔一部はティファリーゼを愛でることに夢中であったが〕温かい見送りを受けてマリオンはドーラの町を旅立ったのだ。
乗っている馬車ならぬ獣車も神殿の人たちが用意してくれたものだ。
この世界ではこういう荷車を引くのは『馬』に限らないため総称するときは『獣車』とか単に『車』と呼ばれる。
マリオンのそれは四輪の『幌獣車』だが幌は特殊な革でできていて、防水性は高く、防御力もそれなりにある。車本体は木製だがこれも丁寧に塗装されていて雨にも強いという、豪華ではないが質のいい車だった。
そして車を引いているのは石獣と呼ばれる獣だった。
体長三m。肩高二mに及ぶアメリカバイソンに似た動物で、額から頭、背中にかけて石のように硬い甲羅があり、それ以外の所は長い毛で覆われている。
足はバイソンよりもずいぶんと太く、犀と水牛を合わせたような感じの動物で、大きな角が頭の脇から二本伸びて前を指向している。
石獣の毛は延々と伸びるためにほどほどのところできってやらねばならないのだが洗って晒して紡ぐと毛糸になり、草食で草原を行く限り食べ物に困らず。その排泄物は乾かすと薪などの代わりに使える燃料になる。
石獣の名にふさわしく、全力疾走しても時速三〇kmほどしか出ないがその分持久力が高く。時速十二kmほどの巡航速度なら数時間走り続けても平気。八㎞ほどの歩行速度なら一日中歩いても平気という、長旅にはまことにもってこいの動物だった。
東の果てまで旅をするというマリオンのために神殿がわざわざ取り寄せてくれたものだ。
出発がここまで遅れたのはこの石獣の獣車を操る訓練をしていたせいでもある。
馬車の中にもちょっと細工がしてあって、天板に綿入れの座布団のようなモノを縫い付けた衣装ケースのようなモノが並べて敷き詰めてあり。旅のための買いそろえた荷物類はこのケースの中に入れ、人間はふたを閉めたケースの上で居住するような造りになっている。
これはマリオンのアイデアだった。
トゥドラたちもこのアイデアも面白がっていて、神殿の使う馬車には同じような仕組みを導入しようと画策していた。
ほかにもマリオンの発案と地球から持ってきた物の研究で実用化に向かったモノは多く、スニーカータイブの靴底は正式採用が決まったし、腰ベルトは改良型が主流になりつつある。
まだ、この町の神殿でしか使われていないが、いずれはオルトス大陸の、すべての神殿に普及し、そこから一般の人々の間に普及し、国中で使われるようになる物もきっとあるのだろう。
この世界には知的財産権というものはないから広がるのは存外早いかもしれない。してみれば神殿の人たちがマリオンの見送りに大挙して押し寄せるのは当然で、彼らはマリオンのもたらしたものが非常に大きいと考えていたのだ。
ただ神殿との縁が深くなった分、本来の仲間であるはずの冒険者たちとは少し疎遠になってしまった。
ソルタやトルムたちともあまり会う機会がないまま、彼らは東の果て、テッドラー王国に旅立っていった。
それはちょっと残念なことだったとマリオンは感じていた。
◆・◆・◆
荒野の中を石獣にひかれた車が進む。
時速でいえば八kmくらい。人間が普通に歩く倍の速度だ。この速度で安定して走り続けられるのだから石獣という動物は本当にすごい。
周囲は見渡す限り草の海で、まばらに横に広がった木が生えているのが見える。中には木が密生し森になっている所や、地質の都合だろう、岩場になってむき出しになった地面もある。季節も暖かい季節と言うことで気温は高めになっている。
地球でいえばサバンナの大草原というのが近いかもしれない。
「おはよう…よく寝た…」
幌の入り口にかけられたカーテンをめくってマリオンがのそのそ御者台に出てくる。
「あっ、旦那様。お目覚めですか?」
「ああ、起きた。ここはどこら辺だ?」
そう言って周囲を見回すが周辺は草の海、インパラとかガゼルに似た草食動物が群れをつくって草を食んでいるが、他にはこれと言って見える物も無い。
ティファリーゼに名前を聞いたら総称が『インパラ』で体の模様や角の大きさで『なんたらインパラ』と呼ばれる動物らしい。
「このあたりにいるのは『ルアインパラ』と『ソーダンインパラ』ですね」
とティファリーゼが教えてくれるが、近縁種というやつだろう、はっきり言ってよくわからないマリオンだった。
「食べられる?」
「はい、ふつうのお肉ですよ。ドーラあたりでは見かけませんがこちらではよく食べられる動物です。ほかにもあの草牛とか食べられます。あとあっちの首長ウマとか」
マリオンの見るところ『インパラ』『水牛』『茶色キリン』である。
「まあ食べられるならいい。おいしいのは正義だ」
短絡した。
見渡す限りそんな光景で、遠くに見えるとんがった山が目印なのだが、距離がありすぎで寝て起きたくらいでは近づいたようには見えない。
この車の速度が時速八キロで安定しているとして、六時間寝ていたのであれば四十八キロしか進んでいない計算になる。大陸横断をしていることを考えればまあこんなものだろう。
コーベニー伯爵領から東を目指す場合ルートは二つある。
一つ目が北に向かって隣接する貴族領、更に隣の貴族領と抜け、北に海を見ながら東進、鍛冶の町スミシアに抜けてからクラナディア帝国中心部に向かう北ルート。
こちらは街道が整備されていて三か月という所だろうか…
もう一つは南に向かって南側の貴族領を抜け、アダンというクラナディア帝国直轄の大きな港町に抜けるルート。
この港町の東に南北に伸びる山脈がありここを北に回り込んでタンタという分岐点都市にすすみそこから街道を通ってクラナディア帝国中心部の玄関口にあたるノーダの町に進むルートと、船で海に出て隣の港町ゼオに抜け、そこから国境に沿うようにノーダに北上するルートに分かれるのだが、獣車で旅をする以上海はだめということなので必然的に山脈越えのタンタルートになる。
このルートだと四か月ほどかかる。
マリオンは思い切ってこのタンタまでをまっすぐショートカットするルートを選んだ。
ティファリーゼと二人でドーラ町の周辺でキャンプを張ってみたり、いろいろ試した結果、自分のパーティー〔二人だけど〕の場合、街中よりも荒野の方が生活に困らないという単純な事実に気が付いてしまったのだ。
ティファリーゼは博識で魔物の区別や野草山菜などにも詳しく。下手をすると町で暮らすよりも栄養バランスの取れた食事が作れたりする。
料理の腕も、本人はまあまあと言ってはいたがマリオンに比べれば雲泥の差であるし繕い物つまり裁縫は本当にうまい。
つまり荒野を進んだほうがいろいろ便利、快適という結論に達したのだ。
このルートだと一か月でタンタに着き、さらに一か月で帝国中心部に行けるはずだった。
ただマリオンが見落としていることがひとつある。
荒野を進むというのはベテラン冒険者がとるルートで、慣れないものは絶対に選ばないルートだと言うことだ。なぜかというと荒野の真ん中で何かあった場合、助けを求めるすべが全くないからだ。
つまり病気やけがなどしたらそこでジ・エンド。あるいはデット、エンド。
だから人は町中を、遠回りになっても進むのだということをマリオンは無知ゆえに無視してしまった。
ティファリーゼも無視だったが、こちらは『ご主人様の行くところどこにでも行くのが従僕の務めです』と言っていたで思考停止している可能性がある。
大丈夫であろうか?
今までは大丈夫だった。
…ならいいか…
「キャーッ!」
「おお、すげえ…」
今、狼に似た大きな獣が一頭の草食獣を仕留めた。スペクタクルである。
さてこの獣、狼に曲がった角をつけたような動物で、大型犬を一回りさらに大きくしたくらいに大きい。
かなり頭のいい獣であるらしいく、馬車を盾にし隠れながら、草食獣に近づき、いきなり飛び出して仕留めている。
『草角狼』というらしい。
そんな光景を見て二人は歓声を上げ興奮している。マリオンの感覚では多分サファリパークのような感じでいるのだと思われる。
ティファリーゼまでやっているのはずれているのか、つられているのか、どちらにせよこの二人現在クラナディア帝国で最も呑気な旅人であるかもしれない。
◆・◆・◆
馬車周辺は一種の空白地帯で、この周囲には魔物や動物が入ってこない。結界とはそうした物だ。
ヒルメス騎士団長からもらった結界石は三〇センチくらい大きさの八角形クリスタルで、同じ形の薄いクリスタルに文様を書き込み、それを何枚も何枚も張り合わせてつくられているものだった。
素材は魔力を帯びていて、呼吸するようにわずかずつ外の魔力を取り込み、魔法を放出している。その放出される魔法が周囲に結界を構築する魔法なのだ。
効果範囲はおそらく半径で五メートくらい。中心に近づくほど効果が強くなるらしく、獣車の至近はどんな動物も近寄ってこない。
石獣に影響がないのは家畜だからだろうか…
◆・◆・◆
「もう二時か…」
食事を始めた草角狼を置き去りに馬車は進む。マリオンは時計を確認してそうつぶやいた。
「は?」
「いや、なんでもない」
マリオンの時計は霊子情報処理能力上に構築された実体のないものであり、実際ここには時計がないのだからティファリーゼが首をかしげるのも当然だろう。
この世界にも時間という概念はある。そして時計と言うものもある。
あるのだが個人が持ち歩けるようなモノではなく、大きさのある置時計になってしまう。
当然一部の金持ちしか持っていないものだ。
大概の人は太陽の動きと、町の鐘楼が響かせる時を告げる鐘で時間を知る。
だが当然、荒野の真ん中にそんなものはないのである。
だからマリオンは自分の意識上に時計を構築した。
もともと持っていた多機能計算機から時間を読み込むことはすませていたので、秒、分、時の計測はできる。
町にいる間、時を告げる鐘と、日の出の時間。そして特定の影が同じ場所に来るまでの時間を計測し、この世界の一日が二十四時間四十八分ほどであることを突き止めた。
この世界の人はこれを二十四に分割し『六十二分』を一つの単位として使っている。
つまり六十二分を一時間として〇時から二四時〔これはおんじ〕の生活を送っているわけだ。
ここら辺は地球から来た人がそういう時間の考え方を教えたのではないかとマリオンは考えていた。
しかし前述のとおり、この世界には正確な時計がない。
二四時間が定着しているのに分や秒という概念が定着していないのだ。
これは多分時間の概念が持ち込まれた時に、正確に時間を図る手段がなかったからではないだろうか。頭の上の太陽を見上げてあと五分をはかるというのは無理過ぎる。
この世界の人の時間は『一時間』が基準で『半時間〔約三分〕』『四半時間〔約十五分〕』という認識がやっとであるわけだ。
さらに田舎になると、基準になるのか太陽なので、日出、正午、日暮れの三つの基準に深夜を加え、『昼前』『昼過』のような基準の前後を意識すれば一日を一二に分割することができる。その程度で十分生活できたりする。
じつにおおらかな話だ。
ただマリオン自身は時間感覚が狂うのを嫌って正午の十二時を基準として一日を二四時間に分割する時計を霊子情報処理能力上に作ったというわけだ。
一日二四時間、一時間が六二分。この程度は誤差で処理して問題ないレベルだ。夜、寝ていれば時差も感じないに違いない。
人間の体内時計は本来は二四時間よりも少し長いのだそうだからかえって調子が良いかもしれない。
マリオンはティファリーゼに向かって時間を言い直した。
「もう昼過ぎだなって言ったの…そろそろ休憩しようか、テッタも休ませよう」
「はい」
テッタというのは石獣の名前である。鉄のように固い殻を持っていて雄だから『鉄太』石獣なのに鉄とはこれいかに。相変わらずのセンスである。
昼食をとらないかかわりにお茶を飲んで軽くビスケットと果物をかじる。こういうのがこの世界の標準だ。
昔の日本に似ている。昔の西洋がどうかは知らない。
それにテッタの食事も必要だ。大きな桶に水をだしてやればテッタはガバガバと飲んで飲み終わると草を食みに行ってしまう。
石獣は賢い動物で主人のそばをあまり離れたりはしない、放しても安心なのだ。
「しかしここの所、水の補給ができないな」
マリオンのこのセリフを受けてティファリーゼの眼がキュピーンとひかった…ような気がした。
「いよいよお水が無くなったら今度はオシッ」
「コは飲まねーって言ってるだろ」
ティファリーゼの嬉しそうな言葉にマリオンの言葉が被る。
ズパーンとハリセンが唸った。
わざわざこのために用意した逸品だった。まあそこらへんの紙をたたんだだけのものなのだが…
「頭もいいし、物覚えもいいし、料理もうまい。なのに何でそんなにアホの子なんだお前は?」
「えへへ」
「いや、ほめてねーから…」
そう、このティファリーゼ。見た目も人形のように整っていて頭も性格も良く一生懸命で、健気なすごくいい子なのに、なぜか発想がななめ上を迷いなく進むアホの子だった。
事の起こりはドーラの町、出発の準備をしているときのこと、マリオンは大福の中に大量の水が備蓄出来ることを理解していたので、水のタンクの取り付けをしないつもりでいた。
水というのはかなり重たいもので、樽を括り付けて水を入れるとなるとそれなりの重しになってしまう。大福に水を格納し、桶を数種類載せておけばそれで足りるだろう。そう考えたのだ。
しかしそれは大福の機能を知っていればこそ、その時ティファリーゼはその事実を知らなかった。『それじゃ水をどうすれば…』と愕然とし、しばらく考えた後。
『いっ、いざとなったらおしっこ飲むしかないですね』
とマリオンに言い放った。
マリオンはその時、設えたばかりの獣車に顔面から突っ込んでしまったものだ。
だがそんなやり取りも無駄ではなかった。おかげでこうやって事前にハリセンを用意できたのだから…
「でもそのハリセンってやつ何の役に立つんですか…攻撃力低すぎですよ、音はすごいのに、あっ、獣よけ?」
「あほかー、ハンターの俺たちが獲物避けてどうすんだよ! これの攻撃力が弱いのはそうしないとお前を思いっきりはたけないからだ!」
スパンスパンといい音が響いた。ティファリーゼは『のー』とか言ってのけぞっているが口元が笑っている。そしてマリオンはと言えばこういうあほな妹も可愛くてよいと思うのだ。
すでに一緒に行動するようになって三か月。お互いに相手に安らぎを見出したりしている二人だった。
第二部 迷走編 スタートです。
やっと旅立つことができました。
長かったな…
以降の更新予定は活動報告の方に上げてあります。向こうの方にも遊びに来てください。
誤字、脱字の報告。読んでみての感想などいただけましたら幸いです。
よろしくお願いします。
それではまた次回。
お相手はトヨムでした。




