久しぶりに奮闘記も書いてみた。ちょっとシリアス調の……だが、我が家の神(嫁)に怒られそうなのでびくびくしている。
今俺は、自分の家の中で正座している。
目の前には我が家の神(嫁)が、つり上がった目で俺を睨み付けていた。
何故、こうなった……。
*
我が家の構成はこうだ。
一番上はるか彼方に、我が家の神(嫁)が鎮座し、その下にその眷属たる暴君(娘 4歳)がいる。そして、はるか下に一般市民たる俺がいた。
そして、先ほどまで俺達は、休日の買い物に出かけていた。
近くにあるショッピングモールで楽しく遊んでいたのだが、家に帰るとしばらくして神(嫁)が怒り出した。
そして今に至る。
「ちょっと、帰るなり携帯を触りだして、前から思っていたけど、○○は何か変なことにはまってるのじゃないでしょうね」
どうやら、俺が家に帰るなり携帯をいじりだしたのが感にさわり、とうとう堪忍袋の緒が切れたようだ。
俺は嫁にも内緒で“小説家になろう”というサイトに登録して、日々小説を投稿していた。そして昨日、連載小説の続きを投稿したが、どうにも気になりさっきサイトにアクセスしたのだ。
すると、感想や活動報告にコメントがきていた。俺は慌てて返信をしていたのだが……。
「いやあの……小説を……」
「小説ー?」
神(嫁)が変な顔になり、俺を見詰めた。
まさか、俺が浮気でもしているとは思っていないようだが……いや、もしかすると少しは疑っているかも知れないな。
彼女の瞳がどこか探るような瞳をしているのを感じる。
仕方ないな。俺は正直に話すことにした。
「俺は今、“小説家になろう”というサイトで小説を投稿している」
そして画面を見せ、サイトや今までの事を、色々説明した。
「ふーん、小説ねえ……まさか、プロになるつもり」
神(嫁)が何か思い付いたのか、驚いた顔をして言う。
「いや、そんな積もりはないよ。もう、いい歳だし、仕事もあるから……真剣にプロを目指す。そんな時間はないよ」
「そう、それならいいわ」
我が家の神(嫁)、彼女は少し安心した声で答えた。
「でも、それならどうして小説なんか書くの」
彼女が不思議そうな顔で聞く。
世の中には2種類の人間がいる。小説を読む人、読まない人。彼女は後者だ。
彼女にはわからないかも知れないが、俺は何とか説明してみる。
「えーとそうだな。自分の創造した世界を文章にする。それを誰かに読んでもらう……」
説明しようとしていると、俺もよくわからなくなってきた。
何故だろう。
何故、小説なんか書いてる。
もちろん、真剣にプロを目指して書いている人達もいる。
しかし俺は……。
それはある種の自己顕示欲の現れなのかもしれない。
俺が言葉の途中で考え込んでいると、
「まぁ、いいわ。○○は昔から本好きなのは知ってるから。でも、家の中では、そうねえ……1時間だけ認めてあげるわ。それ以上は駄目よ」
神(嫁)が、にっこり笑って言った。
こうして俺は制限付きであるが、なろうへのアクセスを認めてもらった。
しかし、俺は何故書くのだろうか。だが、これだけは言える。
自分の創造した世界を文章におこし、誰かに読んでもらう。
その時の達成感や、感想をもらった時の嬉しさは、まるで中毒患者のように俺を蝕む。
なろう中毒になった俺は、これからも苦悶しながら投稿を続けるだろう。
私は結構な大人です。
文中で2種類の人について書きましたが、それ以外にも2種類の人がいます。
若い人達はわかりませんが、私の周りで、私が小説を書いている事をしると、大概の人はこう言います。
「へぇ、小説なんか書いてるの……今度読ませてよ」
でも、その中では2種類の人にわかれます。
本当にどんな小説を書いてるのか興味を持つ人。
この人ちょっとおかしいかもと思い、距離をおこうとする人。
後者の人がほとんどですね。
私のようにちょっと年代のいった人には、まだまだ、小説を書くといった事がわかってもらえないようです。