LINK19 双獅相愛の絆×偏愛の刃=血塗られた狂愛
相変わらず文が無駄に長くて内容も劣悪な物ですが、何卒御容赦下さいませ!!(^_^;)
予告通り、今回は哮士&駈瑠ペアがメインです。
黒凰···否、煌闇影が魔契約したゾディヴィル···フェーネ・ライフィニティの手により殺害された不可視の斬魔事件の真犯人こと仮蟷裂希。しかし、ガドルフ・ディフェングがその遺体を自宅に運び、その傍らに予め闇影が捏造した「遺書」がある状況から彼女の死は「良心の呵責による自殺」と警察が判断、この事件は被疑者死亡で書類送検されてから十日が経った現在···
ー真神大附属病院
「······。」
「兄さん···。」
集中治療室にて未だに意識を取り戻さない闇影を心配なあまり、殆んど飲まず食わず且つ不眠不休の為両の眼の下に隈を作り、身体全体が痩せ細った状態の諸葉は、その目覚めを見守り続けている。
「(諸葉···。)」
そんな彼女を治療室の出入り口に凭れかかる様に見守っている黒いハットを目深く被り、黒コートを羽織った姿をした闇影。何故「闇影」が二人も存在しているのか?答えは簡単、治療室にいる「意識不明の重体患者である闇影」は、魔鳳凰の創錯物により変化したマネキン人形である。
「お願い···目を覚まして下さい···!!このまま貴方が死んだら私···私···!!」
「(諸葉···お前まで騙す形になって本当に済まない···!!)」
しかし、自分が本当は無事であり黒凰である事等一切の事情を知らずに本気で心配しながら「自分」に泣き縋る諸葉の姿を目にした闇影は、結果的に彼女まで欺いてしまった事に罪悪感を抱き心中で詫びる。自らが黒凰で在ろうとも日頃から自分に対する常軌を逸した偏愛ぶりを見せようとも、諸葉に対する思いは何ら変わらない。それが彼の本質である。
「嫌よ···このまま死んで未亡人なんて絶対嫌···!!」
「······What···?」
此処で雰囲気がブチ壊れるのが御約束···何と諸葉は闇影に泣き縋った状態のまま「未亡人になりたくない」と言う時が飛躍しまくった出鱈目な事を抜かし始めた為、闇影は目を点にして唖然とする。
「これから私達は真の夫婦となって子供を沢山産み出して幸せな毎日を謳歌する『永遠の楽園』を作るって未来が待っているんですよ···!?」
「(いやいやいやいやMA☆TTE!!何勝手に俺と結婚する前提で訳の分からない未来語ってんの!?『永遠の楽園』って何よ!!?)」
愛する者と永遠の伴侶となり互いの血を分けた子供を無数に産み出し幸福な人生を送る「永遠の楽園」なる未来を築く···と壮大な妄想と言う名の未来予想図をほざき出す諸葉に心中ツッコミを入れる闇影。先ず彼女は未成年だし、そもそも婚約等全くしていない。
「目覚めた暁には私の身体を愛でるなり嬲るなり肉××にするなり···兄さんの好きにして良いんですよ?だから目覚めて下さい。」
「(いやだから待てェェェェッッッッ!!!?お前は一体何を言ってるんだ!!?て言うか、ホントに重傷だったら絶対目覚めたくないよ!!ああああぁぁぁぁ!!!!もう今から出て来て直接ツッコミたい!!けど出来ないィィィィッッッッ!!!!)」
挙げ句の果てには自分の肉体を自由にして良い等、完全に強姦志願のド変態しか言わないであろう性奴隷宣言をする諸葉。あまりに好き勝手を抜かしに抜かしまくる彼女に直接顔を出して欲求不満をブチ撒けたいと言う衝動に駆られる闇影だが、今出よう物なら「無傷の自分」と「重傷の自分」が御対面してしまう為に施行出来ず、地団駄を踏みながらツッコむにツッコめない現状に悶絶する。
「はっ···誰か来る!?一旦病院を出よう···!!」
一人悶絶している闇影は治療室に何者かが赴こうとする姿を目にし我に返り、もしも自分を知る者ならば正体が露見してしまうであろう危険回避の為に病院から出るべく、足早にその場から立ち去って行く。
「失礼します。」
「エット···オ止メヲ刺シニ参リマーシタ···ゴサク!?」
「それを言うなら『お見舞い』でしょ。患者止め刺してどうすんのよ。」
「···何か御用ですか···!?」
治療室に赴いたのは黒深子を除いた生徒会の三人だった。優慈の挨拶に続く様に「お見舞いに参りました」と言うつもりのレオだが、「お止めを刺しに参りました」と患者やその親類に喧嘩売る検討違いの言い間違いをした為、由伽からツッコミと言う名の鉄拳を喰らった。諸葉は先程とは打って変わって彼等に冷やかな視線で睨み付ける。
「やっと面会謝絶が解除されたと聞いてね。白石さんは何か別の用事があるみたいで僕達三人が代表として来たんだよ。」
「皆、煌先生ガ元気ニケッボーン!シテ元気ニナルノヲイノキシテルンダヨ。ア、コレ寄セ鍋ネ。」
「『イノキしてる』じゃなくて『祈ってる』!『寄せ鍋』じゃなくて『寄せ書き』!!一体どんな日本語の覚え方をしてんのよレオ君は···あ、これ、お花よ。」
漸く面会謝絶が解除された事から、生徒会のメンバーであり闇影が受け持つ3年D組の生徒でもある自分達が代表して彼の見舞いに来たのだと優慈が説明し、変な言い間違いを連発しながら3年D組一同の寄せ書きが書かれた色紙を渡すレオの日本語の覚え方に疑問を持ちながらツッコミを入れる由伽も花束を諸葉に手渡す。
「···ありがとうございます。目が覚めたら兄さ···煌先生も喜んでくれるでしょう···。」
優慈達から寄せ鍋···もとい、寄せ書きと花束を受け取り彼等に感謝の言葉を送る諸葉。しかし正確には彼等を睨んだり、以前の深波(と流)に対する排他的な態度から、普段は闇影と自分の親族以外の人間を信用しない姿勢を取る彼女だが、流石に闇影の為に見舞ってくれた優慈達を無下には出来ず、形式的な感謝の意を示した···と言うのが正しい。
「···本当に無事で良かった。」
「うん、早く目が覚めたら良いわね。」
「目覚メタ時ノFirst voiceハ『ラー油プリン喰イテェ!!』ナ気シカシマセンネ。Meノ予言ハ当タル···!」
「それ僕達でも出来る予言じゃあ···。」
「でも有り得るかもww」
闇影の顔を見て命に別状が無い事を確認して一先ず安心する優慈達三人。やや湿っぽい雰囲気になりつつあるが、意識を取り戻した彼の第一声が「ラー油プリン喰いてぇ」と性格を知る者ならば確実に当たる予言をするレオが切っ掛けで笑いが少しこみ上がる。
「あ、そろそろ戻らないと···それじゃあ神斬さん、僕達はまだ生徒会の仕事があるからこれで···」
「先生が起きたら『ラー油プリンは糖分(当分)取れないわよ。』って言っといて。」
「Wow!Ms.ツルミガ先生ノ持チネタヲパクルアップスルトハ···何テ日···ダグバ!!?」
「パクってねぇわ!!てか持ちネタじゃなくて単なる親父ギャグでしょ!!」
腕時計を確認し生徒会の仕事の都合でそろそろ学校に戻らねばならなくった為、退室する優慈達。その際の由伽の冗談(闇影の親父ギャグ)に余計な茶々を入れて彼女から脳天に鉄拳を喰らって気絶したレオを引き摺りながらと、実に騒がしい退室だが。
「······。」
そんな彼等に一礼して、ふと受け取った寄せ書きと花束を目にした諸葉···。
「失礼しま···ヒィッ!!?」
暫くして、闇影の容体を確認するべく女性看護士が入室するが、視界に入った「とんでもない光景」を目の当たりにして思わず手を口にやりながら悲鳴を漏らす。その「とんでもない光景」とは···
「······ッッ!!」
何と、諸葉が先程優慈達から渡された寄せ書きを無表情で刃の如く鋭く睨みながら果物ナイフで幾度もズタズタにし、花束も全て花弁を乱雑に千切ってゴミ箱に捨てていると言う、凄惨な物だった。表向きは感謝しながらも、やはり内心は自分以外の人間が闇影へ贈り物をした事は、彼女にとって腸が煮え繰り返る程許し難い行為だったのだろう···。
ー津凪高校・剣道場
「「「面ッ!胴ッッ!!突ッッッ!!!小手ェェッッ!!!!」」」
それから更に数日後、剣道部は今日も今日とて部員達が皆、力強く掛け声を上げながら規則良く竹刀を振るう素振りの基礎練習を反復している。
「声が小さい!!もっと腹の奥から声を出せ!!」
「「「はいッッッッ!!!!」」」
そんな彼等を指導するこの剣道部の部長である哮士は下に向けた状態で竹刀を握りながら部員達の周囲を歩き回り、彼等の声量を不足に感じ、更に声を出す様厳しく檄を飛ばす。この基礎に妥協を許さない姿勢が強くなる為の唯一の近道だと信じて。
「「「面ェェンッッ!!胴ォォッッ!!突キィィッッ!!!!小手ェェェェッッッッ!!!!」」」
「良し!その声量を忘れるんじゃないぞ!!」
「「「はいッッッッ!!!!」」」
「良し!!本日の活動はこれまで!!」
「「「ありがとうございますッッッッ!!!!」」」
檄を受けた部員達は先程より大きな声量で声を出しながら竹刀を振るい、漸く一定の声量レベルまで到達したのを感じた哮士。これにて本日の剣道部の活動は終了し、力強く挨拶した部員達は本日の掃除当番とそれ以外の者とそれぞれ散々になる。
「ふぅ···。」
「お疲れ様です、哮士さん。確か今日があの日でしたよね?」
「ああ、お疲れ。···そうか、今日がその日になるのか。なら今日は何時もの鍛練は休んで早く帰るか。」
「はい。」
厳しい部活動を終えて一息吐く哮士の下へ近寄り労いの挨拶をしつつ駈瑠は、彼に本日は特別な用事がある日だと告げる。それを聞いた哮士は、「その日」の為に普段部活後に続けている駈瑠との鍛練を休み、早急に帰宅するべく制服に着替えに向かう。
「(裂雷部長···やっぱり宍尾副部長と付き合ってるんだ···はぁ···。)」
そんな彼等の様子を遠くから傍観する薄い赤色のセミロングヘアーをした女子剣道部員・1年C組の星野は哮士と駈瑠の良好な間柄に心中溜め息を吐く。実はこの星野と言う女子、哮士に対して好意を持っているのだが中々告白に踏み切れず駈瑠に先を越されてしまい、その癖未練が捨てきれず、毎日部活で彼を遠目から見て過ごすだけの無意味な日々を送っていた。
「(基礎稽古は人一倍やって、雑用とかも進んでやってるけど、中々進展もしなかったなぁ···。何か別の方法が無いかしら···?)」
無論このまま傍観するだけで終わるつもりは無い星野は基礎稽古を他の部員以上に気合いを入れ込んだり、ゴミ捨てや道場の掃除等の雑用も進んで行って哮士の目に留まる様に努力はしてきたのだが、それでも結果が身を結ばず終いであり、別の方法を模索しながら帰り支度の準備をする。
ー雷吼流道場
巨大な観音開きの年季の入った木の門と言う如何にも武道家の道場ありき雰囲気を醸し出すそれを開け、広い庭を通り過ぎた先にある木枠のガラス扉のある玄関前に入って漸く帰宅した哮士と駈瑠。普通の学生ならば自分の部屋に入って寝るなり遊ぶなり「自家放電」をするなりと思い思いに寛ぐのだが、二人は直ぐ様制服から普段着に着替えてある場所に向かう···。
「只今戻りました。お祖父様···いえ、師範。そして、お帰りなさい。」
「うむ。儂の居ぬ間も鍛練は怠っておらん様だな。」
哮士と駈瑠は一畳一間の和室にて正座して目の前にいる、長い白髪を一纏めに括り、顎に長めの髭を生やした黄色い瞳の鋭い目付きをした老人男性・この雷吼流道場百二十六代目師範であり、哮士の祖父である裂雷哮之助に向けて軽く頭を下げて挨拶をする。
普段はこの道場にて剣道教室を開いているのだが、今日までの数日間は県外にいる知人の師範が開く剣道場の門下生達が向かう試合にて、急遽腰痛に苛まれてしまった為、指導係代理として哮之助が赴き、無事試合を終えた翌日である本日に戻って来た訳だ。
「師範も他道場での指導代理の御仕事、お疲れ様でした。直ちに夕飯の仕度を始めます。」
哮之助が他の剣道場の指導係の代理業務を無事終えた事を労う駈瑠は、普段からこの裂雷家で行っている家事として夕飯の準備の為、再び彼に一礼して立ち上がり退出しようとするが···
「うむ♪駈瑠ちゃんの作る料理、久々じゃから楽しみじゃ♪ならば食後の甘味は今度こそ駈瑠ちゃんの鍛えられた肉体を堪能出来ると言う訳じゃ···ギャアアアアァァァァッッッッ!!!?」
「···哮士さん、夕飯の仕度のお手伝いをお願いしますね?」
「あ、あぁ···承知した。」
此処でいきなり哮之助は先程までの厳格な態度は忘却したと言わんばかりに表情を緩ませて駈瑠の手料理を久々に食べれる事を期待しつつ、食後の甘味としてその肉体を貪りたいと言う超絶セクハラ発言をかまし出した為彼女からの電撃を受けて黒焦げ状態となり、黒い笑みを浮かべながら今の光景に引いている哮士に夕飯の準備を手伝う様に呼び掛けて彼と共に退出する。
実はこの哮之助、哮士を相当な実力を持つ剣士に鍛え上げる程彼自身も老齢ながらも他者に引けを取らない実力者であり剣術や普段の生活に置いても厳格な姿勢を取っているのだが、御覧の通り相当な女好きでもあり、「今度こそ」と言う発言から、日頃から駈瑠にセクハラな言動を繰り返しては電撃を喰らうと言う日々を過ごしており、それを知る哮士も頭を悩ませている始末だ。
ー哮士の部屋
「さて、そろそろ寝るとするか···ん?はい。」
「駈瑠です。入っても宜しいですか?」
「あぁ、入い···れ···!?」
食事を終え、道場での駈瑠との鍛練を終え、風呂に上がった紺色の甚平姿の哮士が明日に備えて就寝準備をしているとノック音が聞こえ、その相手が駈瑠だった為入室を許可をし、入ってきた彼女の姿を見て絶句する···。
「失礼します。」
「お前···またそんな格好で···!!」
髪をポニーテール状に結い、放漫な胸の谷間が目立つ程薄いはだけた黄色の浴衣型の寝間着姿をした駈瑠を見て哮士は、呆れた表情で彼女の姿を指摘する。彼の発言からして寝る時は常にその服装の様だ。
「まだ寝るには早過ぎますよ。これから魔力を高める為の鍛練が待ってるんですから♪」
「うわっ!!///きゅ···急に抱き着く···って、お前···もしや···!!?///」
「ええ、そのもしやですよ。『和服の時は下着を穿いてはいけない』と言うのが人間界の規則ですから♪」
「そんな規則は断じて無い···!!」
剣術の鍛練だけでなく魔力上昇の鍛練と称し、「夜のガッタイム」をする為に哮士の部屋に訪れた駈瑠は勢い良く彼に抱き着いた。哮士は駈瑠の胸の感触から彼女が下着を着用していない事を察すると、曰く「浴衣時は下着は着用しないのが人間界のルール」だと誤って覚えた知識を抜かし出した駈瑠に鋭くツッコむ。
「···哮士さん。本当にありがとうございます。」
「?急に改まってどうしたのだ?」
「私みたいな悪魔を普通の方の様に受け入れてくれて本当にありがとうございます。変な所がありますけど師範···お祖父様も得体の知れない私に居場所を提供してくれたばかりか剣術まで指導して下さって感謝しています。」
ここで突然、駈瑠は真剣な表情となって哮士に感謝の言葉を述べ始めた。外見こそは普通の女子高生なのだが、その実態は悪魔である。本来ならば大半の人間からは忌み嫌われる存在であり彼女も自覚しているのだが、哮士と出会いその存在を受け入れくれたばかりか哮之助によって裂雷家を提供してくれた事はこの上無く嬉しい事であり、戻って来た哮之助の存在から改めて自分が恵まれている事を認識しての感謝の言葉だった。
「そうか···だがあまり気にする事は無い。確かに最初はお前のこうした部分に戸惑ったが、リンキュバスらしかぬ下手な人間以上に誠実且つ向上心を持った所に惹かれたのだ。無論お祖父様もな。だから、悪魔だからと後ろめたくなる必要は無い。駈瑠は駈瑠らしく生きれば良い。」
「哮士さん···はい!!」
駈瑠が感謝の言葉を述べ出した理由を聞いた哮士は、そんな彼女に当初はリンキュバスらしく性的にアピールする部分に戸惑いつつも下手な人間以上に礼儀正しく自分を鍛えたいと言う向上心な一面に惹かれたと語り、悪魔である事に卑下せず宍尾駈瑠として生きる様諭し、その言葉に感涙した駈瑠と共に魔力の「鍛練」を始める。
「······。」
因みに出歯亀爺は駈瑠の全裸を拝むべくそんな二人の「鍛練」現場を覗こうとする直前で、彼女から再度制裁を喰らって黒焦げ状態で横たわっているのだがスルーしておこう。
「(どうすれば···どうすれば裂雷部長に振り向いて貰えるのかしら···?宍尾副部長と良く一緒に居るみたいだからやっぱり剣道が強い人が好きなのかな。だったら私なんかじゃ···!!)」
午後十時、夜道にて星野は一人とぼとぼ散歩をしつつ如何にして哮士の心を掴む事が出来るかを模索し続けていた。駈瑠と共に居る事から、哮士の好みの異性は「自分と肩を並べる程の実力者」だと思い込み、その条件だと実力が劣る自分では釣り合わないと彼への恋を諦めようとした時···
『望み捨てんとする娘よ、汝は強き力を欲するか?』
「!!誰なの···!!あ···悪魔···!!?」
そんな彼女の思考を読み取ったかの様に声を掛けられてふと背後を振り向くと両肩と両膝、そして頭部に鋸の様にギザギザした刃を模した突起を生やした外見が鋸海星に見えなくもない、鋭い青い瞳をした黒い全身に禍々しい形をした青い「S」の模様が刻まれたリンキュバス···ソーシスター・シィチョップが立っていた為星野は戦き怯える。
『そう恐れる事は無い···我等リンキュバスは貴様等人間の闇に引き寄せられて廻り合う···。「望みを叶えるべく強き力を欲する」と言う貴様の強き闇に···!!』
「···その闇を持ってる私を···どうする···つもり···!?まさか···殺す···の···!?」
『先程申しただろう?貴様の強き闇に我が引き寄せられたと。貴様が望むのならば力を与えてやろう。但し、それには我と契約する必要があるがな···。』
そもそも何故人間とリンキュバスが引き合うのか···?人間は誰しも少なからず光の感情を持つ様にその逆···闇の感情をも併せ持つ生き物であり、意識無意識問わず一定以上のそれを持つ人間の下へと闇の魔力を持つリンキュバスが磁石の如く引き寄せられるのだ。
話を戻そう···そうした人間と悪魔の邂逅の仕組みを聞いた星野は、哮士と肩を並べる程の力を欲する根底である「実力不足な自分への憤怒」と言う強い闇を持った事から命を奪われるのでは?と恐る恐る尋ねるが、ソーシスターは呆れた表情をしながら否定し、寧ろその望みを成就させる為に自分と魔契約する様持ち掛ける。
「······。」
『さてどうする?惚れた男を物にするべく悪魔と契りを結ぶか、このまま望みを捨て惨めな生を過ご···「良いわよ。」』
自分と魔契約して哮士と釣り合う程の力を得るか、彼への恋を諦めるかと言うソーシスターからの選択肢を聞き終える前に元より自分の望む物を手に入れたかった星野は即答した。
「裂雷部長を振り向かす力が手に入るのなら···悪魔にだってリンキュバスにだって魂を売ってやるわ!!」
『ハッハッハ!!その欲望に貪欲な思想、気に入ったぞ!!ならば、我が手の甲に口を付けるが良い···!!』
望みを成就するべく悪魔に自らの魂を売り渡すと放言する星野の「闇」に大層満悦して笑い上げるソーシスターは、彼女に魔契約させるべく差し出した手の甲に接吻する様に勧め、迷いなく口を付けた瞬間、そこから彼の魔力が星野の全身に流れ込み彼女を魔契者に変化させた。
「フフフ···力がみなぎるわ···!!さて、裂雷部長···いいえ、哮士先輩に私の強さを示すには···ンッフフフ···!!」
魔契者となりソーシスターから分け与えられた魔力に確かな強さを感じ取った星野は、哮士にその強さを示す方法としてある事を企てて不気味に笑い出す···。
「おっ、また一人魔契者が増えたか。んじゃ、星野もリストに追加···っと!さて、どう動くかな?」
その一部始終を闇絆の証による半透明の翼を背中から生やして上空から見ていた闇影は、新たな魔契者がまた一人生まれた事に喜びながらタブレットに彼女とソーシスターのデータを登録し、二人が今後どのようにして絆を深めるのかを期待している。
ところが···
「ん···何だお前?」
「そこの貴方、私と一試合してくれませんか?もしも私に勝てたら何でも言う事を聞いてあげます。」
「はっ···いきなり何馬鹿げた事言って···(いや、待てよ?何でもって事は···ヘヘヘ···!!)一試合だけなら良いぞ。」
後日と同じく夜十時にて稽古を終えて帰宅途中の剣道有段者の男が歩いていると、星野が前に立ち塞がり剣道の試合を申し出た。最初は態々初対面の人間と試合をする理由等無いと一蹴しようとしたが、勝利による褒美を聞き彼女の身体を舐め回す様に見て下卑た感情を密かに起こしつつ承諾した。
「なら、これを···!!」
「うわっ···急に投げ···って、これ···真剣じゃないか!?こんなモン使って試合なん···て···!?」
試合の合意を確認するや否や、星野は男にある物···真剣を投げ渡した。流石に凶器を持たされた事にこの試合がただの試合では無い事に男が動揺していると···
「ンッフフ···死合···開始···!!」
「ひっ···う、うわああああぁぁぁぁっっっっ!!!?」
何時の間にか暗い表情で笑みを浮かべながら闇絆の証と言う異様な武器を構えて一方的に試合ならぬ「死合」の開始宣言をしながら斬り掛かる星野の姿に恐怖した男は、断末魔の叫びを上げる···。
「······。」
その様子をまたも上空から一部始終見ていた闇影は、星野が魔契者となった時とは全く違う···無表情且つ冷めた視線で彼女とソーシスターが起こした「とある行動」を睨み付ける様に見下ろしていると彼の身体が光り出し···
「星野···そしてソーシスター・シィチョップ···最早奴等は不要だな···!!」
無数の淡い光の羽根を撒き散らして自身が持つ魔術型の闇絆の証の能力を解除し「普段の姿」から本来の姿に戻り、タブレットに登録された星野とソーシスターのデータに記載された「A RIGHT」を「NO RIGHT」に変更しつつ二人の存在を「不要」だと、普段とは打って変わった口調で冷酷な判断を下した。
「さてと···フェーネ。」
『やっと出番みたいね。さっさと終わらせるわよ。』
そして闇影がフィンガースナップを二回鳴らすと空間に黒い傷が生まれ、そこからフェーネが出現した。ゾディヴィル···リンキュバスである彼女の出番となれば、その内容は一つしかない···。
「闇絆の証··· 不屈不擣の魔鳳則···!!」
闇影が左腕を真横に構えると、二色の眼を光らせながら全身を黒いエネルギーに変化したフェーネが彼の全身を包み込むと、黒一色の両肩と両腕に鳳凰の翼を模した突起、胸部に右が橙、左が紫の鳳凰の顔をした装甲、腰回りや両腿に翼の意匠が施され鳥の爪を一纏めにした爪先、灰色のバイザーが付いた頭部に右が橙、左が紫の鳳凰の兜が特徴の武具型・全身鎧の闇絆の証「不屈不擣の魔鳳則」を纏った姿「黒凰」へと変化を遂げた。黒凰とは、二人で一つの姿だったのだ···。
『では行くぞ···!!』
黒凰は、背中から黒い鳳凰の翼を広げて星野とソーシスターの下へと向かう。彼が自分の意に沿わぬ行動を起こした二人に直々に会おうとする理由は何なのか···?
「ンッフフフ···これなら哮士先輩に振り向いて貰え···ンッフフフ···!!」
『星野よ···貴様がこれ程我の想像を遥かに超えし闇を持っていたのは正直驚いたぞ···!!これならば···我は更なる高みへと頂ける!!』
黒凰が見限った原因である「とある行動」を起こした直後の星野は、これにより哮士が自分を愛してくれるだろうと確信して不気味に笑い出す。ソーシスターも「とある行動」を繰り返す彼女を見て当初の想像を超えた闇を持っていた事に満足し、「更なる高み」へと登り詰められる事を確信する。
『ナラバソノ更ナル高ミヘ導ク為ノ力ヲ貸シテヤロウ···。』
「!!だっ···誰!!?」
『むっ···その黒き鳳凰の鎧にバックルのマーク···貴方様は···黒凰···!?』
声と口調を変えてその背後から黒い羽根を撒き散らしながら上空から舞い降りて来た黒凰の姿と彼の腰に装着した黒の理界のトレードマークである十二支の動物の絵が時計回りに刻まれた黒いバックルを見たソーシスターは、彼の名を口にしながら跪いた。その様子から察するに通常のリンキュバス達の間で黒の理界···延いては黒凰の存在は噂になっており、中にはソーシスターの様に敬意を払う者もいるらしい。
『ソーシスター・シィチョップトソノ魔契者・星野···更ナル強サヲ望ムノナラバ我ガソレヲ引キ出ス為ノ力ヲ授ケヨウ···!!』
星野は哮士を振り向かせる為の更なる強さを、ソーシスターは更なる高み···ゾディヴィルに進化する為の力を与える等と何故か不可解な事を口にしながら黒凰は、自身の魔術型の闇絆の証である左薬指に右半分が橙色、左半分が紫色をした禍々しい鳳凰の指輪を出現させ···
『魔鳳凰の創錯物···「才気触発」···!!』
念じると彼の背中から黒い鳳凰のそれとは違う無色透明の翼「魔鳳凰の創錯物」が大きな広がり、その内の一本の羽根が黒凰の手元に吸い寄せられるかの様に現れ、それを握り締めて黒凰の闇の魔力が注がれるとそこには黒い文字で「SKILL UPLORD」と刻まれる。
『万ガ一ノ時ハコノ「理想魔羽」ヲ闇絆の証ニ刺スガ良イ。』
そうして完成した、これまで数々の二人組達に授けていた謎の羽根「理想魔羽」を星野にも同様に手渡す黒凰。態々使用法を伝えたりその名前から鑑みて、彼女が使う闇絆の証を強化する為の物だろう。
『貴様ノ中ニアル底知レヌ執念ハ我等ガ築ク魔の理想郷ノ力トナル···精々励ムガ良イ···!!』
星野の哮士に対する執念が自分達の目指す魔の理想郷を築く為に必要だと激励すると、黒凰は手刀で空を切りそこから発生した黒い傷の裂け目に入って二人の前から姿を消す···。
ー???
『ねぇ闇影。前から気になってたんだけどさぁ、何であんたが目障りと思った奴等なんかに気前良く力を与えたりしてる訳?···あれって滅茶苦茶魔力を使うんでしょ?』
移動した黒一色の部屋にてフェーネは、今回の件も含めて以前から疑問に思っていた事···黒凰が不要と判断したリンキュバスとその魔契者の手助けをする様な真似をしたのかを頭部の鳳凰の紫色の左目を光らせて尋ねる。魔鳳凰の創錯物は一回の使用で著しく魔力を消費すると言うデメリットがあり、並の魔契者が無闇に多用出来る代物では無い。にも関わらず、何故彼はそうまでして不要な者達に自分の力を分け与えるのか···?
『···火事場の馬鹿力。』
『は?』
『人間と言うのは死ぬ程まで追い詰められた時に、限界以上の力を引き出す物さ。それを魔契者に置き換えればどうなるか···想像付くだろ?』
無論黒凰···闇影自身も意味無く魔力を大幅に削ってまで不要な者達に理想魔羽を与えたりはしない。その者達の力を強化する事により、自分が目に掛けた魔契者を敢えて窮地に追いやる事で火事場の馬鹿力宜しく、限界以上の力を引き出させて魔力を強化、延いては魔契約していたリンキュバスをゾディヴィルに覚醒させると言う目論見だった。
『あぁ、そういう事ね。てか魔力消費も私で何とかなっとったわww』
『そういう事。』
一見不要な者に力を分け与えながらもその実、真に強化させたい魔契者やリンキュバス達をゾディヴィルへと進化させる為の御膳立てだと知り納得したフェーネは、魔力消費の問題も自身が変化した不屈不擣の魔鳳則の「あらゆるダメージや傷の回復や再生」と「少々の魔力回復」能力で補助出来る事を思い出す。現に裂希から受けた重傷により本来なら身動きすら取れない筈の闇影が何事も無く歩き回れる程回復したのも、彼女を身に纏ったお蔭である。
『さて次は···』
星野に闇絆の証を強化する為の御膳立てを終えて次の段階へと向かおうとする黒凰(闇影)。どうやらこれだけでは終わらぬ様だ···。
ー翌日・津凪高校付近
何故か闇影は物陰に隠れて津凪高校の付近の様子を伺っている。現在「重傷を負って病院で入院している」筈の自分が生徒や教師等に見付かりでもしたら大騒ぎになるのは間違いない。そんな闇影の目的は校内に入る事だが、当然そのまま行こう等馬鹿な真似はしない。···「そのまま」ならば···。
「え~っと···ここはこうで···よし!魔鳳凰の創錯物!『顕幻自在』!!」
またも魔鳳凰の創錯物を発動し、そこから取り出した理想魔羽を握り締めて闇の魔力を注ぎ込んでいる闇影が頭の中で何かをイメージしてそれが纏まり、黒い文字の「DOUBLE」が刻まれたそれを、今度は自分自身に突き刺す···。
「今風の女子高生の見た目は···こんな感じで···鬼ヤバくてイケる気がするかもww」
すると闇影の姿は何と、派手な髪飾りを付けた褐色肌の金髪のポニーテールに、豊満な胸元が大きく空いたブラウスと、津凪高校指定のスカートをミニにした姿、···まごうなきギャル風のJKへと変貌し、持ってた手鏡を見たそんな自分をそれっぽい言葉遣いで評価し出すと言うトンデモ状態となって校内に侵入してしまう···。
ー校内
「お早よ···じゃなかった、おっは~♪」
「ひゃっ!!あ···おはよ···。」
「お、おはよーさん。」
JK闇影は自分の外見と似た感じをした二人のギャル系の女子生徒の背後からフレンドリーに朝の挨拶をする。後ろから急に声を掛けられた為吃驚しながらも彼女達も挨拶を返した。
「どう♪最近学校は楽しい?」
「いや···別に普通だし。」
「てか何?話し掛け方がまるでみっさんみたいだよ?」
「(不味い!?どうも今の子達の話し方って難しいんだよな···。)え···あ、あれぇ~喋り方が俺···じゃなかった、みっさんっぽかった~?アタシヤバくね~♪」
うっかり自分の口調で喋ってしまった事で女子生徒から不審がられて慌てて口調を変えて誤魔化すJK闇影。しかし、元々今風の女子高生の口調には当然だが慣れておらず変な言葉遣いとなってしまい、それこそ余計「ヤバく」なってしまう。
「あ···そうだ!!知ってる~?最近剣道やってる人達が次々と夜中の内に消息不明になってる事件。」
無理矢理話題を別の方へ···星野とソーシスターが起こした事件の「噂」へと反らすJK闇影。いや、これこそが本題なのだ。
「知らな~い。」
「何でも、夜中に誰かが剣道の勝負を持ち掛けてきて戦い合うんだけど~負けた人達···つまり居なくなった人達はどうなったと思う?」
「えっ···ど、どうなったの···!?」
「その負けた人達はね······み~んな───だって···ヤバいでしょ~···?」
「えっ···ちょっ、ちょっとそれ、マジの話···!?」
「マジヤバ過ぎて怖いんですけど···!!」
おどろおどろしく星野とソーシスターの「所業」の詳細をJK闇影から聞いた女子生徒二人は、顔を青ざめて怖がる様子を見せている。彼女達の様子から鑑みると、星野の「所業」は相当えげつない物だと想像に難くない···。
「何だ!!と!?そりゃあ!!聞き捨て!!ならねぇ!!事件だなぁ!!」
「「えっ···きゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!?」」
そんな雰囲気の中、空気を読まずに三人(一人は男)のスカートの中身を偶然見てしまう···風に態とらしくヒンズースクワットをしつつ先程の物騒極まりない話に反応する竜駕···もとい変態が出没した為彼女達は不快感MAXに悲鳴を上げる。
ー2年A組
「うぅむ···。」
「どうしました哮士さん?そんな気難しい顔をして。」
「···1年の星野なんだがな、最近は剣の腕が上がっているのは知ってるな?」
「···ええ、彼女には申し訳ありませんが以前は並くらいの実力でしたけどここ最近は密かに腕を磨いているのか、とても強くなってましたけど···」
机で肘を付き両手を組んで気難しい表情で考え込んでいる哮士は、その様子を気にして話し掛けた駈瑠と共に部活での星野の様子について話し合う。以前まで剣の腕は並程で然程強くはなかった星野が、最近になってその実力が上がっている事についてだ。普通ならば陰ながら鍛練を積んでの賜物だと喜ぶべきなのだが···
「どうにも練習試合にてやや必要以上に相手を叩きのめしていてな···。」
「···それだけじゃなくどうにも他の部員、特に私も含めた女子に対してまるで親の仇の様に睨み付けているらしく、それに耐え切れず退部を申し出ようとする子達が絶えないみたいですし···。」
どうやら星野は練習試合にて他の部員を怪我を起こしかけない程痛め付けるだけでなく、睨み付けて恫喝してそれに耐え切れず自主退部に追い込みかけると言う事態を引き起こす等評判が悪くなっていた。
「如何に強くなろうとも相手に対する礼儀を失し、その強さの出し所を誤ればただの暴力になる···!!早めに対処せねば···」
「「「きゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!!?」」」
「!!何の騒ぎでしょう···!?」
「···粗方検討が付くがな···。」
実力や技量を上げようとも、今回の星野の様にその強さの使い方を誤り、相手を一方的に叩きのめしたりする等して戦う者に対する礼儀を失えばそれは「暴力」でしかない···。それを危惧する哮士が何らかの対策を打とうと考えていると、廊下から複数の女生徒の悲鳴が聞こえ、その原因を察して呆れ気味になりながら駈瑠と共に廊下へ向かう···。
「痛ででででっっ!!?」
「あんたねぇ···毎度毎度いい加減にしなさいよねっ!!こっちはあんたの変態行為ばかりに構ってやる程暇じゃないのよ!?」
騒ぎの原因は哮士の予想通り、竜駕のヒンズースクワットによるセクハラであり、悲鳴を駆け付けた由伽が率いた生徒会員達により羽交い締めにされて痛がりながら拘束されて説教を喰らっていた。由伽のうんざりした態度から、こうしたやり取りは一度や二度···いや、百度を優に越えており、こんなアホな事で駆り出される彼女達の苦労は想像に難くない。
「いや···違うんスよ鶴見先輩。俺は日課のヒンズースクワットで身体を鍛えているだけなんスけど、そこで偶々女の子達が毎晩剣道の使い手達が変死体で発見される事件の噂を耳にしてこれは詳しく聞かねぇとな、っと思って近付いただけで決して疚しい気持ちなんてありやせん!!」
「だったら態々スクワットなんてせず普通に聞けば良いでしょ?」
「あ···。」
ヒンズースクワットは身体を鍛える為の日課であり、ギャル系JK達が真夜中に剣道の有段者が殺害されると言う唯ならぬ事件の噂話を偶然耳にし、その詳細を聞く為に近付いたのだと弁明する竜駕だが、由伽からは態々そんな真似をせず直接聞けば済むとあっさり論破されてしまう。
「そんなに身体を鍛えたいのなら、望み通りにしてあげるわ···。お願いしま~す!!」
「「「ウィッス!!!!」」」
「鏡神竜駕、あんたには今日から二週間ボディビル部へ体験入部して貰うわよ。あ、手続きだったら生徒会の方でやっとくから。後、一日でもサボったらもう一週間延期ね。」
「···ゑ!!?」
セクハラ目的でヒンズースクワットをする今回の竜駕に相応しい処罰を下すべく由伽に呼び出された、筋肉隆々な下に黒い半タイツを履いた半裸の巨体をした複数の男子生徒···ボディビル部の部員達が無駄に暑苦しいポーズを決めながら現れる。変態へ下された処罰···それは彼等ボディビル部に二週間の体験入部だった。
「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!!それだけは···それだけは勘弁して下さいよ鶴見先輩!!!?前みたく9.5割殺しとかで良いからっ···この処罰だけは御勘弁下さいませぇぇぇぇっっっっ!!!!後生ですからぁぁぁぁっっっつ!!!!」
それを聞くや否や全身蒼白の表情でまるで死刑寸前の罪人の如く嘗てない程怯え出す竜駕は、この処罰以外の物にして欲しいと由伽の太股にすがる様にしがみつきながら必死に懇願する。竜駕の様な変態が暑苦しい男臭い環境やそうした人物達に囲まれる事は、以前喰らった9.5割殺しの方を喜んで取る程、耐え難い苦痛らしい。
「······あんたに構う程暇じゃないっつったでしょ···!?一ヶ月に延期!!さっさと連行して!!」
「ウィッス!!」
「さぁ、自分達と一緒に···!!」
「ビューティフルなマッスルボディをビルドしよう!!」
「ぃえぇぇぇぇっっっっ!!!?何で日が延びんの···って、止めろ離せ!!!!汗臭ぇから近寄んなっ!!!?嫌だ···嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ···アーーーーッッッッ!!!?」
元より毎度毎度竜駕への制裁に駆り出される事に辟易しており、加えて不可抗力で自分の太股に触る彼の行為を更なるセクハラだと見なしてプルプル身体を震わせて激怒した由伽は、刑期を一ヶ月に延ばしてボディビル部員達に彼を連行させる。部員達に無理矢理連れ去られて喚き散らす竜駕だが、今までにない反応を見せる辺りこの処罰は相応しい物だろう。
「(···真夜中に剣道の使い手達が変死体に···まさか···!?)おい、先程鏡神が言ってた剣道の使い手達が殺されたと言う話、本当なのか!?」
そんな哀れ···でもない竜駕に全く目もくれない哮士は、先程彼が話していた剣道有段者連続殺人事件の噂から犯人の目星がついたのか、それを話していたギャル系JK達に詳細を聞き出すが···
「えっ···!?てかウチらも聞いたばっかで詳しい話は知らないしー。ねぇ?」
「うん、それ話してたのは···って、ちょい待ち。あの子、あんたの友達じゃなかったかっけ?」
「え、知らんし。あんたのダチじゃなくね?そもそも···」
「「あんな子、いたっけ···!?」」
そもそも彼女達も先程聞いたばかりの話の為詳しい事は全く知らず、それ以前にその噂話を吹聴していた女子生徒···JK闇影が友人であったのかどうかも不明だった。
「ふぃ~···これで裂雷とレオナが動くだろう···。しかし鏡神、ホンっと懲りない奴だな···!!」
変態の連行騒ぎに紛れてその場から姿を消し、人気のいない場所にてその身を淡い光を放ち、無数の光の羽根を撒き散らして元の姿に戻った闇影は本来の目的、星野とソーシスターが起こした事件の詳細を敢えて竜駕に聞かせ、それを間接的に哮士と駈瑠の耳に入れる事に成功して一息吐きながら、彼の何時もの変態ぶりに辟易している。
「後はどう動くか···じっくり見届けてみるか。」
必要な者、不要な者···その両方への御膳立てを終えた闇影は、二組のペアがその後どう動くのかを陰ながら見届けようと、JK状態での明るい表情とは全く違う冷酷なそれで口角を歪める···。
ー裂雷家
「剣道の使い手達の不審死が相次ぎ、その同時期に起きた星野の振る舞い···考えたくは無いがもしや···!?」
「まさかそんな···だとしたら急に強くなかったのも···!?」
自室にて、本日竜駕が又聞きした剣道の有段者連続不審死事件、そして同時期に発生した星野の暴力じみた部活態度から総合して考えられる事であると同時に考えられぬ事···彼女が事件に深く関わっている可能性が頭に浮かぶ哮士の憶測通りならば、剣の腕やあの豹変ぶりの原因が駈瑠の頭に過った考え···リンキュバスとの魔契約ならば説明が付く。
「もしも駈瑠の考えた通りならば···!!」
万一駈瑠の推測通りこの事件が魔契者と化した星野の手による物ならば、自分の手で止めてみせると、哮士が魔契者の証である黒い獅子の紋章が印された右掌を見つめながら考えていると···
「む、電話か···?」
「私が出て参りますね。」
ジリジリとけたたましい電話音が鳴り出した為、駈瑠はそれに応対するべく部屋を後にした。
「はい、裂雷でございます。」
「副部長ですか···裂雷部長は御在宅ですか···?」
「!!星野さん···!?」
今時ダイヤル式の黒電話なる古いタイプの電話の受話器を手に取った駈瑠は、その電話の相手が件の星野だった為目を見開いて驚く。
「···部長は御在宅ですか···?」
「(!!何でしょう···彼女の様子が何処か変···!?)あ···は、はい。少々お待ち下さい。哮士さん、星野さんからお電話···!!」
哮士に代わる様に呼び掛ける星野の声が受話器越しながらも、普段よりトーンが低く暗い雰囲気が伝わり不審に感じながらも駈瑠は言われた通りに哮士に代わろうと何気無く彼の名を呼んだ瞬間···
「!!な、何です今の激しい物音は···!?」
受話器の向こうからまるで何かを殴り付けた様な激しく鈍い物音が聞こえた為、駈瑠は思わずビクッと身を竦めて驚いた。
「どうした駈瑠?」
「あ···いえ、後でお話しします。どうぞ···。」
「??裂雷だ···と言うか何故ウチの番号を知っている?まぁそれは良い。一体何用だ?」
そんな駈瑠の様子に首を傾げながら哮士は、受け取った受話器を手に取り電話に代わり教えた覚えのない自宅の電話番号を知っていた事に軽くツッコみつつ星野から用件を尋ねる。
「···御手数ですが、大事なお話があるので宍尾副部長と一緒に今夜12時に学校に来て頂けませんか···?」
「話だと?それならば今此処で聞こう。俺も丁度お前に話がある···「必ず来て下さいね···哮士先輩···♪」!!あ、おい!星野!?」
深夜の12時に駈瑠と共に津凪高校に来る様に話す星野に対して、先程まで彼女の話をしていた哮士はその話題の次いでにこの場で話を聞こうとするが、一方的に切り上げる様に電話を切られてしまう。
「···明らかに様子がおかしい···!!」
「やはり哮士さんもそう感じましたか···。」
「俺"も"?どういう事だ?」
「はい。実は···」
一方的に連絡を切ったり最後に自分への呼び方を変える等、受話器からの星野の言動に哮士が言い知れぬ違和感を感じたのを見て、駈瑠も先程感じた彼女の異変について話す。
「そうか···最早本人に直接問い質せねばならんな···!!」
駈瑠から聞いた星野の様子と自分が彼女から感じた異変を総合し当初浮かんだ憶測···リンキュバスの力を得た星野が剣道の有段者を殺害した真犯人であると言う最悪の憶測の真偽を確かめるべく哮士は彼女から直接話を聞く事を決意する···。
ー津凪高校
「出来れば···間違いであって欲しいものだ···。」
「そうですね···。」
そして約束の深夜0時、黒い稲妻の模様が印されたダークイエローカラーの陣羽織風のコートを羽織り、上に紺色の着流し、下に同色のズボン姿の哮士と上に黄色い稲妻模様の白い着物、下にライトイエローのロングスカート姿の駈瑠は、星野が現れるのを待ちながら今回の事件の犯人が彼女だと疑いながらも、一方で自分達の推測が間違いである事を祈っていると···
「お二方、夜分遅くにお呼び立てしてすいません···。」
「「······ッッ!!!!」」
暗がりの中より、何故か包帯を巻いた右手で大きなズタ袋を背負いながら当の星野がこうした深夜の時間帯に呼び出した事を二人に詫びながら現れる。口調こそ普段と変わらないがその表情は暗く、この暗がりな周囲と相俟った不気味な雰囲気を醸し出す彼女の姿に哮士と駈瑠は思わず息を呑んだ。
「···こんな時間に学校へ呼び出してまで話したい事は何だ···!?」
「裂雷部長···いえ、哮士先輩。私はね、剣道部で初めて先輩を目にした時からずっと尊敬していたんです。とっても強く、厳しさの中にある見えない優しさを兼ね備えた貴方の事を···。」
「一体何の話をしている···!?」
そうした雰囲気に呑まれぬ様普段のように気丈な態度で自分達を深夜の学校に呼び出してまで話したい事を尋ねる哮士だが、微妙に自分への呼び方を変えて、周辺をゆっくる歩き回りながら入部当初から自分に好意を持っていた事を明かし始めると言う、何処か噛み合わない星野の言動に眉を顰める。
「でもずっとそれを打ち明けられずに手遅れになってしまった···そう思っていた時、ある事が切っ掛けでチャンスを手にした私はこう考えたんです···!!」
幾度も告白しようと試みたが結局一歩踏み出せず駈瑠に先を越される形でその恋は片想いのままで終えてしまい今日まで至った事を打ち明ける星野は、とある切っ掛けにより恋を諦めなくて済む好機を手にし、「ある考え」に至った事をも打ち明けながらズタ袋の封を解き、逆さまにして中身を乱雑に出す···。
「なっ···お前···!!?」
「何て事を···!!?」
「私が強くなった証を見せれば哮士先輩が振り向いてくれだろう···って♪」
中身を見た哮士は驚きながら星野に対して静かに怒りの表情を見せ、駈瑠は口元に手を抑えながら悲痛な表情を取る。ズタ袋の中身···それは、男性十数人分の生首と言う衝撃的な物だった。しかし星野はそんな二人の反応を気にせず、哮士に強くなった「証」を見せ付ける為に自分が殺した剣道の実力者の死体から斬り取った首を集めていたと、悪びれる様子を見せずに語る。
『フフフ···我の力を借りていたとは言え、目的の為なら他者の命を平気で奪う星野の狂った姿勢は正直称賛に値するよ···。』
「リンキュバス···ならばやはり星野は···魔契者だったのか···!!」
星野自ら剣道有段者達を次々猟奇的な方法で殺害した犯人でありその動機を明かしていると、背後から現れたソーシスターは「哮士を振り向かせたい」と言う一心だけで罪の無い人々を平然と殺害する彼女の悪魔以上に歪んだ悪しき心に敬意を示す。ソーシスターの存在により、彼と魔契約した星野が今回の事件の犯人である事が確定した。
「何故ですか星野さん···貴女はいつも真面目に部活に取り組んでいて、こんな事をする人じゃなかったのに···いくら哮士さんに振り向いて貰いたかったからって···どうして···!?」
「『どうしてこんな酷いやり方を···?』···ですか。それは副部長···貴女が···あんたが悪いんだよっ!!」
「!!?」
自分達の想像以上に悪い予想が的中してショックを受けながらも、如何に哮士を振り向かせたいのが動機とは言え、リンキュバスの力を利用して罪無き人々を殺すと言う非道な手段を取った理由を駈瑠が尋ねると、それまでとは一転して般若の様に顔を歪めた憎々しい表情に激変した星野から自分に原因があると、突然激しく糾弾し出した為思わず息を呑む。
「あんたが私から哮士先輩を奪ったから悪いんだよ!!リンキュバスだか何だか知らないけど悪魔の分際で先輩の恋人面してんじゃねぇよ!!あんたが哮士先輩と馴れ馴れしくする度にずっと思ってた···このクソビッチな悪魔をブッ殺したいって!!」
自分が仕出かした殺人を棚に上げて今回の事件を引き起こす事になったのは、言うに事欠いて「哮士を自分から奪ったから」だと言う被害妄想と、前々から哮士と仲睦まじくする度に殺意を積み重ねていた事を罵詈雑言交えて駈瑠にぶつける星野。これらの暴言から鑑みると、星野が抱いていた「闇」は実力不足な自分への憤怒だけでなく、哮士と深い恋愛関係を結んでいる駈瑠への嫉妬であるようだ。右手の包帯も、そんな彼女への御しがたい殺意から腹立ち紛れに壁を殴って負った傷の手当の後である。
「はぁ···はぁ···!!だから···最後にあんたの首を跳ねれば、哮士先輩は完全に私の物になる!!行くわよソーシスター!!」
『フフフ···承知した。』
「闇絆の証!血刻の海星!!」
今まで溜まりに溜まっていた鬱憤を叫び尽くし荒くなった息を整えつつ、一番の障害である駈瑠を殺せば哮士が自分に振り向くと勝手に思い込んでいる星野が、最後の標的である彼女の首を刈ると意気込むとソーシスターはそれに応えるかの様にその身を青く光らせると、全体が黒く、中心に青い海星の紋章が刻まれた、星の形をした外側が鮮血色をしたギザギザの刃をした武具型・鎖鋸の闇絆の証「血刻の海星」へと変化したそれを装備した。
「私は···!!」
「駈瑠、お前が気に病む必要はない。奴が自分の意見を言えなかったのも、リンキュバスの力に負けて人を殺めたのも、全て彼奴の心が弱かっただけの話だ。」
「哮士さん···。」
星野からの罵詈雑言を受け、自分のせいで彼女が彼処まで堕ち、無関係の人々の命を失くす遠因であると思い込んで意気消沈しかける駈瑠だが、哮士からそもそもの原因は自分への想いを伝えられず、リンキュバスの力により心を喰われて大きな過ちを犯したのは星野の自業自得だと評して彼女に責任はないと、冷淡且つ不器用な言葉で慰められる。
「俺達に出来るのは、これ以上奴が奴でなくなる前に引導を渡す事だけだ···!!違うか?」
「···そうですね···星野さんを救う為に···全力で戦います!!」
哮士から厳しくも優しい言葉を受けた駈瑠は、リンキュバスの力に溺れている星野を救うべく、表情を引き締めて彼と共に戦う覚悟を決めて、全身を黄色く光らせて本来の姿、リンキュバス態のレオナへと戻り···
「闇絆の証···獅子雷乃女皇···!!」
そして哮士の掛け声により、再び全身を黄色く光らせつつ雷の魔力を纏いながら武具型・一振りの日本刀の闇絆の証「獅子雷乃女皇」へと変化し、愛しき彼の右手に装備される···。
「悪しき心を持ちし悪魔と魔契者よ、某と駈瑠の錆となれ···!!」
獅子雷乃女皇を構えて「侍」と化した哮士は、ソーシスターの影響により「罪人」に堕ちた星野を正気に戻すべく全身に雷の魔力を纏いながら彼女へ斬り掛かって行く。
「はっ!!フフフ···哮士先輩とこうした形で手合わせが出来るなんて···ホント、リンキュバス冥利に付きますねぇ!!」
そんな哮士の決意とは裏腹に血刻の海星で彼の持つ獅子雷乃女皇と打ち合って斬り結ぶ星野は、リンキュバスと関わったお陰で初めて彼との手合わせが実現出来た事に悦びを感じ、激しく打ち込みながらこの現状に感謝の言葉を述べる等、自分の悪業に何の後悔も罪悪感も持ち合わせていない事が窺える。
『星野さん···!!』
「愚か者め···!!」
「フフフ···さぁ、もっと楽しみましょうよぉぉ···!!私と先輩の新しい『絆』の誕生前の血で血を洗い合う儀式をぉぉぉぉっっっっ!!!!」
『ぃあっっ···くぅぅぅぅっっっっ!!!?』
「大丈夫か、駈瑠!?」
「ぅう···はい、このくらい···平気です···!!」
そんな星野の言葉を耳にしてレオナは哀れみを感じ哮士は改めて静かに憤るも、当の本人はこの戦いを彼と結ばれる為の儀式だと嘯き、それに呼応するかの様に血刻の海星の刃が激しく回転した為、それにより獅子雷乃女皇は火花を散らしながらその激痛に苦しみ出した為、それを聞いた哮士は、一旦距離を取りつつその身を案じるが、彼女ダメージの痛みに耐えながら大事ないと返す。
「随分と余裕な態度ね···!!なら、これならどうかしら?はぁぁぁぁ···やっ!!はっ!!せいっ!!」
そんなレオナの言葉に苛立った星野は次なる手として、血刻の海星を握った両手を介して自身の水の魔力を伝播させたそれを勢い良く幾度も振ると、水で構成された刃と同じ星の形をした斬撃波がまるで手裏剣の様に回転させて、哮士目掛けて襲い掛かる。
「ふんっ···!!」
『何っ···!?』
「こんな単純な飛び道具紛いの技が某に通じると思ったか?笑止···!!」
しかし哮士は、雷の魔力を纏った獅子雷乃女皇の一振りにより星型の斬撃波をあっさり掻き消した。ソーシスターは思わず驚愕の声を上げるも、あからさまに単純過ぎる今の攻撃程度では自分を倒せないと哮士は逆に挑発の言葉で返した。
『人間風情がっ···!!』
「フフッ···やはり、そう簡単には通用しませんか。ならば···これならどうですか···!!」
魔契者とは言え所詮は人間でしかない哮士に自身が変じた闇絆の証の能力が通じないばかりかそれを貶された事に憤慨するソーシスターとは対照的に、星野は彼ならば今の攻撃を対処するのは想定内らしく然程焦ってはおらず、次なる手の下準備としてポケットから黒凰から授かった理想魔羽を取り出し···
「魔鳳凰の創錯物···才気触発···!!」
「何だ···先程より魔力が増している···!!」
それを血刻の海星に突き刺すと溶け込む様に消え去り、黒凰の闇の魔力を纏い出す。その様子を目の当たりにした哮士は彼女の持つ血刻の海星の魔力量が増大した事を察し、戦慄する。
「次はどう対処しますか?はっ!!ふっ!!やっ!!せぇぇいっ!!」
「ふん···何かと思えば、先程と何ら変わらんではないか。ぬんっ!!」
理想魔羽による闇絆の証の強化を終えた星野は、先程同様に血刻の海星により水の魔力で構成された星の型をした斬撃波数発を哮士目掛けて振り放つ。しかし、先程破られた同じ戦法が彼に通用する筈が無く、哮士は拍子抜けながらも再び獅子雷乃女皇の一振りで全て掻き消した···筈だった。
『哮士さん、後ろですっ!!』
「何っ···!!?」
レオナからの呼び声により、背後から襲い掛かる「何か」を察知して回避した哮士。一体何が襲い掛かって来たのか···?と思考しようとする哮士だが、それに答える様にその「何か」の正体が判明···否、「再び」襲い掛かって来る···。
「これは···追尾能力か···!!?」
「フフフ···その通り。その星は先輩に当たるまで永遠に追い掛け続けます。避けても弾いても当たるまで何度も何度も何度も何度も···!!」
哮士に襲い掛かって来た「何か」···それは星野が放ち、たった今彼自身が掻き消した筈の星型の斬撃波であった。本来ならば血刻の海星で放った斬撃波は、回避するか哮士の様に振るった武器により掻き消す等対処法は至って単純な物だが、魔鳳凰の創錯物の強化により対象に直撃するまで永続的に襲い掛かる追尾能力が付加されたのだ。
『あらゆる対象に念じた「理想」を魔力として付加したり、変化させる···相変わらず反則くさい能力よね、あんたの魔鳳凰の創錯物は。』
『そうか?でもこれ、滅茶苦茶燃費悪いからサポートとか変装程度にしか使えないだけどね。』
『いや、それでも充分過ぎる能力でしょ···。』
校舎の屋上にてそんな二人の戦いの様子を腕を組んで傍観しながら黒凰···正確には闇影とフェーネは、魔鳳凰の創錯物の「様々な対象に念じた「理想」を魔力として付加し、時には姿その物を変化させる」と言う反則めいた能力について話し合う。しかし、この手の能力は魔力の消費が激しいデメリット故に攻撃では無闇に多用出来ず、姿を変えたり闇絆の証を強化する等、裏方程度にしか使えないと不便さをぼやく闇影だが、逆を言えば裏方面では最大級の力を発揮出来るとフェーネはツッコむ。
「くっ···鬱陶しい!!」
「もしも先輩が私と付き合い、その女の首を斬って差し出して下さるとお約束すれば、攻撃を止めても構いませんよ?」
「···何っ···!!?」
「正直、私だって先輩を痛ぶるなんて真似はしたくなかった。これ以上苦しませたくない。だから···先輩の為にも、私の為にも、そこの女悪魔と縁を切って私と一緒になりましょう?」
弾いても回避しても絶え間なく追尾する星型の斬撃波に辟易する哮士。その様子を見て星野は、この攻撃を止める条件としてレオナの命を差し出して自分と恋人になる事を要求する。本当ならば哮士と斬り合う戦い等望んでおらず、苦戦する姿を見たくない為だと、降伏を勧めるが···
「断る!貴様は剣士として、人間として越えてはならぬ一線を越えた!!そんな女と伴侶等死んでも御免だ!!」
「なっ···!!?」
「そもそも···こんな子供騙しの技で某を追い詰めた程度で勝ったつもりか?笑止!!敵の首を打ち取った時こそ初めて勝者となる!!それを理解しておらぬ貴様に我が伴侶、宍尾駈瑠の後釜等到底務まらぬわ!!」
『哮士さん···!!』
当然そんな一方的な降伏勧告等一蹴したばかりか、自身の首を取らず追い詰めた程度で勝利を確信する星野の慢心さを指摘し、そんな彼女に自分の隣に寄り添う資格は無いと、哮士は断言する。それを聞いたレオナは、自分を伴侶と認めてくれた彼の言葉に感激する。
「何よ···そんなにその悪魔が良いの···?私···貴方の為に···今まで何だってやって来たのに···!!」
哮士から面と向かって自分への一方的な好意を拒絶する言葉でぶつけられ、自分が彼の為にしてきた事が全て無駄になった事を突き付けられて放心する星野は、身体の奥底から嫉妬と憤怒が混ざったドス黒い闇の感情が魔力として少しずつ沸き上がると、それが一気にマグマが噴火するかの如く全身に纏い出した。
「そこまで···そこまでそのリンキュバスに毒されたのなら···二人まとめて介錯して差し上げます!!アクアチャージ!!」
自分の恋人にならないならばその命を奪う···と、ストーカーの如く一方的且つ身勝手な考えに至った星野は、哮士を「奪った」レオナだけでなくあれ程振り向かせたかった彼をも「敵」として始末すると宣言しつつ、血刻の海星に自身の水の魔力を注いでアクアチャージし、それを上段に構えると···
『星が···空に向かって行く···!?』
「······。」
レオナの言葉通り、先程まで自分達を追尾していた無数の星の斬撃波が全て上空に向かって飛んでいき、それぞれがクルクル回転しながら待機する。しかし哮士は、星野が自分達に向けての必殺技の準備をしている状況下で全く動じず、目を閉じて冷静な表情で獅子雷乃女皇を構えるだけだった。
『さぁ殺れ!!我々を愚弄した奴等に死の刃をくれてやれ!!』
「さようなら先輩···堕血流星!!」
ソーシスターの教唆の言葉に反応せず、今生の別れの言葉を口にしながら星野が血刻の海星を勢い良く振るうと、上空の星の斬撃波を流星の如く対象の敵目掛けて落下させて切り刻む必殺技「堕血流星」が哮士に襲い掛かる。魔鳳凰の創錯物で追尾能力を付加された以上、回避も反射も無意味···このまま直撃する運命···!!
「渇ァァァァつッッッッ!!!!」
···と思われる瞬間、両の眼を強く見開いた哮士は獅子の如く声量の高い気合いの声を雄々しく叫ぶと彼の全身に雷の魔力が纒い出し、そこから複数の雷撃を放出すると堕血流星全てに直撃、相殺した···。
「そんな···堕血流星が···気合いだけで消されるなんて···!!?」
「駈瑠の能力に某が常日頃からお前達に教えて来た事を組み合わせた。それだけの事だ···!!」
堕血流星を敗られた事に驚愕する星野に向けて哮士は、「あらゆる電力を魔力として操作、帯電、放出させる」獅子雷乃女皇の能力を明かしつつ、そこに自分が彼女を初めとした部員達に幾度も教えて来た事···即ち、剣道の基礎を加えた結果だと告げる。
「常に教えた筈だ、基礎を忘れるなと···行くぞ!!」
『何を呆けている!?奴が掛かって来るぞ!!』
「······はっ!?くっ···きゃあっっ!!?」
改めて基礎の重要さを指摘しつつ、哮士は星野に向かって獅子雷乃女皇で勢い良く斬り掛かる。一方、堕血流星を敗られたショックで呆然としている星野は、ソーシスターからの呼び声に反応してどうにか哮士からの攻撃を血刻の海星で防ぐが、そこから立て続けに襲い掛かる斬撃を防ぐだけで精一杯の防戦一方となり、遂には血刻の海星を弾かれてしまう。
「此れにて終いだ···魔雷充填!!」
最早完全に勝負が着いたと確信した哮士は、真横に構えた獅子雷乃女皇の刃を雷の魔力を籠めた片手で滑らせる様になぞって魔雷充填をし···
「雷吼流奥義···雷吼刹華!!はぁぁぁぁっっっっ!!!!」
『くそっ···この我が···人間如きニィィィィッッッ!!!!ギィアアアアァァァァッッッッ!!!?』
勢い良く右斜めに振り下ろした獅子雷乃女皇の刃に纏っていた凄まじい雷の魔力の斬撃波・雷吼刹華が獅子の如く地を駈け、弾かれて地面に突き刺さった血刻の海星目掛けて直撃し、ソーシスターは哮士に負けた事を恨みながら爆散する···。
「星野···お前の悪巧みはもう終わりだ。降伏して罪を償え。」
「······。」
戦いに負けてその場で頭を垂れて打ちひしがれる星野に人間態へと戻ったレオナと共に駆け寄った哮士は、彼女自身が犯してしまった罪を償わせるべく自首を勧めるが···
「は···はは···何もかも終わった···ううん、始まってすらなかったのね。だったら···!!」
「お前···何を!!?」
哮士への片恋は完全に終わり、ソーシスターの力すら失い、激しい喪失感に思わず乾いた笑いを溢す星野は、起き上がりながら懐から取り出したナイフを勢い良く振り下ろし···
「···ぐふッッッッ!!!!」
···自らの腹部目掛けて突き刺し、大量の血を流して崩れ落ちた···!!
『うわっ···フラれた腹いせに嫌がらせ自殺とか、精神病み過ぎじゃね?』
『まさか···そんな事だけで命を捨てるなんて···!!』
その一部始終を見ていたフェーネは星野の行動にドン引きし、闇影は絶句した。本来なら星野の記憶を、魔鳳凰の創錯物「偽憶創植」により「自首したい」と言う理想に改竄しようとしたのだが、自害と言う予想外の行動を取った彼女の心情に愕然とし、黒字で「MAKE MEMORY」と刻まれた理想魔羽を落としながらその場から立ち去って行く···。
「ほ···星野さん!!!?」
「ば···馬鹿者!!何故こんな真似をした!!?」
「ウ···フフ···!!これで···貴方は一生···私を忘れられ···なくなる···ガフッッ!!!?」
「「!!!!」」
完全に倒れる寸前で星野を抱き抱えた哮士は、何故自害等愚かな真似をしたのかを声を荒げて尋ねると、目の前で命を落とせば永遠に自分の事を覚えざるを得なくなると、血を吐きながら息絶え絶えに返されて駈瑠と共に彼女の異常な執念深さに絶句する。
「これで···!!私は···貴方の···中で···永遠に···生···きるの···それが···私を拒んだ···貴方への···報···い···ウフ···フフフ···ゴフッッ!!!!」
哮士への恋が叶わぬなら生きる意味はない···その一方で、その想いを拒否した彼と彼を奪った駈瑠を許さない星野は、せめて彼の記憶の中で永遠に「生きる」為、二人への最後の「報い」として自ら死を選んだと告げると、徐々に力が弱まり、そのまま絶命した。
「星野さん···!!!!」
「······。」
その唐突な死を目の当たりにした駈瑠は、あれ程嫌われていたにも関わらず、崩れる様に座り込むと涙を流して亡き星野の名を呟く。···が、哮士は涙を流す所か、彼女の亡骸とは逆の方へ踵を返し···
「駈瑠···ここから離れて近くの公衆電話で警察に連絡するぞ。『連続殺人の被害者が出た』と。」
「哮士さん···?」
「そして···俺達は『此処へは来なかった』···故に星野が『犯人に殺された事は知らなかった』···。そういう事にするぞ。」
「なっ···ちょっと待って下さい!!彼女は私達の目の前で命を絶ったんですよ!?なのにどうしてそんな嘘を!?」
自分達がソーシスターを倒し、真犯人の星野が自殺したのにも関わらず、警察には「連続殺人犯の被害者の遺体を発見した」と通報し、更には自分達は「今夜学校へは来なかった」等と、今回の騒動について一切関与しない姿勢を取ろうとする哮士の言動に驚きながらも、駈瑠は何故そんな嘘を吐こうするのかを尋ねる。
「有りのままに話して警察が信じると思うか?それに···剣道部の評判を落とす訳にはいかんからな。」
確かに、悪魔の力を使って人を殺めた等そんな荒唐無稽な話を警察が信じる筈がなくある程度誤魔化さなければならないのは致し方無いが、剣道部の風評被害を防ぐ為に真犯人の自害を在りもしない犯人による「殺人」と偽る等、生真面目な彼らしかぬ体裁を気にする様な発言をする哮士だが···
「···それも嘘ですね。本当は、星野さんの事を気遣っての御対応ではありませんか?貴方は、他人の気持ちを無下にするような方ではない。だからこそ、彼女を『殺人被害者』だと偽ろうとした、違いますか?」
「···何の事だ?俺はこれ以上死んだ愚か者の事で不要な面倒事に関わりたくはない、それだけだ。」
その発言すらも嘘だと看破しつつ、真意は曲がりなりにも自分に好意を向けていた星野への武士の情けとして、彼女の死を非道な殺人鬼の自殺ではなく、「殺人鬼に命を奪われた理不尽な死」だと歪曲した事実を警察に伝えようとしているのでは?と駈瑠は問い質すが、哮士は一旦足を止めるも背を向けたまま、星野についてこれ以上関与するのが面倒だと、またしても心にもない嘘を吐いて歩き出す。
「···やはり、『あの日』の事をお気になさっているのですね···。」
「!!!!」
「『あの日』から···貴方は御自分の強さを高める為だけに集中し、ひたすら鍛練を積むようになられた···私や御爺様以外の方と距離をお取りになる程。お気持ちは解りますが、そうやって御自分の心を偽るのは···!!」
「言うなっ!!」
そうまでして他人から距離を取ろうとする姿勢を取る哮士に対して駈瑠は、彼が未だに「あの日」の出来事を引き摺っている事を指摘する。「あの日」より、駈瑠と哮之助以外の人間には排他的になる程、自分の力を高める為にひたすら鍛練を積みようになった事を話し出す駈瑠の言葉を遮る様に、哮士は声を荒げて一喝する。
「言った筈だ···『あの日』の事について、二度と口にするなと···!!」
「······ごめんなさい···!!」
「(そうだ···俺は「あの日」から強くなろうと決心したんだ···!!)」
どうやら「あの日」について話題にする事は禁忌らしく、それを話し出そうとした駈瑠は何故か悲し気な表情で顔を俯かせて哮士に詫びる。それを背に受けながら哮士は、「あの日」を境に現在の様に自らを鍛え上げて強くあらん事を決意したと、目を閉じながら天を仰いで「あの日」を思い返す···。
ー父さん!!母さん!!起きてよ···目を開けてよぉぉぉぉっっっっ!!!!
激しい豪雨の中···幼き哮士はずぶ濡れになる事に気を留めず、深い傷を負って血塗れの状態で倒れ伏した両親の亡骸に縋りついて号泣する。その場に居た駈瑠は、そんな彼の背中に手を添えて慰めながら同じく二人の死を悲しむ···。
「(あの日···父と母の命を奪った者が誰なのかは解らん···!!だが···必ず見つけ出してこの手で···!!その為には先ず···俺自身が強くならねばならん···!!)」
「(哮士さん···『あの日』から貴方は変わられてしまった。他の方に気を許さず、より強くなられる事に入れ込んでいる。復讐の為に···!!)」
「あの日」···両親を殺害した者への復讐を誓い、来るその日の為に自分を鍛え上げんとする···。ひょんな事からそれを思い返し自分の目標を改めて再認識した哮士は、力強く三度目の歩を進める。しかし、元々哮士は現在の様な性格では無いらしく、当時の彼を知る駈瑠はその背中を物悲しい表情で見つめている。
「(だからこそ···私は貴方が道を踏み外さぬように支え続けます···!!何時の日か···貴方が心からの笑顔を取り戻すその日まで···!!)」
それ故に彼が復讐に固執して魔道に堕ちぬよう、駈瑠はどんな事があろうとも哮士を支え続ける事を「あの日」より決意し、同じくそれを再認識しながら彼の後を追い掛けて行く。哮士が嘗ての笑顔を取り戻せる事を信じて···。
まさかの結末に驚いた方は多々いらっしゃるでしょう···。そして、黒凰の正体である闇影がどの様な形でリンキュバス事件に絡んでいたのかが今回の話で理解して頂けたと思ってます。多分解りにくいけど(^_^;)
御存知の通り病んだレベルで闇影を愛しまくる諸葉ですが、自分以外の存在が闇影に物を贈るのも死ぬ程嫌みたいで、生徒会からの寄せ鍋もとい···寄せ書きと花束をガタガタコットンズッタンズタンすると言う、ヤベーイ一面が顕著になりました。恐らく、前回のラスト以上にインパクトが強かったと思います(^_^;)
そしてLINK7以来登場した今回のメインである哮士と駈瑠。今回未登場の流と深波以上に主人公とヒロインしている感じで活躍しているので、もうこの二人に代わっても良いんじゃないかと···
流・深波「「ふざけんなゴルァァァァッッッッ!!!!」」
···ってのは冗談で(←おい)、今回はそんな二人の内情を少しだけ明かしました。
先ずは駈瑠が変化した日本刀の闇絆の証「獅子雷乃女皇」、能力はあらゆる電力を操作、帯電、放出させると言う単純な物ですが、哮士の日々たゆまぬ鍛練により強さは格段に上がります。元々漢字二文字の名前にしようかと考えましたが、日本刀らしい名前にしようと考えが変わり、現在の名前となりました。由来は平安時代の日本刀「獅子王」から取りました。
そして今回ゲストである剣道部員・星野が、最初は純粋に哮士の事が好きだったんですが、ソーシスター・シーチョップとの魔契約した影響で彼に振り向いて貰いたい一心が首刈りと言う凶行に走る程暴走し、最後には嫌がらせ自殺···!!ゲスト魔契者が如何にして悪に染まるのか、そして元々そういう系の話だと改めて認識させられたストーリーだと思いますが皆さんはどう感じましたか?後、何気に必殺技を披露した初のゲスト魔契者ですが、武具型は皆最低限一つは必殺技を持っています。
星野だけでなく駈瑠や祖父・哮之助以外には冷淡な態度を取る哮士ですが、これは幼少の頃に両親を殺された時からの物であり、以前はこうした性格ではなかったんです。両親を殺害したのは何者か、その理由は何なのか、その詳細はまだ語れません。
さて、今まで不明だった闇影の闇絆の証の能力をお教え致します。
武具型・全身鎧「不撓不屈の魔鳳則」は、あらゆるダメージや欠損した部分を再生、回復(魔力も多少)する能力です。が、実はこれ、そこまで防御力が高くなく戦闘向きではないので、あくまで纏った闇影自身のほぼ素の力で戦わねばならないと言う弱点があります。不撓不屈とは「強い意志を持ってあらゆる困難に立ち向かう」と言う意味で、闇影にピッタリな言葉だと自負しています。また、ヒールは「回復」の他に「悪役or悪のヒーロー」と言うダブルミーニングも込められています。
そして一番凶悪なのが、魔術型・魔鳳凰の創錯物。対象に思い描いたあらゆる理想を魔力として付加、若しくは変化させると言うインチキ能力です(^_^;)無論この手の能力には使用の際に魔力を大幅に消耗すると言うデメリットがある為、あまりホイホイと使えるモノじゃないんです。故に闇影はこれで姿を変えたり、闇絆の証を強化したり、記憶改竄したりと極力裏方程度でしか使いません。しかし本当に恐ろしいのは、これらを駆使して敵味方をかき乱して目的を達成しようとする闇影自身の悪魔の頭脳でしょう···。
裂雷哮之助···ICV:銀河万丈
前述通り哮士の祖父兼師匠であり、雷吼流第百二十六代師範で初の老齢キャラクターです。外見に違わず厳格な人物で、老齢ながらも剣の腕は未だ未だ劣らない実力者···なんですが、このじじいもかなりのスケベであり、竜駕に次ぐ変態キャラでもあります(^_^;)何でこんなめんどくさいキャラ出したのか、私にも解らない(←ダメだろそれ)イメージキャストは某公国の総帥であり、「闇影」と言う名の忍の首領である青い梟であり、吉原を支配していた夜王の異名を持つ戦闘民族等インパクトが強く、厳格な老齢キャラクターを演じられた大御所である銀河さんを起用致しました。エロ方面にボケ走った夜王と言えば解ると思います(^_^;)(←余計解らんねーよ)
煌闇影(JKバージョン)···ICV:渡辺明乃
魔鳳凰の創錯物「顕幻似在」により「イマドキなJKギャル」と言う理想の姿に変態もとい、変化した闇影です(爆笑)竜駕もとい変態一号に星野の凶行を哮士達に間接的に伝える為だけに変化した事以外、大した事はしてませんでしたが念の為に。ボーイッシュな美少女キャラを演じられた渡辺さんが最適だと考えて採用致しました。そう言えば闇影以上にムカつく程美少女達にモテる男子校生も演じられてたから、ある意味このキャスティングは合ってるけど···なんか複雑です( ´⊇`)因みにダブルとは「影武者」って意味でもあります。
滅茶苦茶長くなりましたが、今回はここまで。この先の展開は大体イメージしてるんですが、それを次回どう繋げていこうか正直迷っています(ToT)また更新が遅れてしまう可能性が高くなりますが、何卒御容赦下さいませ!!m(_ _)m
ではでは ノシ




