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LINK11 魔を超えし闇百合×魔を統べる黒鳳凰=最狂VS最凶

またもやや濃いエロシーンがあります!!(^_^;)←いい加減自重しろ


そして、またも新キャラ登場です!!o(^-^)o

―津凪高校・1年B組



「おい流、今日深波ちゃんがお前に引っ付いてこない様だけど何かあったんか?」


「何時もなら人目を憚らずに抱き付いてくるのになぁ。」


竜駕と詞音は、流に抱き付かず彼の隣の席で窓側の方を向いている等、普段とは違う深波の様子を見て原因を問い質している。


「ああ…それが、昨日夜遅くに帰って来てからずっと俺を避けているみたいなんだ…。今朝も一言も口を利かないし、訳を聞いても全然答えてくれなくて困ってるんだ…。」


何時もの様に朝の寝込みを襲うどころか、話すらしてせず、登校時も距離を取る等…深波が、何故此処まで自分を拒絶する様な態度を取るのか皆目見当が付かずに溜め息混じりに困惑する流…。


「もうあんたに飽きたんじゃない?」


「それとも…また喧嘩した?」


「いや…昨日俺が学校から帰る直前までは普通だったんだ。それが帰って来た時にはあの調子で…」


「なら、帰る途中で何かあったんじゃねぇのか?それ聞いてみたらどうだ?」


「それが聞ければ苦労はしねぇよ…。」


七花や奏の、愛想が尽きたり前回の様に蔑ろにしたのが原因なのだと言う推測に対し、下校前までは何も問題は無かったと返す流の言葉を聞き、下校から帰宅の間に原因があると睨んだ竜駕はそれを深波に聞く様勧めるが、今の状況では不可能である…。


「……!!」


「深波…!?」


「…具合悪いから保健室で休むって魔霧に言っといて…。」


深波は突然徐に立ち上がり、1時間目の授業は体調不良を理由で休むと真輝人に言付けする様皆に頼むと、保健室へ向かうべく教室を後にする…。


「あっ…おいっ!!魔力不足(ぐあいがわるい)なら…どうして俺に頼まなかったんだ…?」


確かに…以前ならばいざ知らず、今回は事情を知っている為魔力不足ならば自分に供給させれば済む話…。にも関わらず、業々保健室へ行こうとする深波の行動に疑問を感じる流…。




―女子トイレ



「あ…はぁんっっ…!!///そうよ…その調子で綺麗に舐めてぇ…!!///」


洋式の個室にて、ピチャピチャと下品な水音と女生徒の小さく艶めかしい喘ぎ声が響く。しかし、その中に居るのは1人では無さそうだった。その訳は…


「くっ……!!///」


悔しげな表情をした深波が、下半身を丸出しにした琉依の股間を丹念に舐めると言う、あまりに衝撃的且つ非常識な情事が行われていた…。


昨日琉依から予め連絡用のスマートフォンを渡されており、流達と距離を取っていたのは流達に悟られぬ様にした為でもあった。


「はぁ…気持ち良かったわぁ…///じゃあ次は…」


ある程度舐められ満足し下着とスカートを穿き直した琉依は、徐に深波のスカートの中身に手を探り出し…


「ぁんっっ…!!!!///」


「良い娘ね…ちゃんと穿いて来て無い様ね。じゃ…頂きますわ♪」


なんと、深波に下着の着用を一切しない様命じその確認の為に弄って、それが守られている事を確認された途端、彼女のスカートを大きく捲って先程自分にさせた様に股間を舐め始める…。


この様に、授業中や休憩時間等に深波を徹底的に陵辱し、自分の永遠の「友達」に「教育」すると言うのが、琉依の目的である…。


「ふぅ…取り敢えずこれで勘弁してあげます。では、また3時間目に♪ああ…逃げても無駄ですからね。」


1時間目の授業終了のチャイムが鳴り響き、3時間目の授業中にまた同じ事をする、逃げる事は不可能だと、闇絆の証のペンダントをちらつかせながら告げてトイレの個室を後にした…。




―3年D組



「深海さん、昨日は大丈夫だったの?」


「大丈夫よ白石さん。」


黒深子は、琉依が昨日教室で受けた悪口に近い嫌みを言われた事について彼女を心配する。しかし、当の本人は然程気にはしていないらしい。まあ、昨日と先程の情事に比べればそんな事は毛程以下の出来事である。


「それよか深海さん…今日はなんかすっごく肌が綺麗ねぇ。」


「うん、そうだね。昨日とちょっと雰囲気が違う様に感じるよ。」


そこへ由伽と優慈も現れ、琉依の肌が昨日と比べて美しく艶があり清潔感を感じると賛辞した。その理由は深波との情事の効果による物だが、そんな事は口が裂けても言えない。


「コンナ話ヲ聞イタ事ガアリマス。女性ハ肌ヲ綺麗ニスル為ニ精…エターナル!!?」


「余計な事まで言わなくて結構です!!」


更にレオも現れて肌の美貌の秘訣についてやや下ネタめいた事を話そうとするが、黒深子の正拳突きにより制止された。彼は日本の文化について色々学んでいるが、余計な知識や何処かズレた事の方を多く覚える傾向がある様だ…。


「ふふ…こうして心配して下さる方が沢山いらっしゃって私はとても幸せですわぁ…。」


そんなほのぼのした(?)やり取りを見て、琉依は自分を気に掛けてくれる同級生の存在を嬉しく思いつつ…


「(深波ちゃんの次は彼女達も…ンフフフ…!!)」


黒深子と由伽の腰や尻を彼女達に気取られぬ様濁らせた瞳で目をやり、深波の次の「友達」にしようと虎視眈々と狙い、心の中で妖しく笑う…。




「……。」


授業は3時間目…またも琉依からの「教育」を受けるべく女子トイレに向かおうとする深波だが、これ以上流を裏切りたくない彼女は黙って逃げるべく早退しようと校舎を出ようとするが…




「無断早退なんて許しませんわよ?」


「ひゃっ!!?///」


またも闇絆の証の能力により、あの水面の様な空間の歪みから琉依が現れ、深波の背後から胸と尻を鷲掴みにして羽交い締めで抱き付くが…


「忘れちゃ駄目ですよ。どんなに逃げたって…きゃっ!!?」


「鬱陶しいのよ!!」


いい加減…いや、最初から彼女に従うのに嫌気が差した深波は琉依を力づくで突き飛ばし校舎の外へと、見回りをしている教師に目撃される危険性等お構い無しに閉まった校門を飛び跨いで逃げる様に走り出す。


「はぁ…はぁ…!!こ…此処まで来れば…!!」


学校から数百m離れた場所で一旦止まり念の為近くの電柱に隠れつつ背後に目をやり、何とか琉依から離れられたと一安心する深波。しかし…




「深波ちゃん、捕・ま・え・ま・し・た・わ!!」


「ひっ!!?///う…嘘でしょ!!?全く追い掛けてくる素振りはなかったのに…!!?」


その背後には、妖艶な表情と濁った瞳をした琉依がまたも彼女に抱き付く。深波は、逃げる際に何度か背後を確認したが全く追っては来なかった筈の琉依が一瞬で自分に追い付いた事に驚きを隠せないでいた…。


「逃げても無駄だって言いましたわよね…。」


深波の身体を弄るのを一度止めた琉依は、満面の笑みを浮かべながら間を開けて…




「あぅぅっっ…!!?///」


「あの画像がバラまかれたいの…雌犬が…!!」


濁った瞳のまま冷たい表情で胸や尻を爪が食い込む程強く握りつつ、トーンが低くくドスの利いた声で呟く様に深波を恫喝した…。


「わ…解ったわよ…!!もう逃げたりしないからさ…!!」


どう足掻いても琉依から逃げられない事を改めて確信した深波は、二度と逃げないと誓う…。


「良い娘ね…じゃ、学校に戻って『授業』をしましょ♪」


それを聞き普通の表情に戻った琉依は、またも自分から離れない様深波の手を握り、『授業』を受けるべく学校へと逆戻りをした…。




―放課後



「深波(あいつ)…何処行ったんだ…!?保健室にも来てないって言われたし…!!」


流は、校内のあらゆる場所を歩き回り、何時の間にか姿をくらました深波を探すが、一向に見当たらなかった。まだ具合が悪いのかと思い保健室にも足を運んだが、巡曰く、今日一日一度も来ていないらしい…。


「先に帰ったか…?いや、そんな筈は…!!」


これだけ探しても姿が見えないのならば先に帰宅したのかと一瞬推測する流だが、深波の性格上、自分を置いて帰る等断じて有り得ないと考えを捨てつつ、校内を出る…。


「珍しい事もあるもんだよね〜。あの深海さんが誰かと一緒に帰るなんて。」


「失礼だよ鶴見さん。でも…一緒に居た1年の女の子、とても綺麗な人だったなぁ…。」


「藍色ロングニSharkノ様ナ鋭イEyes…Ms深海ニピッタリノ美少女デシタネ。」


「口が悪い人だから、変な事言って深海さんを傷付けないかしら…。」


「まさか…!!?」


下校しようと校舎を出た黒深子・優慈・由伽・レオ等生徒会のメンバーが、琉依と一緒に下校した女子生徒の話をしているのを耳にし、レオがその特徴を口にしたのを聞き彼等の下へと急いで駆け寄る。


「すいません!!ちょっと良いですか!!?」


「水始君…血相変えてどうしたの?」


「今話していた人って…何時頃帰りましたか!?」


「深海さんの事?あの人だったら、10分前に海噛さんと一緒に帰ったけど…」


「やっぱり…ありがとうございます!!」


「あっ…ちょっと!!」


「あ〜あ、行っちゃった。」


「今の人が海噛さんって人の彼氏…なのかな?」


「彼女ガ居ル場所マデ全力疾走…コレガ青春ッテ奴デスカ。」


黒深子から琉依と共に居た女生徒は深波だと言う話を聞いた流は、彼女達に一礼して直ぐ様校門へ向かって走り出す。黒深子達はその様を見て唖然としたり、軽く冷やかしたのであった…。




「あいつの場所はこいつで…こっちか!!くそ…何でもっと早く気付かなかったんだ…!!」


流は走りながら右手の甲に刻まれた鮫の紋章に手を当てて、深波の魔力の波動を強く感じた場所へと向かう。その方法を途中で気付き始めた事に苛立ちながら…。


「魔力が強く感じる…此処か!!」


魔力の波動が最も強く探知する場所まで辿り着き足を止めて確認する流。その場所は言わずもがな、門番であろう屈強な黒服の男二人が前に立った巨大な白い鉄格子の門が特徴をした深海家の近くだった…。


「何でか知らないけど…あいつがああなったのは此処にあるかもな…。」


と、流は深波のこれまでの彼女らしかぬ態度の原因と考えられる本拠地の前に向かい門番の男に向かい足を運ぶ…。


「何だ貴様は…!?」


「津凪高校の水始流ですけど、此方の深海琉依さんと一緒に居る海噛深波って人を迎えに来たので、中に入れて貰えませんか?」


取り敢えず馬鹿正直に目的を話して屋敷内に入れて貰う様門番を説得しようとする流。それを聞いた黒服の1人は、確認の為小型の無線機を使って内部に報告をした。まあ、別に疚しい事をしている訳では無いので堂々としない理由は無い。が…


「生憎だが、此方にその様な方は居ない。お引き取り願おう。」


報告を終えた黒服は、深波は来ていないと告げ流に丁重良く立ち去る様告げる。しかし、無論それは嘘だ。恐らく、予め琉依から自分を尋ねる人間は全て追い返す様命令をしたのだろう。自分の「友達」にすべき人物への「教育」の邪魔を防ぐ為に…。


「そうですか…。」


それを聞いた流はどういう訳か、黒服の言葉を鵜呑みにしてあっさり門前に背を向けて立ち去ろうとする。それを見た門番が安心して僅かに気を緩ませたその時…


「だったら自分で勝手に探させて貰うぜ!!!アクアロー!!」


「「なっ…ぐああぁぁっっ!!?」」


突然クルッと前を向き、門番に向けて両の掌からアクアローを放った。門前払いを受ける事を予期しており、立ち去るフリをしつつ密かに魔撃の詠唱をしていたのだった。


「安心しな。威力は抑えてあるからな!!ふっ!!」


「し…侵入者が忍び込んだ!!直ちに応援を頼む!!」


流は、閉まった門を勢い良く飛び越え屋敷内へ侵入した。通常のアクアローなら普通の人間を貫く事は造作も無い事だが、今放ったそれは精々少し背後に吹き飛ばす程度の威力だった為、服が濡れた以外黒服の門番達は無傷である。しかし、それが仇となって黒服達が無線機を使って連絡した為、流の侵入を内部に知られる事となってしまった…。


「あいつが侵入者だ!!捕まえろ!!」


「ちっ…厄介な事になったが、このまま進むか!!」


ある程度予想していたとは言え、複数の黒服達が前を阻む光景に舌打ちをする流は、力押しに突破すると決め込み彼等に向かって走り出す…。




―拷問部屋



「くっ…!!」


「ふふ…また深波ちゃんと『遊べる』なんてとても嬉しいですわ…。けどその前に…」


琉依は鎖でベッドに拘束されもがく深波を見て、恍惚な表情でまたも犯せる事に悦びを感じる。しかし、そのまま襲わずポケットから何かを取り出した…。


「可愛さ余って憎さ千倍…今日逃げ出そうとしたから、お仕置きをしないといけませんねぇ…ふふふ…!!」


取り出した手術用のメスを握り、昼間に自分から逃走しようとした罰として「お仕置き」をするべく深波の頬にその刃を当てる…。


「あっ…ああっ…!!」


「抵抗したらどうなるか…お分かりですわよね?」


まずは当てたメスを額や目の上等、深波の顔の周辺に切らない様スーッとゆっくりなぞる琉依。無論僅かでも抵抗すれば…と、片手に持つスマートフォンをちらつかせる。暫くメスのなぞりを続け、それを右手首の方に移動し勢い良く降り下ろそうとしたその時…


「深波ぃぃっっ!!何処に居るんだぁぁっっ!!?」


「!!?」


「流…!!?」


黒服に追われつつ手当たり次第に扉をドカドカ叩き、深波の名を叫びながら駆け回る流の声が聞こえた為「お仕置き」を中断する琉依。


「まさか強引に乗り込んで来るなんてね…でも無・駄♪仮にこの部屋に着いたとしても、この扉は特製な素材で出来てるから壊して入るなんて無理…」


この拷問部屋の出入り口である扉は特殊な素材が入った鉄鋼で作られており、例え戦車の砲弾でも壊わせない程頑丈な物である。故にその扉を破る事は絶対に不可能だと琉依が語るが…


「やっと見つけたぞ…深波…!!」


流の両掌から放つ中級魔撃・ドリルスプラッシュの強力な水流により壁は半壊してしまう。扉が壊せぬが、逆に壁は壊し易かったのだ…。


「深波…それ、どうし…!!」


「お願い…お願いだから見ないで!!」


ベッドに拘束された深波を見て近寄ろうとする流だが、彼女はそれを見るなと必死に懇願する。捕らわれの身となり琉依に良い様に汚された自分を見られたく無いと…。


「白馬の王子様の御登場…と言う訳ね。美しく勇敢…でも愚か、彼女はもう私の物となったのですよ。その証拠に…ほら。」


「……!!」


深波は既に自分の「友達」となった証として、琉依はあの日スマートフォンで撮影した深波の裸体の全てを流に見せ付けた。


「とても可愛い表情をしてるでしょう?貴方が知らない彼女のいやらしく淫らな姿を私は全部知ってるの。あんな所やこんな所…泣き顔や恥ずかしい部分も…全部全部…全ぇぇぇぇん部…!!」


「嫌…流に見せないで!!見せちゃ嫌ぁぁっっ!!!!」


恥辱にまみれた画像を流に見せ続ける琉依は、最初は物静かだった口調から徐々に声のボリュームも高めてつつ口元を三日月の様に歪め、深波を自分の物にした事を大きく顕示していき、深波はそれを止める様泣き叫びながら懇願する…。しかし…


「アクアロー…!!…」


先程から何も話さず顔を俯かせている流は、徐に右の掌をゆっくり前に翳してアクアローを放ち…




「きゃあっっ!!?」




琉依の手元に持つスマートフォンのみを貫き、破壊した…。



「あ…ああ…!!」


「流…?」


スマートフォン…と言うより大事なデータが破損した事にショックを受け、それをしゃがんで見つめる琉依を余所に漸く流は口を開く…。


「そうか…君は俺から嫌われたく無い一心で避けていたんだな…。」


自分が距離を置かれた本当の理由を知り安堵した流は、琉依には目もくれず深波の下へと近付く…。


「えっ…こ…来ないで!!私、そいつに汚されてもう貴方と一緒に居る資格なんてないの!!こんな私なんか放っておいてくれても構わないのに!!だって私は――んんっっ!!///」


そんな彼に対し、自分は汚れていると決め付けて流に近付くなと必死に拒否の意を示す深波。不本意では無いとしても、結果的に流以外の人間と交わり彼を裏切ってしまった自分に激しく嫌悪し、もう流とは居られない…そう涙ながらに叫び続ける深波を流は彼女に数秒程口付けをし、ゆっくり口から離すと…


「ごめん…君がこんなに苦しんでいるのに気付いてやれなくて…守ってやれなくて…本当にごめん…!!」


悲しげな表情をして琉依から守りきれず、それに感付けなかった自分の不甲斐なさについて詫びる…。


「何で…流が謝るの…?流は何も悪くないよ…。あの時、私があの女について行かなかったら…!!」


「何も言うな…。それに言っただろ?何があっても…俺は君の味方だってな…。」


「なが…れ…!!」


流の海の様に広く、全ての悲しみを浄化する澄んだ水の様に優しい言葉に、不安や恐怖を洗い流された深波は涙を流す…。しかし、それに水を差す問題がまだ残っている…。


「よくもやってくれたわね…もう少しで深波ちゃんを私の物に…私だけの物になる所だったのに…貴方が…!!」


暫く意気消沈していた琉依は顔を俯かせてたままゆらりと立ち上がり、深波を手中に収める寸前でそれら全てを台無しにした流に対しブツブツと呪詛の如く呟き…


「絶対に許しませんわ…貴方は絶対に殺す…殺してやりますわぁぁぁぁっっっっ!!!!」


濁った瞳に般若の様な…それ以上に恐ろしく憎悪に満ちた形相をした顔を上げ、流への明確な殺意を喉が張り裂ける程咆哮し、全身から部屋にある物全てが吹き飛ぶ程、荒々しくやや黒がかった水の魔力を噴き出す…。


「くっ…あの女も魔契者か!!凄まじい魔力だ…!!深波!!」


「ええ!!ふんっ!!」


「闇絆の証!!女帝鮫の帰還!!」


魔停薬を投与されず脅されただけだったのが幸いしたのか、深波は拘束していた鎖を無理矢理引き千切り、青い光を放ち女帝鮫の帰還に変化し、流に装備させた。


「あら、生意気な目ねぇ…風穴を開けてあげるわ!!ドリルスプラッシュ!!」


「うおっと!!本当なら人間のあんたを攻撃したくないけど…深波を苦しめた落とし前を付けさせて貰う…ぜっっ!!」


自分を睨む流が気に食わない琉依は、右の掌からドリルスプラッシュを彼の顔面目掛けて放つ。それを回避した流は、本来ならば魔契者(にんげん)に攻撃しないのだが、自分の大切な深波(こいびと)を傷付けた琉依を許せず、敢えて彼女目掛けて女帝鮫の帰還を振り投げた。


「女の子相手に武器を投げるなんて躾がなってないわね…こんなのは…!!」


琉依は迫り来る女帝鮫の帰還を目にしても、慌てる事無く何故か涼しい表情のままで直立している。やがて数m近くまで近付くと…


「『なっ…!!?』」


「避けてしまえば済む話ね♪」


何と女帝鮫の帰還を殆ど無駄な動き無く回避した。哮士の様に残像を生み出す程の速度で動かず、ほんの少し斜めに動いただけで避けた事に流達は驚きを隠せないでいた…。


『けど…避けた程度じゃ私は止められないわよ!!』


しかし、女帝鮫の帰還は定めた標的を斬り裂くまで止まる事は無く再び琉依目掛けて襲い掛かる…。


「男と一緒になった途端、随分強気になりましたわね深波ちゃん…。なら…此方も武器を使わせて貰いますわよ!!」


『なっ…きゃああぁぁっっ!!?』


琉依が手を差し出すと、そこにあの水の様な空間の歪みが生じ、そこから全身が黒く傘に近い形をした上部から10本の触手をぶら下げた浅葱色の2つの複眼をした海月の様な長い杖を引き抜き、それを勢い良く横に振り下ろすと、浅葱色の稲妻が女帝鮫の帰還に直撃しシャクリアの姿に戻してしまう…。


「深波!!」


「ふふ…如何かしら?この闇絆の証『逆医者海月(ジェリー・アンステイト)』の力は…!!」


琉依は得意気な笑みを浮かべながら、(ワンド)の闇絆の証「逆医者海月(ジェリー・アンステイト)」をくるくると回転させその柄尻を地に着いた。


「馬鹿な…!!?闇絆の証が2つだと…!!?」


『まさか…複有型(プルラル)だったんて…!!?』


「複有型?」


『名前の通り、2タイプの闇絆の証を持ってるって意味よ。ただ、そのタイプの魔契者は少ないらしいけど…』


複有型(プルラル)なるまたも聞き慣れぬ単語に首を傾げる流に、シャクリアは間を入れずに簡潔に説明した。その名の通り、武具型と魔術型…2種類の闇絆の証を持つ事を意味し、このタイプの魔契者の数は片方のみ所有する魔契者より少ないようだ…。


「そして、その魔契者の魔力は通常の倍の力を持つ。つまり…!!」


琉依は複有型の魔契者のメリットを口にすると同時に、ペンダントの闇絆の絆を発動させまたも空間の歪みの中へと姿を消す…。


「消えた!?何処だ…何処に居…ぐああぁぁっっ!!?」


『流!!』


「その威力もまた、倍増しているのですよ…。」


突然目の前から姿を消す能力に戸惑い、周りを警戒する流の背後に空間の歪みが発生し、そこから琉依が現れて逆医者海月から浅葱色の雷撃を彼に放った。すると…


「どういう…事だ…!?あんたの属性は水と闇じゃ無かった…のかよ…!?」


流は水の魔力だけでは無く、雷の魔力をも使用する琉依に腑に落ちないでいる。先程逆医者海月でシャクリアに攻撃した時も、同じ色の魔力を纏っていたのだから…。


『それについては自分が説明致します…。』


その疑問を答えようとするべく、点滅する逆医者海月の瞳から何者かの声が聞こえ、それと同時に全身が黒く、傘の様な頭部から10本の触手をぶら下げ、浅葱色の鋭い瞳、触手の様な両腕、瞳と同じ色をした「J」の形をした模様が付いた膨らんだ胸部とスタイルの良い括れた身体が特徴の、海月を模したリンキュバスへと変化した…。


『その声…あの女執事ね…!?』


『先ずはこの姿ではお初にお目にかかります。自分の真名はジェリン・シィヴォイドで御座います。確かに、海噛様の様な水属性のリンキュバスは雷の魔力には弱い…。しかし、極一部の例外として、自分の様に相反する属性を共有するリンキュバスもまた存在するのですよ。』


そのリンキュバス…ジェリン・シィヴォイドの正体である深海家の女執事・海那は、琉依が水だけでは無くそれと相反する雷属性の魔力を持つ理由を淡々と説明した。


『そしてもう1つ…複数の属性を融合させた魔撃の使用も可能で御座います。この様にね…イエローアーチャー!!』


「『ぐああぁぁっっ/きゃああぁぁっっ!!!!?』」


ジェリンは説明を続けつつ水の魔力を籠めた右の掌と雷の魔力を籠めた左の掌を重ね、それを流に向けて翳すと複数の黄色い雷の矢を放つ複合魔撃・イエローアーチャーを放った…。


『あなた方に遺恨は有りませぬが、自分は琉依お嬢様が敵と見なす者には容赦致しません…!!』


「説明御苦労、月詠…武器に戻りなさい。さて、為になるお話は此にてお終い…そろそろ覚悟なさって?」


琉依の敵は自分の敵と、彼女に絶対なる忠誠を誓うジェリン。琉依は説明を終えた彼女に再び逆医者海月に変化させて装備し、流を倒そうと杖の先を向ける…。


「冗談言うな…!!まだ…負けたわけじゃない!!深波を苦しめたあんたを…俺は…絶対に…!!」


深波を執拗に汚した琉依を許せない流は、身体に鞭を打って立ち上がり再び戦闘態勢を取ろうと女帝鮫の帰還を振り投げようとするが…


「許さねっ…ぅああぁぁっっ!!?」


突然身体に浅葱色の電撃が覆い出し、その場に再び跪いてしまう…。


『流!!どうしたの!!?』


「わ…解らない…!!何か急に…身体が…痺れて…まさか…!!?」


「御明察。この逆医者海月の能力は、『熱毒や麻痺等の状態異常を1つのみ相手の肉体に与える』のです。まぁ、遅効性なのがデメリットですけどね。」


琉依はまたも逆医者海月をくるくると回しつつ、その能力を流に明かした。逆医者海月の能力は如何なる屈強な肉体の持ち主にも有効であり、戦闘において重宝される代物である…。


「ふふ…苦痛に歪んで跪くその姿、とても無様ね…でも素敵♪直ぐに楽にしてあげる…!!」


琉依は麻痺により顔をしかめて苦しむ流の姿を見て嘲笑いつつ流に近付き、逆医者海月の杖先を彼に向け止めを刺そうとする…。


『流…あぅぅっっ…!!?』


そうはさせじと、流を救うべく走り出そうとするシャクリアだが、逆医者海月の攻撃を受けたその身体に浅葱色の雷が発生し、彼と同じく麻痺状態に陥ってしまい身動きが取れなくなる…。


「さようなら…!!」


琉依は逆医者海月の杖先から浅葱色の雷の魔弾を発生させ、流に止めを刺そうとするが…




―させぬ…!!


「えっ…!?きゃあっ!?」


突如、空間に黒い傷の様な罅が発生しそこから何者かが現れ、魔弾を放とうとした琉依を突き飛ばし、それにより魔弾は拷問部屋の天井に被弾してしまう…。


「何でだ…何であんたが…!!?」


流は自分を救った相手を見て信じられない、と言わんばかりの表情でその人物を呆然と見据えている。それもその筈、その人物とは…


『貴様を助けた訳では無い。偶々移動した場所があの女の近くだっただけに過ぎぬ…。』


様々なリンキュバスや魔契者に更なる力を齎し、彼等のみの世界を創ろうと目論むその中心人物…流達の敵である筈の黒凰だったのだから…。


『厄介な時に…!!』


『逸るな…貴様等に用は無い。用があるのは…!!』


更なる敵(黒凰)の出現により麻痺する身体に鞭を打って戦闘の構えを取るシャクリアだが、黒凰本人は彼女達を倒しに来たのでは無いと答え、琉依の方に目をやる…。


「私に何の御用で?貴方から恨みを買う事をした覚えはありませんが。」


『貴様に無くとも…此方にある…!!』


琉依の、自分は黒凰とは何の遺恨も無いと言う言葉を否定し、のっぺりとした仮面の奥底で怒りや恨みに満ちた視線で彼女を睨み付ける…。


「動くな侵入者共!!お嬢様に手を出すな!!」


そこに流を追っていた複数の黒服達が現れて琉依に危機を曝すであろう彼やシャクリア、黒凰に銃を向ける。実際危機を曝していたのは主人たる琉依なのだが。


『……。』


「動くな!!撃てぇぇっっ!!!!」


そんな忠告等無視し琉依の下へ近付く黒凰。それを阻止しようと黒服の1人の怒号を合図に彼(?)に銃を乱射する。しかし、被弾しているにも関わらず黒凰は全く意に介せず続けて歩み寄る、と思いきや…


『邪魔を…するなぁぁっっ!!』


「「なっ…ぐああああぁぁぁぁっっっっ!!!!?」」


その場で立ち止まって右腕に黒い炎の魔力を纏い、妨げとなる黒服達目掛けて真横に振り上げ、その衝撃波により一瞬で彼等を消し炭に焼死させた…。


「お前…!!」


『貴様等も余計な横槍は入れぬ事だな。』


今の惨状に怒りの籠もった目で睨む流に加勢や妨害に釘を刺し、両腕に黒い炎を纏い直ぐ様勢い良く琉依に向かって走り出し真っ直ぐと右の拳を突き出す。


「くっ…ぜぇぇいっっ!!」


それを水と雷の魔力を籠めた逆医者海月で防ぐ琉依。しかし、それでも彼女と黒凰魔の魔力の差は大きくそれにより後ろへ押し出されそうになるが、どうにか踏みとどまりながら逆医者海月に力を籠めて真横に振って距離を取った。


『大地に眠りし焔よ…敵を屠る柱と化せ!!ブレイズピラー!!』


黒凰は炎の魔力を籠めた右腕を斜めにしつつ詠唱すると、琉依の足元の下の地面に赤い魔法陣が浮かび上がり、そこから長い柱の様な赤い炎を放つ中級魔撃・ブレイズピラーが彼女を焼き尽くさんと勢い良く火山の如く噴き出した。これにより彼女は消し炭と化した…かに見えたが…


『ぐああぁぁっっ!!?』


「話があるくせにいきなり焼こうとするなんて、不粋な方ですわね…!!」


あの水の様な空間の歪みから現れた琉依は、逆医者海月から浅葱色の雷を黒凰の背後に向けて放った。どうやらブレイズピラーが突起する瞬間にあの魔術型の闇絆の証を発動して難を逃れたのだろう。


「それより…我が家のボディガード達を殺してまで貴方は私に何の御用で?」


『…貴様の父親、深海蒼至は何処に居る…?』


「……!!」


黒凰の目的は琉依の父、優秀な科学者であり、深海家の当主・深海蒼至(ふかみ・あおし)の居所だった。しかし、父の名を耳にした途端、琉依は浮かない表情をしたまま目線を下にやる…。


「あいつの…父親…!?」


『何処に居るんだ…答えろ…答えろぉぉぉぉっっっっ!!!!』


何も話そうとしない琉依を見て、黒凰は突然激怒したかの様に声を荒げながら全身から黒い炎を噴き出し、再び彼女に襲い掛かる。


「くっ…!!」


しかし、またもあの魔術型の闇絆の証を発動して水の様に空間を歪ませてその中に入って回避した。




―???



「…あの鎧の侵入者…何故お父様を…!?」


『……。』


「兎も角、今はこの魔術型の闇絆の証『潜みし海魔(ストリーム・ダイブ)』の『単体でのみ時間流の(タイムオーシャン)に潜り込む』能力でもう一度…!!」


全てが黒がかった青い深海の様な空間内に潜む琉依は、何故黒凰が父に恨みを持つのかを考えている傍ら、ジェリンは何故か黙したままでいる。


一先ず、この空間について話そう。潜みし海魔(ストリーム・ダイブ)の能力は、現実世界の1秒の100分の1、即ち通常の世界で言えば実質100倍の時間で動ける「時間流の(タイム・オーシャン)」の中に潜る事である。但し、条件は厳しく1人のみしか入れず、魔力の波動を感じない場所で無ければ脱出出来ない。


話を戻し、琉依は先程と同じく魔力の波動を発生させた黒凰の背後まで近付き、そこから姿を現し魔力を籠めた逆医者海月で攻撃を仕掛けようとする。しかし…


「隙あ…ヒギャアアアアァァァァッッッッ!!!!?」


黒凰は背後を振り向かずに、まるで後ろに目が付いているかの様に黒い炎を纏った右の拳で琉依の顔の左側面を殴り付けた。


『お嬢様!!お気を確かに!!』


「あ…熱ヅ…熱ヅイ…熱ヅイィィィィッッッッ!!!!」


『一度見せた能力を破れぬ程…我は甘くは無い…!!』


火傷を追った顔を押さえ、地獄の様な激痛に悶え苦しむ琉依を黒凰は冷たく見下ろす。しかし黒凰はそんな彼女の髪を乱暴に掴み上げそして…


『もう一度聞く…深海蒼至は何処に居る…!?』


「…あ…熱ヅイィィ…痛いィィッッ…!!」


再度、深海蒼至の居所を尋ねる黒凰。しかし、今の琉依は先程の彼(?)からの炎の鉄拳による苦痛によりそれどころではない。だが…


「がはぁぁっっ!!?」


『貴様の親父はっ!!何処に居るんだってっ!!聞いているっっ!!さっさと!!答えぬか!!』


自分の質問に答えぬ琉依の腹部に拳を叩き込み、それを何度も、何度も、何度も追撃を行う。あまりの強い複数回の打撃により内臓が破裂したのか、彼女の口から血が流れ出した。が、黒凰はそれでも尚琉依に同じ質問を尋ねつつ殴り続ける…。


『止めろぉぉぉぉっっっっ!!!!』


ジェリンはそれをみすみす見殺しには出来る筈も無く、逆医者海月からリンキュバス態に戻り腕の触手を鞭の様に振るい黒凰に攻撃を仕掛けるが…


『邪魔だぁぁぁぁっっっっ!!!!』


『うわぁぁっっ!!』


それを琉依を掴んでいない方の腕で受け止め、勢い良く振り上げて彼女を投げ飛ばした。


『はぁ…はぁ…はぁ…!!もう良い…このままこいつを連れ去りゆっくりと時間を掛けて吐かせ…っっ!!?』


「いい加減に…しねぇか…!!」


感情のまま殴り続けて息を荒くした黒凰は、琉依を拉致し拷問を掛けてでも彼女の父親の居所を探ろうとするが、時間が経過し麻痺から回復した流の投げた女帝鮫の帰還により琉依を掴んでいた彼(?)の右腕が斬り裂かれる…。


『何故この女を助けた…!?こやつは貴様の大切な女を心身共に傷付けた張本人なのだぞ…!?』


「確かにそいつは許せねぇよ…だがな、一方的に人をいたぶるのをほっとける程人間出来ちゃいねぇんだよ!!」


もうこれ以上、無抵抗の人間が蹂躙される様子を見たくは無い流。例えそれがシャクリア…深波を傷付け汚した相手だろうとも…。


『我の邪魔を…するでないっ!!ウォォォォッッッッ!!!!』


度重なる邪魔により黒凰の怒りはヒートアップし、身体から更に彼(?)の今の感情を表すかの様、これまで以上に禍々しく黒い炎を噴き出している…。


「くっ…右腕斬れても平気なのかよ…!!」


流は黒凰のほどばしる黒い炎の魔力の激しい熱気に右手で前を覆いながら、右腕が切断されその部分から血を流しているにも関わらず、尚も平然としている彼(?)の激痛を凌駕する精神力に戦慄する…。


『焼キ尽クシテヤル…我ノ行ク手ヲ阻ム者総テ…総テヲダッ…!!ダークネスブレイズチャージ!!』


怒りのあまりに我を失った黒凰は、全身に纏った黒い炎の魔力全てを左掌に収束し強く握り締め、通常の魔力のチャージとは違うチャージ・ダークネスブレイズチャージをしそれを真正面に掲げると…


「何だ…あの片方だけの黒い翼は…!!?」


彼(?)の左掌の前に、闇の様にドス黒く巨大な鳳凰の左翼のみを象った炎の魔力のエネルギーが生み出されていた。徐々にその大きさを増しながら…。


『あんな馬鹿でかいのがぶっ放されたら、皆跡形も無く消し飛ぶわよ!!?』


「くそっ…!!」


『総テ…消エロォォォォッッッッ!!!!』


流達は、その強大なる魔力の前に成す術も無く歯を軋ませる。黒凰が鳳翼を象った黒炎の魔力を勢い良く放ち、全てが灰と化す…。誰もがそう確信し始めたが…


『そこまでだ…!!』


「『『『!!!!?』』』」


突如、二本の角を生やした黒い龍の骸骨の仮面を被り、首には両サイドに鎖が付いた黒凰の腰のバックルと同じ物をペンダントの様にぶら下げ、赤い龍鱗の黒いローブを羽織った女性らしき声をした謎の人物が、黒凰の左腕を掴み暴走を制止する様諌めた。首に掛けたそれから見て、彼女もまた黒の理界の一員の様だ…。


『閻龍…!!』


『感情に身を任せて「その禁術」を行使して、貴様の怨敵…深海蒼至の手掛かりとなるあの娘までみすみす死なすつもりか…!!』


『くっ…!!』


龍鱗のローブの女性らしき人物…閻龍(エンリュウ)に、今の黒い鳳翼のエネルギー波の行使は禁止である上に、怨敵の手掛かりの可能性が有る琉依をも死なせかねないと指摘され、黒凰はやむなく渋々と解除し左腕を降ろした。


『今は退け…。我等の目的はゾディヴィルの集結が最優先…貴様個人のそれは後からでも遅くはなかろう…。』


閻龍は右の手刀で空を切り、あの黒い傷の様な罅を生み出しそこから黒凰に引き上げる様促す。どうやら今回の黒凰の襲撃は黒の理界本来の目的とは違う、彼(?)独自のそれであるようだ…。


『…後を任せる…!!』


黒凰は切断された右腕を拾い数秒間くっつけると、彼(?)の闇絆の証による能力なのか、まるで斬られなかったかの様に接合し、閻龍に数十本の半透明の羽根を手渡し、深海家の使用人等の記憶消去を頼み黒い傷の中へと消え去った…。


『相も変わらず感情的な奴め…。そう構えるな、私は禁術を使おうとしたあやつを止めに来た迄…貴様等と戦り合うつもりは無い。』


閻龍は怒りに駆られ易い黒凰の悪癖をぼやきつつ、女帝鮫の帰還を構えて戦闘態勢を取る流に、先程の禁術を行使しようとした黒凰を制止する為に現れただけであり、彼等と戦う意思は無い事を示す様に右手を前に出す。


「お前達黒の理界は、何を企んでいる…!?」


『答える義理は無い…。』


流に黒の理界がリンキュバスをも超えるリンキュバス…ゾディヴィルを集結させる理由を尋ねられる閻龍だが、それを答えず背中から黒い龍の翼を広げて宙に浮き、両手に持った黒凰から渡された半透明の羽根全てを勢い良く地上へ投げつけ使用人やメイド達の記憶消去作業を行った。


『先程も言ったが今回は戦わぬ…だが、我々の邪魔をするのならば…!!』


次に会った時は容赦しない…そう告げた閻龍は、仮面の左目の空洞から魔契者の証たる龍の紋章を血の様に妖しく光らせて流達を睨みつつ、飛翔してその場から立ち去った…。


「黒凰に閻龍…あいつ等とは別のゾディヴィルが後十体も…!!」


黒凰や閻龍等強敵が立ち去った後、彼等だけでも厄介なのにそれと同等のゾディヴィルが十体も存在する事に今後の戦いに不安を感じる流。だが、今はそれより気にする事がある…。


「なが…れ…私…私は――!!」


シャクリアの姿を解除した深波は、何か言いたげで且つ悲しげな表情で流にゆっくりと近付く。それを見た彼は無言で彼女を抱き締め…


「もう何も言わなくて良い…悲しいなら…思い切り泣け…!!」


「流…流…うあああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」


その言葉を聞いた深波は、この一件からずっと内に秘めていた不安や恐怖、悲しみを一気に発散させる様に流の胸の中で号泣する。心身共に傷付いた自分の事をずっと信じ続け、心配し続けてくれた(おもいびと)の胸の中で…。―???



『…解除…!!』


黒い傷の様な罅から天井・壁・床と…全てが闇の様に真っ黒い部屋に現れた黒凰は、やや苛立ちながら闇絆の証を解除すると、鳳凰を模したゾディヴィルとその魔契者に分かれ、そして…


「ウガアアアアァァァァッッッッ!!!!」


魔約者の人影は先程の怒りが完全に収まっていない為、獣の様な唸り声を上げつつ、周りにある家具を乱暴に蹴飛ばしたり持ち上げて壊したりして鬱憤を晴らしている…。


「ガアァァッッ…ガッ…!!ガァッ…。」


鳳凰のゾディヴィルの人影は人間態に変化し、そんな彼(?)を強く抱き締めて怒りを鎮める様に宥める。その熱意が伝わったのか、魔契者は徐々に心を落ち着いていく。これで終わり…と思いきや、魔契者とゾディヴィルは互いに衣服や下着を脱ぎ捨て、そして…




「あっ…んんっ…はぁぁんっ…!!///」


「ハッ…!!ハッ…!!ハッ…!!ハァァッッ!!///」


どちらが男でどちらが女かまでは分からないが、互いに身体を重ねて、喘いだり息を荒くしながら愛し合い始めた…。普段から魔契者が激しい憎悪や怒りを爆発させた時は、ゾディヴィルが混じり合ってそれを鎮める様にしているのであった…。


ここまで彼(?)を激情させる琉依の父親・深海蒼至とは何者なのか?そして、その理由とは?黒の理界がゾディヴィルを集結させる理由とは?


今、闇絆の物語は激しく躍動し始める…。

ややグダグダですが、どうにか深波を救う事が出来ました!!(^_^;)


前回のアレを見れば、汚された事実を想い人だけには知られたくなくてああして距離を取らざるを得ないのは無理は無いと思いますね。


実は、2タイプの闇絆の証を持つ複有型の魔契者だった琉依。


遅効性だがあらゆる者を熱や麻痺を与える武具型の杖・「逆医者海月(ジェリー・アンステイト)


時間が100分の1秒で流れる「時間流の(タイム・オーシャン)」に潜って相手の虚を付く魔術型のペンダント「潜みし海魔(ストリーム・ダイブ)


潜みし海魔は某昆虫のバイク乗りの高速移動に近い物だと思って下さい(^_^;)


海那の正体たるジェリン・シィヴォイド。水と雷の属性の為、雷属性はほぼ無効で複合魔撃が使える等現段階の通常のリンキュバスでは強い方です。



そして上には上がいる…2人目の黒の理界の一員・閻龍(エンリュウ)。現段階では正体や闇絆の証は不明ですが、ゾディヴィルであり女性である事しか判明してません。

今回は黒凰が暴走!!女子である琉依をボコボコにしたり部屋で暴れ出したりそれを鎮めるべくギシアン…!!


普段冷徹且つ冷静な黒凰の感情を大爆発させる要因である琉依の父親・深海蒼至(ふかみ・あおし)の諸行とは?



次回はいよいよあのキャラが登場致します!!o(^-^)o


誰が出るか想像しつつ期待せずお待ち下さいませ!!m(_ _)m

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