LINK9 仲直りのデート×魔神との出会い=新旧悪魔のコラボレーション
お待たせしました!!
今回はエンジェビルさん作「魔神再臨」とのミニコラボを兼ねたデート編です!!o(^-^)o
皆さんに謝っておきたい事が2つ、1つはミニコラボと言っておきながら通常のコラボっぽくなってしまった事。もう1つは、色々説明が多過ぎて文章まで今まで以上に長ったらしい物になってしまった事です。申し訳ありませんm(_ _)m
本日は日曜日…この休日を活かし学生や社会人達は皆、学業や仕事で溜まった疲れをリフレッシュするべく遊びに行ったり、昼寝をしたりと、様々な過ごし方をする。そして幸運な事に、天気は一点の曇り無き青く澄んだ空、全ての生命を照らすギラギラ輝いた太陽と、正に遠足日和、登山日和、洗濯日和…そしてデート日和な快晴である。
そんな中、白いTシャツの上に水色の半袖のジャケットを着たベージュ色のズボンの青年とフリル付きの青い半袖のワンピースに、半ズボンと白のパンプスの少女の高校生カップルが街中を歩いている…。
「今日はデートするのに絶好の天気だな、深波。」
「ええ♪でも、流と一緒だったら一日中ゴロゴロするのも良いけどね♪」
その高校生カップル…流と深波もまた、普段とは違う服装を着て現在デート中である。あれから一週間、深波の魔力不足による疲弊の原因を解決し、二人の絆がより深まった。そこで流は仲直りの意味も込め、今後は深波との絆を積極的に大事にするべく、今回の初デートを立案したのだ。
「最初は何処行く?流が行きたい所なら何処でも良いわよ。」
「う〜ん、そうだなぁ…映…画でも観に行こうか…な。」
流は生まれて初のデートのリードに戸惑いつつも、映画鑑賞をすると決め深波と共に映画館へ向かうが…
「うっわ〜…こりゃ混んでるなぁ…。」
何度も言うが本日は日曜、つまり流達と同じ目的で複数のカップルや家族が何組もチケット売り場前に並んでおり、映画どころか入館すらままならない状態だった。因みに本日上映する映画のタイトルは以下の通り…
・光導く死神〜九人の闇戦士VS全世界の闇組織〜
・昆布王子の冒険〜銀河編〜
・魔法の言葉は「オレだよオレ!!」
・劇場版ATERU
・愛してるって言ったじゃない!!結婚するって言ったじゃない!!嘘つき!!大嘘付き!!
・ま、ま、ま、待ってくれ!!落ち着いてそんな物騒なモンしまってくれ!!
・天国で結ばれよう?一緒に死んでぇぇぇぇっっっっ!!!!
「…ごめん…やっぱゲーセンにしよ…。」
「そう…ね…。」
あまりのぶっ飛んだタイトル(最後に至ってはなんか会話になってる+内容バレバレ)に観る気が失せた二人は、行き先をゲーセンに変更した。因みにどれかは何れ実現させます。
「「どうでも良いわっっ!!!!」」
と、突然何者かに無駄にツッコんだ二人はゲーセンへと向かった。そこでは格闘ゲームはおろかゲーム自体初めての筈の深波は、慣れた操作で「超良いね、最高!!」と言わんばかりに流をフルボッコしたり、クレーンでは中のフィギュアを楽々と根刮ぎ奪い、終いにボクシングゲームを一発殴っただけでブッ壊してしまい、その筋の用心棒達に流共々店を追われる羽目になってしまう…。
「はぁ…はぁ…はぁ…ゲーセンってエキサイティン…グハァッ!!?」
「はぁ…はぁ…何が…はぁ…エキサイティングだ…!!はぁ…はぁ…ちっとは加減しろ…!!はぁ…はぁ…!!」
何とか逃げ切り、深波は息を切らしながらゲーセンを大層気に入った様だが、同じく息を切らした流から拳骨を喰らい力の自重する様説教された。て言うか、全速力で走った後にツッコむ体力がある流も別の意味で凄い。
「はぁ…のっけから力使い過ぎたせいで腹が減ったな…。何処か食べる所は…」
「あっ、流。ここのレストランにしましょ。」
ツッコミで大幅に体力を消耗し空腹となった流は、やや早めの昼食を取ろうと様々な飲食店を探していると、深波は自分達の目の前にある建物の二階にあるレストランを指す。
「『フライングデビル』か…なんか俺達に相応しそうな店名だな。ここにしよっか。」
「ええ♪」
フライングデビルなる悪魔の名前がある店に何処か親近感を感じた二人はそこで昼食を取ると決め、建物の二階へ向かう…。
―フライングデビル
「いらっしゃいませ~♪二名様ですね、こちらの席へどうぞ。」
バンダナとエプロンを着用した外ハネしたボブヘアーの小柄な少女は、流達を二人用の席へと誘導すると直ぐ様二人分の水の入ったコップとお絞りを用意すべくカウンターへと向かう。
「深波、何にする?」
「えっと…え〜魚料理とか無いの〜?」
何を食べるかメニューを吟味する深波だが、あるのはハンバーグやステーキ、チキンや唐揚げ等肉料理や鶏料理等で、魚料理が好物な彼女は、所望する料理が無い事に口を尖らせて愚痴を零す。
「無い物強請っても仕方無いだろ、文句を言うな。」
「ん〜…じゃあ、唐揚げ定食で。」
「なら俺もそれにするか。」
「お待たせしました。御注文…は…ッッ!!」
二人共唐揚げ定食に決めた丁度その時、先程の少女がオーダーを取るべく水とお絞りを持って現れた。そこで偶然深波と目が合った瞬間…
「(な…何、今の…!?私、この女の人の事を…知ってる…!!?)」
突然少女の頭に、首から下まで複合した三つの水棲動物が特徴の怪物の映像が一瞬のみフラッシュバックし、固まったかの様に動きが止まる…。
「(でも…この人とは初めて合うし、どこか違う…けど…!!)」
無論彼女と深波は初対面だし、そもそも深波は鮫をモチーフとしたリンキュバス。水棲動物と言う事以外何ら関係は無い…。
「…何?」
「はっ…!!いやっ…あの…!!その…。」
自分をずっと見つめている事にやや苛立った深波は、不機嫌な態度で尋ねる。それにより我に返った少女はしどろもどろに誤魔化そうとする。
「どうした花梨。」
「あっ…パパ…。」
そこへカウンターから身長が190cmもの長身に、腰にまで伸びたボリュームある茶髪を髪ゴムでまとめ、バンダナとエプロンを着用した男性が、少女・花梨の異変に気付きその場へ駆け寄った。
「我はこの店の店長だ。何が起きた?」
「あんたこの子の上司?私の顔見たら突然固まってオーダーを聞こうとしないのよ。どういう教育してんの!?」
「おい深波、落ち着け…!!」
「そうか…済まなかった。娘には後で良く言って聞かせる。詫びにデザートのサービスを着ける故、何卒勘弁してくれ。」
「わざわざすいません。深波、それで許してやりなよ。」
「ふん…!!」
深波のクレームを聞き、店長であり花梨の父親である大男・柳生但馬守宗矩は、娘の代わりに頭を下げてデザートを無料で着けると詫び、これに渋々納得してもらい、オーダーの唐揚げ定食を作るべく花梨共々カウンターへと戻った。
「ごめんなさい…。」
「そう気を落とすな。それよりも、客の料理を作るのが先だ。我は唐揚げを揚げるからキャベツの千切りを頼む。」
「うん…分かった。」
花梨は今の行動について宗矩に謝るが、過ぎた事は気にするなと励まされ、唐揚げ定食に必要なキャベツの千切りをする様指示を受け、若干気にしつつも了承した。
「はぁ…はぁ…!!悪りぃ、おっさん!!遅れちまった…!!」
そこへ、店の玄関から高校生くらいの年齢をした青年と少女が飛び入る様に勢い良く入店し、息を切らしながら宗矩に詫びる。
「20分遅刻だぞ。」
「はぁ…はぁ…きょ…今日日曜だからついつい寝過ごしちゃったのよ…!!」
この店のアルバイトである、ボサボサした金髪に目つきの悪い不良風の青年・桐生拓海と、金髪のツインテールにリボンをつけミニスカートを履いたギャルっぽい少女・高槻文乃は、寝坊が原因と言い訳にならない言い訳をする。
日曜ならば休日…と思われがちだが、この店は定休日が不定故、例え日曜でも店を開く事も稀である。その為、休みでないと理解してても日曜の朝の習慣と言う物はそう簡単には抜けず、今回の様に寝坊してしまうと言う事態も起き得るのだ…。
「で、二人して寝坊…という事はまた…」
「えへへ…昨日は拓海の家でお泊まりしちゃった♪」
「ま…まぁな…。///」
「やはりな…。」
宗矩は、二人の寝坊の原因を知り溜め息を付く。実は拓海と文乃は幼少の頃からの幼馴染みであり、恋人同士でもある。その為か、二人の両親が多忙で家に居ないのを良い事に、度々互いの家に寝泊まりする事が多く「それ以上の事」も何度かヤらかしている。前述の理由で二人の親代わりをしている宗矩が溜め息を付くのも、それを知っているせいである…。
「まぁ良い。さっさと着替えろ。」
「へいへい。」
「あっ、お客さん来てるんだ。」
拓海と文乃が作業に移るべくバンダナとエプロンを着用しようとすると、文乃はふと未だオーダーを待ち続ける流と深波の姿を目にした。
「折角の日曜にこんな店で二人きりの男女…これはデートかしら〜…はぅっ!!?」
「こんな店、は余計だ…!!」
文乃は流達を見て直ぐ様デートの最中だと瞬時に見抜くが、余計な一言を言ったせいで宗矩から拳骨を喰らう。
「うぅ…ごめんなさい…って、どしたの花梨ちゃん、顔色悪いわよ?」
「何かあったんか?」
「実は…」
涙目で頭を擦る文乃は、未だに先程の件で浮かない表情をしている花梨の様子を心配し、拓海にその原因を尋ねられた宗矩は経緯を話す…。
「魚みたいな怪物、ねぇ…。ちょっと信じられないけど…ねぇ?拓海。」
「ああ…これとは関係無ぇかもしれないけど、俺等そういう系の話は良く知ってるからなぁ…。」
普通ならそんな話を聞けば「疲れて幻でも見えたんじゃね?」と呆れて返されるのが常だが、意外に耳を傾ける拓海と文乃。
ここで話しておこう…。まず、この店の店主たる宗矩は人間ではない。その正体は、今より3000年前より次元魔界からこの人間界に降臨せし最強の魔神・ヴォルケニックス・グランドバアルである。しかし彼は、人間界を征服する気はさらさら無く、寧ろ人間に興味を持っている。そして花梨は10年前養子に引き取った子供で血の繋がりは無いが、実の親子以上の絆で結ばれている。
養父として育児や家事と戦い、店長として仕事と戦い、魔神として人間に害なす存在と戦う…。そうした事情を熟知している為、花梨の話を真剣に聞けるのである…。
「…兎も角、今は仕事に専念しろ。良いな。」
「「へ〜い/は〜い。」」
結局この話はお流れとなり、宗矩の言葉を皮切りに拓海達は作業を始める。その10分後、流と深波の席にレモンが添えられた衣がカリッと揚がった唐揚げとキャベツの千切りに、若布の味噌汁、そして大盛りの白米が盛られた唐揚げ定食が漸く届き、それに舌鼓を打ち更に10分後…
「ふ〜…美味しかったなぁ。」
「ま…悪くは無いわね。」
流は唐揚げ定食の美味さに満足し、最初は難色を示していた深波も素直に評価した。二人の目の前の皿がまるで洗ったかの様に空なのが何よりの証拠である。
「客人。先程の詫びの印に当店特別のデザートを召し上がって頂きたい。」
宗矩は先程の花梨の件についての詫びとして、巨大なガラスの器一杯に詰め込まれた、巨大なプリンの上に生クリームが盛り込まれ、その更に上には板チョコ・ウエハース・ポッキー・数々のフルーツが飾られ、チョコソースが絡まった巨大なバニラアイスが乗っかっており、下周辺には赤・緑・黄・青・紫・橙の六色のアイスが囲まれた超特製全部乗せデザート「欲望達の楽園」をテーブルに置いた。これを見た流と深波の第一声は…
「「デカッ!!?」」
とまぁ、月並みな物だった…。
「お、おいおっさん、良いのかよそんな豪勢なデザートタダにしちまってよ!!」
「て言うかそんなデザート、メニューに無かったでしょ!?」
「良いのだ。元はと言えばこちらに非があったのだ。このぐらい誠意を見せなければ客に申し訳が無いだろう。花梨、皿を頼む。」
「うん…。」
拓海と文乃は、如何に店側に非があるとは言え欲望達の楽園なる超特大デザート…それもメニューに載っていないオリジナル料理を無料で振る舞う宗矩に物申す。しかし肝心の本人は、これが経営者として当然のけじめだと返し、唐揚げ定食の空皿を花梨に渡す。
「な…何か悪い気がするなぁ…。」
「別に良いでしょ、向こうが悪いんだから…はい流、あ〜んして、あ〜ん♪」
流は、流石にあんな程度の事でこんな特大デザートを無料で振る舞われる事に罪悪感を感じるが、深波は気にせずスプーンでチョコソースと生クリームが絡まったバニラアイスをスプーンで掬い、流に口を開ける様可愛く言う。
「こっ…ここでかっ…!!?///」
「良いじゃない、ねっ流、ほら…あ〜んして♪」
如何に一線を越えたとは言え、絆を深める為とは言え、こんな公衆の面前で「あ〜ん」をする事に抵抗を覚える流。食うか食わぬか…そう悩んでいると、深波の表情が徐々に険しくなり瞳も濁り出す。それに危機感を感じた流の決断は…
「ぁ…あ…あ〜んんんっっ…!!///」
深波に屈する、だった…。
「良く出来ました♪どう、美味しい?」
「おおっ!!深波、美味いぞこれ!!」
「あら、そう?じゃ今度は流の番、あ〜ん♪」
「(第2ラウンドォォォォッッッッ!!!!?///)」
欲望達の楽園の味に絶賛するも、女からされれば、次は男から…これをやって初めて「あ〜ん♪」が成立する…。そのシステムを目の当たりにし、心の中で絶叫する流。
「早く流の咥えたいなぁ…あの日の夜みたくいっぱいしゃb…」
「分かった分かった分かりましたぁぁっっっっ!!!!///深波、あ〜ん…!!///」
突然初夜の詳細を語り出す深波を見て、顔から火を吹き慌て出した流は、素早くデザートを掬い彼女の口へと運ぶ。半泣き状態で魔法の言葉を唱えながら…。
「うわぁ…見て拓海、さっきのカップル『あ〜ん♪』なんてやってるわ。まさかバカップルだったなんて、引くわー。」
「「「………。」」」
文乃は、流と深波のやり取りを見てバカップルと認定し軽口で貶す。それを見た宗矩・花梨・拓海は無言で彼女に目をやる。
「な、何よ皆?」
「卿が朝、顔を洗わぬ人種だと言う事は理解した。」
「うん。」
「俺、今度から周りが見える様に気をつけるわ。」
「だから何なのよ〜!!?」
三人からの冷ややかな態度に不満を募らせる文乃。彼等が言いたい事は只一つ、「人の振り見て我が振り直せ」である…。そんなやり取りをしている内に欲望達の楽園を食べきった流と深波が立ち上がり勘定を払うべくレジへと向かう。
「すいません。お勘定お願いします。」
「む、ああ済まないな客人よ。」
「後、さっきのデザート美味しかったです。ありがとうございます。」
「気にするな。此方こそ彼女に無礼を働いて済まない。またの来店を願う。」
流は唐揚げ定食二人分の代金を払いつつ、欲望達の楽園の感想を宗矩に述べそれを振る舞ってくれた事に感謝する。
「ねぇ流、私海を見たい。この世界の海がどんなかテレビでしか見た事無いから。」
深波は流の腕に絡みながら、次のデート先はカラオケとかケーキ屋とか年頃の少女が行きたがる場所では無く、なんと海を鑑賞したいとせがむ。
「『この世界』の…!?」
「あ…いや、こっちの話です。分かった、じゃあ葛西臨海公園に行こうか。」
「この世界」と言う深波の発言に眉を顰める宗矩を見て、流は何とか誤魔化しながら深波を連れて、次の目的地たる葛西臨海公園へと向かうべくフライングデビルを後にした…。
「あの深波とか言う娘、『この世界』と言ったな。まるで此処が自分の生まれた世界では無い様な口振りだった…もしや…!?」
先程の言葉について宗矩は、深波が普通の人間では無いのでは?と推測する。思えば、花梨が深波を目にした瞬間に見えた水棲動物の怪物の映像の事も考えるとその可能性は否定出来ない…。
「ねぇ拓海。さっきの女の正体、探ってみたくない?」
「は…?まぁ、花梨の見えたって言う魚の化物やおっさんの言ってる事が本当だったら気にならない…つったら嘘になるな。」
「じゃあさ、今からあの二人の後をつけて見ようよ。」
「しゃあねぇな。ま、ちょっと面白そうだし言ってみるか!!」
文乃は、宗矩が一人で話していた内容と先程花梨が見えた水棲動物の怪物の謎を確かめるべく拓海と共に流と深波達のデートの尾行を企てていざ実行…と言いたいがそうは問屋が卸さない。
「ねぇ店長…」
「だが断る。」
「まだ何も言ってないわよ!!」
「そういう事は仕事を終えてから、且つ我に聞こえない様企てろ。」
「良いじゃない。客もそんなに来ないんだし~。それにあの女があのヘタレっぽい男を襲うかもしれないじゃんか!!」
そう、二人はまだ仕事中。宗矩は文乃の悪巧みに対する答えは当然、断固反対である。しかし文乃は、深波が怪物で流に危険が及ぶかもしれない、と言って諦めない。
「断じてならぬ。花梨が見えたとか言う化物は気のせいかもしれぬし、仮にそうだとしても殺す相手と態々食事等しないだろう。そもそも、卿等が行った所でどうしようも…」
「パパ…文乃ちゃん達もう出てっちゃったよ。」
宗矩が長々と説教をしている内に、拓海と文乃はバンダナとエプロンを解いて姿を消していた…。
「あの馬鹿者達め…!!」
宗矩が二人の脱走に憤っていると、突然店の電話が鳴り出した為怒りを抑えつつ受話器を取る。
「はい、こちらフライングデビル。」
【此方クソレストラン。御予約で?】
「…イタズラ電話なら切るぞ…!!」
電話の相手は女性であり何処かで聞いた事がある様なふざけた台詞をほざき、それにイラっとした宗矩は受話器を切ろうとする。
【待て!冗談、冗談だ明智君。】
「誰が明智だ。世界一暇な特命係がウチに何の用だ?」
電話の主は慌てて冗談だと訂正するが、またしても軽口を叩いた為宗矩から突っ込まれる。電話の相手は警視庁・超常犯罪捜査課課長・神楽坂葵。尤も、その実態は色々と問題をやらかしたせいで邪魔になった彼女を追いやる為に設立された窓際部署である。とは言え、能力自体は優秀である為27歳の若さで警視の肩書きを持つ実力者なのだ。
【それ言うな!!それより、お前に話しておきたい事があるんだ。】
特命係と言われムキになる葵だが、宗矩に本題を話すべく真剣な声で話を始める。
実は葵も人間ではなく、地球から遠く離れた水の惑星・リヴァイア星出身のリヴァイア星人であり宇宙警察の警官・アクエリア・マリンフォードであり、宗矩の正体も知っている。そして、今から話す内容も恐らく人外による怪事件なのだろうと、宗矩は心して聞く。
【最近舞浜の海岸付近で、遊びに来ていた若者達が変死体で発見されたんだ。】
「変死体だと…!?」
【ああ。まるで骨を抜かれたかの様にフニャフニャの死体となってな…!!】
葵から怪事件の内容を聞いた宗矩は顔を顰める。またも人知を越えた力を持った人間が罪も無い人々を無慈悲に殺した事に憤りを感じているのだ…。
【後、これは警官として絶対言ってはいけない事だが…死んだ連中は海や砂浜にゴミを捨てたり、禁止区域でモータースキーで遊んだりと、碌でも無い奴等だったらしい。】
「…それでも、己の勝手な正義感で人を裁いて良い権利は無い…!!」
如何に被害者がどんなにモラルの無い人間だったとしても、殺人と言う決して正しくない手段を取った者を許してはいけない…。そう、強く拳を握りながら呟く宗矩。
「ところで、何故舞浜とか此処とは随分離れた場所の事件を我に話したのだ?」
宗矩の言うように、今の話は舞浜で起きた事件。然程店に客が少ないとは言え、少なくとも暇では無い為、海へ遠出する事は無い。にも関わらず、それを態々情報提供した事を尋ねた。
【何、もうじき学校も夏休み。娘が海へ遊びに行きたいと言い出すのかもしれんだろう?だから、な…。】
「…そうか。感謝する。」
自分の家族…花梨の身の安全を案じての情報提供だと知り、宗矩は笑みを浮かべて葵に感謝する。が…
【あっ、もしかして海と聞いて私の水着姿を妄想していたな?魔神殿も意外に変態なのだな。どんな水着を想像した?ビキニ?スク水?はっ…まさかTb…!!】
「感心した我が馬鹿だった…!!」
折角良い雰囲気だったのに、葵が余計な事をほざいた為乱暴に受話器を置いて電話を切る宗矩。この様に真面目な話になったと思った直後に葵の一言多い発言でムードが台無しになる事は日常茶飯事である…。
「今の所異常は無ぇな…。」
「油断は禁物よ。今は人混みの中で人間を装ってだけかもしれないし。」
流と深波に何の変化が見られないと言う拓海の意見に、文乃は警戒心を緩める気はさらさら無いようだ。なるべく近付かず離れ過ぎずに二人の後を付け続ける、暇…じゃなかった筈のお馬鹿な二人。
「オッス御両人!!今日はデートですかな?」
「「うぉっっ!!?/きゃあっっ!!?」」
突然何者かが背後から拓海と文乃の肩を強く叩き出した為、大きな悲鳴と共に身体を仰け反らせてしまう二人。その相手は…
「びっくりさせんなよ美鈴!!」
茶髪の巻き髪にルーズソックスを履き、黒縁眼鏡をかけたミニスカを履いた、見るからに今時感たっぷりのギャルっぽい貧乳の少女・藤沢美鈴。彼女は拓海と文乃とは同じ高校の同級生であり、親友である。因みに宗矩が悪魔だという事を知っている数少ない人物だ。
「メンゴメンゴ♪それで、二人して何してんの〜?」
「実はね…インインペラペラ…」
「シザシザキャンキャン…マジで!?」
「かくかくしかじかこれこれうまうまの某鏡の戦士バージョンッッ!!?しかも解ったのかよ!!?」
文乃と美鈴の「かくかくしかじかこれこれうまうま」某鏡の戦士バージョンなるやり取りとそれによる美鈴の理解に大きくツッコむ拓海。
「面白そうだしアタシも混ぜて?」
「もち!!」
こうして、流と深波の尾行に美鈴も仲間に加わった。彼女の登場により彼等を見失いなうが、葛西臨海公園に行くにはJRの中央線に乗る必要がある為駅に向かえば見つかると判断し、急いで新宿駅へと足を運ぶ三馬鹿トリオ。その甲斐あって、どうにか電車に乗る寸前で二人を見つけて急いで同じ車両に乗り込めた…。
「やっぱ休日だと混んでるよな…。」
休日なだけあって車両の中は満員電車で、座席に座るどころか立つ事すらままならなく、互いの身体が密着していて窮屈に感じる流に対し…
「こうした状態だと流に逆痴漢プレイが出来るから、満員電車好き♪」
「触るんじゃない…!!///」
深波は流と密着出来る好機だと言わんばかりに、片手で手摺りを掴んだ状態でもう片方の手で彼の股間を擦り満員電車のメリットを楽しみ、それに大声が出しにくく小声でツッコむ流。
「狭過ぎ…今更だけどここまでして尾行する必要あんのかぁ…?」
「ここまで来て…引き下がるモンか…。」
「文乃…これまで以上に凄んごくマジだわね~…。」
一方流達から少し離れた場所で、同じく窮屈な思いをし流石にもうやる気がゼロになりかかる拓海を尻目に、未だに粘り強く尾行し続ける事を貫き通す文乃。それにやや引く美鈴。そんなこんなで数十分…
―公園付近の浜辺
「ほれ、これが君が見たがってた海だ。どうだ?」
「綺麗…。」
漸く葛西臨海公園…付近の浜辺に到着した流と深波。二人以外誰もいない辺り一面に広がる白い砂浜、オレンジ色に煌めく夕日を背景とした波打つ海、心地良く聞こえる小波の音…それらの美しい光景を初めて目にした深波は、微笑ながら静かに感動している。その笑顔を見た流もとても優しい気持ちとなり、徐に口を開く…。
「俺さ…これまで魔契者になってから何の為に戦うのかあまり考えてなかったけど、今日ここに来て解った。」
「何?」
「この世界には、海の他に君が見た事の無い、沢山の綺麗な場所が存在している。それを見て笑顔になる君がとても魅力的に感じ思ったんだ…。」
「……!!///」
「黒の理界からこの世界を守りたい…君がこれから見る新しい景色を…!!だから深波…これからも俺と一緒に戦ってくれ!!」
これまで成り行き任せに戦い、定めた目標を持っていなかった流は、ここに来て漸く自分なりの戦う理由を見つけ深波に語る。それを聞いた深波は…
「うんっ…うんっ…!!///」
あまりのストレートな告白めいた言葉に、嬉し泣きをして彼の胸に勢い良く飛び込み互いに抱き合った…。
「おおっ!!ラブシーンキタキタ♪」
「い…意外に大胆なのな…。///」
「ここで彼氏を『食べる』展開になるのよね♪」
「そりゃお前だけだ。」
…と思いきや、二人以外に居た…。流と深波のラブシーンに三者三様の意見を口にする三馬鹿。因みに順番は美鈴→拓海→文乃→拓海の順である。
「深波…。」
「流…。」
暫く抱き合ってた流と深波は、互いに見つめ合い互いに唇を尖らせて僅か数ミリの距離まで顔を近付きかけた、正にその時…
『ニュッニュッニュッ…お前ぇら、お熱いな〜…!!』
海から突き破る様に現れたのは、黒い全身の、白い吸盤の様な模様が付いた触手の様に長く太い八本の腕、それに似た触手を丸々とした頭部から髪の様伸ばし、青く鋭い瞳に急須の様な長い口が特徴の、蛸を模したリンキュバス「オクタクル・シィレスト」だった…。
「リンキュバス…!!」
『ニュッニュッニュッ、随分臭ぇプロポーズを言うじゃねぇかその魔契者。だが俺に会っちまったのが運の尽きだな〜…それが人生最期の愛の言葉となるんだか…「アクアロー…!!」ラブマッスィィンッッ!!?』
流を始末する…と、間延びした口調でダラダラと長く喋るオクタクルに深波は右手を翳してアクアローを放つ。無言のまま顔を俯かせた状態で…
「折角の初デートで流とキス出来る寸前まで来たのに、台無しにしやがって…!!」
「あ…あの…深波さん…?」
静かだがどこか威圧感を感じる淡々とした深波の話し方に、流は何故か敬語で怖ず怖ずと尋ねようとするが、彼女はわなわなと身体を震わせ…
「その五体引き裂いて刺身にして喰らってやろぅかこのKYクソ蛸がァァァァッッッッ!!!!ギッシャアアアアァァァァッッッッ!!!!」
目を鮫の様に鋭くさせ大きく裂けた口を晒しながら、デートの締めをブチ壊したオクタクルを始末しようと怒りと殺意の籠もった咆哮と共に、身体を青く光らせシャクリアへと変化する。
「な…マジかよ…!!?」
「おっさんと同じ悪魔じゃん!!?しかもアタシや文乃よかスタイル良いし!!」
「やっぱり…!!」
離れた場所で隠れていた拓海達も、深波の正体が宗矩と同じ悪魔だと知り驚きを隠せず、一時動揺するが…
「でも…あまり悪い悪魔って感じがしない…。」
初めは深波…シャクリアを警戒していた文乃だが、実際その姿を目にすると然程悪意を感じず、寧ろどこか宗矩…ヴォルケニックスと似通った印象を持った…。
『流!!このKYリンキュバスをさっさと生きたまま八つ裂きにして続きをするわよ!!』
「(怖ぇよ!!)わ…分かった。闇絆の証!!女帝鮫の帰還!!」
流はシャクリアのオクタクルに対する強烈な殺意に内心ビビりつつ、彼女を女帝鮫の帰還に変化、装備して戦いに臨む。
「えっ…!!あの悪魔、武器にも変身出来るの!?」
これまで宗矩の近くに居た為、悪魔に馴れていた文乃は流石にシャクリアが闇絆の証に変化した事には驚きながら傍観を続ける。
『ニュッニュッニュッ…よくも不意打ちしやがって~…ふんっ!!』
「うぉっと!!?そぉぉぉぉらっっ!!」
『ニュゥゥゥゥッッッッ!!!!お…俺の腕がぁぁぁぁっっっっ!!!?』
オクタクルは先程の魔撃の不意打ちに怒りを感じ、その太い右の触手の様な腕を流目掛けて鞭の様に振り降ろすが、バックステップで回避し、直ぐ様彼の振り投げた女帝鮫の帰還による反撃で両腕と頭部の触手を斬り裂かれ、動揺する。が…
『な〜んてね♪甘い甘〜い♪』
「なっ…斬れた腕が…!!?」
突然身体から赤い光を放つと、なんと今斬れた筈の腕と触手が切れ端から伸びる様に生えて元に戻った…。
『よくもやってくれたな〜…お返しだ〜…ふんっ!!ふんっ!!ほいっ!!』
「うわっ!!わっ!!わぁっ!!くっ…これじゃ直ぐに投げられない…!!」
オクタクルは、両方の腕と頭部の触手を交互に振り降ろし流に連撃する。そのせいで流は、直ぐ様女帝鮫の帰還を投げる隙が全く無く苦戦を強いられてしまう。
『流、シャドウバインドなら一時的だけどあいつの動きを止められるわ!!』
「その手があったか!!黒き魂よ…彼の者を封じよ!!シャドウバインド!!」
『ニュッニュッ!!?か…身体が…動か…!?』
流は、シャドウバインドで自身の影を伸ばしオクタクルの動きを封じた。この魔撃は対象の影でも封縛出来るのだが、詠唱に時間が掛かる為唱えた者自身の影で封じるのが基本となっている。但しその場合、自身も動けなくなると言うリスクを負う事になる…。
「よし、今だ!!」
一時的に動きが止まったオクタクルの隙を突いた流は、必殺技で一気に倒そうと女帝鮫の帰還にアクアチャージをしようとする。が…
「させないわ!!」
『きゃあっ!!?』
「深波!!」
突然背後から青いエネルギーの触手が女帝鮫の帰還に命中し、人間の姿に戻ってしまう深波。しかし…
「大丈夫か!?」
「うん…でも…なんか身体を動かしたくても動けないの…!!」
なんと彼女は、尻を突き出し身体を大きく四つん這いに近い形でしゃがむと言うあられない姿のまま、謎の虚脱感によりその場から動けなくなってしまった…。
「一体誰が…!!」
「私よ。」
流の問い掛けに答える様に背後から現れたのはオクタクルの魔契者である、左の指に青い蛸の紋章が刻まれた黒い宝玉が装飾された指輪を填めた、水色のツナギを着た三十代前半の女性だった。
「深波に何をしたんだ…!?」
「別に…この『骨抜き蛸』で彼女の気力を抜き取っただけよ。」
『ニュッニュッニュッ…ナイスアシストだぜ九条♪』
オクタクルの魔契者…九条の指輪を填めた掌から「対象者の全気力を奪う」能力を秘めた、青い蛸で形作られたエネルギーの触手を放つ魔術型の闇絆の証「骨抜き蛸」の能力により深波が戦闘不能となり窮地に追い込まれる流…。―フライングデビル
「そう言えばあの二人、葛西臨海公園に行くと言ってたな…。」
宗矩は、葵から今聞いた情報により流達の事が頭に浮かんだ。事件が未だ解決していない状況で葛西臨海公園へ赴くのは危険だ…そう暫く考え、そして…
「花梨…済まないが今日はもう店終いだ。客ももう居ないしな。」
「えっ…!?」
「後、我はちょっと出かけて来る。留守番を頼めるか?」
「それは良いけど…どうかしたのパパ?」
「何か嫌な予感がしてならないのだ…。直ぐに戻る!!」
そう言うや否や宗矩は花梨に留守番する様言い付け、髪ゴムとバンダナとエプロンを投げるように脱いで店を飛び出す…。
「むんっ!!」
外に出た宗矩は瞳を禍々しく赤く光らせ、目の前に禍々しい紋章が描かれた赤い魔法陣を出現させ、その前で右手を前に出して手首を1回転して右腕を素早く振り下ろすと、魔法陣からバラバラの金のラインが入った漆黒の鎧が出現し、彼の首から上以外の身体に装着され、同時に彼の容姿も赤い瞳、鋭く尖った耳、灰色の肌、金色の髪、頭に4本の角、背中から漆黒の翼を生やした、本来の姿であるヴォルケニックス・グランドバアルへと変化した…。
『誰も居ないが…魔神、災臨せり…!!』
と、折角の決め台詞を一人で言うと翼を広げて飛翔し、「とある場所」へと猛スピードで向かう…。
『ニュッニュッニュッ…頼りになるお前ぇの彼女は九条の闇絆の証でダウン。まだやるか〜?』
「いや…まだだ!!まだ俺が戦える!!アクアロー!!」
『ニュブッ!!?』
「よし!!このままこいつで…!!」
オクタクルの挑発めいた言葉に対し、流は魔契者である事を活かして右掌から放った魔撃を彼の顔面に命中させた。それにより体勢を持ち直した流は続けてアクアローを放とうと詠唱するが…
「シャドウバインド!!」
「あぅっ!!?」
九条の放ったシャドウバインドにより動きを拘束されてしまい、魔撃の詠唱を封じられてしまう…。
『ニュッニュッニュッ…魔撃がお前ぇの専売特許だと思うなよ。うりゃっ!!』
「ぐああぁぁっっ!!?」
身動きが取れないのを良い事に、オクタクルは右腕の触角を振り下ろし流に攻撃し彼を巨大な岩に叩き付ける…。
「あ…あいつが危ない!!何とかしないと!!」
「でもどうすんだよ!?今おっさんはいねぇし…!!」
「アタシ等じゃ役に立たないかも…!!」
『ニュッニュッニュッ…今度こそ終わりだな~じゃ、さいなら…ぐおっ!!?』
文乃達が心配する中、今のダメージの激痛で身動きが取れない流に、長い口に溜めた青い魔力のエネルギー波で止めを刺そうとするオクタクル。が、何者かの放った跳び蹴りによりそれは阻止された。
『ぐっ…だっ…誰だ!!?』
『魔神、再臨せり…!!』
オクタクルに跳び蹴りを見舞ったのは勿論、ある時は柳生花梨の父、ある時はフライングデビルの店長、そしてまたある時は嘗て次元魔界にて最強の称号を持ちし優しき魔神、柳生但馬守宗矩の正体たるヴォルケニックスの仕業であった…。
「な…何だあのリンキュバスは…!!」
「「「おっさん/店長!!!」」」
「…って、あの人達ってフライングデビルに居たアルバイトの…て言うか店長!!?」
これまで見てきたリンキュバスとは異った、人間に近い姿をした悪魔とその威圧感に呆ける流だが、彼の登場に歓喜する文乃達三馬鹿の存在に漸く気付くと同時に、ヴォルケニックスの正体が宗矩と同一人物である事に驚く。
『なんとか間に合って何よりだったな。しかし、よもや卿が悪魔と恋仲だった事には驚きだぞ。』
「あ…いや…その…///(何かあまり見た目とは違って悪い印象はしないな…。)」
ヴォルケニックスもまた、流と共にいた深波が悪魔…リンキュバスである事に驚いていたようだ。流は深波との関係を指摘され顔を赤めると同時に、最初は一瞬脅威を感じるも彼に敵意が見られない事を認識した。
『おぉぉいっっ!!無視すんじゃねぇっっ!!』
『卿等か…この界隈で人々を殺めた張本人とは…!!』
「なっ…何だって!!?」
ヴォルケニックスの言葉を聞き、流は眉を顰めてオクタクルと九条を睨み付ける様に見据える。すると…
「そうよ、私が骨抜き蛸で逃げる気力を奪ってその隙にオクタクルがあいつ等の骨を抜き取ったのよ。」
九条は、自分がオクタクルの力を利用して海でのマナーが悪い若者達を無惨に殺害した犯人だと認めた。まるで悪びれも無く…
「私はね、綺麗な海が好きなの。だから常日頃から海岸付近の掃除、海に投げ捨てられたゴミ拾い…何でもやったわ。だけど…あいつ等はここに遊びに来る度に平気でゴミを捨てて海を汚し、挙げ句それに注意した私にこんな仕打ちをしたのよ!!」
「『なっ…!!?』」
怒鳴り叫ぶ様に吐露する九条は、隠れた前髪を勢い良く捲る。額には針で縫った後であろう斜め傷が痛々しく残っていた。元々九条は、この公園の清掃員でありその周囲を掃除する事が仕事であり、彼女の誇りであった。しかし、あの被害者達にゴミ捨ての注意をしただけで暴行を受け、果てはガラス瓶により傷をつけられてしまった事が動機であった。
「だから決めたの…私の海を塵芥でも汚すゴミ以下のクズ達は…全部『掃除』してやるんだってね!!」
九条はその勢いのままツナギの上着のチャックを開き、胸に刻まれた魔契者の証たる黒い蛸の紋章を露わにし、海を汚す人間を全て始末する事を改めて表明する。
「確かにあんたの気持ちは解らんでもないさ…だがな!!」
『独善的な正義は他人の迷惑だと言う事を自覚せず人命を奪った卿に…マナーを語る資格は無い!!』
「うるっさいのよ!!真相がバレた以上、あんた達には死んで貰うわよ!!オクタクル!!」
『ニュッニュッニュ〜!!!!』
流とヴォルケニックスから叱責に近い指摘を受け逆上した九条は、口封じに彼等を始末せんとオクタクルに命じ彼の両腕の触手で二人目掛けて攻撃する。
『その気味の悪い腕、料理人らしく我が調理してしんぜよう…!!むんっっ!!』
オクタクルのあの長い触手の腕を切断するべく、ヴォルケニックスは何も無い空間に右腕を振るいガラスの様に叩き割り、そこから禍々しい装飾が施された魔剣・禍太刀命を引き抜き、いざ斬らんと向かって行く。
『おおおおぉぉぉぉああぁぁっっ!!!!』
『ニュニュゥゥッッ!!?』
ヴォルケニックスの一太刀により、オクタクルの触手は頭部のそれと共に斬り裂かれる。しかし、彼の身体がまた赤く光るとそれは元通りに修復される…。
『無駄無駄〜♪』
『何!?再生しただと!!?』
「あいつの腕は、何度斬ってもその度に生えて来るんです!!」
『そ〜いう事。そら反撃だ〜!!』
『ぐあぁぁっっ!!?』
オクタクルの再生能力に愕然とするヴォルケニックスだが、その隙を狙われ生えた触手による攻撃を受け吹き飛ばされる。
『ぬぬぅ…あの腕が直ぐ生えるのを防げれば…!!』
「…確証は無いんですが、それを防ぐ方法があります。」
『何だそれは?聞かせろ。』
「はい…あいつは…」
朧気ながらもあの再生能力の弱点に気付き始めた流は、その詳細についてヴォルケニックスに耳打ちする。
『ニュニュ〜?いくらコソコソして作戦練ったって俺にゃ勝てねぇよ。』
「そうかな?やって見る価値はあるかもしれないぜ!!」
オクタクルの挑発には耳を貸さず、毅然とした態度で魔撃の詠唱をする流。
「無駄な足掻きね!!シャドウバインド!!」
「あぐぅぅっっ…!!?」
しかしそれは九条の放つシャドウバインドの拘束術によって再び阻止させる。が…
「ふっ…掛かったな…!!店長さん!!」
「はっ…まさか!!?」
『左様、あやつは囮。本命は…卿の頭だっっ!!』
『し…しまったぁぁぁぁっっっっ!!!!』
何と、オクタクルの遙か頭上には禍太刀命を構えたヴォルケニックスが彼目掛けて急降下をしていた。オクタクルは、再生能力の際常に頭部から先に身体を赤く光らせる傾向があり、それに感付いた流は魔撃の詠唱をする事により此方に注意を向け、その隙にヴォルケニックスが頭部に攻撃…と言う作戦を練ったのだ…。
『な〜んてね♪そらっ!!』
「「「うわぁぁっっ/きゃああぁぁっっ!!!?」」」
「『何っ!?』」
しかし、それを嘲笑うかの様にオクタクルは両腕の触手を伸ばし、文乃達の身体に巻き付け捕獲した。それを見たヴォルケニックスは急遽攻撃を停止し、オクタクルの正面へと舞い戻った…。
『ニュッニュッニュ〜少しでも攻撃したらこいつ等の命は無いからな〜。』
「あ…ああっっ…!!」
「くそっ…!!」
「は…離せこの変態…!!」
『拓海!文乃!美鈴!!』
「この…タコ野郎っっ…!!」
文乃達三人を盾にされ、身動きが取れなくなってしまう流とヴォルケニックス。二人共悔しさとオクタクルの卑劣な手段に血が出る程歯軋りをする…。
『ニュッニュッニュ~素直に降参して骨を抜かさせれば助けてやっても良いんだぜ~。』
「くそっ…せめて深波が動ければ…!!」
「二人共…私達に構わないで良いから…!!」
「さっさとこのタコ野郎をぶちのめしちまえよ…!!」
「アタシ等なら大丈夫だからさ…!!」
『う〜るさ〜い…なぁぁっっ!!』
「「「ぅああぁぁぁぁっっっっ/きゃああああぁぁぁぁっっっっ!!!?」」」
文乃達の言葉が気に食わないのか、オクタクルは三人を縛り付けている触手に力を籠めて締め付けて苦痛を与える。
「止めろぉぉっっ!!」
『くっ…何か手は無いのか!!』
「生憎だけど、どんなに足掻いても…」
『お前ぇ等に勝ち目はな〜い!!ニュッニュッニュッニュッ!!!!』
何も出来ない無力さに憤る流とヴォルケニックスを見て、自分達の勝利を確信したオクタクルは高笑いをする。が…
『ニュッ?』
「きゃあぁぁっっ!!?」
突然、オクタクルの頭部と九条の骨抜き蛸を生み出している指輪に何らかの物体が発砲された弾丸の様な目にも留まらぬ勢いで直撃した…。その物体とは…
『透き通った…羽根…!?』
「まさか…!!?」
そう…以前戦った黒凰の持つ半透明の羽根だった。内一本は九条の闇絆の証を発動の元となる指輪を破壊し、もう一本はオクタクルの再生能力の弱点たる頭部に刺した。しかし…
『ィギャアアアアァァァァッッッッ!!!!あ…頭が…頭がぁぁぁぁっっっっ!!!!』
羽根が刺さっただけなのにも関わらず、彼の頭部はまるで「巨大な剣に刺された」かの様に大きく裂けて大量の血を流すと言う有り得ない惨状と化している…。
「そんな…何で…!!?くっ…早く指輪を直さないと…ヒッ!!?」
九条もこの状況を理解出来ず、破壊された指輪を修復させるべく魔力を集中させるが…
「人質は返して貰ったぞ…!!」
『人を殺めたばかりか、何の罪も無いこやつ等を盾にした罪…償ってもらうぞ…!!』
『よくもあんな恥ずかしい格好をさせてくれたわね…!!死ぬ程後悔させてやるわ!!』
それを見逃す筈も無く、何時の間にか文乃達は解放され、骨抜き蛸の効果が無効となり戦闘可能となり女帝鮫の帰還と化し流に装備されたシャクリアと、無関係の人間を人質にした事に静かに怒り、禍々しい装飾が施されたショットガンタイプの魔銃・射抜神命を構えるヴォルケニックスを見て自分達の敗北を確信した…。
『アクアチャージ!!』
『魔神(われ)を敵に回した事を…』
「『ストリーム・サークル!!』」
『地獄で悔やむが良い!!ぬわああぁぁっっ!!』
『ニュギャアアアアァァァァッッッッ!!!!』
流がアクアチャージし振り投げた女帝鮫の帰還の必殺技・ストリーム・サークルとヴォルケニックスが発射した射抜神命の魔力の弾丸が一つとなり、禍々しく輝く黒がかった青い魔力が籠もった一撃「ヴォルケニック・サークル」によりオクタクルは爆発し、地獄へと堕ちた…。
「やったわ!!店長と流って奴が勝ったわ!!」
「おっさんが凄ぇのは当然だけど…」
「あのイケメン君もやるじゃん♪」
『結局こうなっちゃうのね…折角のデートが…。』
「そう腐るなよ。またデートしてやるからさ。」
『流に深波…シャクリアとやら、卿等のその力は一体何なのだ?悪魔が人間の武具となる等聞いた事が無い…。』
オクタクルとの戦いでデートが台無しとなり落ち込むシャクリアとそれを宥める流に、ヴォルケニックスはリンキュバスや闇絆の証の詳細について尋ねる…。
「我の知らぬ内に次元魔界がそこまで様変わりをしていたとはな…。」
流から一通り説明を聞き終えた宗矩は愕然としていた。今から3000年前、次元魔界は現在の深波達の様なリンキュバスは存在せず、ましてや人間と手を組み武具に変身する事など全く無かった様だ。
「なら宗矩さんは、深波にとっては大大大先輩に当たるって事か。」
「興味無いけどね。」
流もまた、3000年前の次元魔界は今とは違う事に驚き、改めて宗矩…ヴォルケニックスの貫禄の深さに感服する。深波はあまり関心が無い様だが。
「それより、あんた達何コソコソ尾行してくれちゃってんのよ。」
「し…仕方ないでしょ!!あんたが流を襲うかもしれないと思ったんだから!!」
「襲うのは夜だけにしてるわよ!!流なら四六時中襲って来ても大歓迎だけど!!」
「知らないわよ!!私だってね…!!」
「ぅおぉぉいっっ!!///」
「お前も大変なんだな。」
「それがリア充の運命なんだね〜♪」
デートの尾行について口喧嘩する深波と文乃だが、徐々にそれぞれの彼氏との情事について語り出す。それにツッコむ流を見て、同じ立ち回りであるせいか肩を置いて同情する拓海と流をリア充だといじる美鈴。
「もう8時に近いな…流と深波よ、良ければ晩は我の店で食べて行かぬか?ウチの者がまた迷惑掛けた様だしな。」
「良いですね。あの店のご飯美味しかったし…深波、どうだ?」
「ま、流が気に入ったんなら私も行ってやろうかしら。」
「有り難い…。それと文乃と拓海、卿等は店を抜け出した罰として皿洗いだ。」
「「えぇぇぇぇっっっっ!!!?」」
「何か文句でも…!?」
「「ナンデモアリマセン…。」」
宗矩から誘いを受け、夕飯は再びフライングデビルとなった流と深波。対して、文乃と拓海にはエスケープの罰として皿洗いを命じる。それに不満を漏らす二人だが、背後にヴォルケニックスのオーラを醸し出す宗矩に睨まれ瞬時に大人しくなる。
「さっさと帰ろう。花梨も心配し…!!」
「どしたのおっさん?」
帰宅の意を示した所で突然固まる宗矩。それを見て美鈴は彼に声を掛けるが…
「…済まぬが先に帰っていてくれ。変身して後で帰るから。」
「何でさ?何か落とし物でもしたんか?」
「だったら一緒に探した方が早…」
「良いから先に帰れ…!!」
突然皆を先に帰る様言い出す宗矩に不審を抱く文乃と拓海だが、真剣な表情で睨み再び帰る様促された。
「わっ…解ったわ…。」
「(一体どうしたんだ…!?)」
その迫力に驚き、止む無く先に帰宅する流と文乃達。流も宗矩の言動を気にしながらも皆と歩く。そして、砂浜にただ一人となった宗矩は…
「隠れてないで姿を現したらどうだ?」
誰も居ない筈にも関わらず、何者かに話し掛ける。すると、何も無い空間にあの黒い傷の様な罅が生まれ、そこから現れたのは…
『……。』
「卿があの蛸のリンキュバスとやらの黒幕なのか…?」
やはり、黒凰であった。実は流達がオクタクルと戦っていた時から魔力を消して此処に隠れており彼に再生能力の力を与えていたのだが、魔神である宗矩はその存在を察知していた。
「卿は何故あの悪魔に人間を殺めさせていたのだ?」
宗矩の質問を受け暫く黙していた黒凰はなんと、左膝を地に付け右手を真横に構え、まるで王に忠誠を誓う騎士の様に跪くと言う意外な動きを見せる。どうやら戦いに来た訳では無い様だ。
『先ずはお初にお目に掛かります。柳生但馬守宗矩殿…否、ヴォルケニックス・グランドバアル様。我が名は悪魔組織・黒の理界の黒凰と申します。』
「何の真似だ…?」
『貴殿は我々魔契者及びリンキュバス達の崇高なる存在…敬意を払うのは至極当然でございます。』
黒凰はこれまでの様な他者を見下した冷たい口調では無く、宗矩を…ヴォルケニックスを崇める様に下手な姿勢で話す。
「先程の質問に答えて貰おうか?何故人間を殺めようとする?」
『何故とは…魔神たる貴殿の御言葉とは思えませんね。人間と言う種族は己が欲を満たす為なら他者を蹴落とし、自分より弱き者、異なる者を虐げる愚劣な存在…。貴殿もお分かりでしょう?』
「……!!」
黒凰の言葉を聞いた宗矩は、以前新宿で人間を支配しようと目論んだドラファング星人・ウーゴンを倒した際、ヴォルケニックスに助けられた人々は彼に感謝するどころか悪魔であるという理由だけで敵意を示し、挙げ句罵倒すると言う身勝手な扱いを受けた事を思い返す…。
「確かに卿の言う事は間違いではない。人と言うのは利己的で弱い種族だ…。だが、我はそれでも守りたいのだ…娘や文乃達…人々が笑って生きていける居場所を守れるのなら…我はどんな扱いをも甘んじるさ。」
『成程…それが貴殿の選んだ道ですか…。茨の道を歩む貴殿の生き様…今後も陰ながら見守らせて頂きます。』
しかし宗矩は、あくまで人間の味方でいると確固なる信念と覚悟の言葉を黒凰にぶつける。その言葉を聞き納得した黒凰は立ち去ろうとするが…
「最後にもう一つ聞いておこう。何故味方である筈のあの蛸に攻撃したのだ?あのままなら卿等にとって都合が良かったのでは?」
宗矩に呼び止められ、オクタクルに力を与えておきながら何故妨害をして結果的に流や自分達を勝たせたのか尋ねられる。すると、顔を半分のみ後ろに振り向き…
「……!!」
『…窮地に立たれ人質を取る等、愚劣な人間と同じ手段を取る無様な真似をした者は組織に不要…ただそれだけです。では、何れ何処かで逢える事を切に願います…。』
人質を取る等、自分達が見下す人間と同じ卑劣な手段を選んだ為だと語る。一通り話を終えた黒凰は、宗矩との再会を願いつつ右の手刀で空を斬り、再び黒い傷を作りその中へと消え去って行く…。
「黒凰…あやつは一体何者なのだ…!?奴からはこれまで戦って来た異形の者達とは違う得体の知れない何かを感じる…!!」
再び一人となった宗矩は、額から冷や汗を垂らしながら黒凰の発する見えざる何かに戦慄する。その何かは、これまで屠って来た異形の存在や魔神である自分に無い物だろう、と…。
その後、再びヴォルケニックスに変身しフライングデビルに戻った宗矩は、花梨や文乃等お馴染みのメンバーや流と深波の悪魔カップルを交えた夕飯の準備を進める。今夜のメニューは、大人数専用のハンバーグに3種のチーズハンバーグ、ステーキ、唐揚げ、カルビ、チャーハン等これら全てのメニューを食べられるてんこ盛りなメニュー『ヴォルケニックス・スペシャル』に決定した。食事をしながら流と深波の馴れ初め、互いの学校の事、互いの彼氏彼女についての惚気話等談笑したりと、賑やかで楽しい一時を過ごす…。
「何かすいません、またそちらで御馳走になっちゃって。」
「何、気にするな。この馬鹿共が要らぬ事をしでかしたしな。」
そして訪れる別れの時。またもこの店にて食わせて貰った事に感謝する流に対し、二人のデートを尾行した文乃と拓海の頭を掴む宗矩。
「痛で痛で痛で!!じゃ、じゃあな流、また遊びに来な!!」
「痛ったいわね〜…!!深波も流をしっかり調教しなさいよ!!」
「アタシの事も忘れないでね♪」
「流お兄ちゃんに深波お姉ちゃん、またね。」
「ああ!!また会おう!!」
「ま、記憶に残しておいてあげるわ。」
「では、道中気をつけて帰るが良い。無事に帰るまでがデートだからな。」
「「「「遠足かよ!!!?」」」」
学校の教師が良いそうな台詞を吐く宗矩に流・文乃・拓海・美鈴は総ツッコミを入れた。そんなこんなで、フライングデビルを後にする流と深波。
「初デートはかなり遽しかったな。」
「ホントね…。」
家路に向かいながら、本日起きた出来事の感想を一つに纏める流。深波は、途中でオクタクルに邪魔をされた事もあり、やや不機嫌な顔をする。
「でも…とても楽しい一日だった。」
「ま、こういうのも悪くは無いわね。」
しかし決して悪い結果では無い…。宗矩や文乃等新しい友の出会い、自分達が戦う目的を定める様になったりと、寧ろ得た物が多かった。
「てな訳で流、帰ったらエッチしましょ♪」
「ぶっ!!?///あ…明日学校だろ!?」
「良いじゃない、明日ぐらいサボってギシアンするのも♪」
「あのな!!学生の本分は勉強だろ!?大体君はそこん所を良く理解して――!!」
「……。」
二人が通り過ぎた後、何者かが電柱の影から姿を現す。どうやらずっと彼等を尾行していたのだ。そして、ポケットから水色のスマートフォンを取り出し操作し、ある画像をアップし、そして…
「ヘェッヘェッヘェッ…!!」
なんと、息を荒くしながら舌で何度も何度もその画面を舐め回すと言う、不気味且つ異常な行動を起こした。その画像の正体は…
「深波…深波…深波ィィッッ…!!」
本日のデート姿の画像、リンキュバスとしての姿の画像、そして登下校途中の画像等々…それらは全て、海噛深波の物だった…。
長い…長過ぎる…!!そう思った方が何人いらっしゃるのか…(^_^;)
デート編と言っといて場所が映画館→ゲーセン→レストラン→海。しかもほぼ地の文済ましと散々な描写ですいませんm(_ _)m
深波「デートした事無い奴がデートの描写なんて書ける訳無いでしょ。」
ぐぬぬぅぅっっ…!!(;`皿´)
コホン!!気を取り直して…今回一次作品初のミニコラボ…の皮を被ったコラボ。その記念すべき第一号はエンジェビルさんの「魔神再臨」でございます!!o(^-^)o
以前書いていらしてた「W不死シリーズ」にて「光導者」とのコラボの依頼がありましたが、二次規制により叶わぬ夢と化しました…。今日漸くその約束を違う形で何とか守れました!!(ρ_;)
因みに花梨ちゃんが深波を通して見えた水棲動物の怪物は…察した方は胸に秘めたままで(^_^;)
主人公の宗矩さん=ヴォルケニックス・グランドバアルは3000年前までは深波達の世界・次元魔界に居ましたが、この時期にまだリンキュバスは存在して居ない…と言う設定を加味しました。彼が家出(違)した後どの様にしてリンキュバスの時代が到来したかはまだまだ先の話です。
次回は何やら深波に危機が迫ります…!!一難去ってまた一難…果たしてどんな危機が待ち受けているのか期待せずお楽しみに!!
序盤の映画のタイトルは気にするな!!(^_^;)←気にしねぇよ
最後に今回の話を読んで下ってるであろうエンジェビルさん、御協力頂き誠にありがとうございます!!m(_ _)m




