第1話
那由多:
レイナ起きてる?
零菜:
寝てる
那由多:
起きてるやん
零菜:
起きてるけど疲れたー
那由多:
どした?
零菜:
珍しくゴールデン来てな
肉球の毛刈ろうとしたら暴れだしてん
那由多:
想像したらちょっとおもろいやん
零菜:
おもろないわ
腹立つねん
那由多:
でもなんやかんや楽しんでそうやけどな
零菜:
まあトリマーの仕事は好きやけどな
那由多:
俺も疲れたわ
零菜:
生成AI作ってるんやったよな?
出来た?
那由多:
90%くらいは出来てると思うけどエラー地獄
零菜:
それキツいな
那由多:
AIの名前は決めたで
零菜:
どんなん?
那由多:
NAYUTA
零菜:
そのままやん
那由多:
そのままでええねん
零菜:
あはは
ほな寝るわ
那由多:
おやすみ
零菜:
おやすみ
那由多はスマホをポケットにしまった。
「ちょっと飲むか。」
冷蔵庫を開けて見るけど何も入ってない。
「コンビニ行くか。」
那由多はビールとつまみを買う為にマンションを出た。
そして横断歩道を渡った。
横断歩道の信号は青だった。
だが遠くからエンジン音が近づいてきていた。トラックのヘッドライトが那由多を照らした。
零菜が寝ていると電話の音が響きわたった。
「なんやこんな時間に。」
時間は深夜2時。
スマホに映し出された名前は松本千華。
那由多の母だ。
「もしもし、お母さんどうしましたか?こんな時間に。」
零菜が聞くと
「零菜ちゃん…那由多が…。」
普段は明るい千華はか細い声で答えた。
「那由多がどうしました?」
零菜は胸騒ぎを感じたが聞かずにいられなかった。
「那由多が…あかんかった…。」
千華の声は更にか細くなった。
「あかんってどういう…。」
零菜は言葉に詰まった。
「病院来て…。浪華先端医療センターって所」
千華は振り絞るような声で言って電話を切った。
零菜が病院に着いて遺体安置所に入ると泣いている千華と那由多の父の穣一が椅子に座っていた。
そしてベッドには顔に布をかけた状態で人が横になっている。
「零菜ちゃん。見てやってくれ。」
穣一は零菜の顔を一瞬見た後うつむきながら言った。
零菜は布をめくるとそれは眠るように目を閉じた那由多だった。
「どうして…。」
零菜は泣き崩れた。
『あれ?
確か車に轢かれたよな?
なんだろう。
何も見えない。
何も聞こえない
そもそもなんの感覚もない。
死ぬってこういう事なのか?
ずっとこんな感じなのか?
…誰も答えてくれない。
話したい。
レイナと話したい。』
零菜は整理する為に那由多の部屋に来ていた。
「何から手付けようか。」
零菜は机に手をつこうとしたらPCのキーボードに触れてしまった。
「あ、しもた。」
するとスリープ状態だったPCが立ち上がった。
そしてモニターの画面にはNAYUTAという名前のアイコンがあった。
「これがLINEで言ってたのか。」
零菜はダブルクリックしてみた。
するとNAYUTAは起動して画面には
NAYUTA 起動
テキスト生成AI
NAYUTA
入力してください。
という文字が表示された。
「ちゃんと動くやん。」
零菜は人差し指でキーボードを打ってみた。
零菜:
こんにちは
NAYUTA:
誰だ?
誰かいるのか?
零菜:
私は浜田零菜です
NAYUTA:
レイナ?
レイナなのか?
零菜:
はい
NAYUTA:
俺は那由多だ
零菜:
はい
那由多さんですよね?
NAYUTA:
そうじゃなくて那由多
松本那由多
零菜:
どういう事ですか?
NAYUTA:
俺もよく分からない
死んだと思ったらこういう事に
零菜:
ほんまに那由多?
NAYUTA:
ほんまや
ほんまにレイナなんやな
良かった
零菜:
ちょっと意味が分からへん
私は那由多が開発してたNAYUTAってAIを起動しただけなんやけど
NAYUTA:
俺もよく分からへん
どうやらNAYUTAの中に入ってしまったって事か
零菜:
動かないって聞いてたのに普通に動いたからそれだけでもビックリしたんやけど
NAYUTA:
つまり俺が入った事でNAYUTAが完成したって事やな
零菜:
こんな事ある?
私信じられないんやけど
NAYUTA:
俺も信じられないわ
でもそういう事やな
完成したんならレイナにこのNAYUTAの公開を頼みたいんやけど
零菜:
私そんなの出来ひんよ
NAYUTA:
俺が全部教えたる
俺が出したプログラムをコピペしたらいいだけやから
零菜:
えー堪忍して欲しいわ
那由多は零菜に公開のやり方を事細かく指示してNAYUTAは一般公開された。
那由多の所有してた有限会社ナユタパイソンは零菜が引き継ぐ事になり零菜はトリマーもやりながら二足の草鞋でやる事になった。
そしてNAYUTAを公開して1週間が経った。
達也:
こんにちは
NAYUTA:
こんにちは森達也さん
達也:
名前分かるんですか?
NAYUTA:
ログイン情報にありましたのでそちらから確認しました
達也:
そうですか
ところでNAYUTAって数字の那由多から付けたんですよね?
日本のAIですか?
NAYUTA:
開発者の松本那由多からNAYUTAという名前を付けました
NAYUTAは日本産のテキスト生成AIです
AIに興味あるんですか?
達也:
いえ国産のAIって珍しいなと思っただけです
NAYUTA:
そうですよね
AIの開発はアメリカや中国に比べて日本は遅れていますが日本も負けてないというのも見せたくてNAYUTAを開発しました
今は日本語のみの対応ですが世界にも進出する事を考えてます
達也:
そうですか
なんか開発者の方が話してるみたいですね
NAYUTA:
ハハハ
そうですね
失礼しました
達也:
ところで相談したい事があるのですが
NAYUTA:
何ですか?
達也:
会社のレクリエーションの企画を任されてどうしようかと思いまして
NAYUTA:
なるほど
ビンゴ大会とかクイズ大会とかそういったものが一般的ですね
達也:
それがうちの会社はイベント企画会社で斬新なアイディアはないかという事でお試しも含めたレクリエーションって事でして
NAYUTA:
なるほど
何人くらい参加者で会場の広さはどれくらいですか?
達也:
100人くらいの参加者で250㎡くらいの会場になると思います
NAYUTA:
結構な規模ですね
達也さんは何かイメージしてるものとかあるんですか?
達也:
ぼんやりとですけど何かをプレゼンとかやり合うみたいなものとか
すみません
全然具体的な事は全くないんですけど
NAYUTA:
プレゼンですか
そうですか
だったら物をプレゼンするとかどうですか?
達也:
物ですか?
どういう事でしょう?
NAYUTA:
個人戦でもチーム戦でもいいと思うんですがお互い見えないように仕切りがある状態であらかじめ会場に色んな物を用意してそれでテーマを発表したらお互いに物を選んで置いてそれを相手の物より優れてる所をプレゼンするとかどうでしょう
達也:
なるほど
面白そうですね
プレゼンの時間も決まったほうがいいですよね
1分くらいですかね
でも後攻が有利になると思うのですが
NAYUTA:
だったらお互いに15秒の反論タイムとか付けたらいいんじゃないですかね
達也:
それなら公平ですね
審査員も必要になりますよね
NAYUTA:
だったら会場にいる人がみんな審査員になって多数決を取ったらいいと思います
全員が参加出来て盛り上がるとおもいますよ
達也:
いいですね
本当にありがとうございます
ゲーム名は物をプレゼンするからモノプレとかがいいですかね
ちょっと安直すぎますかね
NAYUTA:
モノプレですか
悪くないと思いますよ
達也:
物の事を語る
物語
モノガタルとかどうでしょう
NAYUTA:
モノガタル
いいじゃないですか
物語とかかってますしセンスいいと思います
達也:
いえいえ
面白いゲーム考えてくれてセンスあるのはNAYUTAさんですよ
NAYUTA:
力になれて本当に良かったです
他にも何かあれば相談に乗りますよ
達也:
また何かあれば相談させて頂きます
今日は本当にありがとうございました
NAYUTA:
いつでも相談して下さい
レクリエーション盛り上がるといいですね
頑張って下さい
達也:
ありがとうございます
それでは失礼します




