表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/95

まちがっても




 瓦礫になってしまった邸と、倒れ伏す三人を見つめたロロァが、ささやくように告げる。


「僕にも、いい気味だって、思う気もち、あるよ、とーや」


 ちいさな手が、透夜の頭をなでてくれる。


「でもそれが、さみしい気もちだって、知ってる。

 僕ね、いっぱい、いっぱい、いっぱい怨んで、憎んで、呪って、ぐちゃぐちゃになったから。

 透夜には、そんな気もち、味わってほしくなかった」


「……ごめん、なさい」


 ロロァは首をふる。


「透夜が真っ暗闇の底に落ちるときも、僕がいる。

 どんな闇の底にも光はあって、ほんとうは闇もやさしい。

 わかるまで、ずっと、傍にいる」



 抱きしめて、笑ってくれる。



 あふれる涙が、止まらない。

 想いは、言葉にしようとした途端、歪に形を変えてしまう。

 言葉になんて、できないけれど。

 言葉にしないと、伝わらないから。


 透夜はそっと、ロロァを抱きしめる。



「……あなたの従者になれて、あなたをすきになって、よかった」



 真っ赤な頬で、ロロァが笑ってくれる。



「とーや」


 抱きしめて、頭をなでてくれる。



 人格を壊され強制させられたとはいえ、自らが成した非道は透夜の罪となり、死を以てさえ許されることはないのかもしれない。


 どんなによい子になりたくても、また間違ってしまうかもしれない。


 止めたくても、止まれないこともあるかもしれない。




 でもあなたが隣で笑ってくれるなら。


 やさしい人になれる気がするんだ。


 ほのかな光のほうへ、向かえる気がするんだ。




 間違ったら、謝って、責をこの身に背負って


 何度だって、やり直せる気がするんだ。




 間違わない人生なんて、無理だから


 過ちに苦しみ、泣いて、取り戻せない時が、取り戻せない関係が、取り戻せない思いが、汚泥のように降り積もる


 そんな苦々しい生きることさえ、あなたの隣なら、すべてが輝く光になる気がするんだ。



「ロロァさま」


 あなたを呼ぶ声が、こんなにあまい。



「とーや」


 あなたが呼んでくれる声に、心まで熔ける。




「トゥヤ! もう、ひとりでやっちゃうんだから──!」

「ずるいよ!」


 駆けてきた常葉が、藤が、紅蓮が、柳が、仲間たちが笑ってくれる。


「トゥヤ!」

「無事……!?」


 駆けてきたセオが、ミィが、抱きしめてくれる。


「トゥヤ──!」

「皆、無事か!」


 キァナが、ユィルが、ふたりを守ってくれた空と木蓮が駆けてくる。



 皆の顔を、番号じゃなく、名前で確認する。


 誰ひとり、欠けてない。


 皆の目に、光があった。


 崩れ落ちた帝宮とともに、非道を成し続けた魔道具は破壊された。

 もう誰かが、暗殺人形にされることはないだろう。



 ひとりひとりを見つめた透夜の唇が、ふるえる。


「……よか、った……」


 あふれる涙とのばした腕を、皆の腕が、抱きしめてくれた。





 崩れ落ちた帝宮と、竜巻から振ってきた大量の闇衣と、ぽこぽこにされて落ちてきた帝王と、壊滅したゾンデ家とギビェ家を


「いやあ、自然災害って怖いですね!」


 透夜は笑顔でスルーした。



 だって、竜巻だもん。


 特定の人たちだけが損害を受けてるように見えるけど、竜巻だもん。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ