表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/92

だいすき




 ロロァの気もちは、ちいさな子どもの独占欲かもしれない。


 幼いそれは、愛とは呼ばないのかもしれない。



 それでも、透夜の胸にあふれる気もちは


 前世でも感じたことのない、燃えて、凍えて、焦がれて、苦しい、哀しくて、うれしくて、あなただけしか見えなくなる、この気もちは



 きっと



「……わがきみ」


 くしゃくしゃの泣き顔で、ささやいた。



 こんなの絶対スパダリじゃない。


 情けなくて、みっともなくて



 でもあふれる気もちは


 あなただけに向かう気もちは



「だいすきです」



 ささやいたら、真っ赤な頬で笑ってくれる。


 世界のしあわせを集めたみたいな瞳で、抱きしめてくれる。



「とーや」


 ふわふわの、ちっちゃな唇が、おでこにふれる。



 ちゅ



 あまい音に、卒倒した。




 鼻血を噴いていないことを、必死で祈った。


 こんなの、絶対、絶対、スパダリじゃない。


 でも、これ以上のしあわせなんて、どこにもない気がした。




 あなたの従者になれたことが、至上の、さいわい




 あなたの傍が、至上の、しあわせ











 疲れ果てた皆でぐうぐう眠って、起きたら元気に出発だ。


「じゃあトゥヤと行くから、もうバギォ帝都には行かなくていいかな!」


 泣きはらした目を朝日に眩しそうに細めたセオが胸を張る。


「いや、行ってください。俺たちの任務が、セオを帝都に送り届けることなんで。セオがいなくなったら、任務失敗! 連続失敗でお金がもらえないとか、死活問題だから! 重大な任務に連続で失敗する隠密団に、誰も依頼してくれなくなっちゃうから! お金は大事なんだよぉおおお!」


 泣いた。


 常葉と藤と柳と紅蓮が、肩をぽんぽんしてくれる。

 ロロァのちっちゃな手が、頭をなでなでしてくれる。


「わ、わかった。愛らしいと高名なミヒァル殿下に、ごあいさつにゆこう!」


 によによしたセオは、ちょっと肩を落とした。


「……僕は王太子じゃなくなるから、伴侶候補でもなくなってしまうけど」


 ちいさな声に、目をむいた。


「え、そうなの!?」


 のけぞる透夜に、セオがうなずく。


「今回、バギォ帝国に来たのは、顔あわせなんだ。帝太子と王太子だが、伴侶になることでエゥゲ王国とバギォ帝国の融合、大陸に誇る大国への成長を目指すものだった。

 ……まあ、俺じゃなくても、エゥゲの誰かが来るだろう」


 吐息するセオに、透夜は眉を下げる。


「ミィの伴侶になりたいなら……」


 セオは首を振った。


「血みどろの将来と、愛らしい男の子が伴侶になってくれない将来なら、後者でいい」


 ふっと髪をかきあげて笑うセオは、BLゲームのセオとは随分違う気がする。



 キァナも、ロロァも、きっとあの『どき☆ワク☆イケメンパラダイス♡』のキャラクターのままじゃない。


 ゲームに出て来なかったユィルも、孤児の皆も、きっと元気に大きくなってくれる。



 BLゲームの世界なのだとしても、皆、違った道を歩いていい。


 強制力なんてものがやってくるなら、絶対に、叩き壊してみせる。




 つらい思いばかりしてきた皆が、自分の心で選んだ道を、生きるために。




 拳をにぎった透夜は、セオの頭をわしゃわしゃなでて、笑った。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ