表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/92

鍛練?




「さあってー、行くとしますかー」


 コキコキ肩を鳴らす透夜に、朝の光にきらめく、ひとつに束ねた長い髪を揺らした藤が帝都の中央を指した。


「馬車、出てるって。国境まで」


「え、遅いだろ」


 眉をさげる透夜に、常葉が仰け反った。


「走る気──!?」


 透夜は腕を組む。


「暗殺人形じゃなくなったのは、ものすごく喜ばしいことだし、あんなのは、ほんとにくそだけと、皆、鍛錬とかしてねーよな?」


 ぐ、と常葉と藤がつまる。

 柳が、ふるふる首を振った。

 長めのほんのり緑の髪が、ふさふさ揺れる。


「柳、えらい!」


 わしゃわしゃ頭をなでたら、柳のまなじりが、ほんのり赤くなって、こくりとうなずく。


 かわいい。



「柳みたいに、ひとりで頑張れる子もいるけど、大抵はやっぱり、うまいごはん喰って、寝てていーよって言われると寝ちゃうんだよ、人間のさがだよ! そーするとぶよぶよして、暗殺の腕が下がって、いやそっちはいいけど、隠密の腕が下がると死活問題だろ! これじゃ、いかん!」


 拳をにぎる透夜に、渋々のように常葉と藤がうなずいた。


「だからまあ、基礎体力を取り戻すためにも、走ってみよー!」


「いやいやいや、遠くない!?」


 半泣きな藤は、感情も生まれてきたし、突っこみも、かんぺきだ。


「よかったな、藤。涙も突っこみも完璧だ!」


 にこにこ笑って、藤の頭をぽふぽふなでた透夜は、拳をかかげる。


「走ってみよー!」


「うぇえええ」


 吐きそうな常葉と泣きそうな藤の隣で、柳の目が、きらきらしてる。


「やなら馬車で来てもいーけどさー、国境まで行く馬車って、金かかるんじゃねえの? あるの?」


 突っこんでみた!

 藤と常葉が青くなった。

 つっこみが成功した透夜は、ふふんと胸を張る。


「よし、走るぞー!」


 駆けだす透夜に、柳が無言でついてくる。

 ほんのり赤いまなじりが、とってもうれしそうだ。よかった!


「ま、待って待って待って! そんな速いので国境までなんて絶対もたないから!」


「む、無理──!」


 後ろから駆けてくる藤と常葉が、泣いてる。





 さくっと帝都の端っこまでやってきました!


 全力で走ったら3分だけど、今日は長距離走る予定だから5分にしておいたよ。


 藤と常葉は涙目だったけど、ちょっと、ぜえぜえしてるけど余裕みたいだ。もちろん柳も。よかった。

 胸をなでおろす透夜の前には皆の行く手を強固に阻んだ、透明な壁がそびえ立つ。


 見えないけど、突っこむとバチィ──! だ。かなり痛い。学習した!


 確かこの辺りに……


 コン


 伸ばした手が、硬い壁に触れる。


 コンコンゴン


 叩いてみたけど、やっぱり硬い。



「ほんとに発動すんのかな、これ」


 首をかしげた透夜は、手の中の魔道具をのぞきこむ。魔道具のうえに浮かびあがるのは魔紋だろうか、刻々と彩りと形を変えながら、ちらちら光をふりまいた。


「えーと、このボタンで起動する、らしい?」


 ちいさな突起を押してみる。

 魔道具からあふれた魔紋が、透夜を包んだ。


「おぉお!?」


 常葉と藤と柳が手のひらに小さな魔道具を持っているのを確認した透夜は、透明な壁に触れてみる。


 みょ~~~~~~~ん!


「な、なんか歪んだ! お、おぉ!?」


 手を入れてみた。



「と、通るぞ!」


 歓喜する透夜の周りの、道行く人たちが、ドン引いてる。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ