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悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


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55/92

防止だよ




「気をつけて、いってらっしゃい」


 やさしい声で、ユィルが手を振ってくれる。


「ありがと、ユィル。いってきます」


 わしゃわしゃ頭をなでかえした透夜に、くすぐったそうに赤い頬でユィルが笑った。


「……へ──」


 キァナの目が氷だ。


「……え?」


 ビビる透夜に、キァナの氷柱の目が刺さる。


「すんごいタラシなのは理解した! くそう、強敵ばっかりじゃないか!」


 憤慨した後で、ぷいと顔を背けた。


「いってらっしゃい。怪我したら、許さないからな!」


 ツンデレです。

 ありがとうございます。






 ロロァが透夜の腕のなかで眠ってしまった。


 くぅくぅこぼれる寝息に、にひゃりと笑み崩れた透夜が、寝台に横たえようとするより早く、常葉の声が降る。


「起きたら『連れてって』って言われるんだよね。だから最初から連れてってよ」


 何度も何度も『連れてって』攻撃をされたのだろう常葉のげんなりした言葉に、申しわけなくなりながらうなずいた。


「わるかったよ、最前線が大すきな常葉に護衛ばっかり任せて。常葉がいちばん強いからさ」


「え、そう? 僕、強い?」


 常葉の緑の瞳がまるくなる。


「俺、剣の腕だけなら、常葉に負ける。完敗だろ。魔法を使うと解んねえけどさ」


「トゥヤの魔法は卑怯の域だもんね。でも、そっかあ、僕、強いかあ!」


「うふふふふ」笑う常葉がちょっとこわい。

 でも、透夜も笑った。


「感情がでてきて、性格もでてきて、ほんとによかった」


 常葉の頭をなでなでしたら、くすぐったそうに笑った常葉の瞳が、剣呑に細くなる。


「……性格なんてないほうがよかったって思うような、酷い人になっても?」


 低い声に、透夜はためらうことなく、うなずいた。


「感情を叩き壊されて、酷いことさせられ続けて殺されるより、ずっといい」


 真っ直ぐな透夜の瞳を見つめた常葉は、ほどけるように笑った。



「だから僕らは、トゥヤについていこうと思うんだ」



 前にはロロァを抱えてるから、後ろからぽふりと抱きついた常葉が笑う。


「強い僕に、寝こみを襲われないよう注意してね、トーヤ♡」


「うわ、真剣に、はかなくなっちゃうから止めて」


 引きつる透夜に、きょとんとした常葉が笑う。



「そっちじゃないよ、にっぶいなあ!」


 腕のなかのロロァが、もぞもぞした。



「……やぱり、とーや、うわき、してゆ……!」


「してないから!」


 人聞きがわるい!







 真夜中を過ぎた真っ暗な街に、冒険者同盟の両開きの扉から明かりがこぼれている。

 扉をさわやかに開けようとして、ロロァを抱っこしていることに気づいた透夜は、背中で押し開けた。


 開け方は鈍くさそうで、ちょっとスパダリっぽくないけど、でもあるじを抱っこして任務報告って、かなりスパダリじゃね?


 うむうむしたが、邸のなかには冒険者も急患らしき人もいなかった。

 奥の部屋から、ぐおー、がおー、いびきが聞こえる。


 このスパダリぶりを、誰にも見られないなんて!


 残念になりながら受付に向かった透夜に、バハはあんぐり口を開けた。


「寝てる、ちっちゃい子を連れて来たらだめだろう!」


「いや、なんか、浮気を防止したいらしい……」


 正直に申告してしまった!



「……うわー」


 バハの目が、最低な男を見る目だ!







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