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悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


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約束




 わたわたした透夜は、とりあえず退却しようと、バギォ帝国式に膝を折る。


「え、えーと、あの、お邪魔しました、失礼します……」


「そんな、お礼を!」


「いえいえ当然のことをしたまでですので」


 ミィのおかあさんに、にこにこしてロロァと常葉とともに撤退しようとして、ようやく気づいた。



 BLゲームマスターともあろう者が、失念していた!


 そうだ、スチルも何もない、昔こんなことがありました、みたいにさらっと文字だけで流されたから、印象に残ってなかったんだ。


 伴侶候補を決めるお茶会で、帝太子は暗殺されかける。

 重傷を負った帝太子を救ってくれたのが、ロロァ・ギビェだ。


 治癒魔法が使える、奇跡の子。


 さらに家柄は筆頭高位貴族ギビェ家長子、権威も財力も文句のつけようがない。

 よってすぐ、ロロァ・ギビェが帝太子の伴侶候補筆頭となった。


 ……その暗殺者を、ぽこった?

 イベント、破砕しちゃった?


 だから、ロロァがやってきた?


『どき☆ワク☆イケメンパラダイス♡』のストーリー通りに進行するように?


 ミィの伴侶候補筆頭に、ロロァがなる?


 そしたら悪役令息決定、断罪、惨殺ルートまっしぐらだ──!



「ではこれで、失礼します!」


 ひょいとロロァを抱きあげ、視線だけで常葉に逃走を指示し、駆けようとする透夜のすそを、ちっちゃな指が、ぎゅうっとにぎる。


「……トゥヤ……!」


 振り返った透夜は、泣きだしそうなミィと目をあわせるために、かがむ。


 ちっちゃなまるい頭を、やさしくなでた。



「きっとあなたは、立派な帝になられます。皆の憬れの、超絶イケメンスパダリなんですから」


『どき☆ワク☆イケメンパラダイス♡』でファン投票圧倒的第一位だったのが、帝太子だ。


 きょとんとするミィのちっちゃな手を、透夜はにぎる。



「だいじょうぶだ、元気出せ!」


 筆頭高位貴族家の子に心ない言葉を投げつけられたのも、おそらく引っこみ思策で、頼りないと周りから思われているのだろうことも、暗殺者に急襲されて殺されそうになったことも、ぜんぶ、きみの糧になるから。


 つらいこと、かなしいことこそが、きみを輝かせるんだよ。


「超絶イケメンスパダリになれなくても、ミィはそのままで、めちゃくちゃかわいーよ」


 わしゃわしゃ髪をなでて、笑った。


 ミィの頬が、赤くなる。

 うるんだ緑の瞳で、見あげてくれる。


「だいじょうぶ。ミィは、すごく、がんばってる。

 おかあさん、やさしいんだろ」


 こくりと、ミィはうなずいた。


「きっと、ミィを守ってくれる。

 ミィも、おかあさんを守れるように、なってゆける」


 ちっちゃなミィは、顔をあげる。


「……ほんと?」


 どんと透夜は胸を叩いた。


「きっと!」


 ああでも、もしかしてもしかすると、ゲームの強制力が働いてミィが暗殺されそうになることがあるかもしれない。


 透夜は暗殺人形時代に持たされた、ちいさな白い笛をミィに渡す。


「吹いても音は鳴らないけど、俺たちには聞こえる。

 何かあったら吹いて。たすけに来る」


 笛を受け取ったミィの瞳が、透夜を見あげる。


「……ほんと?」


「約束」


 小指をからめて、笑う。


「絶対、来るよ」


 わしゃわしゃ、ミィのちいさな頭をかきまぜた。


 きゅう、とミィのちいさな指が、透夜の手をにぎる。


 にぎり返して、笑った。



「じゃ!」


 ロロァを抱きあげ、常葉に目配せした透夜は、一瞬で屋根のうえに跳びあがる。


 生あたたかい目の常葉と紅蓮と木蓮と一緒に、昼間の帝宮の屋根を駆け抜けた。








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