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悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


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34/55

スパダリな圧




「きみたちがどんな風に返してくれるか、楽しみにしたこちらが全面的に悪かった。……まさか皆殺しとは……」


 ぴかぴかおじちゃんが、汗だくでカタカタしてる。


 ごめんよ。

 わがきみの危機だから、ちょっと本気出た。


「うーむ。ユィルとわがきみを家に残して常葉と柳と藤に守ってもらって、俺が無様な失態をしないよう皆に補佐してもらって、帝宮に潜入、ならできるかな?」


 透夜は帝宮の記憶を検索する。


 ユィルを守って闘っていたのなら、帝宮は庭だろう。

 ほとんど記憶はないが、帝宮の地図なら裏道から隠し通路まで叩きこまれている。


「お留守番かあ」


 しょんぼりする藤と柳と常葉の肩を叩く。


「いちばん強い三人を残すんだ。絶対守って欲しいから。三人を信じてるから」


 パァアアア──!

 三人の顔が、輝いた。


「え、うそ、俺がいちばんじゃないの!?」


 空が泣いてる。

 一緒に他の皆も泣いてた。


「あ、え、えぇと、ほら、皆いちばんだよ!」


「そ、そうか!」


 納得してくれた。


 皆、やさしー。

 チョロかわいーとか思ってないよ!




「仕方ないから引き受けるけど、前金で半額払って」


 ドォ──ン!


 受付に肘をついて、ちょっと上目遣いで、殺気もチラっと乗せて、スパダリな圧をだしてみた! 透夜の前に、金貨が置かれる。


「わ、わかった、謝罪をこめて前金をお渡しする」


 ぴかぴか頭のボホは話の分かる支部長だった。




 ててれってってってー!

 透夜とロロァとユィルと仲間たちは、大金を手に入れた!




「よし、これで資材と寝台と布団と食糧を買おう! 紹介を頼む!」


「わ、わかった、慰謝料をこめて紹介しよう」




 ててれってってってー!

 物品の購入に、慰謝料割引が適用された!




「やた!」


 踊る透夜と一緒に、ロロァも一緒に踊ってくれる。天使だ。

 ユィルが恥ずかしそうにもじもじしてる。天使だ。

 仲間の皆の目が、生あたたかい。いつもやさしくしてくれて、ありがとう。天使だ。




 冒険者同盟は謝罪をこめて、とてもよい業者を紹介してくれたようだ。

 廃屋(農家の倉庫)の状況を見て、補修が必要な箇所と必要な資材の見積もりと、工程まで説明してくれる。


「皆でやってみます!」


 工賃の節約、大事。

 しかも孤児の皆は力持ちだし優秀だ。大工仕事をおぼえるに越したことはない。


 屋根の穴を塞ぐのには時間が掛かるので、とりあえず防水効果のある獣の皮で覆って、寝台と布団を運びこんでもらった。

 もうすぐ夜なのに仕事早い。ありがとう!


 皆、おっきくなると思うので、寝台は大人サイズだ。

 15個も並べられる、でかい農家の倉庫、最高!


 今は廃屋だが、スパダリで間違いない皆のDIYによって、たぶんお洒落でかっこいー家になるはず!

 たぶん!

 いや、きっと!


「こちらにお置きしやすぜー!」


 次々運びこまれる寝台が、ひとり、ひとつなことに


「おぉお!」


 皆の顔が輝いてる。



「……こ、ここで、寝る、のか……」


 衝撃を受けているらしいユィルの肩を、ぽふぽふした。


「今はつらいかもしれないけど、ちょっとずつ慣れていこうな」


「う、うん」


 ぎゅ、と透夜の服のすそをにぎって、恥ずかしそうにうなずくユィルが、かわいー。







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