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悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


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33/55

ぎわく




「支部長!」


 メメの声も、ふるえてる。


 殺気をぶつけられたのは、初めてだったのかもしれない。

 首に刃をあてられるように、恐ろしいものだという。


 そんなものにまみれて生きてきた暗殺人形の皆は、殺気を完全にコントロールできる。

 殺気をぶつけて相手の間合いを外したり、踏みこむ隙を作ったりできる。

 感情がないから、微塵も殺気を放たず、刈ることもできる。

 ──おそらく、今も。


 冒険者たちは農作物に被害を及ぼす獣を狩ったりするのが仕事で、人間を相手にしていない。

 だから対人の殺気に慣れていないのかもしれなかった。


「きみたちがどう出るか、どんな人なのか、知りたかったんだ。試すような真似をして、すまなかった」


 汗でびっしょりの、ぴかぴかの頭を下げてくれる。


「ご、ごめんなさい」


 メメも一緒に頭を下げてくれた。


 透夜が殺気をほどくと、皆からも殺気が消える。

 獲物をしまうのも一瞬だ。

 音さえ立てない。

 それは熟練の暗殺者の所作で、とても子どもが行えるものではなかった。


 支部長とメメの顔が青くなる。


「色々あってね、俺たちはしばらく帝都で暮らしていかなきゃいけないから、できればよい関係を築きたいんだけど」


 透夜の言葉に、支部長は色を失くしたままの顔でうなずいた。


「あ、ああ、本当にすまなかった。儂は冒険者同盟バギォ帝都支部を任されておる支部長のボホだ」


 差し出されたごつい手をにぎる。


「『よい子の隠密団』の透夜です」


 初対面の印象が最悪だったので、握手はちょっと気まずい。


 しかし、これが大人の階段なんだな。


 ──あれ……? 前世の俺、大人だったよな? も、もしかして、こーゆーことが一切なかった、だめな大人だった……!? BLゲームしかやって来なかったのか──!


 引きつる透夜の前で、ボホは長々吐息する。


「……これでも名の知れた冒険者だったんだが……きみたちは一体……いや、止めておこう」


 ぴかぴかの頭を振ったボホは、きらきらの羊皮紙を示した。


「これはとある大国の宰相殿からの依頼で、断ることはできない。だが残念ながら我が支部に、帝宮の警護を潜り抜け、帝太子のお茶会に気づかれずに潜入できる腕の密偵がいない。我らの窮地なだけではない、ろくな冒険者がいないとなると、我ら帝都支部の名声が失墜する。冒険者の皆に渡る仕事が激減、酷い場合は消滅する。きみたちに仕事の紹介ができなくなる」


 透夜は肩を落とした。


「最初っから、そう言ってくれれば──」


 ため息をつく透夜に、メメが泣きだしそうな瞳で叫んだ。


「ごめんなさいごめんなさい! だってかわいー子はいじめたいっていうか、どう見たって、めちゃくちゃチョロそー……あばばばば!」



 ……………………。


 あれ?

 今世の俺、スパダリじゃなかったっけ?







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