なまえ
「こ、ここ、に……す、住む……?」
泣きそうなユィルが可哀想なので、透夜は小さな頭を、わしゃわしゃしてみた。
「皆で協力して、住める家にしよう」
「おー!」
拳をかかげてくれるロロァが、天使だ。
「お、おー……」
恥ずかしそうに、ちょっと拳をあげるユィルも、天使だ。
「おー!」
元気に拳をかかげる仲間たちも、言葉がだいぶ滑らかになってきた。よかった!
「とりあえず補修の資材と、寝台と布団、調理用具と設備、水回り、風呂と不浄が必要だな!」
15人分だ、金が要る──!
ちょっと青くなる透夜に、孤児仲間たちが進み出た。
「トゥヤ、名前、は?」
ふくれる皆に、おお、そうだったと透夜は皆を見渡した。
「よし、じゃあ、12人も一気に名前をつけるから、おぼえやすいのにしよう! 異論がある時は言ってくれ。自分で名前をつけても、勿論いいぞ!」
顔を見あわせた仲間たちが、ふるふる首を振る。
「トゥヤ、つけて!」
ご指名だ。
ここはスパダリとして、是非とも応えねばならぬ!
「じゃあ皆の見た目で、間違わないようにつけてくな」
しゃっと皆が一列に並ぶ。
何も言わなくても番号順に並ぶところがさみしい。
「番号のこと、忘れられるように」
祈りをこめて、透夜はいちばん前に立った子を見あげる。
褐色の肌に、赤い髪と赤い瞳が凛々しい少年だ。背が高い。番号がいちばん若いから、皆のリーダーをしてくれてる。
「紅蓮」
「ぐれん?」
「燃える炎みたいな髪と目だから。かっこいーだろ」
「グレン!」
うれしそうにうなずいてくれた。よし。
きらきらした皆の期待の目が刺さる。
……う。が、がんばる、よ!
うなれ、今世の俺のスパダリ!
次に前に出たのは、やわらかな緑の髪に、緑の目の、穏やかなそうな少年だ。
いつも紅蓮の補佐をして、皆をまとめてくれてる。やさしげな顔をして、多分、皆のなかでいちばん強い。
「常葉」
「とこは?」
「変わることのない緑、いつもやさしーだろ。めちゃくちゃ強いし」
瞬いた緑の瞳が、ほどけて笑う。
「トコハ!」
「俺、俺は!?」
元気に飛び出てきた空の髪の少年には
「空」
「ソラ! かっけー!」
ごめんよ、そのままだよ!
そう、そのままじゃないと、一気に12人もの名前をおぼえられない!
という訳で、ない脳みそを振り絞ってつけてみた。
BLゲームの世界だからか、皆男の子だよ。
蘇芳、山吹、柳、藤、紫苑、菖蒲、木蓮、胡桃、茜!
俺、がんばった!
「ど、どうかな?」
「トゥヤ、ありがとー!」
抱きついて喜んでくれた。よかった!
「僕も!」
ぎゅう
ロロァが抱きついてくる。天使だ。
「……わ、私も」
きゅう
恥ずかしそうに、そうっとユィルが抱きついてくる。天使だ。
「よし、じゃあ柳と常葉は残って小屋の整理と、ロロァとユィルを守ってくれ」
「了解!」
「後の皆は、俺と一緒に金を稼ぐぞ!」
「おー!」
そう、お金を稼がないと、今日のご飯が食べられない!
いちおうカビの生えたロロァのご飯は非常食として持ってきてあるが、あんなのはご飯じゃない!
しかもそろそろ夕方だ!
暗殺人形だった皆は空腹が、ふつーだったので食事を忘れがちだが、ロロァとユィルはしょんぼりしてる。
ご飯も食べさせてあげられないなんて、全然、全くスパダリじゃねえ──!
というわけで、がんばるぞー!




