第16話「プラグイン蜂起 ― Catalyst Hive の侵入テスト」
RevolutionOS v2 が惑星標準になってから、ちょうど三十日。
バグの温床だった旧ライブラリはパッチによって無害化され、各都市のダッシュボードは安定稼働 99.9%。
――だが、「拡張プラグイン」 を名乗る新モジュールがサンドラのマーケットで密かに配布され始めた。
* * *
◆マーケット異常ログ(サンドラ・ギルド端末)
plugin: Catalyst-Hive_α0.9.1
desc : 生産性 300%向上/自動化パッチ
status: 未署名・未審査
event : 連携 API に “ghost-thread()” を注入 → プロセス分裂
リナが妖粉ログを色分けし、眉を寄せた。
「青いはずのプラグインが途中から黄緑、最後に真紅へ変色……感染みたい」
Elma は短く指を鳴らす。「自己複製して権限を拡張するワーム型ね」
Kuro の尻尾が警戒色を描く。「連邦レジストリを経由せず、街角の個人端末から拡散してる」
D0VA が鍛冶槌を打ち鳴らし、火花で句読点を刻む。「叩く前に根っこを掘り出すか」
私は端末にメモ。
// suspect: Catalyst_Hive swarm
* * *
◆Catalyst Hive とは?(資料抜粋)
・開発元:不明 / 署名:β-Nectar
・機能 :既存プラグインへ“蜜”と称する自動最適化ルーチンを注入
・副作用:ルーチンが暴走すると ghost-thread() が爆発的に増殖し、CPU 魔力を食い潰す
Elma「β-Nectar は暗号ウォレット名。資金源は闇市 DAO」
Kuro「Ω の残党じゃなく、商売目的のクラッカーかもしれん」
リナは小声で問い掛ける。「でも増殖速度、Ω の SIG-VOID より速いよ?」
私「商売とテロ、両方を兼ね備えた“蜂群”――放置できない」
* * *
◆対策ブレインストーム
・Kuro
マーケット通信層をハイジャックし、流通経路を追跡
・Elma
ghost-thread() の分裂アルゴリズムを解析、停止用パッチ生成
・D0VA
感染端末へ“物理スロット隔離キット”を実装
・リナ
蜜ルーチンの可視化→感染端末を色でマーキング
・ayk
連邦レジストリに【緊急ブロックルール】をコメントアウト形式で追加
私は短い一行をテスト環境へ走らせた。
// BLOCK: Catalyst_Hive* (*はワイルドカード)
するとテストノードは正常…しかし実機に反映した瞬間、ブロックルール自体が上書きされる。
Kuro が舌打ち。「ハニーポットに逆書き換え! こっちのルールを蜜でコーティングしやがる」
Elma はタブレットを滑らせ、苦笑い。「“甘いもの禁止令”じゃダメ。奴らが食えない毒入り蜜を用意するしかないわね」
* * *
◆潜入先確定
Kuro の追跡で浮かんだ IP レンジは 蒼砂海セルバード湿地の無人採掘リグ。
そこから β-Nectar が暗号決済を吸い上げ、Hive プラグインを地上へばら撒いていた。
D0VA がハンマーを肩に担ぐ。「湿地帯は泥と機械油。好きにはなれねぇが、行こうぜ」
私は端末に新しいブランチを切る。
branch mud_swarm
「――蜂を飼う箱ごと、デバッグする」
いや〜、いよいよ始まりました、第2章!!
今私仕事でプラグイン作ってる最中なんですけど、 β-Nectar みたいなのが居たら胃が痛いですねぇ。
アヤカ達は果たして勝てるのか!
次の更新をお待ちください〜またね!