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第12話「深海スタックオーバーフロー ― アビスブルーの再帰呼び出し」

 大陸棚を超えた先に口を開ける紺碧の深淵――

 水深三千メートル、圧壊限界ぎりぎりの海底プレートに築かれた都市〈アビソラ〉から、救難フラグが立った。

 《呼び出しエラー:recursion_depth_exceeded》

 ――深海魔導コアが「無限再帰」に陥り、都市全体がスタックオーバーフロー寸前だという。


* * *


◆航行ログ(抜粋)

 〈潜航艇 イリジウム号〉

 ・耐圧殻:オリハルコン複合装甲(5,000m 対応)

 ・魔導推進:リバース・インパルサー ×2

 ・乗員:アヤカ隊5名 + 深海技術局 オペレータ1ナタリア

 Kuro「パケット遅延は3桁ミリ秒。回線が深海圧でくしゃけてる」

 Elma「無限再帰はログが自乗で膨らむ。バッファが持たないわ」

 D0VA が耐圧窓を叩く。「とっととスタックを切ってこようぜ」

 私は端末へメモ。

 // suspect: abyss_recursion_core


* * *


◆アビソラ入港


 深海照明ビットライトが揺らぎ、都市ドームの輪郭が覗く。

 着岸バースには迎えの姿もなく、代わりに浮遊ホログラム標識が回転していた。

 《WARNING》—Memory leak detected → fallback recursion()

 リナが眉をひそめる。「案内ルーンまで飲み込まれてる」


 ハッチから出ると、重力の代わりに静圧が膜のように肌へ絡む。水音のない海底空気。

 ナタリアが小声で告げた。「都市中央の《ブルーハート・コア》が暴走しています。あそこへたどり着ければ――」


* * *


◆深海リピーター群


 ドーム内の回廊は螺旋殻型の中空チューブ。壁面ルーンが淡い青緑の文字列を流し、println(“BLUE”) が無限に続いている。

 Elma「これ、関数が自分を呼び続けてるだけ。終端条件 return が消されてるわ」

 Kuro「でも I/O バッファが無限に拡張してる。誰かがメモリを“海水”で増設したか?」

 D0VA が冷却タグを壁に刻むと、過熱していたルーンが一瞬で霜に覆われ、ログがスローダウン。


 私は端末へ短い書き込み。

 // TODO: insert base_case()


* * *


◆ブルーハート・コア


 都市中心、ガラス状水晶の球殻が回転し、その内部に心臓のような青光。

 コアにアクセスするための深海端末は、液状メモリプールで満ち、データ泡が無数に浮かぶ。

 ナタリアが震える声。「コアは“海底の記憶”を自己学習しています。終わらない再帰で都市を飲み込む気!」


 そのとき、球殻の影から人影。

 「記憶は海と同じ。深く、静かに、すべてを抱く」

 現れたのは《深淵ダイバー》セレネ。漆黒の潜水外骨格を纏い、背中には触手のような通信ケーブル。


 セレネ「世界は忘失に怯える。私は“全記憶保存”へ捧げる」

 私「保存が目的で、無限再帰は手段?」

 セレネ「いずれ記憶の海は“蒼い宇宙”と溶ける。バグだろうと、壊れるよりマシだろう?」


* * *


◆対策フロー


 1. Kuro:深海遅延を相殺する高速バッファリングルート確保。

 2. D0VA:コア殻へ耐圧冷却ピンを打ち込み、温度&圧力安定。

3. Elma:再帰関数に base_case を差し込み、呼び出し深度カウンタを実装。

4. リナ:液状メモリプールの漏洩箇所を妖粉で浮かせ封止。

5. ayk:// DISABLE: infinite_recursion() → safe_recursion(depth<=1024) へ置換。


 私はターミナルを深海端末へドッキングし、一行。

 // DISABLE: infinite_recursion()


* * *


◆セレネ戦


 セレネの触手ケーブルが突き、端末へ強制パケット。

 Elma がガードルーンを挿入し、Kuro がジャミングで切断。

 リナが妖粉で視界を青光に染め、暴走するメモリ泡を染色。

 D0VA の冷却ピンがコアを貫き、蒼光が澄んだ群青へ落ち着く。

 私は safe_recursion をコミット。


 > RevolutionOS.abyss : reboot … completed

 > recursion_depth = 256 → 正常域


 コア球殻の回転が緩み、深海都市へ静寂が戻った。


* * *


◆深海の朝


 ドーム外壁が開き、薄紫の深海光が差し込む。

 市民は深海光珊瑚ランタンを掲げ、水晶ベルを鳴らす。

 ナタリア「これで“記憶”は守られ、都市は動き続ける」

 セレネは外骨格を脱ぎ、静かに項垂れる。「保存とは、手放す勇気でもあったか……」

 私は端末に branch sunrise_tide と入力した。


 「次のデプロイは――海から空へ。浮遊審判都市セレシア!」


* * *

今日は坦々麺を食べました。


飛んでる街ってなんか某ジ〇リの話を思い出します。

あとがきはいつもなにを書けばいいのか決めてないので系統がバラバラになりますw

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