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第11話「極光のフレームワーク ― 氷界オーロラバグ」

 北緯六十七度、氷海の彼方に浮かぶ都市〈ノールリム〉――

 夜空を走るオーロラが五色の稲妻となり、都市の魔導網を断続的にショートさせている。

 私たちは極地航行艇〈グレイシャー改〉の甲板に立ち、揺らめく光のカーテンを見上げた。宙にはデータパケットが雪片のように舞い、落ちる端から“凍結フリーズ”というエラータグへ変換されている。


* * *


◆緊急ログ抜粋

 〈ノールリム基幹ノード〉

 ・オーロラ干渉による符号反転:毎分 8,000 行

 ・魔導メモリ凍結率:72%(臨界 90%)

 Kuro「符号反転って、ビットが0→1になるだけでなく“色”まで変わる。信号が全部虹色ノイズに書き換えられてる」

 Elma「乱数じゃないわ。どうやら特定パターンを持つフラクタル」

 D0VA が防寒外套を整え、氷を踏み砕く。「誰かが意図的にオーロラへ書き込んでいるってことか」

 私は端末にコメント。

 // suspect: aurora_injector


* * *


◆氷上都市へ

 空中ケーブルリフトは停止中。私たちは“氷梁”と呼ばれる天然橋を装甲ソリで渡った。

 吹雪の隙間から姿を現したのは、透明な氷壁で囲まれた多層都市。内部照明はほとんど落ち、僅かな蒼光が浮遊するパイプラインを照らすのみ。

 迎えに出たのはアーク工房の主任 エイラ=ハスヴァルド。凍った睫毛越しの睦月色の瞳が、不安に震えていた。

 「オーロラの色が濃くなるたび、都市機能が氷結します。あと二十七サイクルで完全停止……!」


* * *


◆オーロラフレーム解析

 都市中央にそびえる〈極光塔〉。塔上部のリングアンテナが震え、極光粒子を吸い上げている。

 Elma がリアルタイム・スペクトラムを投影。虹線が重なりフラクタルを形成し、その頂点に署名不明のルーン文字列。

 「パターンは“結晶化”を指向。データを凍らせ保存するためのハッシュだわ」

 Kuro「つまり都市全体を只のデータ結晶にして持ち去る算段か」

 私は眉を寄せた。「誰がそんな――」


 応えるように、塔の氷床が割れ、白銀の影が現れた。

 「凍結こそ永遠。熱もバグも時さえも、止まる」

 現れたのは《氷冠ひょうかんのオーロリア》。氷晶ドレスを纏い、髪は淡いラベンダー。両瞳に映るのは無垢な虚無。


* * *


◆バグ発生源の告白

 オーロリア「世界は熱に蝕まれ、劣化する。だから私は“保存”する」

 リナが首を振る。「保存じゃなく窒息だよ!」

 彼女は静かに指を払う。オーロラが塔内へ流れ込み、制御卓が瞬時に氷結。ルーン文字が虹色から漆黒へ反転し、オーロラバグが暴走モードへ。


 D0VA「喋るより手が早ぇ!」

 彼は炉心ハンマーを振りかざし、凍結卓を打ち砕く。

 Elma が即席でイミュータブル・キャッシュを構築し、反転ビットを一時吸収。

 私「フェニックスの派生コードより手の込んだ凍結アルゴリズム……けどコメントアウトは同じ理屈!」


* * *


◆対策フレームワーク

 1. Kuro――オーロラ粒子の周波数を逆相位に揃え、位相キャンセル。

 2. Elma――フラクタルから最小ルートを抽出し、逆ハッシュを生成。

 3. D0VA――氷壁を溶断し、アンテナ基部へ冷却ルーンを埋設。

 4. リナ――可視化妖粉で安全帯を色分け。

 5. ayk――// DISABLE: freeze_hash() をコメントアウト+再ブートタグ挿入。


 私は息を吸い、端末へ一行。

 // DISABLE: freeze_hash()

 瞬間、極光塔のリングアンテナが唸りを上げ、極彩色の光がパチパチ弾ける。


* * *


◆氷鏡の決闘

 オーロリアが氷の片翼を広げ、氷塊弾を射出。

 リナが妖粉で弾道を染め、D0VAがハンマーで叩き砕く。

 Elmaの逆ハッシュ計算が完了し、Kuro がリングへ注入。

 「同位位相キャンセル――三、二、一…今だ!」

 オーロラが一瞬だけ真白になり、塔内部の氷結がひび割れて崩れた。


 私はルーンペンで空間へ署名する。

 // REV_BOOT: norrim_v1


 鳴動――塔から蒼い脈動が放射し、夜空のオーロラが穏やかな緑へ変わる。凍結エラーは0%へ。


 オーロリアは氷翼を閉じ、欠片となって散った。残響のように彼女の声。

 「凍れぬ世界は、また壊れる……」

 私は静かに答えた。「壊れたら、直す。それがデバッグだよ」


* * *


◆オーロラ祝宴

 ノールリムの大氷広場。極光が天蓋を彩り、氷像に反射して万華鏡のよう。

 市民は氷蜜酒を片手に、氷琴ひょうきんの調べを奏でる。

 エイラ「あなた方が動くたび、世界がバージョンアップするのですね」

 D0VA が笑い皺を深く刻む。「バグの数だけ叩きがいがあるからな」

 Kuro の尻尾がオーロラ色を映し、Elma は計算式を虚空に描く。

 リナは掌で妖粉を転がし、淡い星屑を散らした。

 私は端末に branch deep_south と入力。


 「次は氷の下、さらに奥――深海都市へ。」


* * *

ノールリム編クリア。

暑すぎです!オーロラみたいです!社畜の休みなのに!!

ところで地球温暖化って本当に人間のせいだけなんでしょうか?とりあえず魔法で冷やしたい!!


ではではまた次の更新で!

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