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第1話「コードは裏切らない」

【ごあいさつ】

はじめまして、作者の 辺境のワンオペ社畜 と申します。


「もし“コードレビュー”で世界を救うヒロインがいたら?」――そんな妄想から生まれた物語です。プログラミング用語を魔法陣に置き換え、バグ取りと剣戟が同じ土俵で繰り広げられる“開発×ファンタジー”を目指しました。専門単語は雰囲気重視で、細かな技術解説は最小限に抑えていますので、ライトにお楽しみください!


【あらすじ】

ブラック企業で深夜デプロイを強いられ、バグの濡れ衣を着せられて死亡した女コーダー・坂本彩花。

目覚めた先は、魔法陣をコードとして編集できる異世界コードリア。しかし転生早々、王宮魔導院を追放される――。

「なら、システムごと作り替えてやる!」

チートスキル《プログラム言語:万能》を武器に、追放の恨みをスカッと晴らす ざまぁ×成り上がり譚、ここに開幕!

 「システムは落ちました。責任を取ってもらいます――。」


 深夜二時のオフィスに轟いた上司の声と、画面に走る真紅のエラーログ。連続稼働三六五日を誇った基幹APIが、ついに沈黙した瞬間だった。


 だが、私は知っている。原因は私ではない。新しく入った部長の“横並び改修”――質より速度を優先した無謀なコミット。レビューを拒まれた私は、バグを黙殺されるしかなかった。


 「全部、坂本さん(私)のミスで報告しておいたから」


 同僚の口元に浮かぶ嘲笑。静脈から血が逆流するような痛みと共に、私は深く息を吸い込んだ つもり だった。


 ……気づけば真っ白な空間。浮かぶウィンドウに《再起動しますか?》の文字。

 「え? 死んだ……の?」

 戸惑う私に、緑髪の小さな妖精が現れる。

 「おめでとうございます! あなたは異世界『コードリア』へ転生が決まりました!」

 なんで祝われる? だが次の説明に耳が留まる。


________________________


◆転生チートスキル

《プログラム言語:万能》


あらゆる魔法式ルーンを“コード”として書き換え可能


《デバッグ改竄》


実行中の魔法陣にバグを挿入 → 強制停止 or 仕様変更


《Git憑依》


他者の“魔力履歴”を巻き戻し/ブランチ分岐


________________________


 「……私が、魔法エンジニア?」


 「はい。ですが――」妖精の声色が翳る。「転生先であなたは王宮魔導院を追放されます」


 「...はあ...」

大きなため息が漏れる。


開口一番ざまぁ確定か。面白い、と唇が吊り上がった。





________________________


◆一年後──王都アルゴラム


 「よって、本日をもってシステム外部委託技師の地位を剥奪する!」


 玉座の間に響く宣告。私――坂本彩花改めアヤカ・サカモトは、王国最大の魔導システム《オラクル・コア》を最適化し続けてきた。だが功績はすべて王太子アレクのものにされ、私は“功を焦った裏切り者”の烙印を押される。


 紫の軍服を翻し、アレクが私を見下ろす。


 「解析コードをよこせ。それがおまえの最後の仕事だ」


 応えず俯く私の手の内で、小さな黒いウィンドウが開く。《git revert -n prince_bug_fix》――脳内コンソールに静かにタイプ。


 「わかりました。これが“あなた”の望む仕様です」

 私は王宮中央の巨大魔法陣に歩み寄り、1行のコメントアウトを追加した。


   // FIXME: 無限ループ対策 → 無効化  


 すると陣が唸り、紫電が奔る。

 「な、何をした!」

 「ただ――バグを戻しただけです」

 次の瞬間、オラクル・コアは暴走し、上空に巨大なエラーメッセージを投影する。


 > FATAL ERROR 0xdeadbeef

 > 責任者:ALEC・L.・PRINCE


 玉座の間は阿鼻叫喚。

 私は踵を返し、門を叩き割って外へ出る。背後から聞こえるのは、かつて私を嘲笑った者たちの悲鳴。

 コードは嘘をつかない。でも人は嘘を重ねる。

 だったら、私はただ“正しいログ”を流すだけだ。


________________________




 王都の夜風が頬を撫でる。


 「さて、次はバグだらけの世界をデバッグしに行こうか」


 掌に浮かぶ《branch new_world_saga》のタグが淡く輝く。新しいリポジトリ――否、物語が、ここから始まる。




つづく。


第一話、こちらの作品が初めての小説投稿になります。(ドキドキ)

数日前に誕生日を迎えたので新しいことしようかなぁと。


感想&バグ報告お待ちしています!

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