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第一章 入校

青木蓮あおき れん


年齢:28歳

職業:元警察学校生徒→現在フリーター・マスコミ関係のアルバイト

性格:明るく社交的で、おしゃべり好き。観察力に優れ、細かい癖や表情の変化を見逃さない。

特徴:筋肉質でしなやかな体つき。平均的な身長だが存在感がある。知識欲が強く、博識であることを自負している。

経歴:警察官を目指して警察学校に入学するも、理想と現実のギャップや同期の不祥事、組織の闇に失望し退校。自らの正義を模索するため、マスコミの世界に飛び込んだ。

動機:人の「真実」を追求したい思いと、社会の弱者や声なき者たちの声を伝えたい使命感を持つ。

苦悩:正義とは何か、自分にできることは何かを問い続ける葛藤を抱える。

趣味:読書、街の小さな事件や噂を調べること。仲間とお茶を飲みながら話す時間を大切にしている。



四月の空はまだ肌寒く、校舎の白い壁が春の光を撥ね返していた。

青木蓮は、新品の制服に袖を通しながら、自分の胸に広がる期待と不安を抑えようとしていた。


「これから、俺は“警察官”になるんだ。」


そう呟いた声は震えていた。幼い頃に見たニュースの一場面。

暴漢から子供を守って殉職した警察官のことが、今も彼の原点だった。

誰かのために、強く、正しく、立ち続けたい――その思いでここまで来た。


彼が入学したのは、関東でも中堅とされる警察学校だった。

寮生活が基本。規律正しい生活と厳しい訓練、日々の講義、模擬対応訓練。

それらは想像以上に過酷で、同期の何人かは初日から顔色を変えていた。


「青木、早く並べって!」

教官の鋭い声に、蓮は慌てて姿勢を正した。


彼の印象は、どこか頼りなげで、柔らかい笑顔が印象的だった。

だが、目の奥には鋭い観察眼と、誰にも負けたくないという負けん気が光っていた。


初めての訓練は、防護服を着ての制圧訓練。

蓮は小柄な体格を活かし、相手の動きに先んじることで意外な善戦を見せた。


「お前、意外とやるじゃん。」

声をかけてきたのは、佐久間直人という同期だった。体格が良く、口数は少ないが、仲間思いで面倒見が良い。


蓮はこの佐久間と、もう一人の同期・村瀬咲むらせ さきと親しくなる。

村瀬は関西出身で勝ち気な性格。女性ながら身体能力も高く、男子顔負けの訓練成績を誇っていた。


「蓮、お前ってさ、変に真面目すぎて面白いよな。」

村瀬はよく笑いながら、蓮の真剣さをいじってきた。


彼らとの日々は、規律と疲労の中にあっても、確かな充実と支えを感じさせてくれた。


だが、警察学校には常に“淘汰”の空気が流れていた。

実技、筆記、心身の適性。すべてにおいて求められる水準は高く、脱落者は毎月のように現れる。


ある夜、消灯時間を過ぎても眠れなかった蓮は、ベッドの中で天井を見つめながら考えていた。


「自分に、本当にできるのか? 本当に、“正義”って、この中にあるのか?」


規律を重んじる学校内では、仲間であっても競争相手。

評価のために他人を蹴落とす者、教官に取り入る者。

「警察官になる」という目標の下に、どこか歪んだ空気があることに、蓮は薄々気づいていた。


ある日、警察学校に地元警察署の刑事課から実地講義に来た講師が、こう言った。


「理想だけじゃ、現場は動かない。『誰かを守る』ってのは、同時に『誰かを疑う』ってことだ。」


その言葉が、蓮の胸を重く打った。

彼は正しさを信じていた。だが、現実の「正しさ」は単純ではない。


この日から、蓮の心には小さな綻びが生まれはじめていた。

それがやがて、彼の未来を大きく揺るがすきっかけになるとは、まだ誰も知らなかった――。


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