エピソード12:グアンロンチョン包囲戦①ピシャーチャとブートゥの侵攻
ヂーリーが街の門へ向かって走る中、ピシャーチャ化した盗賊たちが銃を構える。しかしフェイフォンが瞬時に介入し、金属扇を振るって弾丸を全て防ぐ。
「まあ、妖怪化した盗賊ってのは初めてね。他にすることがないの?このパンクバンドのコスプレみたいな格好で、砂漠で永遠にバイク乗り続けてるなんて」
「へへへ…ガキんちょがその扇子で何できるってんだ?」
「ヂーハオ様が人間を超える力をくれたんだ」
「人間時代ですら無敵だった俺らが、今や…!」
再び銃を構える盗賊たち。だがフェイフォンは疾走し、彼らの背後に回り込む。
《――舞鳥拳:鷹の狩!》
銃器が粉々に切断される。しかし盗賊たちは平然としている。一人がバイクから飛び降り、フェイフォンを殴りかかる。回避したその拳は地面を貫き、小さなクレーターを形成した。
『こいつら…常人離れしてる』
他の盗賊も同様に襲いかかり、フェイフォンは後退しながら必死にかわす。一撃ごとに街の石畳が割れていく。
『まずい…一発でも喰らったら終わりだ』
***
一方、街の門ではヂーリーが炎上する破壊された門と、地面に倒れるヨンチーを発見する。
「ヨンチー!しっかりしろ!何があった!?」
「ヂーリーさん…ヂーハオが…門を破壊し…妖怪の一味を…」
ヂーリーは衝撃で言葉を失う。
「まさか…ヂーハオが…?」
「俺も信じられませんでした…何かあったに違いない…あの人、まるで別人のようで…」
ヂーリーは目を閉じ、深く息を吸う。そして警備小屋の瓦礫から警笛を見つけ、街に警報を鳴らす。ヨンチーを担ぎながら安全な場所へ向かう。
『おかしい…ヂーフェイ大師がこの規模の攻撃を予見できなかった?もっと小さい襲撃ですら察知できたのに…今は街の安全を最優先にしなければ』
***
街の中心部では、ロンウェイが怒りに震えながらヂーハオに向き合う。
「お前…シュエンウーや子供たちから聞いたぞ。みんなお前を街のヒーローだと思ってた!なのにどこからか悪党連れてきて、街を危険に晒すのか?よくそんなことできるね!?」
「ハ!妖怪ガキに説教される覚えはないな。街の安全はシュエンウーの責任だ。ヂーフェイ大師が選んだのはあいつだ。何かあれば、あいつと大師の選択が間違ってた証拠だ」
「バカ言うな!!!被害者が弱いから悪いってのか!?そんなの道理が通ってねえ!!」
「人生に道理なんてない、ガキめ!それにポタラ寺院の僧侶として、妖怪退治は使命だ。お前を仲間の妖怪に任せてもいいんだがな」
指を鳴らすと、ピシャーチャ化した盗賊がロンウェイの目前に現れ、強打を放とうとする。
しかしロンウェイは瞬時に消え、盗賊の頭上から尾で強烈な一撃を叩き込む。地面が割れるほどの衝撃で、盗賊は頭から地面にめり込んだ。
「シュエンウー!こいつを懲らしめよう。人を危険に晒すような奴には、きちんと教えてやらないと」
「ロン…ウェイ…」
ゆっくりとヂーハオに向かって歩み寄る。
「ヂーハオ…おいらにはわからねぇ。なぜだ?お前がおいらを憎んでるってんなら、おいらだけを殴りゃいい、辱めりゃいい、殺しゃいい…。街の人々には手を出すな…」
「は?天が選んだ『天の亀の宝珠』の使い手なら、簡単に街を守れるはずだろ?だからこそやってるんだ。ヂーフェイの間違いを証明するために…お前が危機に無能だってことをな」
「でも…それじゃおめぇも…宝珠に相応しくねぇってことになるべ。守護者は…みんな守れるやつでなきゃ…」
腹に強烈な一撃を受け、膝をつくシュエンウー。ヂーハオは片手で彼の首を掴み、持ち上げる。
「ポタラ寺院の戦僧に必要なのは、何よりもまず『力』だ。誰を守るか、誰を罰するか、それを決めるのは『力』だ。誰かを守るってことは、誰かを傷つけるってことだ」
ヂーハオは怒って叫び始める。
「お前に判断できるのか!?誰が罰されるべきで、誰が守られるべきかなんて!
本当に強い者だけが、その知恵と覚悟を持って判断できるんだ!
弱い奴が判断すれば、当然、同じような弱者しか守れねぇだろうが!」
「ちが…う…守るのは…力を…間違って使う者に…傷つけられる…弱き者たちだ…」
「黙れ!!」
シュエンウーを共同住宅めがけて投げ飛ばす。建物の一部が崩れ落ち、彼を飲み込む。
「シュエンウーーー!!」
ロンウェイはヂーハオに向かって駆け出したが、盗賊たちが立ちはだかり、次々と攻撃を仕掛けてくる。
彼はそれをかわしながらも、すぐに別の敵が現れる。やがて七人のピシャーチャに囲まれ、両手、両足、そして尾を使って必死に防御と回避を続けた。
空中に跳び、回転しながら脱出を図るが、待ち構えていた他の盗賊たちも跳躍し、空中で激しい打撃の応酬が続く。
ロンウェイは盗賊たちの頭を踏み台にし、空中移動でヂーハオへと接近していく――
ピシャーチャの一人がロンウェイの尾を捕まえ、地面に叩きつける。待ち構えていた他の二人が釘と有刺鉄線付きのバットでロンウェイを打ち返す。
ロンウェイは腕で防御しながら共同住宅の入口へ吹き飛ばされる。ちょうど瓦礫から這い出したシュエンウーが空中でキャッチし、優しく地面に下ろす。
「だ、大丈夫か、ロンウェイ?怪我しとらんか?」
「バットの金属部分でちょっと引っかいたくらい」
突然、街中から悲鳴が響き渡る。辺りを見渡すと、ブートゥに憑依された村人たちがいた。物が浮遊し、影が触手と化して家屋を破壊している。
さらに残りのピシャーチャがバイクで街を駆け回り、家々に放火し、銃撃や暴力を振るっていた。
「こ、これは…!」
「ほら見ろ、ヂーフェイ大師はこれを予見できなかった。できたとしても、このデブが守れると過信していたんだ。盲信の代償だ」
シュエンウーが村人たちへ走り出すと、ヂーハオが阻む。
「おいおい、どこ行く?言っただろう。お前がおいらを倒さねぇ限り、これは止まらねぇ」
ヂーハオがシュエンウーの顔面に拳を叩き込もうとした瞬間、その拳と顔の間にロンウェイの左手が現れ、攻撃を受け止めた。ロンウェイはシュエンウーの背中に乗ったまま、その拳を強く握りしめる。
ヂーハオはにやりと笑い、反対の拳で殴ろうとするが、今度はロンウェイの尾がその拳に巻き付き、動きを封じた。
さらにヂーハオが頭突きを仕掛けると、ロンウェイは足でシュエンウーの頭を押し下げ、そのまま彼の頭をヂーハオの腹にぶつけた。
その衝撃でヂーハオは後退し、ロンウェイは両拳を解放する。
「シュエンウー!こいつは任せろ!君は村人を救って!あの『ブート』を追い出して!終わるまで守るから!」
「でも…ヂーハオは…グアンロンチョンとポタラ寺院の仲間だ…悪い奴じゃない…わかってる…傷つけんといて…ほ、ほんなら、話し合い…してみよか…」
「シュエンウー、ヂーハオはとても悪いことしてる。だから、ちゃんとお仕置きしなきゃ!」
「でも…暴力で解決すべきじゃねぇべ…」
ロンウェイはくるっとシュエンウーの方を向き、にこっと穏やかに微笑んだ。
「ちっちゃい時、おいらよく悪さしてた。おじいさんは時々手を出してたよ。悪いことしたら叩かれるって学ばせたくて」
「そ、それって…虐待じゃねぇの…?」
「まあ…いつも正しい方法じゃないかもね。フェイフォンもよく叩くし。
とにかく、ヂーハオは許せないことしてる。みんなの命を危険に晒してる。
目を覚ますためには、ちょっと痛い目に遭わせないと。あの『シーチキン』を取り除くためにさ」
「シーチキン…?」
ロンウェイは拳でシュエンウーのお腹を軽く突く。
「暴力が正解じゃないのはわかってる。でもな、人を守るためなら必要な時もある」
親指で自分を指しながら笑顔を見せる。
「ヒーローが悪者をぶっ飛ばすのは楽しいからじゃない。好きでやってるんでもない。その時必要なことをしてるだけだ。シュエンウーはもう話してみたろ?ダメだった。少なくとも悪事は止めなきゃ」
ヂーハオの方へ歩き出す。
「だから今はシュエンウーは『ブート』を退治して。君にしかできないんだ。僕はコイツを相手する。その後でどうするか考えよう。でも...今ためらったら人が死ぬ。それは俺たち望んでないだろ?」
シュエンウーは深く考える。
「で…他のピシャーチャは…どうなっとるんだべ…?」
「大丈夫、フェイフォンが気づいてなんとかしてるはず。あの姐さん、強いし賢いしな」
戦闘姿勢を取るロンウェイ。左足を横に伸ばし、右足を曲げ、左腕を頭上に、右腕は腹の位置で構える。両手の爪が伸び、シンドゥーでの戦いと同じように鋭い鉤爪となる。
「ガキの妖怪がポタラ寺院の僧侶に挑むだと?粉々にしてやる」
「僕の名は『ガキ』じゃない!半竜人のヒーロー、未来の天上戦隊シェンレンジャー創設者――ロンウェイだ!!」




