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1話:突然の再会

 皆様こんにちはこんばんは、遊月奈喩多と申すものでございます! かなり前から温めていたお話ですが、この度連載作品としての公開を始めさせていただく運びとなりました。


 あまり前書きを長くするものでもないと思われますので、本編をお楽しみください!

 すっかり冬の顔に変わった夕暮れの空が、通り過ぎるビルや団地に切断されていく。いくつかの影を越えるうちに空は暗くなって、さっきまで遠くに見えていた山もすっかり宵闇の向こうに隠れてしまっていた。

 アナウンスと共に電車が停まり、僕はいつもの駅で降りて帰路に着く。それで今日も家に帰り、明日に備えて眠るだけ……そう思っていた。

 視界に入ったのは、白い息を吐きながら児童公園のベンチに座り込む高校生くらいの子。何をしているのだろう、あまり凝視するものではないと思いながらも異様な暗さを帯びたその姿を横目で見ていたとき。


「あれ、征斗(せいと)さん?」

 ふと声をかけられて僕はペダルを漕ぐ足を止めた。その声に、聞き覚えがあったから。

 近付いてみると、やっぱり。

 ベンチにいたのは松本叶(まつもと かなえ)。近所に住む少し年下の少女で、昔は妹のように思って一緒に遊んでいた相手だった。今はまだ高校生かもう卒業していたんだったか……僕の就職を機に会うことも減り、たまに来るLEINに返信するくらいになっていた。家族仲が良好とは言えず息苦しさを感じていた当時の僕にとって、叶はそれらを忘れさせてくれる唯一の存在だった。叶にとっての僕もそうだったらしく、時間が許す限り一緒にいた時期もあった。けれど今ではLEINもほとんど来なくなって、僕から叶を気に掛けることもなくなっていた。だから最近どうしていたのか、僕にはわからない。

 それに、昔は僕のことを『お兄ちゃん』と呼んでいたから、名前で呼ばれてもすぐに気付けなかった――いや、いや! そうじゃない、そんなことよりも!


 久しぶりに出会った叶は明らかに素人が付けたのだとわかる眼帯を左目につけていて、その周りには青黒い(あざ)ができていた。だが、叶は気にも留めない様子で僕に笑いかけてくる――それが何となく怖かった。


「久しぶりだね征斗さん、最近どう?」

「どうしたんだよ、叶……っ!!」

「どうしたって?」

「怪我! 何だその怪我、またおじさんか、それともおばさん!?」

 よく一緒に過ごしていた頃のことを思い出す。叶の両親はいつも、何か理由をつけて叶に暴力を振るっていた。出会った頃は泣いていたのが少しずつ薄い表情になり、最後には当たり前のように両親の所業について語っていた叶の姿が、フラッシュバックのように浮かんでくる。けどそれはもう解決したはずじゃないのか……!?

 叶はゆっくり首を振って、「違うよ」と返してきた。


「警察来てから、パパもママも腫れ物扱いだもん、叩かれないし、怒鳴られないし、話しかけられないし、何もされないよ。逆に苦しいくらい」

「じゃあ誰が、」

「わたしのね……旦那様」

「だ、旦那様?」


 叶は少しはにかむように、「うん」と頷いた。

 前書きに引き続き、遊月です。お付き合いありがとうございます! お楽しみいただけていましたら幸いです。

 前々から「異世界」ジャンルには興味があったものの、私が別に書いている物語はほとんど異世界「転移」のお話だったため、今回は「転生」を書くぞ、と意気込んだのがこの物語の始まりでした。

 しばらくの間はどうして征斗くんが転生することになるのか、その前段階のエピソードが続きます。


 また次回、お会いしましょう!

 ではではっ!!


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