幸運の端
珈琲を誰かに入れてもらうのは、
やはり、良いものだ。
ありがたいという気持ちの上に、
夢を見るような心地が乗る。
特に、上手に入れてもらえたら、
異性なら恋をするかもしれない。
同性なら尊敬をするかもしれない。
異邦人なら、その人の国を、
好きになるかもしれない。
一杯の飲み物を、大切に扱う。
そこから始まる幸運が、
人類にはあるんだろう。
人類だけに始まる幸運だ。
Sさんが入れてくれた珈琲は、
いつも美味しい。
何が、どう、ちがうんだろう。
わからないところが、いい。
幸運の端っこが見え隠れする。
そうだ、見つけたいところも、いい。