適度な空間に
柔らかな明かりが
スボンに映る
通り過ぎた窓の外
猫は
なんとなく振り返る
コーヒーを口の中でアチチ
食パンのジャムは
今、皿とサンドイッチされた
焼き過ぎたウィンナー
皮はパリパリベーコン
黄身が固まっている目玉焼き
空のケチャップ
焼き肉のタレでやり過ごし
素直さの残る朝食
意味の無い日常を
どれくらいの形に
思えるだろう
優しさだけじゃ枯れ葉で
苦しさだけじゃ若葉か
風だけが吹けば良いのか
とりあえず
僕は
出掛けてくる
無数のプログラムが動いて
なんとなく作っている
ランダムな街中
手を取り合っている
あの人達も
前後で口が違う物
時間軸のプログラム通り
にこやかに笑っているのは
小さな子とおばあちゃん
通り過ぎて来た者と
これから通り行く者
笑顔の形が同じになるのは
突き抜けたから
そして、知らないから
憂鬱になっている人は
ベンチに座って
この世の終わりのポーズ
鳩が周りで騒いでいるから
きっと、あれが平和の祭典
車で信号待ちのあの二人は
ナビを見ながら
何かを言い争っている
家の外でもあんな感じなら
家の中は
もっと、悲惨な喜劇
それとも
眉間の皺で
くっついているのかな
コンビニの店員さんは
僕の顔を見るなり
いつも買っている煙草を
用意してくれた
客が少ない夜に
電子マネーの支払い練習に
付き合ったからかな
三人のあの形は
本当に面白かった
今では昼間でも大丈夫
「ありがとう」に
「ありがとうございました」で
返されながらコンビニを出た
いつものルートで歩いて
いつものマスターに挨拶して
いつもの席に座って
コーヒーを飲む
家とは違う味を
確かめるように
鼻と口で確認する
苺のエプロンをした
アルバイト店員さんは
ようやく慣れた顔をして
会話に入ってくれた
成長と維持が
この中にはごちゃ混ぜで
だからこそ、良いんだって
思えるような
素敵な相席さ