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大鴉  作者: 黒煙草
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女が車運転しちゃいけねぇ法律があるなら、その六法全書燃やしてやる

・・・・・・

「ねぇリーダー、2人降りたのは別にいいんだけどよ」

「なんだ?“luckyF“」

「なんでリーダー運転してるの?」


そう、俺ことリーダーは運転席でハンドル握ってアクセルを踏みまくっている


「女が運転しちゃいけねぇ法律があんのか?だったら、その六法全書燃やしてやるよ」

「そうは言ってないけどさぁ、俺が代わりに運転してもいいんだぜ?」

「見張り役が運転しながらなんざ事故の原因だろ、Kも免許持ってねぇしな」

「いやまぁそうだけどよぉ」


Kを見る

何故かショックを受けてた


「何ショック受けてんだよK、てめぇの過去は洗いざらい調べてっから免許持ってねぇことくらい知ってるわ」

「で、でも荷物持ちだけなんて役不足というか私自身お荷物というか…」

「分かってんならそのままじっとしてるか、好きな歌でも歌ってくれ。俺は車乗ってる時は、音楽流すタイプなんだよ」

「あの車って事故起こしたりしてません?前のクラシックカー乗せてもらいましたけど中々のボロでしたよ?」

「見た目はな。俺らの車は中身がハードな改造してるから外に音が漏れることはねぇよ。あと運転手も達者だしな」


と俺は居ないはずのラットンを思い出す


「今はその運転手居ませんが?」

「……行ける行ける!」

「すごく不安しかないです!」




なんて会話交わしながら昼飯挟んで5時間経過


「そろそろ拠点作って砂嵐に備えるか」

「え?あの、まだ太陽真上ですよ?」

「ん、あぁ、時間見てみ?この地域は白夜なんだよ」


Kは不思議そうな顔をしながら時計を見るともう夕刻近くなのに気づく


「え、嘘!?もうこんな時間!?」

「驚きが新鮮で楽しいねぇKは!」


白夜とは日か沈まないことであり、この地域では時間は過ぎるが太陽が沈まない期間があることで有名だ


「日は高ぇが少ししたら野宿の準備するぞ、2人。聞こえてるな“猿“共!」


『了解です!』


了承の返答を聞き、俺は砂地でありながらも野宿できる場所を遠目で見る


すると、luckyFから声が掛かる

「リーダー、3km直進してすぐ右にオアシスあるっぽい」

「んぁ?そうなんか、わかった」


進むこと5分弱でオアシスらしき水辺を見つけた


「すげぇな、さっきのあれか?トロンボーンってやつか」

「リーダーって名称覚える気ないでしょ、ドローンだよドローン。」





オアシス付近での野営設営、水汲みを終えた者たちを他所に、水浴びを始めようとするK


「おいこら待て、何してんだK」


「え、綺麗な水なので入ろうかと…」


「飲むには別に構わねえんだが、水浴びとなると話は別だ。今はやめとけ」


「な、何でですか!あ、分かりましたよ〜、前のお風呂場での件で入らせようとしないんですね!」


そう言ってKはオアシスに入浴しだした


「ひゃぁ〜気持ちいいです!リーダーもどうです!」


「オアシスの主がお前を気に入ればいいんだがな」


「えっ」


Kの驚きとは別に、オアシスの水場中央に水で人の形が創り出される


「わっ、きゃあ!」


驚いたKは水場から出て来ようとするが俺がそれを止める


「K!出るなよ!そいつらは人の過去や心の中を覗いて危険性があるかを視る精霊だ!」


「で、でもなんで人の形!し、しかも男性だし…」


「最初はそういった人型の姿で友好的に近づこうとするんだよ、初心なKには刺激が強すぎたかもしれねぇがな!」


全裸成人男性の形をした水の精霊は細部にわたりこと細かく表現されていて、ナニが膝まであったのが印象的だ


初心なKは目を掌で覆い隠しながらも、指の隙間からチラチラとナニを伺っていた


「K!そのままでいろよ!水場から1歩でも出たら水圧シャワーでサイコロステーキだからな!」


「わ、わかりました!けど!お、おちん…って!膝まであるものなんですか!?」


「稀にな!それをコンプレックスとしてる奴もいるから嫌ってやるなよ!」


「精霊さんもですか!?」


「精霊は最近殺したやつの人型を獲る癖があるんだよ!それが嫌ならイメージしろ!精霊っぽいの!心の中見てくるんだから喜んでその形になってくれると思うぞ!」


「は、はいぃ…!」


すると精霊は男性から、昆虫の羽が生えた手のひらサイズへと変身する


「あとどれ位居ればいいんですか!!」


「心が純粋なやつなら体を洗ってくれたりするらしい!それが終われば強制的にオアシスから排出される!」


そう俺が言ってから数分後、精霊はKの体を洗いもせずに、裸のKを吹っ飛ばし、オアシスの水場から出した


俺はデカ目のタオルをKに寄越すと


「体…洗ってくれませんでした」


とか言ってた


「心がうす汚いんだろ?でもマシだぞ?真っ黒なやつなら吹っ飛ばしてサイコロステーキだからな」


「今日のみんなの食事にならなくて済みました…」


「そうなる前に俺が精霊を殺してるよ」


「えぇ…?精霊って絶滅危惧種じゃないんですか?」


「知ったことか、危険性があるから絶滅危惧種なんだろ」


「他の絶滅危惧種が聞いたら命乞いしそうな物言いですね…」


「死ぬやつが悪い」




水場での一悶着が終わり、猿含む全員の4時間の睡眠を取らせたあと、アイヴォリーとラットンが合流した


「遅かったな」


と、俺が


「待たせたな」


簡素な返答をアイヴォリー


「モンスターが湧き出てきてそれの対処に追われていたんだ、遅くなってすまない」


とラットンが


「すぐ出発だが、睡眠は取るか?」


俺の質問にアイヴォリーは


「くれ、寝みぃ」


対するラットン


「俺は構わないが、万全な状態でいたい。少し眠らせてくれ」


「素直に寝かせてくれって言えよ!めんどくせえなてめえ!」


「遠慮を知らぬアホに言われたくはない、貴様こそ恥を知れ恥を」


アイヴォリーとラットンの小競り合いを他所に車のエンジンをかける俺


「遊んでねぇで乗れやアホども、今日中に国境超えるぞ」



俺の言葉に2人は車の後部座席へと乗り込み、睡眠をとれる体勢になる



運転席には、猿の部隊から1人選出して運転を任せることにした


「光栄です!皆様の運転を任せられるなんて夢にも思いませんでした!」


「硬っ苦しいのはあとにしろ、エンジン回した際に異常が見られなかったから100キロ前後飛ばしていけ」


「わかりました!」


元気よく返事した猿のひとりはアクセルを踏み込み、俺達はオアシスを後にした



──────────────


「精霊さん…送ってくれないし、手を振ってくれませんでしたね…」


Kが呟き項垂れると、luckyFが答える


「俺たち自体、良くない行動してるからな…日頃の行いだよ」


その通りではあるが、言葉にされると痛いところである


「ガ〜…ンがァ〜…」

「スゥー…」


アホふたりは幸せそうに寝てる


この幸せが続けばいいがな




出発から数刻すぎて、ひとつの大きな障壁が見えた


天に昇る障壁は横水平線の彼方にまで続き、行くものを阻むかのように存在していた


「見えたな」


俺がそういうとアイヴォリーとラットンが目覚める


「ンがっ…!…着いたのか?」


「…ん、どうやらそのようだな」


「てめぇ今起きたじゃねえか、今まで起きてましたよ見てぇに言うなや」


「俺は睡眠を浅くして、戦闘が起きればいつでも起きれるようにしていたのだ」


「ケッ!よく言うぜ」


「おしゃべりは終わったか?気を引き締めろよ」


国境障壁の下にはひとつ、検問所があるだけで


それ以外の建物は見当たらなかった


しかし、移動しながら商う商人が乗る車や、旅行者達を乗せるバスなどが検問所前を渋滞しており、荒れ果てた道路を占めていた


「時間かかりそうだな」


「んじゃもう一眠りすっか、おやすみ」


「なら俺は運転を変わろうか、交代後は後ろの車に移動してくれ」


「ラットンさん分かりました!」


ラットンは渋滞による遅延を利用して運転席に移動し、猿と交代した


「ふむ…やはりハンドルを握っていないと不安になるな」


「ヤク中かてめぇは…、検問所に見せるもんは持ってるな?」


俺が確認すると、ラットンはカードをひとつ俺に見せる


「これでいいのだろう?」


「万全で何よりだ。全員、検問所では笑顔でな」



・・・・・・・・


「お前たち!所属を記すカードを見せろ!なにを目的としてこの国に入るか!」


検問所に務める男性が、運転席に座るラットンに証明出来るものを求める


「これでいいな?」


「貸せ!……よし!いいぞ!!」


カードを一瞥した検問所の男は俺達の乗る車と、猿共の部隊が乗っている車を検問所から通した


「全員笑顔だったな?」


俺の言葉にKが


「わ、私は緊張してて…」


と、アイヴォリーに関しては


「俺ァ寝てたぞ」


寝たフリをしていたらしい


「俺はいい女ぶってたよ」


とluckyF


「いい女…ブッ!」


「笑うなよ象牙!」


「お利口にしてたことはいい事だ、……うん?」



俺は先にある観光バスを注目した


「どうしたリーダー」


「アイヴォリー、あのバスどうだ?」


「どうだって言われてもよォ…こっからじゃ客の後ろ頭しか見えねぇよ」


「そうか…ラットン、警戒しろ。乗ってる客どもの頭が()()()()()


そう俺が感想を述べた瞬間だった


観光バスが爆発し、周辺の店や住宅に被害を出した


「な、なんだぁ?!」


「猿ども!戦闘準備!警戒しろ!」


《了解です!!》


検問所近くというのにこのような爆発テロを起こすということは────


「しまっ──後続注意!!」


猿どもの乗る車の後ろでは爆発による攻撃に紛れて検問所を制圧していた


検問所にいる連中は、爆発を注視してしまったおかげで敵が死角に入り慈悲もなく殺されていた


「敵の数確認!前方10人!後方は何人だ!」


“後ろ15!相当手練ですよ!“


「狙いが未だにわからんが、俺たちを挟んでの行動だ!生き残ること優先しろ!」


“わかり──“ ブツッ!


猿との交信が強制的に切れた


俺はこの時点で敵の目的を確定させた



狙いは核弾頭だと──


「いつまで車に居りゃいい!俺ァ出るぞ!!」


「待てアイヴォリー!」


アイヴォリーを制した事で、俺は“荷物運び“から目を離した


その時、反対側のドアが開き、Kが誘拐された


「────っ!K!!」


「えっ?キャーッ!」


荷物を抱えたKだったが、俺はすぐさま荷物を取り上げ、Kが拉致された


「チッ!てめぇら油断するなよ!警戒しながら殺す機会うかがえ!」


「「「応!!」」」


車から出たものの、K自身が敵側については正確な射撃ではないと迂闊に攻撃できない


前方にいる10人の敵はバスの爆発に耐えれる強度を持つスーツを着ていた為、持っていたナイフでは至近距離でしか攻撃が通用しないと判断


それと同時に、敵側の重装備による提供者を模索する


「リーダー、ありゃあ見事な重装備だな」


「あぁ、そうだなアイヴォリー。お前に出す指示は“待て“だ」


「あ?俺は犬かよ!全員殺すに決まってんじゃねぇか!さっきも言っただろうが」


「だからお前には待てと下した、ラットン!相手の詳細を聞いてこい、やっこさんは話をしたがってるそうだ!」


俺の言葉通り、燃えたバスの前でお行儀よく待っている敵は会話を求めていたようだ


「平和的解決ねぇ」


「荷物がこちらにある分、俺たちが下手な動きされては困るらしいぜ?」


「luckyF、アイヴォリー、ちと黙ってろ」


危険な発想した2人を止め、ラットンの様子を見る


「黒人よぉ!女を人質にしてんだ!返して欲しくば核弾頭を寄越しなぁ!!」


敵側の重装備をした男は要求をし始める


「断る、こんな街中で商品名を告げるアホどもに要求を飲めるわけがないだろう」


ごもっともだがあまり刺激しないで欲しい


「いいのかァ!?嬢ちゃん目の前で犯して殺してもいいんだぜぇ!」


ラットンがピクリと動いたが、そのまま息を整えて相手を見すえる


同じ名を持つもの、考えるところはあるようだ


「それだけは勘弁願いたいな、お前たちに価値を見る目はないだろうがそこの少女も高くてね」


「へぇー!そうかい!美女って訳じゃねえが中の具合が最高なんだろうなぁ!アッヒャッヒャッヒャ!」


ゲスな会話だが、“中“を“体内“と変換すれば最高なことに変わりない


と、ラットンが握り拳を作り血を流す


そこまで切れるのかラットン…


敵は戦闘技術はあるが交渉術には長けていない、装備をくれた者たちが核弾頭を欲しがったのだろう


くれてやってもいいが、こちらも依頼だ。失敗すればもやしだけの生活になってしまう


「分かった…核弾頭を譲ろう」


なんと、ラットンはこちらの判断を聞かずに独断で核弾頭を譲ったのだ


決定権は俺にあるが、ラットンがこちらに来るときの目は小動物が懇願するような目をしていた


「ラットン、てめぇはアホだ。良くやったよ」


「…すまん」


「仲間意識が強えと面倒だなァ!ラットン!!」


「煩いアイヴォリー。リーダー…頼めるか?」


俺は頷き、歩いて敵側近くに行くと核弾頭の入った旅行用のケースを敵の目の前に置く


「あぁ!?クソガキ!何様のつもりだ!!」


「……」


「拾えやぁ!てめえ!!」


「待て」


と言ったのは大声て叫んでいたやつの後ろにいた1人だ


「っ!てめぇは監視役だろうが!!口挟むんじゃねぇ!」


「私が確認しようと言うのだ、大将に怪我しては困るのでな」


「あ、おうそうだよな!拾ってくれ!」


そう言うとそいつはケースに近づき俺に言う


「なぁ“英雄“、拾って私に渡せないか?」


言葉と同時に襲う殺気は、ここにいる全員を殺せるぞ?という自信の表れだった


殺気同様、重装備といえども隙のない動きは相当の手練だと窺えた


「こいつァ、殺る気だぜ」


「チッ、しゃーねぇ」


リーダーである俺の過去を知ってる以上、変に拒絶してはなにをされるかわかったものでは無い


「…ほらよ」


またケースに戻ってそいつに渡すと、渡されたやつは俺に呟く


「賢明な判断だよ、英雄くん」


「てめぇのことは知らねぇな」


「私はテレビ中継で知っただけだからな」


「なぜ俺たちに噛み付く?宛なら他にもあるだろう?」


「箔が付くからな」


「彼女を離せ」


「すぐに返すよ」


荷物を受け取った奴は彼女を離すように、仲間に促した


敵側の仲間はそれを見てKを離し、Kは走り始める



「簡単に返すわけがないだろう?“英雄“くん」


Kは手を拘束されながらもアイヴォリー達のいる元へ走り


俺は下手に動けないので殺気を殺して静観


他のみなも同様にKが来るのを待っていた



それがダメな行為だとは後の祭り



荷物を受け取った奴は拳銃でKのこめかみをぶち抜き、弾を貫通させた


「K!!」

「嘘だろ!K!!」

「テメェら!!」


「待てバカ野郎ども!!」


ラットン、アイヴォリー、luckyFの3人を怒号で止め、荷物を受け取った奴を見る


敵全員は出来事をそのまま傍観していたようで、荷物を受け取った奴はにやけ顔を維持していた


「名前は?」


「“英雄“くんに名前を覚えられるとはな、私はカルマだ。覚えて損は無いだろう?」


「業の深ぇ野郎が…!次覚えてろ」


「次があるといいがね、お迎えが来たようだ」


荷物を受け取った奴は空を見上げる


遠くから聞こえる戦闘機────


「ラットン!!Kを安静な状態で回収して身を隠せ!!」


「わ、わかった!!」


荷物を受け取った奴は敵側に向かってこう述べる


「さらばだ諸君、私の依頼主は仕事ぶりにとても喜んでいたよ。お詫びとしてなんだが、空から降る贈り物を受け取って欲しい」


上空を、戦闘機が通過する際に細い縄が荷物を受け取った奴の前を過ぎると同時に、奴は縄を掴みその場をあとにした


戦闘機が来る時に俺達はすぐにもの陰に隠れたが、敵は何が起きたのか全くわかっていないようで…


「な、何なんだあの野郎!」

「何が起き────」






騒ぎ出すと同時にバスが爆発した場所を更地に変えた



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