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大鴉  作者: 黒煙草
2/6

依頼結果報告

「『元“おもらし少尉“殿、あなたの報告を聞いて私は失望しました。報酬はありませんが私とあなたの仲です、次か最後だと思ってください』って書いてあるぜ、リーダー」


読み上げるは前回の依頼でスナイパーを担いでいた白髪肌白の大男だ


「おもらしの所はてめぇの悪口だろうがクソ砂野郎の“アイヴォリー“」


反論するは、肩まで伸ばした金髪セミロングの俺


盗聴の危険性を考慮し、“いつもの“呼び名で呼んだ


「リーダーよぉ、肌の色と図体だけで“象牙“ってつけんのマジやめろよな」


「でも気に入ってんだろ?」


「そらな」


気に入らなかったら殺すだけだ


俺達…といっても付き合いの長い2人だが、車で行きつけの酒場『foobar』に向かっているところだ


『馬鹿酒場』って付けたかった酒場のマスターは間違えてbにlを被せてしまったようで、今の店名になったとか


乗ってる車はボロのクラシックカーだが、何故かニトロが搭載している


クソ砂野郎が酔った勢いで改造したとか聞いたけど真意は定かではない


運転席にはロケラン厨の“B・ラット“だ、髪を伸ばしているそうで濃い黒の髪をポニーテールにしている


呼ぶ時はラットンと呼んでいるが、気に入らないらしい


理由が『ブラックのBに、実験用ネズミって呼ばれて好きなやついるか?リーダーのセンス最悪だよ』とか言いやがったからケツに蹴りくらわした


「おいラットン、まだ着かねぇのかよ」


「残念ながら渋滞だ、朝の通勤ラッシュと被ったのが最悪だったな」


「歩道が空いてんじゃねぇか、行けよ」


「バカここに極まるってか?捕まって身元調べられて俺達は解散だろうが」


「そこはあれだよ、リーダーが何とかしてくれんだろ」


「アイヴォリー、お前もう黙ってろ」


「んだよ、手紙にゃまだ続きあんぜ?」


「さっさと読み上げろボケカス!てめぇのおふくろさんにチクるぞ」


「おいおい!親出すとか卑劣じゃねぇか!堕ちたなリーダーもよォ!」


「じゃあさっさと読めクソ野郎!ラットンも助手席座ってるクソ野郎を殴っていいぞ、五体満足で死なねぇ程度にな」


「嫌だよ、こいつ硬ぇから拳痛めちまう」


「だとよ!リーダー!ハッハ!」


「はぁ…んで、続きはなんだ」


「次の依頼内容だ、場所は真ん中の大陸あたりだな、日時は1週間後で、えーとぉ…?」


「ふん、それで、殺しか?生け捕りか?」


「いや、こりゃあ…荷物運びだ、大陸横断で」


それを聞いたラットンが声を荒らげる


「おいおいおい!そりゃ無いぜ!!」


「ラットンよぉ、そんな吠えんなよ」


「ラットン、気持ちはわかるが切り替えていけ。前の依頼は忘れろ」


過去に受けた依頼に、ラットンは中身を見てはいけないという条件の元、荷物運びを行ったが

当時は雨

しかも狙う敵から情報がバレバレ

しまいには足を滑らせ中身を開けてしまい

中身を見たラットンが凹む程

になるほどだった


「あん時はお前んとこの国の皇女が入ってただけじゃねぇか、御丁寧にラッピングされてたろ」


拘束と猿轡を“ラッピング“と表現するのは俺たちくらいだろうな


「だがな!ありゃ戦争の引き金にもなってただろう!!今回もあれか!?人が入ってんじゃないだろうな!」


「犬って書いてあんぞ、65kgの170cmだとよ」


「65kgの犬なんているわけないだろう!そんなもの家で水酸化ナトリウムで溶かしておけよ!」


「それほど貴重な犬だろう?考えるよりも運ぶ算段を決めねぇと」

俺は思考し、そう答えたがラットンは不服だ


「あのなリーダー…もうちょっと疑ってもいいんじゃないか?」


「依頼主の方針には従うのが基本だろう」


「とか言いやがって、生け捕りを爆発四散させたの誰よ!ハッハ!」


「俺がルールだクソ野郎」



ふと、前の車が動き出すのが見えた

「はぁ…そろそろ渋滞が動くぞ」


「ハッハ!リーダー!酒場着いたら飲んで騒いで俺と寝るか?!」


「死ねゲス野郎、そこらの娼婦拾って盛ってろ」


「リーダー、そんな口調だから若い男は寄り付かないんだよ」


「そーだそーだ!ガキ孕んで隠居してくれりゃ、俺がそこに座って依頼こなしてやるよ!」


「バカいえ、てめぇらの舵取りが俺以外に努まるわけがねぇ」


「ハッハ!言えてんなぁ!先ィ降りるぜ」


『foobar』の看板が見えたところでアイヴォリーは徒歩を選択した


「リーダーどうします?歩かれますか?」


「俺たちを狙うアホな敵はわんさかいる、貴重な移動手段が細工されちゃ元も子もねぇ」


「そりゃ有難い、護衛頼みます」


「子守りは死ぬまでさせられそうだ」


「ハッハ!リーダーは女の体だしな!それがお似合いだぜ、じゃあな!」


余計な一言を残し、アイヴォリーは車のドアを閉めた


あいつの酒に睡眠薬でも入れてやろうか


それに、この体に不便はないし


・・・・・


『foobar』は少し広いくらいの間取りに、カウンターがあるくらいか


カウンターにはワイシャツに黒のスラックスの酒場のマスターがいた、体は肥えているが昔はショットガン1発で鳥を三羽撃ち抜いたとか


俺たち傭兵部隊を作り上げた時は世話になった


先に降りて行ったアイヴォリーがマスターに声をかける


「マスター、来てやったぜ」


「アイヴォリーか、相変わらず白い肌だな、少しは健康的な色をしろ」


「そう言うなや、スピリタス2本とあとは…」


アイヴォリーが後から来た俺たちを見てきたので、俺が注文する

「マスター、俺はウォッカだ。ラットンはどうする?」


「ビールでいい、500の瓶のままで」


「はいよ。だがな、アイヴォリーは少し控えろ、飲みすぎで机の上がゲロまみれになった時は殺したくなったぞ」


「へいへい」


「そのままマスターご自慢の、ショットガンの引き金引いてもよかったんだがな」


「うるせーぞラットン!」


叫ぶアイヴォリーに対し、マスターが机の下から注文した酒を取り出すのに時間はかからなかった


「そういやさっき渋滞あっただろ」


酒を渡しながらマスターが口開く


興味が湧き、カウンターに座る俺たち3人


「朝のラッシュはあんなものでは?」

ラットンが疑問を浮かべる


「それが最近若いのがこの街を牛耳るとか言い出してな、“ドッグマンズ“言う奴らなんだが…派手に暴れてるんだ」



とマスターは困った顔をする



なーんか、頼まれそうだな

一応断るか


「若い連中なんぞ知ったことか、街のドーナツ屋を占領するポリ公共はどうした」


「やっきになって相手してるが成果は乏しいな、やはりこの街で数が多い警察共が苦戦するとなれば…」


「ヤク中の肥溜め共がいるだろ、“ウルフズ“とかほざいたか?あいつら自分たちのテリトリーには煩いはずだ」


「それが、“ウルフズ“のテリトリーを上手く躱して暴れてるんだ」


それを聞いたアイヴォリーが酒持って立ち上がる


「っつーことはだ!狼のクソが暴れてる連中の首輪繋いでるってこったろ!!」


「狼が犬を連れ回してるか…笑えるな」


酒が回ったのか、アイヴォリーの軽口にラットンは笑う


「ラットン、あんま酒強くないんだ、そこまでにしておけよ」


「いやリーダー…まだ新入りの歓迎もあるんだ、俺はまだ飲むぞ」


「おっと、そういやそうだな!!マシンガン野郎まだ来ねーのかよ!」


周りを見渡すが、朝にも関わらず酒に溺れるジーさんや、賭けポーカーしてる連中がいるくらいだ


「ハッハ!1秒遅れる事に1品頼んで奢らせてやる!」


「勘弁してやれアイヴォリー、マシンガン野郎の懐事情は知らないが、歓迎会に新入りが奢るやつがどこにいる」


「遅れるやつがわりぃ!」


「マスター、話を戻すとして、俺達はお断りだ。次の依頼も来ている」


「なぁにすぐ済む話だ、報酬だが…」


「やらねぇって言ってんだろ…お前ら店変えるぞ、新入りも俺が連絡入れる」


「ハッハ!悪ぃなマスター!1本しか開けてねぇが持って帰るぜ!」


「済まないなマスター、金はこちらに置いておく」


「お、おい!本当に行っちまう奴がいるか!」


焦りだすマスターから背を向け、歩きだそうとする


まぁ、チーム結成からの付き合いだ…一言添えてやろう


「前から腐るほど言ってるが、俺達は隠し事が嫌いだ、次からは全て吐け。じゃあな」


「わ、わかった言うから待ってくれ!店の危機なんだ!」


マスターは走ってきて、アイヴォリーに足を引っ掛けられ転ぶ

「っとォ、わりぃ!」


だがそれでも床を這いつくばって俺の足をつかみ、懇願し始める


「た、頼む!ワシの孫娘も連れ去られたんだ!要求に応じなければ孫娘の無残な死に様を見せてやると脅されたのだ!信じてくれ!!」


喋ったマスターは、這った状態で俺の足を掴み、床を鼻水と涙で濡らす



すると、アイヴォリーがマスターの胴を蹴り上げ、賭けポーカー中の連中の机に飛ばす


「まだ言うこと足りねぇよなぁマスター!!」


「アイヴォリー、待て」


「んだよリーダー!」


「マスター、その要求を飲めば孫娘だったか?戻ってくるんだろ?」


マスターは上体を起こすが、目が泳ぐ

「い、いや、それは…」


「ポーカーしてるヤツらキレてっからさっさと降りやがれ!マスター!」


「ヒィ!」


マスターは慌てふためき、転がるようにこちらへ来る



ふと、ラットンが賭けポーカーしていた奴らに声を掛ける


「右のメガネかけた小太り。手札はブタだが右手にあるカードですり替えしも構わない。が、カモには勝てんぞ」


机を直し、散らばったチップとトランプの配置を戻すラットン


チップの配置から3人の隠していたカードまで把握してるとか怖すぎだろ


「そして2人、貴様らはグルだな。だがやめておけ、そのメガネは小太りだが逃げ足は速いからな」


グルだった2人は驚き、小太りのメガネを見るが時既に遅く、小太りのメガネは店から出て行ったあとだった


だが2人も足に自信があるのか、追跡を始めるため店を出た


俺は運がある“女“に声掛けた

「よかったな、“新入り“」


「あ、リーダーには分かってたか」


「あぁ!?新入りっ…マシンガン野郎!?お前女だったのかよ!!」


「え、履歴書にゃ性別書いてたはずだけど?」


「んな紙切れ読まねぇよ俺ァ!い、いやお前…っ!変装してんじゃねぇのかよ!?」


「俺は女だよ、ナニも付いてねぇし」


「マジかよ…店が出禁になったってのは」


「メイド喫茶風の風俗でヤらかしてなぁ、その店の店長含む全員を腰立たなくなるまでヤっちまって」


店長は男か女か知らない方が良さそうだ


「性欲の権化かよ!ラットン知ってたか!?」


「いや、依頼時に見た時は装備でヘルメットしてて気付かなかった。履歴書は読んだが偽造かと思ってな」


ラットンは事前に書類には目を通していたようだ


「アイヴォリー、質問は済んだか?」


「まだだ!前いた部隊から抜ける必要性!」


「男だらけの部隊なんざ汗くさくて、しかも変に寄ってくるから気持ち悪くてさぁ…女の子なら大歓迎だからリーダーの部隊に来たんだ。実際、第二部隊も女の子チラホラいたろ?美味しくいただきましたわー」


「お、俺はまだ手をつけてねぇのに!リーダー!俺はヤるぞ!!」


「誰が許可するか馬鹿野郎!話はまたあとにしろ……マスター!!」


「は、ハイなんでしょう!!」


「報酬はこちらで決める、まずは店の貸切、一日だけでいい」


「そ、それだけならまぁ…」


「1個とは言ってねぇぞ、次に孫娘を俺たちに預けること」


「は?」


「最後にアイヴォリーの酒代1月分無料だ、いいな?」


唖然とするマスターは、一気に頭をショートさせてでもフル回転させ、答えを出す


「んな馬鹿な要求通るか!!2つ目と3つ目は却下だ!」


「じゃあ3つ目は俺の酒代1月分無料な、ウォッカ好きだし」


すると横からアイヴォリーが突っ込む

「いやまてリーダー!俺の酒代無料の方がいいだろ!」


「最初に無理な要求を吹っかけてあとから要求レベルを下げていく、商いの交渉じゃ普通だろ」


「俺のをダシにすんなや!!」



さてはて、アイヴォリーは無視してマスターはどう出るかな?

「3つ目はそれで構わんがな!2つ目は絶対にダメだ!!」


「ひでぇなマスター!」


「叫ぶなクソ砂野郎、だが2つ目は絶対だ。女要員は居て損なし」


「だがっ!」




「マスター、貴方の今の立場上、これ以上の要求は厳しいものと思うが?」


とラットン


「マスターをボコりゃ、黙って言うこと聞くだろ」


続いてアイヴォリー


「男にゃ基本興味ないけど種馬を欲しがってる連中いるから連行してそこに放置すれば良いんじゃない?」


何故か変な情報を知っている“運有“のラッキーガールこと新入り


「ヒイィ、分かった!分かったよ!孫娘の要求は分かったから綺麗新品なままで返してくれよ!!」


「交渉成立だな」


脅してるけどな


「俺の酒代は不成立だがな!」


アイヴォリーが叫んでるが無視する


「では依頼前の準備運動といこうか」


・・・・・



灰色の迷彩に包まれたランドクルーザー70に乗り込む第一部隊


後部座席に“リーダー“の俺とアイヴォリー


助手席に新入りの“運有“ガール


運転はラットンに任せている


全員、私服で装備は最低限のものだ


ちなみにリーダーである俺は、銃が下手くそなので、服装はクリーム色のワンピースに軍靴とラフな格好をしているが、ワンピースの上に羽織る黒のロングコートの裏にナイフを50本以上仕込んでいる


首には赤のドッグタグをぶら下がっており、カリカリと音を鳴らしている


隣に座る白髪白肌のアイヴォリーは、下は破れたジーパンにサンダル、上が裸という謎スタイルだ。首には複数枚のドッグタグがぶら下がっており、ジャラジャラと五月蝿く鳴っている


助手席に座る新入りラッキーガールはFカップの胸に水着だけという、わけわからん上半身に、下はローライズだけで、靴は俺と同じ黒の軍靴だ


首にぶら下げるは、灰色のドッグタグ。それをキリキリと鳴らしている


運転しているラットンは、肌黒ということもあってか、清潔な白のワイシャツに黒のベスト、下はスラックスとなっていて、スマートシューズを履いている


首からは白のドッグタグをぶら下げている



改めて思うが、全員ラフな格好である

暑いからと言ってみんな装備着るのを嫌がったのだ


俺はラットンに質問する

「目的地まではあとどれくらいだラットン」


「もう少しだが、“ドッグマンズ“のアジトは細道の先だ。途中から歩くことになる」


「と言っても、連中のアジトはホームレスが居た場所だったか?」

と新入りラッキーガール


「ホームレスに罪はないが、絡んでたら殺せ。いいな?」


「「「了解」」」


全員の了承を聞いて安心する俺


だが一応質問は聞く、上司の鏡でありたい

「質問あるか?」


「俺はねぇな!」

五月蝿いアイヴォリーが叫ぶ


「俺も異論無し」

とラットン


「あー…ひとついいかね?」

お、ラッキーガールは何かあるようだ


「全員殺すんだよね?」


「孫娘や人質以外はな」


「その、さ…管理はしっかりするから、ナニのでかい頭悪そうなのは殺さずにして欲しいんだけど」


「は?」


「おいおいおい!マスターに言ってた種馬の件か!?」

アイヴォリーは五月蝿い


「いや、ね?出発前にその種馬欲しがってる店から連絡が来て、どうしても必要になった言うから!」


「だからって殺す対象生き残らせる必要ねぇだろうが!」


「そこをなんとか!!頼むよぉ!リーダー!」


ラッキーガールは懇願する


「質問じゃなくて要望ということでいいんだな?」


「そそ!その店から10%は回す手筈にはするからさぁ!」


む、金の話出てきたぞ

10%はいい方だったよな?少なくないよな?


俺は金に執着してねぇが、装備も揃えなきゃならんし、アイヴォリーの下世話代金も馬鹿にならねぇからな


「だめ…かな?」


なんか助手席から、こちらに体を向けて手を合わせてくる


おっぱいでけぇなこいつ、luckyFって呼び名つけてやろう


「構わねぇが、品定めは“luckyF“、てめぇ自身でやれよ」


「分かったけど…ラ、luckyFて私の事…よね?」


「イカサマを上回る運の良さとォ!でけぇ胸で付けられるたぁ可哀想だな!」


「こ、この胸コンプレックスなんだよ!?でかいだけで揺れる度に千切れそうでさ!辛いんだよ!?」


「知るかクソレズ!俺に嘆くなや!」


「リーダーとクソの2人、もうすぐ細道だ。降りる準備しとけよ」


「誰がクソだ!」

「象牙と一緒にしないで!」


仲良いこいつら


「2人、仲良くなりそうだなリーダー」

「根本的にゃ、下半身が繋がることしか考えてねぇから、息が合うかもな」


・・・・・

ホームレスが集う密集地帯に、“ドッグマンズ“は居た


ひとつのでかいテントを囲み、複数人の男が警護するように存在する


でかいテントの中では、手足が自由な男が5人、リーダー格であろう人間が1人と、“道具“持った男が4人


そして、人質である3人の拘束された人間を見下している


3人のうち2人は女だ、もう一人の男は四肢を切断され、目、口、ケツの穴に鉄の棒が突っ込まれて息絶えていた


女二人は男の命途絶えた状態に怯え、震えている


「寒いんかな?」


リーダー格の男は疑問を吐くが今は夏、気温も密集地帯とあってか温度は高い


「こっちは汗ダクっすけどね、見せしめとはいえ四肢を切断するのは力いりますよ」


と“道具“を持つ1人は滝のような汗を肌に付け、疲労困憊していた


「リーダー決めるのがくじ引きとはいえ、してもらった仲間には悪い気しか起きないなぁ」


「仕方ないっすよ、所詮俺らは烏合の衆なんすから。でも友達っていいもんすよ」


「そうよなぁ、あのゴミみたいなことして心が痛まない奴らとダチになれて俺は嬉しいよ」


“ドッグマンズ“は狂っていた


狂う、という表現よりも一般の思考回路とは別の考えをしていると言った方が具体的か


結論的に、テントに集まっている奴らは全員が狂っていることに変わりはないが


「この後どうするんしたっけ?」


「『この男と同じようになりたくなければこの街を引き渡せ』だっけか?こんな女二人に言っても無駄だとは思うけどなぁ」


女二人の出所を知らないテント連中はこういった行為自体無駄だとは思っていた


だが、場所が場所であったか、理性よりも本能が優る


彼らは難民である

荒れ果てた大陸から逃れるべく、嵐の中、100以上の人を乗せた舟を漕ぎ続け、辿り着いた自由の国と呼ばれる街


そこで受けた指示は元々ホームレスが集っていた場所を、急遽、難民キャンプに仕立てあげた最悪の場所である


過ごしていくうちに自由のない生活に嫌気がさし、反政府運動を作り出し、“ドッグマンズ“というただ暴れるだけの集団を作ったのが始まり


そこに目をつけたのは“ウルフズ“で、支援する代わりに自分たちの下で働けという脅迫があった為、仕方なくついた


「“ウルフズ“さん達、要求だけっすから手ぇつけてもいいっすよね?」


「んー…まぁいいんじゃない?壊れない程度ならダルマにしても」


と、リーダー格の男が言うと残り4人がニヤけだす


1人がズボンとはほどと遠い布を取る


「いやー、生娘かな?処女ぶち抜くの久々なんすよね」


「前いた場所じゃヤってないのか?」


「舟漕いでからの話っすよ、辛かったすけどこんな生娘二人の為に取っておいたと思うと…あぁ堪んねぇ!」


拘束された女二人は男のモノをみて、怯え出す


「くそ暑いのに、そっちは冷気でも吹いてるのかな?」


アホなリーダーは暑がっているようだ


「それなら、近づいて確認しないとっすね!」


近づき、女ひとりの股にモノを触れされ、挿入する


濡れていない穴からは血が


口からは女の叫び声が響く


「やっぱ暑いっすよ、リーダー」


「そっかー、残念だな。えーと、もう1回聞いた方がいいよね」


リーダー格の男は“ウルフズ“の言われたことを思い出す



「街が欲しいんで、なんとかして?」


ふと、静寂が訪れる



そして次に聞こえたのは少年か少女か区別のつかない声


「そういうのは市長に直談判しろ、ゲス野郎共」


“大鴉“のリーダーである

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