依頼内容:ターゲットの捕獲
設定なし、見切り発車
『こちら第二部隊、リーダー応答願います』
通信機から聞こえてくる
俺は答える
「何かあったか?」
『ターゲットがこちらに向かってます、少し早いですが問題は無いかと』
「どんな編成だ?確認できる範囲でいい」
『夜間のため人数は確認できませんが、車が6台です、自分らでも殲滅可能ですが?』
「ターゲットは生け捕りだ、それ以外なら構わん。殺れ」
「了解」
建物の外から銃声と爆発音が響く
中にいた俺含む、第一部隊の4人は子守唄のように眠そうな顔をしながら聞く
「こりゃあ俺たちの出番はねぇな」
スナイパーライフルを背に、まったりくつろぐ白い肌の大男は俺が持つ第一部隊の1人だ
「言うな砂野郎、楽な仕事ならそれでいいじゃねぇか」
返答するやつも部隊のひとりで、背格好は大きいが肌は黒く、RPGを背負っている
この2人は長年の付き合いである
「んだとロケラン厨、派手に暴れて爆破して金貰えりゃ褒美の酒がうめぇってもんだろ?」
「そら言えてるな、暴れて爆発してその貰った金でうまい酒と女、これだけありゃ十分よ」
発言するは新しく入ったサブマシンガンを持つ1人で、背は2人よりも少し低いくらいだが並の人間よりは高い
「気が合うねぇマシンガン野郎、おいリーダー!終わったら遊ぼうぜ」
「お断りだ馬鹿野郎、てめぇに付き合わされた連中は次の日使い物にならなかったんだぞ。ちったァ加減をしれ」
「んだよ寂しいやつだなおい。マシンガン野郎、てめぇは付き合うよな?」
「いいとこ紹介してくれよ?前通ってた店は出禁食らっちまったんだよ」
「んだてめぇ!?その背であそこはでけぇのかよ!」
「背は並より高ぇよ…それにご立派なマラ持ってちゃ悪ぃのか?つか声でけぇよスナイパーさんよ」
「俺はスナイパー背負ってるが突撃兵だバァカ」
「新入り、実を言うとこのアホは、他の銃使うとフレンドリーファイアしまくるだよ」
「アホ言うんじゃねぇリーダー!敵の中に紛れる味方連中が悪ぃんだよ」
「なぁ新入り、この砂野郎さ前にいたチームになんて呼ばれたか知ってるか?」
「あれだな、“敵の区別かつかないアホ“だろ」
「それを踏まえて“死に神“とか言われてんだよ、アホだろ?」
RPGを担ぐ奴がアホアホ連呼する。間違っちゃいねぇけど
「アホ言ってんじゃねぇ玉無し野郎共!あーもういい、長年の付き合いだがてめぇとはここで縁切るぞ俺ァ!」
「そのくだり、もう100回から数えてないぞ」
「うるせっ…んぁ?」
スナイパー兼突撃兵は鳴り止んだ銃声に疑問を持つ
「なんだよ、もうメインディッシュは終わりか?」
砂野郎の問に対し、思考し答える
「いや違うな、こりゃ面倒くせえのが来たらしい。準備しろ」
周りが警戒しながら準備をし始める中、通信機を取り出し、第二部隊をまとめてる奴に問う
「“猿“、応答しろ」
少し間があき、通信機から声がする
『リーダー、すいませんしくじりました。報告遅れて申し訳ないです』
「構わん、必要以上の通信はやらない方針だからな。何があった」
『…化け物が出てきました』
「比喩してんじゃねぇよ、何が出てきたか言えってんだよ」
「黙れ砂野郎!いいから落ち着いて経緯を話せ」
『はい…ターゲットが車から出てきた瞬間、変化しました。遠目ですが混じってる血はオークです、判断を待ちます』
「おーしお前らファンタジー宜しく化け物退治…じゃなくて、捕獲作戦と行こう」
「おいおい、討伐じゃねぇのかよ」
「バカ野郎、生け捕りが目的だろうが…ロケラン厨、“細胞抑制薬“はあるな?」
「おう、リーダーの仰せの通りに」
「その口調やめろ、気と尿意が緩んじまう」
「新入りィ、知ってっか?リーダー興奮しまくると漏らすんだぜ?」
「本当ですかリーダー?砂野郎の戯言じゃないですか?」
「残念なことに事実だ、リーダー、いつでも」
「後で覚えてろバカども、さぁパーティの時間だ」
・・・・・
「てめぇら全員じゃねぇだろうが!!リーダーとかいるはずだろ!!さっさと連れてこねぇと1人ずつ!!ぶっ殺す!!」
3m越えの巨漢と化したターゲットは、手に持つ“猿“と呼ばれた第二部隊の1人を掴みながら叫ぶ
対して、捕まった部隊員達は頭を垂れ、無言を貫いていた
「GAAAA!!拉致があかん!!忠誠があるのはいいことだがァ!てめぇらの命を張る者なのか!!」
首を掴まれている男はそれを聞き、睨み、叫ぶ
「あぁそうだとも!貴様のようなどす黒い悪共が蔓延する中!1人立ち上がった英雄だ!!貴様にはわかるまい!!」
「面白い小僧だ!!捕まっているヤツらァ!見ていろ!苦痛に歪みながら死ぬ様を!!」
ターゲットは部隊員を頭上に掲げ、力を込める
と、同時に銃声がし、腕に力が入らなくなる
「ハ?」
肘を撃ち抜かれ、部隊員を掴んでいた腕が落ちた
「GYAAAAAAAAAA!!!」
部隊員は尻もちをつきながらも地面に落ちているアサルトライフルを拾い戦闘態勢に入る
他の部隊員も同じ行動をとる
「リーダー!?」
『そう慌てなさんな、リーダーは準備しながら向かってんだよ』
通信機からはスナイパーを背負っていた突撃兵が答える
「じゅ、準備ですか?」
『まぁ楽しみにしてろ。そういやさっきの叫び声、採点してやろうか?』
「クソガァァァァァアアアアア!!どこから撃ってやがる!!」
「採点、ですか?」
『あぁ、』
またもや遠くから2つの銃声が響く
『100点だよ』
銃弾はターゲットの両肩をぶち抜いた
「グガァァァァァアアアア!!そこかァ!!」
ターゲットは口を開き火の玉を作り出し発射させるが、身体が痛みでよろけ、あさっての方向に飛んでいく
『下手くそばーか、おいリーダー!頼んだぞ!!』
・・・・・
「オークの細胞が混じっている場合、皮膚が固く変質している」
「グァァア!どこだ!」
「少し傷をつけてから注射針を打ち込む必要がある、また打ち込んだ後も暴れては身を滅ぼす為、力を入れてはいけない」
「どこから声がするのだ!!クソガァァア!!」
「まずは弱らせることから始める」
リーダーである俺はます巨漢の腱を対化物用戦闘ナイフで切り裂く
硬い皮膚で覆われたターゲットの腱は深く刻まれ、血が吹き出す
「グゥ!そこか!!」
ターゲットは、切られた腱なぞお構い無しに、足を軸に体を反転し、裏拳で攻撃するも空を切る
ふらつき、倒れ込むターゲット
その首に跨り、注射器を取り出す
「な!貴様それはなんだ!!」
ターゲットの問いを無視し、動脈を視認し、傷を入れる
「力を抜け、デカいの」
俺の発言とともに、今度はターゲットが俺を視認する
「なっ!まだガキじゃねぇか!!」
ムカッときた
「力抜かねぇと抑制剤の反発で爆発するが、まぁ関係ないよな。依頼主にはそう伝えておこう」
そのつぶやきにターゲットは目を見開き驚き、通信機から繋げたイヤホンからは否定の声が起こる
『おいリーダー!生け捕りが目的だろう!それに抑制剤により反発、爆発は跡形もなくなるから証拠不十分で報酬が貰えないのは知ってるはずだ!』
ロケラン厨は俺に冷静な判断を求めてくる
「だがターゲットは俺をガキ扱いしやがった、万死に値する」
『んな事言ってねぇで冷静になれ!リーダー!』
砂野郎が喚くが、ただ煩いだけ
しかし、砂野郎に言われたからには仕方ない。あいついつも冷静じゃねぇし
「珍しいなクソ砂野郎……やっぱ金か」
『それもあるが周りを見ろ、“猿“共の目ん玉キラッキラしてやがる。期待してんだよリーダーに』
ちっ、部下共をだしに使うとか卑怯だろあのクソ
「…そうだな、クソの言う通りだ。クソは正しい、アホみてえなクソの言うことじゃ仕方ねぇ!」
怒りまかせに腕を振り下ろし、動脈に注射器を打った
「おいでけぇの、生きてぇなら力抜いて楽にしとけ、死にてぇなら相手してやる」
するとターゲットは
「ガキに舐められちゃ世話ないわ!貴様が死ね!!」
暴れて爆発した